鹿児島大共同獣医学部・窪田力教授を調達制度悪用の収賄容疑で逮捕したという話。「お金が必要だ」として、窪田力教授の方から業者に話を持ちかけていたとされています。その他の鹿児島大学関連の話もやっており、<鹿児島大学の医学系の教授が助教の研究費を無断で使用し訴訟に>という話を加えています。
2022/02/04追記:
●鹿児島大学の医学系の教授が助教の研究費を無断で使用し訴訟に
2023/07/30追記:
●判決を受けて鹿児島大学が教授の研究費不正使用を認定 【NEW】
●鹿児島大共同獣医学部・窪田力教授を逮捕 調達制度悪用の収賄容疑で
2020/12/23:うちでは見逃していたのですけど、鹿児島大で物品調達を巡る汚職事件があったみたいです。続報である裁判のニュースで気づきました。なので、こちらの新しい話もあるのですが、先に古いニュースから紹介しましょう。2020年10月10日に
鹿児島大贈収賄「教員発注」悪用か 大学は調査委設置へ:朝日新聞デジタルというニュースが出ていました。
鹿児島大学は2009年12月、契約事務の合理化・効率化を目的に「教員発注制度」を新設。1件当たりの契約金額が50万円未満の契約に限って、これまでは契約担当の事務職員だけに認めていた発注を教員が直接できるように見直していました。口頭や電話、メール、ファクスなどで簡単に発注できます。
同大によると、500万円以上の物品購入は原則、一般競争入札。ただ、500万円未満は随意契約となり、このうちの50万円未満に限って教員自身による発注を認めています。納品に際しては事務職員が教員と一緒に検品しているものの、どの業者を選ぶかは教員の裁量に任されており、チェック機能はなかったといいます。
そして、鹿児島大学共同獣医学部の窪田力教授(55)はこの制度を悪用していたようだ…というのが、今回の問題です。「教員発注制度」を利用し、制度の上限に達しない範囲で発注を繰り返していたとみられています。鹿児島県警は、収賄容疑で窪田力教授を逮捕していました。
鹿児島県警捜査2課によると、2020年年1月から9月ごろ、二十数回にわたり、主に牛の診察や研究に使う医薬品などの調達で便宜を図るなどした見返りに、贈賄容疑で逮捕された「松窪動薬資材有限会社」の松窪清一郎役員(51)らから現金約64万円とノートパソコン2台、プリンター、フェリー回数券など計7点(販売価格計37万円)を受け取った疑いがあります。
●「お金が必要だ」実は窪田力教授の方から話を持ちかけていた…
そして、続報の方ですが、収賄罪に問われた共同獣医学部の窪田力教授(55)が、鹿児島地裁で開かれた初公判で「間違いありません」と起訴内容を認めたとのこと。現在は休職中でまだ教授のままです。また、贈賄罪に問われた「松窪動薬資材」の松窪清一郎さんも起訴内容を認めたとのこと。役員と報じられていましたが、社長さんだそうです。
検察側は冒頭陳述で、2017年6月ごろ、窪田教授が「学生の昼ご飯代を払っていて大変だ。お金が必要だ」と持ち掛けたのがきっかけだったと指摘。起訴されたのは2020年の件ですが、どうもだいぶ前からだったみたいですね。2017年度以降、鹿児島大の松窪動薬資材への発注額が増えていたとも指摘されています。
どうでもいいことなんですけど、窪田・松窪でおふたりとも「窪」という漢字が入っているんですね。そこまで名字に多い漢字ではないので、なんとなく縁を感じてしまいます。
鹿児島大教授が収賄認める 「お金必要」自ら持ち掛け: 日本経済新聞(2020年12月21日)によると、両被告は別の贈収賄の罪で追起訴されており、今回は最初の起訴分のみ審理。以降のものも起訴内容を認めるか注目されるところです。
●出張旅費不正受給50万円も新たに判明 バス使用と申請も実は…
2021/06/27:不正をやっている人は他の不正もやっていることが多いです。鹿児島大共同獣医学部・窪田力教授の件でも別件が判明しました。なお、今回は「元教授」という表記で、<収賄で有罪の元教授 旅費50万円余を不正受給 鹿児島大学>(06月25日 19時46分 NHK)というタイトル。4月に懲戒解雇とになっていたそうです。
<鹿児島大学は、警察の捜査の中で、教育研究経費を不正に使用していた疑いが出てきたことから調査を行い、25日、結果を公表しました。
それによりますと、南九州市への出張あわせて177件で、総額51万円あまりの旅費が不正に受給されていたということです。
