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日本は韓国以下!でも国際競争力も貿易黒字も貿易赤字も無意味?


 競争力が大事!と主張する方は多いです。後述するように、日本では大物政治家や大物学者が重要だと言っています。国際競争力については、日本は高いとするデータもあります。ただ、不利なデータもあって、日本は中国や韓国より悪いとされることも…。国際競争力が重要ならたいへんな事態です。

 ただし、この「国際競争力」や、それ以外の貿易黒字も貿易赤字も含めて、ノーベル賞を受賞したクルーグマン教授なんかは意味がないとおっしゃっています。意外に思うかもしれませんけど、このことはクルーグマン教授だけでなく、複数の人が言っている…という話をやっています。

 例えば、<「国際競争力を高めていく!」…「競争」を連呼する安倍首相>、<アベノミクスの論拠クルーグマン教授「国際競争力は無意味」>、<他の学者も国際競争力を批判 一方、竹中平蔵氏は好意的>、<日本が過去最低記録更新、アジア太平洋地域で最低クラス>といった話をまとめました。

2023/11/05追記:
●日本が過去最低記録更新、アジア太平洋地域で最低クラス 【NEW】


●「国際競争力を高めていく!」…「競争」を連呼する安倍首相

2015/7/6:「国際競争力」で検索をかけてみると、サイバーセキュリティー:政府が新戦略案 戦略本部が決定 毎日新聞 2015年05月25日 19時47分(最終更新 05月26日 02時08分)という記事が出てきました。
 
<政府は25日、官民を狙ったサイバー攻撃への対策を進める「サイバーセキュリティ戦略本部」(本部長・菅義偉官房長官)の会合を首相官邸で開いた。自動車や家電などモノをインターネットでつなぐ「モノのインターネット(IoT)」のセキュリティーに関する国際基準を主導し、日本の技術発展と経済成長につなげる新戦略案を決定した。
 安倍晋三首相は会合で「東京五輪・パラリンピックを成功させるためにもサイバーセキュリティーに万全を期す必要がある。戦略案はセキュリティーはコストであると同時に、安全な製品、サービスを作り、企業価値や国際競争力を高める投資であるという大胆な発想の転換を打ち出した」と強調した。>

 安倍首相は「競争」という言葉を繰り返し使っているようで、2015年の施政方針演説では以下のように多数該当箇所がありました。国際競争力ではないと思われる使用例もありますが、「競争」が入っているところをすべてピックアップすると、以下のようになります。

・農業生産法人の要件緩和を進め、多様な担い手による農業への参入を促します。(中略)市場を意識した競争力ある農業へと、構造改革を進めてまいります。
・経済のグローバル化は一層進み、国際競争に打ち勝つことができなければ、企業は生き残ることはできない。政府もまたしかり。オープンな世界を見据えた改革から逃れることはできません。
・電力システム改革も、いよいよ最終段階に入ります。(中略)競争的で、ダイナミックなエネルギー市場をつくり上げてまいります。
・成長戦略の実行。大胆な規制改革によって、生産性を押し上げ、国際競争力を高めていく。オープンな世界に踏み出し、世界の成長力を取り込んでいく。
時事ドットコム:安倍首相の施政方針演説全文(2015/02/12-14:21)


●アベノミクスの論拠クルーグマン教授「国際競争力は無意味」

 しかし、「国際競争力」という概念にたいへん批判的な方もいらっしゃいます。その筆頭がアベノミクスでも理論的根拠として利用されたポール・クルーグマン教授です。競争力 - Wikipedia(最終更新 2015年4月13日 (月) 21:58)を見ると、クルーグマン教授は国際競争力という考え方を否定していることがわかります。

・「互いの経済競争において、どの程度であっても、国際的な先進国はない」
・「国際競争力」という概念自体が曖昧であり、使う人によって様々。
・「国際競争力などという概念は明確には存在しない。国家を企業と見立て貿易を市場をめぐる勝ち負けのゼロサム的認識が生んだ幻想にすぎない」

 また、国際競争力向上を目指します!というのも間違いであると主張しており、むしろ経済的には悪化させる政策であるとすら考えているようです。

・「実際問題としてだが'競争力'主義は、はっきりとした誤りである」
・競争力向上を目指すのは根本的に誤り。
・民間企業の利益がそのままイコール国益であるとする考えは誤り。
・競争力至上主義は労働者を搾取し失業率を悪化させる。


