タイミング逃したので、ペヤング販売再開まで待っていた記事を。
●異物混入は防止できない!はペヤング擁護?
私は最初タイトルを見て、ペヤングのまるか食品擁護の記事かな?と思いました。ただ、そういった感じではありません。まず、食品問題評論家で消費者問題研究所代表の垣田達哉さんは、以下のように言っています。
異物混入は防止できない! 企業が迫られる発想転換の本質(上) ――垣田達哉・消費者問題研究所代表に聞く|DOL特別レポート|ダイヤモンド・オンライン――垣田達哉・消費者問題研究所代表に聞く 2015年1月26日
食品に混入する異物の傾向などは、東京都をはじめ各自治体のHPなどで確認することができます。異物混入で最も多いのは、やはり昆虫。虫は大きいものから小さいものまで世界中にいるし、縦横無尽に飛び回るし、いつどこで食品に混入してもおかしくない。
たとえば、材料の段階でつく場合、ファーストフード店などの店舗で調理中に入る場合、さらにお客がテイクアウトした後に家で入る場合だってある。ぺヤングに入っていたゴキブリくらい大きな虫ならまだしも、小さい虫まで企業の現場が混入を防止することは、大変難しいのが現状です。
ペヤングの場合、
ゴキブリペヤングのまるか食品の対応が最悪 責任転嫁や嘘の繰り返しでやったように、私は事後対応の悪さを最も批判しました。
ただ、タイミングを逃して書き損ねたものの、まともな検査をしていればあの大きさの虫を見逃すというのは考えづらいのではないか?と思っていました。
垣田達哉代表も「ゴキブリくらい大きな虫ならまだしも」という言い方をしていますから、ペヤングのようなゴキブリの混入は「大変難しい」とは考えていないということです。
また、ファーストフード店での異物混入防止の難易度が高いというのも同意します。私は普段マクドナルドに対して厳しい意見を書くことが多いですが、
マクドナルドで異物混入相次ぐ 不祥事対応で禁忌なのは隠蔽と謝罪不足のときにも、混入そのものは強く批判しませんでした。
ファーストフード店などでは調理する部屋を他の部屋と物理的に遮断することは稀ですし、出来上がった商品の大掛かりな検査も現実的ではありません。食品工場とは管理されるレベルの差が大きく、現状そこまでのレベルを求めるのは非現実的です。
●異物混入は防止より発見を
垣田達哉代表は異物に関しては、混入よりも発見に力を入れようという考えだそうです。
たとえばある食品会社の工場では、髪の毛や衣服についたほこりが製造中の食品に混入しないよう、90分や2時間に一度、工員がお互いに付着物除去ローラーをかけ合うといった、徹底した取り組みを行っています。なぜそれほどの頻度でやるかというと、あれだけきちんとキャップをかぶって作業着を着ていても、日常的に異物が出るから。どんなに衛生管理を徹底しても、100%防ぐことは無理です。
だから、私が常々企業関係者に対して言っているのは、異物混入を「防止」することばかりでなく、「発見」するほうに力を入れなくてはダメ、ということです。発見することにおカネをかけなくてはいけません。
ペヤングで言うと、4月に異物混入防止策の一つとして「容器の密閉性を高めた」なんて言っていたので、
痛いニュース(ノ∀`) : ペヤング発売再開へ。フタを全開にせずともお湯を注げる新容器でゴキ混入防止策も完璧 - ライブドアブログで、「麺を作ってる時点で入るんだから密封しても意味ねえだろ」と言われていました。
さらに、"今回の容器ならゴキが混入してても大半の人が気づかずにお湯を入れて"しまうので、元から入っていたゴキブリである証拠が消えてしまうのではないか?とも言われていました。要するにゴキブリ混入の証拠潰しではないか?というひねくれた見方です。
まあ、いずれにせよ、今までだってビニルで外側をパックしていたんですし、ゴキブリ混入対策としてはあまり効果的ではなさそうです。
なお、最近のニュースによると、ペヤングの製造工場では、麺を容器に入れる際に異物が無いかチェックするセンサーカメラが新たに導入されたそうです。でも、私が一番必要だと思う容器を入れた後の検査については、触れられている記事を読んでいません。どうもこの会社は考え方がズレている気がします。
●異物混入を前提とした対策を