出張ではバスを使ったとしてその代金を請求していましたが、出退勤の記録や作業日誌、公用車の使用簿などを照らし合わせたところ、同じ時間帯に公用車を使った記録があり、元教授も不正を認めたということです>
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kagoshima/20210625/5050015207.html
●鹿児島大学の医学系の教授が助教の研究費を無断で使用し訴訟に
2022/02/04追記:別件ですが、鹿児島大学関連でなおかつお金関係…ということで、こちらに追記。
「教授に研究費を無断で使われた」 助教の訴え認め、大学に賠償命じる 鹿児島地裁 | 鹿児島のニュース | 南日本新聞 | 373news.com(2022/02/03 09:00)という記事が出ていました。
<鹿児島大学大学院医歯学総合研究科の教授(当時)に研究費を無断で使われたなどとして、同科の助教の男性が教授と大学に1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が1日、鹿児島地裁であり、古谷健二郎裁判長は訴えの一部を認め、大学に慰謝料など165万円の支払いを命じた>
1100万円の損害賠償から見ると、165万円の支払いというのは、かなり金額が減っています。判決では、「男性の自由を侵害する違法行為で、研究に支障が生じるなど精神的苦痛が認められる」と慰謝料も認めていましたが、全体の金額自体はかなり減っているので、だいぶ減額されたのかもしれません。
一方、判決では、男性が補助された研究費のうち、2010年は150万円の約8割、11年は117万円の約6割が講座の試薬購入などに充てられたとしていました。男性が日本学術振興会から補助された研究費について、「対象研究の経費のみに充てることができる」と判決では指摘しており、日本学術振興会への返却義務も生じてきそうです。
●判決を受けて鹿児島大学が教授の研究費不正使用を認定
2023/07/30追記:前回追記と同じ件だと思われますが、鹿児島大学が令和5年7月27日づけで、
元本学教員による公的研究費の不正使用について | 重要なお知らせ | 国立大学法人 鹿児島大学~進取の気風にあふれる総合大学~というリリースを出していました。PDFでは、以下のように書かれています。
<本学大学院医歯学総合研究科の助教が、本学及び事案当時に助教の所属する講座の長であった元教授を被告とする損害賠償請求等の訴状を平成 27 年 9 月 8 日に提出した。
助教は、請求の原因の一つとして自身の科研費を元教授が一括管理し、助教は採択された科研費の直接経費の多くを自己の研究目的のために使うことができなかったと主張した。
令和 4 年 2 月 1 日の鹿児島地方裁判所による判決及び令和 4 年 8 月 10 日の福岡高等裁判所宮崎支部の判決において、元教授によるこのような仕組みの発案、導入及び運用により、助教が取得した科研費の多くが本件講座の構成員全員が使用する共通物品(以下、「共通物品」という。)の購入に充てられたと考えられることから、科研費の使用に関する規定やルールに違反すると認定された。>
上記のように、判決は科研費の不正使用を認めています。今回の調査はこれを踏まえて、不正使用があったのか調べた…というもの。本来なら大学に訴えて行われる不正調査が、判決を受けて行われるという変わったパターン。変な気がしますが、とりあえず、調査を行い、不正を認定しました。
不正を認定されたのは、元大学院医歯学総合研究科の教授。共通物品 535,638 円に加えて 553,278円を不正使用と判断しています。一方で、私的流用はないとの判断。また、動機・背景は以下のように書かれており、助教については教授に逆らえなかった上に、、本来使えるはずの研究費を奪われた被害者という判決を踏襲した判断にしたそうです。
<元教授が、平成 20 年 3 月に本学大学院医歯学総合研究科に着任後、科研費を取得できなかった人も研究できるように科研費を講座で一括管理して使用すると一方的に決定し、同講座の助教が獲得した科研費が共通物品の購入に充てられた。
元教授は、講座の長という立場から、このような制度を発案・運用し、研究代表者である助教は断ったが、最終的には報復を恐れ、やむを得ず同意した。>
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