エコの話をまとめ。<グリーンウォッシュとエコ詐欺 そもそもエコは本当にいいこと?>、<エコで安くなるどころか高くなる…どこかに無駄があるのでは?>、<「環境に優しい」という宣伝に規制の動き 良いことなのになぜ?>、<
エコな人ほど騙されやすいという研究結果…重要なのは根拠の有無>などをまとめています。
その後、<究極のエコは買わないこと ステイナブル経営と金儲けに根本的矛盾>を追記しました。
2023/02/03追記:
●「環境に優しい」という宣伝に規制の動き 良いことなのになぜ?
●エコな人ほど騙されやすいという研究結果…重要なのは根拠の有無
2023/04/28追記:
●究極のエコは買わないこと ステイナブル経営と金儲けに根本的矛盾 【NEW】
●グリーンウォッシュとエコ詐欺 そもそもエコは本当にいいこと?
2022/12/13:メルマガの記事紹介で「エコ詐欺」という言葉が目についてアクセスしました。私が想定していたのは、エコを売りにした売り方そのものが詐欺的ではないか?というもの。しかし、そうではなく、エコなことをしていないのにエコを売りにした売り方をするという「グリーンウォッシュ」について書いた記事でした。
<「グリーンウォッシュ」という言葉がある。これは誤解を生むような表現を使って、環境意識の高い消費者を引き付けようとする企業などの行動だ。実体を伴っていないのに、「持続可能性」「生分解性」「環境配慮」などをうたっている企業は実際にある>
この記事の話については次回以降やることにして、先に「エコを売りにした売り方そのものが詐欺的ではないか?」に関する話について。私はもともと環境保護やリサイクルに関心が高く、そうした分野についても学べる大学に行きました。ただ、今のエコ的なものには、違和感も覚えているんですよね…。
ひとつは、科学的根拠が不十分な「エコ」があるということ。科学的根拠が不十分であるのなら問題外なので本来比較的簡単な話に思えるのですが、科学的根拠が十分ではないにも関わらず、勢いで怪しい「エコ」が正当化されてしまうケースがあります。科学軽視は通常の詐欺など、様々な場面で問題になるので看過できません。
●エコで安くなるどころか高くなる…どこかに無駄があるのでは?
もうひとつ違和感があるのが、エコを売りにすることで高く売る商売が多いこと。エコなことをしていないのにエコを売りにした売り方をする「グリーンウォッシュ」なんかはこれに関係してくるでしょうね。高く売れる、あるいは多く売れるために、エコではないのにエコだと嘘をつく動機になり得ます。
ただ、エコでは本来、安くできるケースも多いんですよね。生産過程で捨てていたものを利用すると、今までより安く生産する…といったことができます。わかりやすい「モノ」以外の再利用でも、今までただ捨てるだけだった排水や排気ガスの熱を利用することで、加熱のために必要な熱代を節約…といったことが可能です。
一番わかりやすいのは、そのまんまモノを再使用するケース。これは個人でも可能ですね。当然このような再使用では、中古品ですので新品より安く取引されます。すべてのケースでこのように安くできないのは確かなのですが、エコにして高く売る…というのは、どこかにエコではない無駄を含んでそうで違和感があります。
●グリーンウォッシュの実例を見て疑問…そんなに悪いことなのか?
