2010/11/12:
●偉い人たちは、議論の中身よりも相手を馬鹿にすることが大事
●日本人の議論・論争で相手を馬鹿にすることが大事になる理由
●典型的な「日本人の論争」の例は、勝間和代 VS ひろゆき
●わかりやすい説明よりも難しい言葉を使うことが評価されてしまう…
●偉い人たちは、議論の中身よりも相手を馬鹿にすることが大事
2010/11/12:
『日本辺境論』が明かす、エラい人が「あのね」と言いたがる理由 ~日本語はナカミより、話し手? 浅沼 ヒロシ 2010年3月31日 日経ビジネスオンラインで、内田樹(たつる)さんの『
日本辺境論 (新潮新書)
』というのが紹介されていました。
これを読んでいてピンと来たと言うか、以前からずっと不思議に思っていたことを言い表していると思ったのが、次のような本からの引用部です。
〈私たちの国の政治家や評論家たちは政策論争において、対立者に対して「情理を尽くして、自分の政策や政治理念を理解してもらう」ということにはあまり(ほとんど)努力を向けません。それよりはまず相手を小馬鹿にしたような態度を取ろうとする〉
〈テレビの政策論議番組を見ていると、(中略)お互いに相手の話の腰を折って、「だから」とか「あのね」とかいう「しかたなしに専門的知見を素人にもわかるように言ってあげる上位者の常套句」を差し挟もうとする〉
私がもともと感じていたのは、政治家じゃなくてネットの話。ネットでときどき目にする論争は、議論がどんどんずれて行ったり、人格批判になって行ったりと、本来不必要なことに一生懸命で不思議でした。
私もあまり他人のことを言えないので気をつけなくてはいけませんが、これは良いこととは思いません。なぜなら、本当に大切な議論の中身が評価されないので、結果として見当外れな説がまかり通ることを許してしまう可能性があるからです。
●日本人の議論・論争で相手を馬鹿にすることが大事になる理由
内田樹さんがこれを肯定的に捉えているのか、否定的に捉えているのかはわからなかったのものの、とにかく日本語とはそういう言語なのだという説明でした。これが本当に日本固有のものだと言うには証拠が必要で、私はこの部分に疑問があるのですけど、とりあえずそういった説明です。
もうちょっとこのことについて読みたいなと思い、内田樹さんがブログを書いていると言うので、似たような話がないかなと検索。すると、本人のサイトではなく、他の人が該当部を大量に転載しているのを見つけました。これは引用が多すぎてまずいかなと思うので、私の言葉でまとめていきます。
どんな言語でもコミュニケーションにおいて、メッセージの発信者と受信者の関係は重要。ただ、特に日本人はメッセージの真偽や当否よりも、相手がそれを信じるかどうか、相手がそれを「丸呑み」するかどうかを優先するとされていました。
なぜかというと、発信者受信者のどちらが「上位者」かの決定をあらゆる場合に優先させるというのが、日本語的コミュニケーションの特徴であるため。日本社会では、質問と回答は正解に導くためにはあるわけではないといいます。
で、ここで冒頭の例が出てくるんですね。日本の政治家や評論家たちは政策論争において、自分の政策を理解してもらおうとはしません。それより、まず相手を小馬鹿にした態度を取ろうとします。そして、実質的な政策論争よりも、どちらが「上位者」であるかの「組み手争い」が先行し、どちらがより「事情通」であるだけで議論が終わってしまうことすらあるとされていました。
このような論争の場合は、いかにもうんざりしたように相手の質問を鼻先であしらうというのが重要。「誰がいちばん『うんざり』しているように見えるか」を競うのです。そして、相手の話の腰を折って、「だから」とか「あのね」とかいう「しかたなしに専門的知見を素人にもわかるように言ってあげる上位者の常套句」を差し挟もうとするとされていました。
今読み直していて思いましたけど、野生動物におけるマウンティング行動の解説みたいな雰囲気ありますね。議論そっちのけで上位争いってサル並みな行動ですので、そう思ってしまったのは許して下さい。(ここだけ2019/07/28追記)
●典型的な「日本人の論争」の例は、勝間和代 VS ひろゆき
私が先にこの説のような論争を見たことがあるなと思ったのはいくつかあります。その一つが、
デキビジ 勝間和代 VS ひろゆき を文字におこしてみる - さかなの目でした。
これはネットの匿名性についての話で、「ネットでも実名で」という考えの勝間和代さんがいろいろ言うのですが、「匿名があってもいいじゃん、別に」というひろゆきさんを全く納得させられないという流れです。
勝:じゃあ、訊きますよひろゆきさん。ビジネスしますよね。ビジネスしたときにひろゆきさん名刺渡さない。
ひ:いや、今日はたまたま忘れましたけど、持っているときは渡しますよ。
勝:ですよね。じゃあ名無しで良いんですか、名前も名乗らずに・・・
ひ:今、全然違う話していますよね?
勝:いや、違います。リアルではちゃんと名前名乗って自分がどういう人だかを開示して相手の信頼を得ようとするのに、何故インターネットだけ匿名で良いんですか?
ひ:別にインターネットでも名前名乗りたい人は名乗れば良いと思いますよ。例えば、僕スタッフといろんな人と会っていますけど、名前言って会話した人って多分4、5人で、あとのスタッフ誰も名前を知らないですよ。
勝:それはクローズドだからですよ。この環境がテレビ東京の天王洲スタジオというところにいるわけですから、明らかにこのデキビジの制作関係者しかいないということがある程度担保されている上での・・・
ひ:じゃあ例えば公開のイベントやっているときにスタッフか一般の人かわかんないじゃないですか。それ全部名刺交換するんですか?
勝:インターネットの話をしているんですよ、今は。
ひ:インターネットの話はインターネットの話をしてください。なんか、今リアルの話にしたの勝間さんですよね。
勝:いや、リアルの話に対してインターネットが写像(捨象?)であるということに、何故ですね・・・
ひ:シャゾウ? 何ですかシャゾウって?
勝:だめだこれ(笑)。
ひ:ああ、すいません。なんか、言葉知らなくて。
勝:あの多分ですね、
ひ:なんか、あのよく分からない、例えばシャゾウって言葉の意味僕知らないんですけど、一般的にもそんなに常識的な言葉じゃないですよね。それを持ち出してダメだこりゃって言われても、確かに僕ボキャブラリ少ないかもしれないけどそれをなんか呼んだ人に対して失礼じゃないですか?
●わかりやすい説明よりも難しい言葉を使うことが評価されてしまう…
勝間和代さんは「相手は物を知らない馬鹿、自分の方が知識がある」という形にしようとしています。これが実際にうまくいったのかどうかは別として、先ほどの説で言う「上位者」になろうとした例だと思います。
私はこれを読んでいて、勝間和代さんって性格悪い人だなぁと思ったのですが、日本の議論においては正当なのかもしれません。勝間和代さんについてはほとんどこの件でしか知りませんので、そういう印象を持ったことは許してください。
内田樹さんの話に戻りますけど、「しかたなしに専門的知見を素人にもわかるように言ってあげる」という部分がありました。この場合は相手を馬鹿にする際の手段でしたが、素人にもわかるように言うことって、本当はとても大切なことだと思います。
難しい言葉を使って頭の良さをひけらかす人よりも、簡単な言葉を使って多くの人にわかってもらおうとする人の方が、私にはずっと価値があると思うのです。
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