エコの話をまとめ。<グリーンウォッシュとエコ詐欺 そもそもエコは本当にいいこと?>、<エコで安くなるどころか高くなる…どこかに無駄があるのでは?>、<「環境に優しい」という宣伝に規制の動き 良いことなのになぜ?>、<エコな人ほど騙されやすいという研究結果…重要なのは根拠の有無>などをまとめています。
その後、<究極のエコは買わないこと サステイナブル経営と金儲けに根本的矛盾>、<中古品販売はエコなのに褒めるどころか叩かれてしまうブックオフ>などを追記しました。
2023/06/21追記:
●中古品販売はエコなのに褒めるどころか叩かれてしまうブックオフ
2023/10/08まとめ:
●日本は再生紙の古紙利用比率を偽装 大気汚染でも捏造
2023/11/06追記:
●ウナギ、マグロ、サンマを我慢するだけでエコ・社会貢献じゃない? 【NEW】
●グリーンウォッシュとエコ詐欺 そもそもエコは本当にいいこと?
2022/12/13:メルマガの記事紹介で「エコ詐欺」という言葉が目についてアクセスしました。私が想定していたのは、エコを売りにした売り方そのものが詐欺的ではないか?というもの。しかし、そうではなく、エコなことをしていないのにエコを売りにした売り方をするという「グリーンウォッシュ」について書いた記事でした。
<「グリーンウォッシュ」という言葉がある。これは誤解を生むような表現を使って、環境意識の高い消費者を引き付けようとする企業などの行動だ。実体を伴っていないのに、「持続可能性」「生分解性」「環境配慮」などをうたっている企業は実際にある>
この記事の話については次回以降やることにして、先に「エコを売りにした売り方そのものが詐欺的ではないか?」に関する話について。私はもともと環境保護やリサイクルに関心が高く、そうした分野についても学べる大学に行きました。ただ、今のエコ的なものには、違和感も覚えているんですよね…。
ひとつは、科学的根拠が不十分な「エコ」があるということ。科学的根拠が不十分であるのなら問題外なので本来比較的簡単な話に思えるのですが、科学的根拠が十分ではないにも関わらず、勢いで怪しい「エコ」が正当化されてしまうケースがあります。科学軽視は通常の詐欺など、様々な場面で問題になるので看過できません。
●エコで安くなるどころか高くなる…どこかに無駄があるのでは?
もうひとつ違和感があるのが、エコを売りにすることで高く売る商売が多いこと。エコなことをしていないのにエコを売りにした売り方をする「グリーンウォッシュ」なんかはこれに関係してくるでしょうね。高く売れる、あるいは多く売れるために、エコではないのにエコだと嘘をつく動機になり得ます。
ただ、エコでは本来、安くできるケースも多いんですよね。生産過程で捨てていたものを利用すると、今までより安く生産する…といったことができます。わかりやすい「モノ」以外の再利用でも、今までただ捨てるだけだった排水や排気ガスの熱を利用することで、加熱のために必要な熱代を節約…といったことが可能です。
一番わかりやすいのは、そのまんまモノを再使用するケース。これは個人でも可能ですね。当然このような再使用では、中古品ですので新品より安く取引されます。すべてのケースでこのように安くできないのは確かなのですが、エコにして高く売る…というのは、どこかにエコではない無駄を含んでそうで違和感があります。
●グリーンウォッシュの実例を見て疑問…そんなに悪いことなのか?
2023/01/06追記:前回後回しにした「グリーンウォッシュ」の話。私が目にしたのは、
ウソまみれの“エコ”、あなたを欺く「グリーンウォッシュ」とは | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト(2022.12.06)という記事でした。前回のグリーンウォッシュの説明も、この記事からの引用です。
記事ではまず<環境に配慮することは、もはや企業にとって不可欠だ。エコ商品であれば、そうでない商品より高額であっても消費者は買う傾向にある、ということが市場調査で分かっている>と書いています。これがまさしく私が前回違和感あると書いた「エコ」であることで高く売る・多く売る…というやり方です。
米国では連邦取引委員会(FTC)が、エコをうたう企業を監視し、ガイドラインに違反する場合は提訴。レーヨン素材の商品を環境に優しいバンブー(天然の竹)素材の商品として販売したケースが実例です。これは明らかに悪いものでしょう。ただし、これはわかりやすい例であり、グリーンウォッシュと見抜くのが難しいケースもあるといいます。
<例えばカーボンオフセットだ。これは企業が植林活動などに資金を提供し、新たに植えられた木々が吸収する分で、大気中に排出した二酸化炭素を相殺できる仕組みだ。しかし今、干ばつや山火事でそうした森林が失われることがあり、カーボンオフセットは企業が汚染を続けるための免罪符になっているという批判もある。
グリーンウォッシュが特に横行しているのはファッション業界だと、ニュー・スタンダード・インスティテュートの創設者マキシン・ベダ氏は指摘する。ファッション業界の社会的基準や環境基準の改善に力をいれるシンクタンクだ。持続可能であることは、最新のトレンドであり、業界が消費者を引き付ける方法になっているという>
ファッション業界で懸念されるグリーンウォッシュというのは、通常大量の水を使うジーンズで環境負荷を低減する商品を発売する一方で、他の商品では全く節約しない…といった手法だとのこと。ただ、私は環境負荷を低減する商品があるだけマシだと思いますけどね。これだけで一歩前進です。
また、消費者が従来型の商品を買わず環境負荷を低減する商品ばかり買えば、企業は売れない商品を作らず売れる商品を作ろうとするので、環境商品は自然に増加するでしょう。結果として、環境団体のバッシングではなく、消費者の選択というより自然な形で、環境負荷を低減させていくことができます。
こうしたサイクルで十分に前進が可能であり、叩くのは変な感じ。これに限らず、環境保護活動家の人って極論を言い過ぎて、現実的ではなくなるだけでなく、大衆からの支持を得づらくなるところがあるのが気になるところ。過激さで一部の熱心な活動家資質を持った人を惹きつけるという効果もあるんでしょうけどね…。
●「環境に優しい」という宣伝に規制の動き 良いことなのになぜ?
