ロシアと中国は同じ社会主義国だった国だったから仲が良い国というのは誤解。むしろ仲が悪い国でした。ただ、最近両者は接近。「ロシアは中国の属国になる」というのは大げさだと思うのですけど、ロシアが中国依存を深めすぎて中国から離れようとしても離れられないところまで行っているという見方まで出ています。
<ロシアは中国の属国になる?罠にかかったプーチン大統領><中国に食い物にされるかわいそうなロシアを欧米は助けるべき?>、<旧ソ連の小国より格下!中国がロシア・プーチンを最下級の扱い>、<中国だけじゃなく旧ソ連の小国もロシアプーチン大統領を格下扱い>などをまとめています。
冒頭に追記
2022/10/16追記:
●旧ソ連の小国より格下!中国がロシア・プーチンを最下級の扱い 【NEW】
●中国だけじゃなく旧ソ連の小国もロシアプーチン大統領を格下扱い 【NEW】
●旧ソ連の小国より格下!中国がロシア・プーチンを最下級の扱い
2022/10/16追記:ロシアが二度目となるウクライナ侵攻を行います。一度目であるクリミア侵攻の際は、本来なら一番怒るべき日本政府が、ロシアに占拠されている北方領土の問題を棚上げして経済協力をむしろ関係を深めるなど、孤立は弱い状況でした。しかし、今回は欧米から激しい経済制裁で孤立しています。
このように孤立してしまうと、ロシアと中国の関係はさらに深まると予想されるところ。しかも、ロシアには余裕が無いために、圧倒的に中国が有利な形になるでしょう。ここまでは予想できるところでしたが、ウクライナ侵攻の苦戦で中国はロシアを旧ソ連の小国以下の扱いにする…というところまで来たそうです。
(2022/10/28追記:なお、「ロシアは孤立するので相手国が交渉を有利に進められる」というのは一般論あり、その状況をうまく利用できない国もあります。前述の通り、クリミア侵攻時の日本は北方領土の問題を棚上げして親密になっており、有利なはずの日本側の方がなぜか大きく譲歩していました)
<9月15日から17日まで、上海協力機構(SCO)の首脳会議が、ウズベキスタンで開催された。SCOは、中国とロシアが、「反米の砦」として育ててきた組織だ。当初は、中ロと中央アジア4ヵ国が加盟国だったが、2015年にインドとパキスタンが加わり勢力を増した。
プーチンは、SCO首脳会議を「ロシアは孤立していないアピール」に使いたかった。ところが、思惑通りにはいかなかった。待っていたのは、予想を上回る冷遇だったのだ。
SCO最大のパワーは、いうまでもなく中国だ。プーチンは、なんとしても習近平との蜜月を誇示しなければならない。ところが、習近平は冷たかった。なかなかプーチンに会おうとしないのだ。
習近平は、カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、トルクメニスタン、タジキスタン、モンゴルの首脳と会談。プーチンは、「順番待ち」をさせられた。このことは、重要なシグナルだろう。
日本でも世界でも、「最重要人物と最初に会う」のは常識だ。つまり習近平は、プーチンに、「あなたの重要度は、中央アジアの小国以下まで下がったのだ」ということを露骨に示した>
(<プーチンはもう詰んでいる…苦し紛れの「動員令」「4州併合」「核による脅し」それでも大局は変えられない>(22/10/5(水) 6:03配信 現代ビジネスより)
https://news.yahoo.co.jp/articles/ae2581e08d55bbf18d7845c71f05bd2350451f27
例えば、ロシアより格上として扱われたタジキスタンは、旧ソ連の国であり、ロシアからすれば本来なら完全に格下。ウィキペディアによると、人口は900万人ほどで世界97位の人口の国。GDPはもっと低く、144位だといいます。このような小国よりもロシアのプーチン大統領が格下扱いされたというのですから、凋落著しいです。
首脳会談でも、習近平国家主席はプーチン大統領を冷遇したとのこと。プーチン大統領が「我々は『ひとつの中国』の原則を堅持している。台湾海峡における米国とその衛星国の挑発を非難する」と述べて媚びる一方で、習近平国家主席は、上から目線で「評価する」といっただけだったといいます。
●中国だけじゃなく旧ソ連の小国もロシアプーチン大統領を格下扱い
さらに驚きなのは、中国以外の小国もロシアを格下扱いしているという話でした。以下の話で出てくるキルギスは、やはり旧ソ連の国。ウィキペディアによると、人口は世界112位で600万人程度、GDPは146位という小さな国です。こうした国々の首脳からもプーチン大統領は舐められて、格下扱いされていたとのことでした。
<プーチンといえば、有名な「遅刻常習者」だ。プーチンと27回会談した安倍総理は、毎回遅刻するプーチンに苦しめられた。しかし、それは安倍氏に限ったことではない。プーチンは、ローマ法王とこれまで3回会談したが、3回とも遅刻している。2003年には、エリザベス女王との会見に遅刻している。
なぜ、プーチンは、そこまで遅刻するのか?
