ハンガリーの話をまとめ。<成長させるはずの政府支出拡大で経済成長しなかったハンガリー>、<ギリシャ危機のギリシャとの共通点がある?公務員の問題も…>などをまとめています。
●ハンガリーのような目に遭いたくない…ハンガリーで起きたこととは?
2015/6/30:ギリシャのデフォルト絡みの
ギリシャのユーロ離脱は100%間違いない でも日本に影響なしの理由で出てきたハンガリーが気になったので、少し調べてみることに。私が読んだギリシャ問題の記事では、ハンガリーのような目に遭いたくないからユーロ離脱はしないだろうと書いていたんですよ。で、そのハンガリーというのは具体的にどういう目に遭ったの?と気になったのです。
ハンガリー経済のまとめ (三回シリーズ その1) - Market Hack(2010年06月05日16:06)によると、ハンガリーで経済危機が起きたのは、2010年のことでした。
<ハンガリーは今回の金融危機では比較的早い時点で脆さを露呈し、いちはやく国際通貨基金(IMF)の救済の対象となりました。2008年の11月に200億ユーロの緊急融資をIMF、EU、世銀のコンソーシアムから受けています>
ちなみにハンガリーはユーロを導入できなかったという国。「欧州連合に加盟し、ユーロを導入している諸国で形成される経済圏」を意味する
ユーロ圏のWikipediaでは、ハンガリーについて以下のように説明しています。
<ハンガリーはもともとユーロの導入を2010年1月1日に計画していたが、莫大な財政赤字のために断念した。2007年の計画では2008年中頃にロードマップを作成するとして、導入の目標日程を定めていない。
現実的には、ハンガリーのユーロ圏入りは財務状況が好転する見通しが立たず、困難であるとされる。現状、毎年の収支の赤字額は GDP の 6% に上り、公債発行額も GDP の 69% に上っている。またその発行増加率もGDP成長率を上回っている>
●成長させるはずの政府支出拡大で経済成長しなかったハンガリー
上の説明でも収支の赤字額が大きいとありましたが、最初のMarket Hackによると、"ハンガリーは政府部門の支出が増えたにも関わらず"、"GDP成長率が冴えないという状態が金融危機前から存在し"ていたようです。ハンガリー政府はどんどん支出を増加。いわゆる政府支出の拡大です。
ついにGDPの9%を超えるほどまで増加。政府支出の拡大で経済成長を狙ったようです。ところが、"公的部門の支出が増えているのに経済が余り成長し"ませんでした。理由については、"労働生産性の伸び率が鈍化するなどの構造的な問題があったのだと思います"と説明されています。
ここにリーマン・ショックがドカンと来て、IMFの緊縮政策に従う羽目になっています。失業率は上昇、賃金の成長率低下、消費者物価指数は賃金の成長率よりも早いペースで上昇。長い目で見ると改善していると言えるのですが、短期的には苦しいことばかりだったようです。
(ここだけ
ハンガリー経済のまとめ (三回シリーズ その3) - Market Hack 2010年06月05日16:17 より)
●ギリシャ危機のギリシャとの共通点がある?公務員の問題も…
あと、ハンガリーについて見ていると、公務員の腐敗・官頼りで、官に比べて民間が弱いという問題があるという主張が出てきました。ギリシャで言われていた問題と似ています。
リベラル21 国庫経済の罠に落ちたハンガリー(2014.06.05 国庫経済の罠に落ちたハンガリー 盛田常夫 (在ブダペスト、経済学者))という記事の話です。
<2010年の総選挙で社会党が壊滅的な敗北を喫したのは、公共企業や地方自治体における腐敗が大々的に暴露されたからだ。長期にわたって政権を担ってきた社会党は地方自治体でも公共企業でも、議員や党の役員が地位を利用した横領を公然と行ってきた。(中略)
筆者は現在のハンガリー経済を、「市場経済でもなければ、資本主義経済でもない。ただの国庫経済である」という主張を行っている。生産分野は多国籍企業の進出によってほとんどが民営企業によって支配されている。ところが、国家は生産分野で生まれたGDPの過半を各種の税として徴収し、これを配分している。つまり、政府が所得処分を掌握している。だから、地場の民間業者にとって、最大の事業パートナーは、必然的に市場ではなく国家(国庫)になる。地場の民間業者にとって、政府や地方自治体の発注を受けたり、補助金を受けたりすることが、事業継続・拡大の生死を分ける。市場で顧客を探すより、公的発注や委託契約を受ける方が、はるかに事業成功の確率が高い。政治家と懇意になれば、補助金や委託契約金の詐取も可能になる。
こうして、ハンガリーは市場経済を発展させるより、公的発注に依存する経済を構築してしまった。政治家にとっても、こうして利権を握ってことが、最大のメリットを受けることができる。だから、政治家はこのシステムを変えようとはしない>
前半で引用したのは、政府支出拡大で経済成長しなかったという話でした。ただ、後半の記事は、その政府支出こそがむしろハンガリーの一番の問題…といった感じの分析。日本は当然ここまでのことにはなっていないのですけど、公共事業重視・国の関与重視の傾向があるので気になるところです。
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