2023/02/03追記:前回の記事によると、欧州連合(EU)では域内で販売される商品を、「環境に優しい」とか「持続可能」だとうたうことへの規制を強めているとのいいます。なぜいいことをやってるのに規制?と思うかもしれませんが、これは要するに中身がない宣伝のため。エコじゃなくてもイメージだけで売れてしまいます。
<「多くの商品に『サステナブル』とか『地球に優しい』という言葉と一緒に、いかにもエコ商品だと思わせる絵や写真がついています」と語るのは、消費者をグリーンウォッシュから守るために活動する非営利団体「グリーン・アメリカ」の幹部トッド・ラーセン氏だ。
ラーセン氏は、商品がどうエコであるか具体的に分かる説明書を読むように推奨している。
「本当にオーガニックなのか、それともただ曖昧に『天然』などとうたっているだけなのかと、疑問を持つことが重要です」とラーセン氏は言う>
●エコな人ほど騙されやすいという研究結果…重要なのは根拠の有無
このように根拠がない宣伝を規制したり、根拠を疑ったり…という方向性は前回の話よりずっと望ましいです。実験によると、環境問題に高い関心を持っていると答えた人ほど、グリーンウォッシュに騙されやすかったそうで、疑うことは重要。個人的には「体にいい」系の宣伝も同様に根拠がないので規制してほしいと思います。
結局、重要なのは根拠。記事では、<また絶対に間違いがないというわけではないが、「USDA(米農務省)オーガニック認証」「B Corp認証」「国際フェアトレード認証」など、信用ある第三者機関から認定を受けた商品も信頼できるだろう>ともしていました。前回書いたように、根拠あるものを消費者が買うだけで十分前進できます。
なお、「カーボンニュートラル」なセーターを買ったとしても、結局は家にあるセーターを着るより二酸化炭素を出してしまう…というのも良い指摘でした。「消費者としてできる最高に持続可能な行動は、すでに持っている服を着ること」というわけ。これは私が最初に書いた「エコで安くなる」の究極の形かもしれません。
●究極のエコは買わないこと サステイナブル経営と金儲けに根本的矛盾
2023/04/28追記:「グリーンウォッシュとエコ詐欺」というテーマで思い出したのが、以前書いた
商社はいらない?世界の株式市場で評価されたことは過去一度もないという投稿。一見関係ない話に見えますし、実際、大部分は無関係ですけど、ここで商社の「サステイナブル経営」は矛盾するという話があったんですよ。
私がこのとき読んだ記事のタイトルには、<「サステイナブル経営」が商社を殺す訳>という文章が入っていました。これは「サステイナブル経営」が悪いという意味ではありません。サステイナブル(持続可能)はリデュース(減らす)などが目的である一方、従来型の商社は「超売上至上主義」であり、「過剰供給」を前提しているため絶望的に合わない…といった感じの話でした。
これは消費者にお金を使わせよう、使わせようとしている商社のやり方、商社の「金儲け主義」と「サステイナブル経営」が合わないという話。ただ、逆に消費者側からすると、モノを無駄に買わないことが、サスティナブルでエコだとも言えそう。前回書いたようにモノを買わないのは究極のエコ。エコは本来高くつくものばかりではないのです。
●中古品販売はエコなのに褒めるどころか叩かれてしまうブックオフ
2023/06/21追記:「エコは本来高くつくものばかりではない」の例として、以前、再使用・リユースの例を挙げました。リサイクルショップとも呼ばれる中古品販売みたいなものが代表例ですね。ただ、前から不思議だったのは、本やCDを売るブックオフ系のお店を親の敵(かたき)のように恨む人が結構いることです。
例えば、「自分たちでは何も生み出せない虚業」「人の土俵で商売しやがって」といった批判が出て、ブックオフ苦戦の報道には「ざまあみろ」と大喜びするといった具合。一方で、中古系でも自動車や住宅の中古販売を叩いている人は見たことがありません。これも不思議なところです。
これだけだと高価なものか安価なものかという違いですけど、そういえば、古本屋でも個人経営のお店なんかは叩かれない感じ。感情的なもので、一貫性はないのかもしれません。また、一貫性のなさでわかるように、別に悪いことをしているわけではありません。ここらへんもう少し見直されれば…と思います。
●日本は再生紙の古紙利用比率を偽装 大気汚染でも捏造
2023/10/08まとめ:そういえば、日本でかなり早い時期での「エコ詐欺」というと、各社が揃って再生紙の古紙利用比率を偽装した事件。ちょうど別の投稿でこの話を書きましたので、エコ詐欺関連ということでこちらにも転載しておきます。これは明らかに叩かれて良い悪質なケースでした。
