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シューズ職人三村仁司氏、ナイキ厚底を全否定 でも薄底もダメと指摘


 ナイキの厚底シューズ「ヴェイパーフライ4%」は、世界のマラソン界を席巻。日本記録も出ています。しかし、現代の名工にも選ばれた伝説のシューズ職人三村仁司さんは、これを全否定していました。ただし、疲れやすく怪我しやすいみたいな主張は、事実と異なると思われます。

 また、ナイキのこの靴は、市販品と同じ工業製品であり、「工業製品vs職人技」の戦いでもあるようです。(2018/02/27)


●現代の名工・シューズ職人三村仁司氏

2018/02/27:三村仁司さんはもともと長距離選手。選手時代から、長持ちするシューズはないかと考えるようになり、大学からの競技続行の誘いを断って、高校卒業後の1966年、オニツカ株式会社(現:アシックス)に入社。別注シューズの製作を開始し、オリンピックを目指す選手をフォローしてきました。

 シューズを手掛けてきたのは、瀬古利彦、高橋尚子、野口みずきら世界のトップ選手ら。陸上競技にとどまらず、野球、サッカー、テニス、バレーボール、バスケットボール、ボクシング、モータースポーツ、近代五種など多岐にわたる競技のシューズを手がけていたといいます。2004年には、厚生労働省「現代の名工」に選ばれた伝説的な職人です。

 なお、2009年、アシックスを定年退職後は、シューズ工房「M.Lab(ミムラボ)」を設立。2010年1月には、アディダスジャパン株式会社と専属アドバイザー契約締結を発表。2017年春には契約解消して、2018年1月1日からはアメリカのマサチューセッツ州ボストン市に本社を置くニューバランスの専属アドバイザーに就任しています。
(三村仁司 - Wikipediaより)


●三村仁司氏の移籍に合わせて選手らも大移動

 三村仁司さんがすごいのが、上記のように会社を変えるたびに選手らがついていくこと。

 2018年の正月の箱根駅伝では23人ものランナーがニューバランスのシューズを使用していましたが、前年はたった4人でした。大学が他のメーカーとユニフォーム契約しているにも関わらず、シューズをニューバランスに“鞍替え”した選手も多くあります。

 特に有名な選手で、昨年まで主にアディダスを履いていたのを、三村さんについていくかたちで、シューズメーカーを変更しているといった例が目立ちました。
(日本新記録"厚底"vs職人技"薄底"の大激闘 プレジデントオンライン / 2018年2月27日 9時15分(スポーツライター 酒井 政人)より)


●三村仁司氏、ナイキ厚底を全否定

 ただし、実を言うと、箱根駅伝で最も目立ったのは、アスリートファーストのナイキが日本マラソンに革命をもたらしたで紹介したナイキでした。出場選手の内訳では、アシックスを抜いて、トップを奪取しています。

 このナイキの厚底シューズ「ヴェイパーフライ4%」は、世界のマラソン界を席巻しています。しかし、三村さんに、ヴェイパーフライ4%についての印象を聞くと、「ハッキリ言って厚底には反対ですね」と全否定していました。

「ナイキさんが研究されたシューズやから、ええと思いますよ。ただ10人いたら10人とも『いい』というわけではないと思います。一番懸念しているのはクッション性がそんなにあって走れるのかということです。(走る者にとって)感覚的にはクッションがあったほうがいいんですけど、足の力が路面に伝わりにくい。クッションがありすぎるとそれだけ力がかかりますから、早く疲れるんです。個人的には爪先にクッションがあるような発想はしたくないですね。足首を痛める恐れがあるからです。でも、足首が固い選手はクッション性があった方が走りやすいので、そういう選手はいいと思いますけど、10人に1~2人ぐらいじゃないでしょうか」


●厚底ナイキが疲れやすく怪我しやすいはデマか?

 向こうで書いたように、癖が強すぎる靴であり、「10人いたら10人とも『いい』というわけではない」は事実のようです。ただし、「早く疲れる」「足首を痛める恐れ」は間違いかもしれません。今後新たな事実がわかる可能性があるものの、この靴はむしろ疲れづらいこと、故障しづらいことが特徴とされており、全く逆のようです。

 あと、ウィキペディアでは、三村さんには高い評価が在る一方で、競技者が故障で早期引退したり、他のメーカーに替えているのも事実で、評価に疑いがあると書かれていました。これが本当なら、むしろ三村さんの靴で怪我が多いということになります。

 ただし、この部分は出典がありませんでした。とりあえず信頼の高い情報ではないと思っておいてください。


●三村仁司氏は、でも薄底もダメと指摘

 なお、三村さんは薄ければ薄いほど良いと考えているわけでもなく、「厚すぎてもダメだし、薄すぎてもダメ」としていました。要するに、「その選手の足の形態、アライメントに合ったシューズを履くことが重要」とのこと。

 また、三村さんの靴の場合、だんだん薄くなってきているというわけではないそうな。前回の投稿によれば、シューズ業界全体としては、薄底嗜好が強まっていたらしいんですけどね。以下のようにおっしゃっていました。

「瀬古、宗兄弟(茂、猛)、中山(竹通)、谷口(浩美)らのシューズも作ってきましたけど、あの当時と比べたら、いま私が作っているシューズは1~2mm厚いです。(昨今の選手の)筋力不足という理由もあるでしょう」


●市販品と同じ工業製品で日本記録を樹立したナイキ

 あと、おもしろいのが、ナイキが提供するシューズは、基本的に市販されているものと同じで、足型もとっていないということ。なので、ナイキとNB、両ブランドの争いは、「工業製品vs職人技」の戦いといえるかもしれない、と書いていました。

 記事では、「トップ選手と同じシューズ」というのは、セールスの売りになるだろうとしていましたが、これ、すごいことですよ。2月25日の「東京マラソン」ではナイキのシューズを履いた設楽悠太選手が2時間6分11秒の日本記録を樹立しています。

 他社では品評会用に特別に作られた酒を出品しているのに、品質が高いがために、工業製で一般に売っている酒を品評会に出品できるという旭酒造の獺祭(だっさい)を思い出しました。欧米でも人気、旭酒造の獺祭は工場で作る 職人の技をデータ活用で再現でやった話です。

 世間的には「職人が最高」って話が好まれるのですけど、私は科学が職人を超えるって話の方が好きです。今回の場合どうなるかわかりませんけど、どっちが勝つか注目ですね。


【本文中でリンクした投稿】
  ■アスリートファーストのナイキが日本マラソンに革命をもたらした
  ■欧米でも人気、旭酒造の獺祭は工場で作る 職人の技をデータ活用で再現

【関連投稿】
  ■箱根駅伝の歴代山の神がダメな理由 今井正人,柏原竜二,神野大地
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