●世界金融危機が証拠で、貿易黒字も貿易赤字も無意味

 そして、世界金融危機をその主張の正しさを示す例として挙げていました。

<2008年のリーマンショックや世界金融危機が示す教訓は、市場には自浄作用など無いということである。競争力至上主義にとらわれ、雇用の流動化を進めてきた米国と、その逆の政策を採用したドイツはどうであったか。ドイツは労働市場の規制を強めていたおかげで、金融危機のショックに対して耐性があり、米国よりも失業率は低いのである。>

 さらに、貿易黒字や貿易赤字について重視することについても、ズバッと否定しています。

・貿易はゼロサムゲームではなく、輸出国・輸入国の双方の経済にプラスに寄与するものであり、貿易黒字が得で貿易赤字が損という考え方は誤り。

 あと、以下のようなことも言っているそうです。これはどういう意味ですかね? 生産性重視ってことでしょうか? よくわかりませんでした。

・経済の貿易がある部門でもない部門でも、国の経済的福祉は第一に生産性により決定されると述べている。


●他の学者も国際競争力を批判 一方、竹中平蔵氏は好意的

 クルーグマン教授以外にも「国際競争力」について批判している方がいらっしゃいます。飯田泰之明治大学政治経済学部准教授は、「さまざまな研究者・研究機関が独断と偏見に基づいて国際競争力を定義している」と指摘していました。

 ただし、肯定している研究者も多数おり、そういう方も紹介しておきます。Wikipediaを見ると、自民党に近い竹中平蔵・元経済財政政策担当大臣は「国際競争力」に好意的な方の一人に見えます。以下のような発言をされていました。

「『景気がいい』というのは単に『給料の支払いが増える』ということではなく、それだけでは物事は解決しない。経済全体・会社全体で競争力を持つことが重要である」

 というか、Wikipediaで紹介されているのを見ると、クルーグマン教授の方が少数派に見えます。否定していない感じの人の方が多かったですね。


●アベノミクスで国際競争力上昇?中国と韓国には抜かれる

 ということで、無意味という説のある「国際競争力」ですが、アベノミクスにとって有利なデータがWikipediaに載っていました。

<IMDの世界各国の競争力評価では、日本は1990年代前半まで1位であったが、2002年には30位にランクを落とす結果となっている。ランキングが開始された1989年から1992年まで日本は連続して1位であったが、2011年では59カ国中26位となった。
 2014年5月22日、IMDが、年次「世界競争力年鑑」(World Competitiveness Yearbook)の2014年版を公表し、日本は世界競争力ランキングを前年より3ランク上げ21位となり、その理由として経済政策(アベノミクス)の円安効果とソーシャルダンピングによって輸出競争力が向上したことなどが挙げられている。
 2014年9月3日、WEFが発表した2014年版の国際競争力ランキングでは、日本が6位となり、2013年から順位を3つ上げた>

 上記のようなものを見ると、「国際競争力は意味があるんだ」と言いたくなりますが、一方で不利なニュースもあります。Wikipediaには載っていませんが、こっちの方が新しい話です。(上記でも登場のIMDのランキング)

<スイスの国際経営開発研究所(IMD)が27日発表した主要61カ国・地域対象の2015年版「世界競争力ランキング」によると、日本は27位で前年から順位を六つ落とした。経済成長率の鈍化などが影響したとみられる。
 首位は3年連続で米国だった。中国と韓国は22位と25位と、それぞれ前年より一つランクを上げており、日本は両国に抜かれた。>
(東京新聞:日本、競争力27位 中韓に抜かれる:国際(TOKYO Web) 2015年5月28日 夕刊より)

 こっちの話を読んじゃうと、今度は都合よく「国際競争力なんか意味はない」派に鞍替えしたくなります。なお、"日本は平均寿命や外貨準備高などの項目でトップクラスだったが、財政状態や移民政策、国民の外国語能力などが最低水準とされた"とのことです。

 この分析を参考にするならば、国際競争力を重視したいのであれば、財政状態・移民政策・国民の外国語能力の向上に努めなくてはいけません。しかし、どれも「そんなの嫌だ」と思う人が多そうな項目ばかりで、国際競争力肯定派の道はたいへん険しそうです。


