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【クイズ】タクシー問題 行動経済学でノーベル経済学賞のカーネマンの実験


 一部では有名みたいですが、「タクシー問題」というおもしろいクイズがあったので先に紹介。回答は見えないようにだいぶ後で紹介します。興味ある方はやってみてください。

2021/11/30追記:
●投資家が不合理な行動を取るのはなぜ?ノーベル経済学賞の答え 【NEW】


●目撃者証言から推測するタクシー問題…ひき逃げした会社はどちら?

 ある街では、(緑色タクシー会社と青色タクシー会社の2社しかなく)タクシーの総数のうち85%が緑色の車体、15%が青色の車体である。
 あるとき、その街のタクシーによるひき逃げ事件が発生した。目撃者の証言によると「犯人のタクシーは青色」である。
 ただし、その証言がどのくらい正確かを事故のときと同じような状況下でテストしたところ、80%の確率で正しく色を識別できるが、20%の確率で実際とは逆の色を言ってしまうことがわかった。
 証言通り、青タクシーが犯人である確率はいくらか?
(人は統計的な発想が苦手だ|マーケットで成功するための投資の心理学|ダイヤモンド・オンライン  林 康史 [立正大学経済学部教授]  2007年12月11日 )


●トヴァスキーと行動経済学でノーベル経済学賞のカーネマンの実験

 これはトヴァスキーとカーネマンの実験で出題された問題だそうです。ここでは「スラエル・米国の心理学者・経済学者。2002年、行動経済学でノーベル経済学賞を受賞。トヴァスキーは、カーネマンのノーベル賞受賞以前に亡くなっているが、カーネマンの共同研究者」という注釈がありました。

 カーネマンさんを検索すると、内容は詳しくはないものの、Wikipediaがありました。プロスペクト理論とは?その例は? 行動経済学でわかる人の心理でやったプロスペクト理論の方でしたわ。

<ダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman、1934年3月5日 - )は、経済学と認知科学を統合した行動ファイナンス理論及びプロスペクト理論で有名なアメリカ合衆国(ユダヤ人)の心理学者、行動経済学者>

 Wikipediaがあまりおもしろくなかったので、別のところの説明も見てみましょう。カーネマン(カーネマン)とは - コトバンクにあった日本大百科全書(ニッポニカ)の解説[金子邦彦]では、ダニエル・カーネマンさんについて、以下のように説明していました。

<アメリカとイスラエルの二重国籍をもつ経済心理学・行動経済学者。イスラエルのテル・アビブに生まれる。ヘブライ大学で数学と心理学を学び、1961年にアメリカのカリフォルニア大学バークリー校で心理学の博士号を取得し、1993年からプリンストン大学教授を務める。2002年に、「経済学に心理学の手法を導入し、不確実性のもとでの人間の判断・意思決定について新たな研究分野を切り開いた」との理由で、V・L・スミスとともにノーベル経済学賞を受賞した。
 カーネマンはエイモス・トバースキーAmos Tversky(1937―96)とともに行動経済学を唱え、不確実性のもとで人間はかならずしも合理的な決定をせず、感情で動くことがあるとする。限定合理性が人間の思考に存在するとし、伝統的な経済学の理論が予想したものから規則正しく外れていることを実証する。また危険回避的な限界効用逓減(ていげん)のベルヌーイ型の効用関数を批判して、直近の経験などが影響するという「プロスペクト理論」(Prospect Theory)を提案し、人間は現状からの「得」よりも「損」に大きく反応する「損失回避の現象」をとるが、損失がきわめて大きくなるとあまり大きな反応を示さないことを明らかにした。
 カーネマンの研究は消費者行動論、公共選択の理論、なかでも株価変動やキャピタル・ゲイン(ロス)などを扱う行動ファイナンス理論に幅広く応用されている>