垣田代表は異物が混入するという前提で対策を考えるべきともしていました。タイトルの「異物混入は防止できない!」の意味はこれもあるでしょうね。
当たり前の話ですが、そもそも企業の現場は、「自社の商品に異物なんて入っているはずがない」という前提で動いています。だから、業界ごとに守るべき安全・衛星基準が定められているわけでもなく、対応は企業単位で行われています。企業は発想を根本的に変え、「異物は混入するもの」という前提で、その発見に力を注ぐべきです。
安全管理なども基本悪いことが起きる前提で考えます。都合の良い方を基準にしてしまうと、もしものときの対応ができません。以下のヒューマンエラーは必ず起こると考えるのも、安全と同様の考え方です。
昨夏に期限切れ鶏肉使用問題が発覚したマクドナルドの中国工場もそうでしたが、マニュアルはあっても運用ができていない現場は多い。悪意があるにせよないにせよ、「従業員は必ずミスをするもの」ということを、忘れてはいけません。
●異物混入は非難されて当然
異物混入防止の難しさを強調しつつも、
ゴキブリペヤングは騒がれすぎ CGCグループ代表の苦言に賛同多数のような騒ぎすぎ…という主張にも、垣田代表は否定的でした。
――100%は無理にしても、せめて消費者が求める必要最低限の衛生・安全は実現したいですね。ただ、昔よりも今の日本人はきれい好きになったから、ちょっとしたことですぐに騒動が拡散するとも言われています。いったい、どこまで衛生・安全を追求すればいいのか、企業にとっては厳しい世の中になりましたね。
メディアでは、「今回、消費者は騒ぎ過ぎじゃないか」「昔はこうじゃなかった」という声もありますが、その発想は間違いです。そもそも消費者の求める衛生・安全のレベルは、時代によって違う。「昔はそれほど騒がなかったのに、なぜ今は騒ぐのか」ではなく、今の消費者が求める衛生・安全水準に合ったものを提供しないと、企業はやっていけません。
消費者の気持ちを考えてみてください。同じ値段の同じ食品でも99%は異物が入っていないのに、なぜ自分が買ったものにだけ異物が入っているのか。自分だけがハズレを掴まされた消費者が、それを許せるわけはない。(中略)
結局、どの時代でも異物混入は許せないものなのですが、消費者が声を上げるレベルや上げる方法が変わってきているだけなのです。企業側もそれはわかっています。「異物混入はどんなものでも許されない」という見地に立たないと、消費者の理解は得られません。
●「異物混入は防止できない!」の真の意味
「消費者が声を上げるレベルや上げる方法が変わってきているだけなのです」とありましたが、まるか食品はそれがわからないからああいうマズい対応をしちゃったんですけどね。
私はこの事後対応のマズさについて、まるか食品のときでもマクドナルドのときでも最も重視しています。STAP細胞問題の理研とかマルハニチロ冷凍食品問題のときとかもそうです。
この点についても、やはり垣田代表は言及されていました。タイトルの「異物混入は防止できない!」としては、こっちの意味の方が大きそうですね。
異物混入を防いだり発見したりすることに最大限の努力を払うことは当然としても、それを100%徹底することは不可能。だとしたら、万一異物混入が起きたときにどう対処するかを、普段から考えておかなくてはいけません。
騒動が起きた後に消費者が怒るのは、企業の事後対応の拙さです。たとえばマクドナルドは1月上旬、ビニール片、プラスチック片、人の歯などの異物混入事故4件について発表・謝罪しましたが、私はその謝罪会見を見て、「これはマズイ」と思いました。このときの会見では「誠意」が感じられなかったからです。
マクドナルド側は、「自分たちは悪くない」ということを一生懸命言っている感じがして、まるで「お客が悪い」と言わんばかりの言い方にもとれました。昨年の期限切れ鶏肉使用問題のときの会見でも、「自分たちは被害者」だと言っていましたが、こういう態度はどう考えてもダメです。
安全対策との共通点を何度か書きましたけど、異物混入というのは消費者にとっては間違いなく安全問題ですからね。企業側の意識は低すぎると思います。
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