●日本の国際競争力、過去最低更新中!米中貿易摩擦で米も後退

2020/07/20:新しいランキングがたまたま目についたので、久しぶりに追記して再投稿。タイトルからしてネガティブな日本の競争力34位、過去最低に 香港も後退  :日本経済新聞(2020/6/16 18:00 (2020/6/17 5:07更新))という記事が出ていました。

 スイスの有力ビジネススクールIMDが発表した2020年版世界競争力ランキングの調査対象は63カ国・地域で、各国政府や世界銀行の統計データと、経営者へのアンケート調査を基に算出しています。1位は2年連続でシンガポール。健全な財政や雇用、企業の高い生産性などが評価されました。

 一方、日本は4つ順位を下げ、過去最低の記録を更新する34位。特に「ビジネスの効率性」を巡る評価が低く、起業環境や国際経験は分野別で最下位と厳しい数字。デジタル技術も低く、62位で最下位クラス。PC使えないサイバーセキュリティ大臣の日本、タブレットに「前例ない」と使用に反対といった国ですし、納得です。

 アメリカの中国に対する外交貿易政策は正しい!とする人は日本でもも多いですが、通商問題を中心に対立する米中も順位を落としました。米中貿易戦争の影響で、アメリカは前年の3位から10位に後退。中国も20位へと6つ順位を落としています。貿易戦争は国際競争力の観点じゃなくても普通にダメでしょうね。


●日本が過去最低記録更新、アジア太平洋地域で最低クラス

2023/11/05追記:最近の日本の国際競争力ランキングはどうなのよ?と検索。すると、タイトルだけでこの答えがわかる日本の競争力は「過去最低」の世界35位。「世界競争力ランキング2023」衝撃の結果 | Business Insider Japan( 荒幡温子 [編集部]Jun. 20, 2023, 09:00 AM )という記事が出てきました。64カ国で35位ですので、半分より下。アジア太平洋地域だと、なんと14位中11位ですので、最下位クラスです。

<スイスに拠点を置くビジネススクール・国際経営開発研究所(以下、IMD) が「世界競争力ランキング2023」を6月20日、発表した。日本は過去最低の35位という結果となった。「経営の効率性」を中心に日本の今後の課題が浮き彫りとなった形だ。>
<さらに、アジア太平洋地域各国の状況と比較すると、日本の競争力の凋落ぶりが顕著に見て取れる。
 アジア太平洋地域での1位はシンガポール(総合4位)で、台湾(総合6位)、香港(総合7位)と続く。さらに、日本より上位には、マレーシア、タイ、インドネシアと新興国が名を連ねる。
 日本はアジア太平洋地域での競争力において14カ国中11位という、もはや“下から数えた方が早い”という結果になった。>

 ただし、調査は、各国経営者による自国の評価「経営者意識調査」という手法で行ったもの。このため、IMD北東アジア代表の高津尚志さんは、調査方法を疑問視。要するに意味のない調査だという話ですね。ただ、高津尚志さんはいちゃもんをつけているわけではなく、ある意味、日本の自信のなさの現れといった見方もしていました。

IMD北東アジア代表の高津尚志さん
「10点満点で3点や4点をつけるのに対し、客観的に見たらもっと低いかもしれない国の人が5点や6点をつけて、結果的に上にいるんじゃなかという懸念点はある。
 一方で、自国の経済について、10点中3点や4点というかなり低い点数をつけるというのは、危機感の表れともいえるが、ある種どこかで『自分たちは変わることができないのではないか』という諦めのようなものが醸成し始めている可能性もある」

 世界競争力センター所長のアルトゥーロ・ブリス教授も「日本のエグゼクティブたちがマネジメントへの自信を失い、悲観的になっているのも、順位の低迷の一因」と指摘。ただ、その前に、流動性の低さ、人材不足、高齢化など多数の問題を普通に指摘。男女間の差別的な扱いをなくし、非正規労働者に対する機会均等を実現することを求めていました。


【本文中でリンクした投稿】
  ■PC使えないサイバーセキュリティ大臣の日本、タブレットに「前例ない」と使用に反対

【関連投稿】
  ■貿易黒字、貿易赤字に意味はない?
  ■国際競争力ランキングベスト144 日本6位に上昇も実は意味なし?
  ■日本がギリシャにはならない理由と日本がギリシャより悪いところ
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