経営者は孤独だといいます。
●経営者の悩み:孤独な社長 ソニー出井伸之「経験者以外わからない」
私が以前聞いたのは、社長と副社長との間の距離は、副社長と平社員の間の距離よりも遠い…という話。それくらい社長というのは理解されないものでたいへんなのだという話でした。
清武英利さんによると、それと似たような話をソニーの6代目社長だった出井伸之さんもおっしゃっていたそうです。
2012年9月、ソニーの6代目社長だった出井伸之氏にインタビューをお願いした。会長兼CEO(最高経営責任者)を務め、最高顧問を経て、ソニーのアドバイザリーボード議長を務める人物だ。彼は当時、東京・丸の内の東京銀行協会ビル16階にビジネス開発・支援会社「クオンタムリープ」を構えていて、そのオフィスで快く応じてくれた。率直で逃げない人である。
出井氏はソニー時代の思い出や引退後の生き甲斐だけでなく、リーダー論や社長時代の権力抗争についてもかなり長い時間を割いて語ってくれた。そして、「会社や人間社会は基本的にシェイクスピアで終わっていますよ」と言った。
「シェイクスピアの物語はよくできている。権力を持った人の物語が多いじゃないですか、裏切りとか、密告とか、人を殺すんだったら、首を抱いたまま、うしろから刺しちゃうとかね。会社も組織である限り、全部が清く正しく美しくなんていうことはあり得ないんですよ」
そして、トップというものは経験した者でないとその苦しみはわからないのだ、と力説した。
ソニーは、なぜ延々とリストラを続けるのか 「切り捨てSONY」で描きたかったこと 東洋経済オンライン / 2015年4月21日 9時50分 清武英利 :ジャーナリスト
●著者の清武英利氏は元巨人の球団代表
この記事を書いた清武英利さんというのは、ジャーナリストとしてより読売巨人軍の球団代表だったことで有名でしょう。「清武の乱」と言われる解任騒動のあった方です。
清武英利 - Wikipedia
清武 英利(きよたけ ひでとし、1950年10月12日 - )は、日本のジャーナリスト、元プロ野球チーム経営者、元読売巨人軍取締役球団代表、同編成本部長、ゼネラルマネージャー、オーナー代行。(中略)
渡邉恒雄への告発と解任
2011年11月11日、文部科学省において緊急記者会見を開き、読売新聞グループ本社会長兼主筆・読売巨人軍球団会長である渡邉恒雄がオーナーやGMである自分の頭越しに、予め球団が決定し承認したコーチ人事を覆したことに対して重大なコンプライアンス違反であると告発した。11月18日、こうした動きを受け、球団側が『渡邉恒雄への告発会見などにより、球界を混乱させたこと』を理由として、清武を讀賣巨人軍の一切の役職から解任した。
球団代表を退職した後は、読売ジャイアンツや読売新聞社に関する著作にとどまらず、ジャーナリストとして幅広い著作活動を行っている。
●出井伸之元社長「副社長なんか全然駄目だよね」
出井伸之元社長は上記のトラブルを踏まえて、以下のようにおっしゃっていたそうです。私が聞いた話と同じく、副社長とは全然違うという話も言っていますね。
「清武さんが読売グループで経験されたようなことっていうのも、ソニーでは何度も起こっています。それは組織である限り、3人集まれば意見も違うし、権力を得る人もいれば、そうでない人もいれば、裏切り、密告もあるわけですよ。それに(社長として)10年も耐えていると、もういい加減、疲れてくるっていうかね。顔つきが悪くなりますよね。副社長なんか全然駄目だよね。トップはやっぱり一人なんですよね。辞めるとほっとするっていうか、顔つきが良くなりますよ」
●トップにしかわからない苦しみはあるだろうが、トップが理解しようとしない社員の呻吟もある
ただ、清武英利さんはこの出井伸之元社長説明に納得したわけではありません。
"顔つきが良くなったという出井氏はそしてインタビューから2カ月先の11月に、六本木ヒルズクラブで取り巻きが開いてくれる75歳の誕生パーティを楽しみにしているのだ"と聞いて、清武さんはがっかりしました。
そして、"そのパーティの模様をテレビで見て、もっとがっかりし"ました。
"パーティ開催には何の問題もない"とはいえ、"その時期は「管理職の3割削減」の号令のもと、ソニー本社の中堅社員までが大量にリストラされ、会社を追われた時期で"した。
その中で、"早稲田大学の同期生である森喜朗元総理を招き、ベンチャー起業家や元部下ら約200人に紹介し"たり、"会場にNHKの取材クルーを入れ"たりで、"大はしゃぎに見えた"ためです。
そして、「トップにしかわからない苦しみはきっとあるのだろう。だが、そのトップが理解しようとしない社員の呻吟があるのだ」と思って、書き上げたのが
切り捨てSONY リストラ部屋は何を奪ったか
だそうです。
(「呻吟」は、「しんぎん」で苦しんでうめくこと。やはり「苦しみ」という同じ意味ですが、良いものを作ろうと苦労する際にも使われるため、社員が必死に努力しているのに…というニュアンスを感じます)
●「社長と副社長との間の距離は、副社長と平社員の間の距離よりも遠い」の本当の意味
最初に書いた「社長と副社長との間の距離は、副社長と平社員の間の距離よりも遠い」を読んだ記事は、「だから社員は社長を理解しろ」という文脈ではありませんでした。
そうではなく、「だからこそ社長は社員らに理解してもらえるように、メッセージを伝える努力をもっともっとする必要がある」という、どちらかと言うと、社長の方を叱咤する内容だったと思います。
出井伸之元社長がどういった意図で言ったかはわかりませんが、リストラ批判をしているところを見ると、清武英利さんはリストラしたことの言い訳と捉えたようです。
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