ロシアでは、「立場が上の人が遅刻する」ことは、しばしばある。「えらい人は、忙しいから遅刻する」というのだ。そして、「えらく見せるために遅刻する人」もしばしばいる。国際社会ではまったく通用しないロジックだが、ロシアではそうなのだ。
ということは、プーチンは、安倍氏のみならず、ローマ法王やエリザベス女王よりも「格上だ」と思っていたのだろう。
そんなプーチンに、「カルマの法則」が発動した。インド、トルコ、アゼルバイジャン、キルギスの首脳が、プーチンとの会談に遅刻したのだ。
大国インドのモディ首相やトルコのエルドアン大統領はともかく、アゼルバイジャン、キルギスは旧ソ連国だ。プーチンのセルフイメージは、「旧ソ連の皇帝」である。アゼルバイジャンのアリエフ大統領とキルギスのジャパロフ大統領は、旧ソ連内でロシアより格下の国の長ではないか。
この二国の大統領が、プーチンを軽んじ、会談に遅刻した事実は、彼に衝撃を与えたに違いない>
●ロシアと中国、同じ社会主義国だった国なので昔から仲良し?
2019/10/30: 2019年6月7日放送のニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演した外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦さんは、「私の経験で言うと、大陸にあって、国境が陸上で接している国同士で仲のいい国はない」と、いきなり大雑把なことを言っていました。
「例えばフランスとドイツ、ポーランドとロシアとか。アメリカとカナダだってそうですからね」と例を挙げて、似たような人種構成のアメリカとカナダが仲悪いのに、中国とロシアなんて仲が良いわけないでしょ…というわけみたいです。
ただ、両国が仲良しアピールしつつも、「中露はまだまだ脆弱な関係」「両者は戦略的な同盟国ではなくて、あくまで戦術的な協力者、妥協の産物」という見方自体はそうでしょうね。現在は利害関係が一致しているため仲良しアピールしているものの、飽くまで一時的なものではないかとは、私も思います。共産圏の国だったから仲良しなんてことはなく、歴史的にも仲が悪い国でした。
(
中国とロシアが国交樹立から70年~それでも脆弱な両国の関係 | ニッポン放送 ラジオAM1242+FM93より)
●ロシアは中国の属国になる?罠にかかったプーチン大統領
上記の記事を読んだのは、
中国の属国と化すロシアを待つ残念な未来:日経ビジネス電子版(2019年8月1日 エコノミスト)という記事があったので、その前に別の話も読んでおいた方が良いかなと思ったため。ただ、選んだ記事が悪かったのか、上記はだいぶ薄っぺらい内容でした。
日経ビジネス電子版<であったエコノミストの記事もタイトル見ると極端な感じでどうかな?というものなのですけど、記事では、今回の関係が特殊であるという見方をしていました。
第2次世界大戦後、中国、ロシア、米国は相手を代えながら接近したり遠ざかったりを繰り返してきたことをまず指摘。この指摘自体は今回の中露の接近も今まで通りであるように見えるものです。ただ、今まではいずれの場合も孤立した国が損をする形だったのが、今回の中露の接近の場合、孤立したアメリカではなく、中国に接近しているロシアが一方的にコストを支払う形であることが特殊であるとの指摘でした。
今までのパターンでは仲良くなった国はお互いに利益を得られるために良い策だったのが、今回はそうではないと言うんんですね。そして、タイトルの話が登場。プーチン大統領は罠にはまっており、「対等のパートナーどころか、ロシアは中国の属国になりつつある」としていたのです。
(2022/10/16追記:今になって「ロシアは中国の属国になる?罠にかかったプーチン大統領」と書くべきところを「中国はロシアの属国になる?罠にかかったプーチン大統領」と逆に書いていたことに気づいたので訂正。申し訳ありません。何度も追記再投稿していたのに、なぜ今まで気づかなかったのか?と自分でも不思議です)
●ロシア経済で一番大事な資源の輸出が中国に依存する状態に
ロシアの中国依存の証拠としては、ロシアにとって中国は資源を輸出する極めて重要な市場であるということ。資源は、依然としてロシア経済を支える最も重要なものであるので、ここを抑えられているというのは、確かに大きいかもしれません。