2023/01/06追記:前回後回しにした「グリーンウォッシュ」の話。私が目にしたのは、
ウソまみれの“エコ”、あなたを欺く「グリーンウォッシュ」とは | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト(2022.12.06)という記事でした。前回のグリーンウォッシュの説明も、この記事からの引用です。
記事ではまず<環境に配慮することは、もはや企業にとって不可欠だ。エコ商品であれば、そうでない商品より高額であっても消費者は買う傾向にある、ということが市場調査で分かっている>と書いています。これがまさしく私が前回違和感あると書いた「エコ」であることで高く売る・多く売る…というやり方です。
米国では連邦取引委員会(FTC)が、エコをうたう企業を監視し、ガイドラインに違反する場合は提訴。レーヨン素材の商品を環境に優しいバンブー(天然の竹)素材の商品として販売したケースが実例です。これは明らかに悪いものでしょう。ただし、これはわかりやすい例であり、グリーンウォッシュと見抜くのが難しいケースもあるといいます。
<例えばカーボンオフセットだ。これは企業が植林活動などに資金を提供し、新たに植えられた木々が吸収する分で、大気中に排出した二酸化炭素を相殺できる仕組みだ。しかし今、干ばつや山火事でそうした森林が失われることがあり、カーボンオフセットは企業が汚染を続けるための免罪符になっているという批判もある。
グリーンウォッシュが特に横行しているのはファッション業界だと、ニュー・スタンダード・インスティテュートの創設者マキシン・ベダ氏は指摘する。ファッション業界の社会的基準や環境基準の改善に力をいれるシンクタンクだ。持続可能であることは、最新のトレンドであり、業界が消費者を引き付ける方法になっているという>
ファッション業界で懸念されるグリーンウォッシュというのは、通常大量の水を使うジーンズで環境負荷を低減する商品を発売する一方で、他の商品では全く節約しない…といった手法だとのこと。ただ、私は環境負荷を低減する商品があるだけマシだと思いますけどね。これだけで一歩前進です。
また、消費者が従来型の商品を買わず環境負荷を低減する商品ばかり買えば、企業は売れない商品を作らず売れる商品を作ろうとするので、環境商品は自然に増加するでしょう。結果として、環境団体のバッシングではなく、消費者の選択というより自然な形で、環境負荷を低減させていくことができます。
こうしたサイクルで十分に前進が可能であり、叩くのは変な感じ。これに限らず、環境保護活動家の人って極論を言い過ぎて、現実的ではなくなるだけでなく、大衆からの支持を得づらくなるところがあるのが気になるところ。過激さで一部の熱心な活動家資質を持った人を惹きつけるという効果もあるんでしょうけどね…。
●「環境に優しい」という宣伝に規制の動き 良いことなのになぜ?
2023/02/03追記:前回の記事によると、欧州連合(EU)では域内で販売される商品を、「環境に優しい」とか「持続可能」だとうたうことへの規制を強めているとのいいます。なぜいいことをやってるのに規制?と思うかもしれませんが、これは要するに中身がない宣伝のため。エコじゃなくてもイメージだけで売れてしまいます。
<「多くの商品に『サステナブル』とか『地球に優しい』という言葉と一緒に、いかにもエコ商品だと思わせる絵や写真がついています」と語るのは、消費者をグリーンウォッシュから守るために活動する非営利団体「グリーン・アメリカ」の幹部トッド・ラーセン氏だ。
ラーセン氏は、商品がどうエコであるか具体的に分かる説明書を読むように推奨している。
「本当にオーガニックなのか、それともただ曖昧に『天然』などとうたっているだけなのかと、疑問を持つことが重要です」とラーセン氏は言う>
●エコな人ほど騙されやすいという研究結果…重要なのは根拠の有無
このように根拠がない宣伝を規制したり、根拠を疑ったり…という方向性は前回の話よりずっと望ましいです。実験によると、環境問題に高い関心を持っていると答えた人ほど、グリーンウォッシュに騙されやすかったそうで、疑うことは重要。個人的には「体にいい」系の宣伝も同様に根拠がないので規制してほしいと思います。
結局、重要なのは根拠。記事では、<また絶対に間違いがないというわけではないが、「USDA(米農務省)オーガニック認証」「B Corp認証」「国際フェアトレード認証」など、信用ある第三者機関から認定を受けた商品も信頼できるだろう>ともしていました。前回書いたように、根拠あるものを消費者が買うだけで十分前進できます。
なお、「カーボンニュートラル」なセーターを買ったとしても、結局は家にあるセーターを着るより二酸化炭素を出してしまう…というのも良い指摘でした。「消費者としてできる最高に持続可能な行動は、すでに持っている服を着ること」というわけ。これは私が最初に書いた「エコで安くなる」の究極の形かもしれません。
●究極のエコは買わないこと ステイナブル経営と金儲けに根本的矛盾
2023/04/28追記:「グリーンウォッシュとエコ詐欺」というテーマで思い出したのが、以前書いた
商社はいらない?世界の株式市場で評価されたことは過去一度もないという投稿。一見関係ないように見えますし、実際、大部分は無関係なのですけど、ここで商社の「サステイナブル経営」は矛盾するという話があったんですよ。
私がこのとき読んだ記事のタイトルには、<「サステイナブル経営」が商社を殺す訳>という文章が入っていました。これは「サステイナブル経営」が悪いという意味ではありません。サステイナブル(持続可能)はリデュース(減らす)などが目的である一方、従来型の商社は「超売上至上主義」であり、「過剰供給」を前提しているため絶望的に合わない…といった感じの話でした。
これは消費者にお金を使わせよう、使わせようとしている商社のやり方、商社の「金儲け主義」と「サステイナブル経営」が合わないという話。ただ、逆に消費者側からすると、モノを無駄に買わないことが、サスティナブルでエコだとも言えそう。前回書いたようにモノを買わないのは究極のエコ。エコは本来高くつくものばかりではないのです。
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