●「ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?」も有名

 アマゾンを検索すると、ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)が出てきました。これを見て、ああ、この本か!と思います。正常性バイアスと多数派同調バイアスの危険な合わせ技と具体例で書いた話は、この本に出ていたという話を意識していたんですよ。

 よく考えて行動してほしいとは思うのだけど、すべてにおいて厳密に考えていると頭がパンクしてしまいます…という話。ファスト&スローの話がベースでした。プロスペクト理論の方もそうですし、名前は覚えていませんでしたけど、カーネマンさんにはいろいろなところでお世話になっていたようです。



 アマゾンでの内容紹介やレビューも紹介しておきましょう。

<内容紹介>
<整理整頓好きの青年が図書館司書である確率は高い? 30ドルを確実にもらうか、80%の確率で45ドルの方がよいか? はたしてあなたは合理的に正しい判断を行なっているか、本書の設問はそれを意識するきっかけとなる。人が判断エラーに陥るパターンや理由を、行動経済学・認知心理学的実験で徹底解明。心理学者にしてノーベル経済学賞受賞の著者が、幸福の感じ方から投資家・起業家の心理までわかりやすく伝える>

<出版社からのコメント>
松井彰彦氏(東京大学経済学部教授)
人間は必ずしも合理的でない。では、どう合理的でないのか。
本書を片手に、人間のファストな「直感」とスローな「論理」を科学しよう。

森山和道氏(サイエンスライター)
自分の心が思いどおりにならない理由は何だろうか。
意思決定のメカニズム、心の成り立ちを知りたい全ての人に。

西内啓氏(統計家/『統計学が最強の学問である』著者)
本書を読めば新たな視座から、人間を、そして自分自身を理解出来るようになるだろう。

柏野雄太氏(バクフー代表取締役)
職業人がより良い意思決定をするための実践的指南書。
バイアス研究の世界的権威が噛み砕いて伝授!

ハロー効果で購入したプロスペクト理論への序章 投稿者 Teru Sun トップ1000レビュアー 投稿日 2013/1/25
<「プロスペクト理論がそんなに美味しいならば読んでみるしかない」と上巻を購入して読んでみたところ上巻でプロスペクト理論はまだ語られていなかった。しかし、これほど示唆に富んで読み応えがあり分かりやすい心理学の知見が広く述べられた本はあまりなかったので大変に参考になった。ただ価格が高いのがたまに傷だが>


●ひっかけ問題に見事にひっかかった!タクシー問題の回答

【タクシー問題】
 ある街では、(緑色タクシー会社と青色タクシー会社の2社しかなく)タクシーの総数のうち85%が緑色の車体、15%が青色の車体である。あるとき、その街のタクシーによるひき逃げ事件が発生した。目撃者の証言によると「犯人のタクシーは青色」。その証言がどのくらい正確かを事故のときと同じような状況下でテストしたところ、80%の確率で正しく色を識別できるが、20%の確率で実際とは逆の色を言ってしまうことがわかった。証言通り、青タクシーが犯人である確率はいくらか?

 さて、回答です。私は80%でいいんじゃないの?と思ったら、これがよくある間違いでした。

<実験では、多くの被験者の回答が、青タクシーが犯人である確率はほぼ80%というものであった。質問のなかにある「80%の確率で正しく色を識別できる」という部分だけを考慮して、もともとの車体の色の比率を考慮せずに答えたので、間違えたのである>

 後で私なりの説明をしますが、著者の説明は以下。

<これは、事前確率を考慮しないことによる誤りと呼ばれるものだ。(中略)
「青色タクシーが犯人」と答える可能性は、17%+12%。このうち、証言が正しい可能性は、12%。つまり、12/(17+12)=41.4%が正しい答えだ。

 ただ、この説明だとさっぱりわからないと思います。「正しくは、図のようになる」とありながら、図がないせいかもしれません。ということで、以下、私なりの説明をしていきます。

(1)「犯人のタクシーは青色」と目撃者が証言する場合、青色タクシーを見て正しく「青色」だと答える場合だけでなく、緑色タクシーを「青色」だと誤認する場合がある。つまり、以下の2通りが考えられる。

