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コエンザイムQ10の嘘…取りすぎで効果なしどころか逆効果の可能性


2015/7/13:
●サプリメントは飽くまで不足を補うもの 過剰摂取では逆効果に
●アンチエイジング!コエンザイムQ10の老化を抑える抗酸化作用の効果
●コエンザイムQ10の嘘…取りすぎで効果なしどころか逆効果の可能性
●心疾患関連の研究では、効果が確認できていないコエンザイムQ10
●肝心の「抗酸化効果」についても「有効性は認められない」という研究が多い


●サプリメントは飽くまで不足を補うもの 過剰摂取では逆効果に

2015/7/13:健康食品・サプリメントのシリーズ。いつも書いているように、こういったもので注意しなくてはいけないのは、飽くまで「過剰摂取」です。週刊新潮の記事では、「サプリメントとは、読んで字のごとく“補うもの”である」として、愛媛大学大学院医学系研究科薬物療法・神経内科学の野元正弘教授の以下のような話を載せていました。

「食物を摂るなかで不足したビタミンやカルシウムを適宜補う分にはそれなりに効果があると思います。たとえば、ビタミンB1の欠乏症である脚気の場合、ビタミンB1を飲めばよくなるということです」
(飲むと老化を促進する サプリメントの過剰摂取に注意 健康食品の疑似科学・エセ医学(2)|矢来町ぐるり 週刊新潮 2014年8月14・21日夏季特大号 より)

 飽くまで補うために飲むものだということは、不足していない人は飲む必要がありません。それどころか、不足していない人が飲むと悪影響が出るおそれがあります。「足りているところに無理に増やしたら、効果が出るどころか、過剰摂取によって健康を害してしまうこともあります」とされていました。

 これは不足している人であっても、飲み過ぎると害が出るということで、やはり危険性があることは同じだと言えるでしょう。


●アンチエイジング!コエンザイムQ10の老化を抑える抗酸化作用の効果

 この過剰摂取の問題で衝撃的だったのが、久留米大学医学部心臓・血管内科の松岡秀洋准教授のコエンザイムQ10に関する調査です。

 コエンザイムQ10は抗酸化作用が注目されているもので、アンチエイジングの切り札のようにもてはやされていそうです。検索してみると、思っきり「アンチエイジングの切り札」ということを書いているサイトがありました。日本コエンザイムQ協会では、以下のように書いています。

<アンチエイジングに役立つ物質とはどういうものでしょうか?それは生命活動になくてはならず,年齢とともに細胞から失われていく成分です.これをサプリメントとして補給することが可能で,元気が出てきて,肌がつややかになるなどの効果が実感でき,当然ながら安全である必要があります.コエンザイムQ10はこれらの条件を全て満たしています.「100年に一度の素材」あるいは「アンチエイジングの切り札」と呼ばれる所以です>

 そして、老化に関する話をしています。まず、すみずみまで栄養と酸素を届ける心臓のポンプを動かすエネルギーを作るためにはコエンザイムQ10が欠かせないと説明。

 しかし、一方で心臓のコエンザイムQ10含量が20代がピークであり、40代で30%、80代では50%以上失われると指摘。心臓以外でも、肝臓、腎臓、皮膚などの臓器でも減少することが確かめられているとしています。その上で、「老化の重要な一因として加齢によるコエンザイムQ10の減少を無視することはできない」としていました。

 また、「食事からだけでコエンザイムQ10を十分に補うことは困難です.サプリメントで補うのが常識的です.欧米では一日100-300mgのコエンザイムQ10が摂取されています」として、コエンザイムQ10入りのサプリを飲むのが常識だとしていました。日本人の心に訴える説明をしてきますね。


●コエンザイムQ10の嘘…取りすぎで効果なしどころか逆効果の可能性

 同じサイトでは、<サプリメントとして愛用される方が増えていますが めだった副作用がないのも安心です>とも記載していました。ところが、松岡秀洋准教授によると、そうでもなさそうなのです。

「生活習慣病検診を受けられた男女l14人を対象に、体内のコエンザイムQ10を調べたのです。これが老化を防ぐものであるなら、こうした病気の人ほど少ないはずです。ところが、高血圧や肥満の人ほど、血中のコエンザイムQ10の濃度が高かったのです。しかも、動脈硬化が進んでいた人も同様の結果でした」

 高血圧や肥満といった不健康な人ほど、アンチエイジングに効果的なはずのコエンザイムQ10を多く抱えていました。松岡秀洋准教授によると、以下のような理由でコエンザイムQ10は、健康を悪化させる可能性があるそうです。