2023/04/28追記:最近じゃないのですけど、この話を読んでいてそういや再生紙の古紙利用比率について、日本メーカーが偽装していた…という事件があったなと思い出しました。この話は当時個人的にはショックだった話。
再生紙、まさかの不信 リサイクル優等生・製紙各社が古紙配合率を偽装(朝日新聞 2008年02月04日)として、記事のタイトルにもなっているように、紙は当時リサイクルが最も進んだ分野とされていたため余計衝撃でした。
<「再生紙」への不信が急速に広がっている。古紙を混ぜる割合を日本製紙など製紙各社が偽っていたことが発覚。17日も業界首脳らが相次ぎ陳謝して回ったが、複写機メーカーなど顧客企業がコピー用紙の取引を中止するなど不買の動きも出てきた。リサイクルの優等生のはずだった製紙業界が、なぜこんなことをしたのか。消費者をだました「エコ偽装」のツケは重く、混乱は当分おさまりそうにない>
<業界最大手の王子の幹部は17日、遅くとも06年から再生紙の古紙配合率の偽装が始まっていたことを明らかにした。「談合ではないが、業界ではみな知っていたと思う」(幹部)。この通りなら、王子首脳の責任を問う声が強まるのは必至だ。
製紙会社からコピー用紙を仕入れて顧客に売っている複写機メーカーは17日、相次いで日本製紙との取引中止を決めた>
製紙各社が偽装に走った理由について、経済産業省の加藤庸之・紙業生活文化用品課長は、「再生紙の品質と古紙配合率を両立できないということなのでは」と推測。以下のような説明がありました。ただ、技術的に無理だから偽装して良いという話にはなりません。正直に言えば良かったのに嘘をついたことが問題なのです。
<再生紙は古紙を溶かしてインクを抜き、通常のパルプに混ぜてつくる。最近は家庭用プリンターの普及で、求められる品質が高まるが、日本製紙は「(年賀はがきの品質の維持には)当社の技術では、(古紙の)配合率は1~5%が限界」(中村社長)という。
製紙業界には、高い配合率が必ずしも環境に優しいわけではない、との主張もある。品質維持には、燃料の重油や、紙の色を白くするための化学薬品が多く必要で、二酸化炭素の排出量も増える、という理屈だ。ただ、製紙各社はそうした事情を、日本郵政などの顧客に率直に伝えなかった>
日本製紙は当初、工場内で発生する「損紙」も古紙の材料にすれば40%でも品質を維持できるとみて年賀はがきを受注。どうも競争が激しかったために、高いリサイクル率を掲げて仕事をゲットしたようです。ところが、その後、古紙とは認められないと判明したと説明。要するに金儲けのため…という全く擁護できない話ですね。
当時、いち早くリサイクルの仕組みを確立したはずの再生紙での偽装の発覚に、専門家からは「環境重視のかけ声が先行する中で、他業界を含め、エコをうたう商品は本物なのかという疑問がわきかねない」(大和総研の河口真理子・主任研究員)との声が出ていたそうです。これは今でも同様の懸念があります。
なお、日本製紙や王子製紙など15社25工場では大気汚染防止法違反事件も発覚。計測値を記録するペンを記録紙から離したり、計測値を書き換えたりといった隠蔽行為が各地で行われていたそうです。「法令順守」を甘く見る業界なのではないかと見られていました。が、その後の日本は自動車など他の業界でも不正ブーム。製紙業界固有の問題とは思えません。
●ウナギ、マグロ、サンマを我慢するだけでエコ・社会貢献じゃない?
2023/11/06追記:この前、ある知人の好物の魚の話になって、そういや、全部日本人のとりすぎで問題になっている魚だな…と気づきました。ウナギ、マグロ、サンマです。食べちゃいけない…ってことはないんですけど、一方でユニセフみたいなのに寄付していることを誇りに思っている人でもあるんですよね。
社会貢献が好きな人がウナギ、マグロ、サンマを食べちゃいけないってこともやはりないのですけど、なんとなく腑に落ちない違和感みたいなものを感じました。エコな行動とも相反する感じ。試しにエコと魚で検索すると、持続可能な社会のために、魚にもエコマークみたいな概念があるとわかりました。
エコ好き・社会貢献好きが、ウナギ、マグロ、サンマを食べたら偽善者!と叩きたいわけではありません。ただ、逆方向なら言って良いと思うんですよ。ウナギ、マグロ、サンマを我慢するだけでも、持続可能な社会づくりに貢献する一種の社会貢献でしょ?という話。金を出すだけが社会貢献じゃないと思います。
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