また、ロシアはドルの覇権体制を回避すべく、外貨準備高に占める人民元の比率を上昇させています。さらに、中国はロシアの先進兵器システムに不可欠な部品を供給。ロシアが国民をコントロールするために使うネットワーク関連機器や安全保障装置という重要なものもそうだといいます。ここらへんは中国にとってもロシアを重視せざるを得ないという話な気がしますけどね。
ただ、中国からロシアに向かう投資というのは、意外なことに多くないみたいですね。理由の一つとして、ロシア版国家資本主義はプーチン大統領の取り巻きが自らの懐を膨らませるための制度だからだ、としていました。日本では第1次安倍政権のときに、
外資を乗っ取って日本に被害を与えたロシアのサハリン2事件があったことを思い出しましたが、第2次安倍政権でもロシアとの経済強化を重視しており、中国とは違う方針のようでおもしろいです。
●中国に食い物にされるかわいそうなロシアを欧米は助けるべき?
エコノミストでもこの関係は長く続かないかもしれないといった話はあったのですけど、一方でロシアが中国から離れようとしても依存しすぎたことや、力関係の差によって、それができなくなっているかもしれないといったことも書いていました。海外の翻訳記事らしく、まどろっこしくてわかりづらい文章なんですけどね。
また、中国に接近して食い物にされるかわいそうなロシアを欧米諸国は助けないだろうし、助けない方が良いといったことも書いていました。ロシアでもそのうちプーチン大統領などとは異なる(おそらく欧米的な価値観を持つ)タイプの指導者が誕生するときが来て、その政権に助けを乞われて初めて手を差し伸べるべきといったことを勧めています。
助けを乞われるまでは手を差し伸べるべきでない理由については特に書かれていませんでしたけど、できるだけ欧米にとって有利な状況にした方が良いとか、敢えて火中の栗を拾う必要はないとか、そういったところではないかと想像しました。
●中国とロシアの巨大ガスパイプライン開通でプーチン大統領歓喜
2020/03/19:関連しそうな記事じゃないかな?と思ったので、
プーチン、歴史的な大失態か…中露・巨大ガスパイプライン開通がロシア経済を傾ける Business Journal / 2019年12月5日 6時10分というのを読んでみました。内容はロシアと中国を結ぶ初の天然ガスパイプライン「シベリアの力」を開通させたことについて。藤和彦・経済産業研究所上席研究員による記事でした。
このパイプラインは全長約3000km。当初は年間50億立方メートル、全線が稼働する2025年には年間380億立方メートルの天然ガスが中国へ供給される見込みだといいます。後者は日本の年間消費量の3分の1にあたるとこと。これによりロシアはドイツに次ぐ第2位のガス輸出先を確保することになりました。
プーチン大統領は式典に際し、「世界のエネルギー市場にとって、そして何よりも両国にとって歴史的な出来事だ」とその意義を強調。ただし、エネルギー専門家の見方はまったく違っているとのもいいます。ロシアのエネルギー専門家は「プーチン大統領はロシアの面子を保とうとするあまり、今後多額の負債を抱えたことになった」と酷評していました。
●ロシアが中国に頭が上がらない理由とは?トルコにも完敗の過去
ロシア側にとっての最大の懸念は、「ホールドアップ問題」。外国向けパイプラインの仕向先が1国に限られる場合、輸入国の一方的な事情で「事前に契約された量や価格で原油や天然ガスを買い取れない」と主張されると、生産国がその要求を一方的にのまざるを得ない状況に追い込まれる問題を指す言葉だそうです。
パイプラインが1国向けだと他の国には売れないために、売り手側が弱くなります。一方、買い手の方は、別の国から買える場合、ロシアから買わなければ良いだけ。売り手側が一方的位弱くなるというのです。これは通常のビジネスでもよくあるもので、有名大企業が悪用していることあがります。
国同士でもそんなことあるの?と思うかもしれません。ただ、実際にトルコ1国に天然ガスを供給するブルーストリームパイプラインで、ロシアがトルコ側の要求に屈したことがあるそうです。上記まで出てきた話より、ロシア側が一方的に弱い理由が、よりわかりやすい記事でしたね。
●ロシアの中国通貨の割合が増加!ロシアの銀行はますます中国元を信頼
2020/08/30:別のところに追記した話を、ロシアの中国接近関連ということでこちらにも追記。2020/08/30:
ロシアの銀行はますます中国元を信頼する(2019年04月09日 19:05)という記事が、「Sputnik 日本」から出ていました。「信じられない、左翼マスゴミのデマだ!」と思う人もいるかもしれませんけど、「Sputnik 日本」はそもそもロシア政府系メディアなんですよね。
記事によると、ロシアの外貨準備高における中国通貨の割合は13.6% に増加。ここでは米ドルがどれくらいなのか書かれていなかったのですが、記事では「もちろん、 人民元のシェアよりもユーロのシェアの方がまだ大きい」という書き方をしていました。人民元が1位ではないが増えている…というニュアンスですね。
また、ロシアの中国重視の姿勢がわかるのは、「ロシア中央銀行が中国よりも多く投資しているのは唯一フランスのみ」であるためだとのこと。ロシアの従来のビジネスパートナーであるドイツの有価証券でさえ、準備高の割合は12.2%しかないそうです。
プーチン大統領の右腕ともされる、ロシア中央銀行のエリヴィラ・ナビウリナ 総裁は人民元における外貨準備高の割合の増加について、「地政学的、経済的、財政的リスクの状況下で政策を多様化し、準備金を維持しようとしている」ためと説明していました。
●ロシアと中国が共闘、両国の外相がそろって欧米の制裁を批判する
2021/03/25:ちょっと方向性の違う話ですが、
ロシアと中国が共闘 欧米の制裁を非難 - BBCニュース(2021年3月24日)という記事が目についたので追記。中国のウイグル族に対する人権侵害を理由に、欧米各国が中国当局者らへの制裁を発動したことを受け、ロシアと中国は021年3月23日、共同でこの制裁を非難しました。
<ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相はこの日、中国南部・桂林で中国の王毅外相と会談。両者はそろって欧米を批判した。
ラヴロフ氏は、欧州連合(EU)の「一方的な決定」が、ロシアとEUの関係を「破壊」したと述べた。また、国際関係において制裁は「受け入れられない」手法だと、王氏との間で認識が一致したと説明した>
中国への非難は無理のあるものも多いですが、ウイグル族に対する人権侵害は本当に最低だということに同意します。人権団体は、中国がここ数年間で100万人以上のウイグル族を拘束し、同国政府が「再教育施設」と呼ぶ建物に収容しているとみていました。中国は「再教育」はテロ対策のためだと説明しているものの、「再教育」というのがある時点で異常でしょう(戦前は日本も似たようなことをやっていました)。
記事では、前世紀の冷戦下、ロシアと中国は共産圏のライバルだったにも関わらず、プーチン政権においてロシアが中国との関係を経済や軍事、科学の面で強化してきたことも指摘しています。仲良しじゃなかったのに急接近…というのは、もともと書いていたこのページの話とも合う内容ですね。
●中国とロシアは新型コロナウイルスの「ワクチン外交」でも一致
あと、記事では、いわゆる「ワクチン外交」交への批判的な記述もあったのですが、こちらは同意できないもの。ワクチン支援に関しては中国とロシアの活動の方が世界の役に立っているかもしれません。自国だけ優先して新型コロナウイルス対策をしても問題は解決せず、ワクチンの世界的な供給が必要であるためです。
これは、むしろ他の先進国がもっと頑張れよ!というものですね。先進国は、中国とロシアの悪口を言っているだけで十分に途上国を支援していません。自分の国さえ良ければ良いというものではないのです。この点で言えば、行動している中国やロシアの方がマシでしょう。
<中国医薬集団総公司(シノファーム)が開発したワクチンと、ロシアで開発されたワクチン「スプートニクV」は、欧米のワクチンより短時間で入手でき、価格も低いことなどから、多くの国が購入している。中国がワクチンを無料提供している場合もある。
ラヴロフ氏は、スプートニクVの輸出は「人間愛」と「人命救助」の原則に立って実施されていると説明。地政学や商業利益を考えてのものではないとした。
王氏も、中国の目的は当初から、「可能な限り早期にワクチンを入手させる」ことと、「全世界を助ける」ことだと述べた>
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