「たしかにコエンザイムQ10には、抗酸化作用がありますが、コエンザイムQ10が代謝される過程で、酸化促進物質が出るのです。このため、過剰に摂取すれば、体内に酸化物質が蓄積され、動脈硬化などの病気や老化を、むしろ促進してしまう怖れがあるのです。特に動脈硬化や肥満、高血圧などの人は避けたほうがよいでしょう」

 これは結局「過剰に摂取すれば」という話なのですが、動脈硬化や肥満、高血圧の人ほど、コエンザイムQ10を用いたサプリを使いたがるでしょうから、かなり相性が悪くなっています。


●心疾患関連の研究では、効果が確認できていないコエンザイムQ10

 また、健康食品・サプリメントほぼ全部に科学的根拠なし 唯一あるのは?でやった話が本当なら、コエンザイムQ10を含むサプリの効果にも科学的な根拠はないということになります。

 検索してみると、「健康食品」の安全性・有効性情報というサイトが出てきました。最も信頼性が高いとされている研究デザイン (無作為化比較試験 (RCT)) による学術論文のうち、"ヒト被験者にコエンザイムQ10を単独で摂取させてその有効性を検討した無作為化比較試験の結果"について、解説したものです。(改行は変更)
コエンザイムQ10を用いた無作為化比較試験の中では、心疾患関連の研究が最も多く実施されていました。しかしながら件数の多さと有効性の確かさには必ずしも関連があるわけではありません。

心疾患に対するコエンザイムQ10の有効性を示した初期の研究は、いずれも被験者数が少なく観察期間も短いものでした。また、近年の大規模な無作為化比較試験ではその有効性は示されていません

心疾患に対する治療目的でのコエンザイムQ10の影響について一致した見解を得るには、現時点では根拠が不充分なため、更に大規模で信頼度の高い研究デザインの報告が多数必要であるという意見 (PMID:12420040) (PMID:14695924) もあります。

上記のような理由から、米国心臓学会/米国心臓協会ではコエンザイムQ10の治療目的での摂取について「心不全の治療には更に多くの科学的根拠が蓄積するまで推奨できない」 (7) 「慢性安定狭心症の治療には有益および有効ではない」 (8) と位置づけています。

●肝心の「抗酸化効果」についても「有効性は認められない」という研究が多い

 上記の話はコエンザイムQ10を単独で摂取させたものですので、「健康食品」の有効性ではありません。ただ、単独で摂取させて効果が確認できないものが、「健康食品」だと効果があるというのはおかしいでしょう。通常、健康食品が効果あり!と謳う場合は、上記のような研究のごく一部の都合の良いものなんですから、コエンザイムQ10の有効性はかなり根拠が薄いようです。

 ただ、上記は最も信頼性が高いとされている論文だけ集めていましたので、そうじゃない信頼度の低い論文なら効果ありというものがあるのかもしれません。

 先のサイトでは特に心臓に関する効果を強調していましたので、上の話で十分な気がします。とはいえ、ここで集められた論文には、心疾患関連以外のものもありましたので、そちらも見ます。具体的には、「血圧」「糖尿病」などで、一番の売りである「抗酸化効果」の研究もありました。しかし、こちらについても以下のようにバッサリだっったのです。

<他の症状や疾病に対する有効性についても、いずれも報告数が少なく試験の規模も小さいことから、コエンザイムQ10の効果についての結論を得るには今後さらに多くのデータの蓄積が待たれます。また、俗に謳われている肥満解消や美容に関する無作為化比較試験は見つかりませんでした

 なお、肝心要であるはずの「抗酸化効果」は「有効性がある」が3件、「有効性は認められない」が4件で、半分近く有効性があるとなっています。ところが、この3件は「全て同著者による報告で観察対象が重複している可能性あり」と注記がされていました。

 上記の解説では、他の研究も含めて「報告数が少なく試験の規模も小さい」ために、「今後さらに多くのデータの蓄積が待たれます」と書かれており、ほぼあり得ないと思うものの、奇跡の大逆転はあるかもしれません。しかし、とりあえず現時点で有効だと断言するのは無謀ですし、こうしたものはほぼ100%ニセモノか大げさなだけなので「本物とわかるまで待っている」というのが正解の対応でしょう。


【本文中でリンクした投稿】
  ■健康食品・サプリメントほぼ全部に科学的根拠なし 唯一あるのは?

【関連投稿】
  ■出産後のプラセンタの効果に科学的証拠なし 危険性も調査されてない
  ■グルコサミン・コンドロイチンに効果なしの研究 無意味サプリなのか?
  ■健康食品が広告ほど効果なしの理由 医師の推薦は信頼度最低レベル
  ■機能性表示食品とトクホの評価 「CONSORT声明」と「UMIN臨床試験登録システム」
  ■食べ物・飲み物・嗜好品についての投稿まとめ

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