・青色タクシーを見て「青色」だと思う。
・緑色タクシーを見て「青色」だと思う。

(2)青色タクシーを見て「青色」だと思う確率は、青色タクシーを見る確率 × 正しく色を識別できる確率で計算できる。

青色タクシーを見る確率:15%
正しく色を識別できる確率:80%
青色タクシーを見る確率 × 正しく色を識別できる確率 = 0.15 × 0.80 = 0.12 (12%)

(3)緑色タクシーを見て「青色」だと思う確率は、緑色タクシーを見る確率 × 実際とは逆の色を言ってしまう確率で計算できる。

緑色タクシーを見る確率:85%
実際とは逆の色を言ってしまう確率:20%
緑色タクシーを見る確率 × 実際とは逆の色を言ってしまう確率 = 0.85 × 0.20 = 0.17 (17%)

(4)求めなくてはいけないのは、「証言通り、青タクシーが犯人である確率」である。したがって、「犯人のタクシーは青色」と目撃者が証言した場合の中で、青色タクシーを見て正しく「青色」だと認識した場合の比率を求めれば良い。

青色タクシーを見て「青色」だと思う確率 ÷ 「犯人のタクシーは青色」と目撃者が証言する確率
= 12% ÷ (12%+17%) ≒ 0.414 (41.4%)

 うーん、見事にひっかかりましたわ~。


●投資家が不合理な行動を取るのはなぜ?ノーベル経済学賞の答え

2021/11/30追記:セイラー教授 投資家はなぜ不合理な行動を取るか 日経ビジネス 2021年1月5日 2:00という記事を読みました。2017年にノーベル経済学賞を受賞した米シカゴ大学経営大学院のリチャード・セイラー教授の行動経済学について、孫弟子の行動経済学者・田中知美さんが解説する話です。

 他のところでも使った話なのですが、不合理、行動経済学関係ということで、こちらにも追記。人間は「自分はちゃんと分かっている」と自信過剰になると大胆な投資行動をしてしまうとわかる、心理学の幾つか研究があるそうです。自分に自信を持って疑わないようなときほど、不合理な行動を取ってしまうといいます。

 おもしろいことに、逆にちょっと鬱気味のときなどは自分に自信がないので、実は投資家としては合理的な行動を取るとのこと。歴史に名を残す投資家も調子に乗って最後に破滅…というパターンがあるので納得できる話です。謙虚が大事ですね。投資に限らず「人間としてのパターン」だとされていました。

<セイラー教授はCEO(最高経営責任者)の研究をしていますが、CEOの方たちも自信過剰の人が多いですね。自信過剰が悪いことかというと、そうとも言い切れませんが、投資家の立場では良くない。勝手に「自分は正しい」と思い込んでしまい、高い値段のときに買って安い値段のときに売ってしまうわけです。
 実は、私もそれで3月に株を売ってしまったんですけれども……。はい。確かに「自分は正しい」と自信過剰になっていました>

 なお、日経ビジネス記事のクイズでは「未来は予測不能だから」という選択肢があり、田中知美さんはそれも「あり」ではないかとしていました。うちでもともと書いていた話でも、<実は読めない?「相場は読める」という幻想が様々な誤解の原因に>といった話をやっています。理由はいろいろとありそうです。


【本文中でリンクした投稿】
  ■プロスペクト理論とは?その例は? 行動経済学でわかる人の心理

【関連投稿】
  ■正常性バイアスと多数派同調バイアスの危険な合わせ技と具体例
  ■赤ん坊を殺したフリードリヒ2世の人体実験とオキシトシンの効果
  ■ラットにもある共感力、サイコパスは欠如 男性は女性より低い
  ■認知的不協和理論の例 自分の選択を正当化するバイアスが働く人間の心理
  ■科学・疑似科学についての投稿まとめ

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