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飲食店の受動喫煙防止・禁煙、日本にマイナス5000億円の経済効果?


2015/7/15:
●受動喫煙防止法成立なら負の経済効果5000億円?神奈川県条例で試算
●「分煙機器」業界に恩恵ありそうな受動喫煙防止…なしだったのはなぜ?
●ファミレスなどの外食産業では予想通り打撃という分析に
●調査した三菱UFJリサーチ、実は「影響はわからない」と言っている
●リーマン・ショックの影響で悪く見えるだけ?神奈川県の反論
●経済効果より重要なのは健康問題という選択があっても良い
●「『受動喫煙』という概念自体イカサマ」とする愛煙家団体も
●理解あり…意外に受動喫煙防止条例への賛成が多い個人の飲食店
2019/08/26:
●実は逆?飲食店の受動喫煙防止をすると売上減少どころか増加に!


●受動喫煙防止法成立なら負の経済効果5000億円?神奈川県条例で試算

2015/7/15:ストックしていた2011年4月28日の全国初の「受動喫煙防止条例」が経済に与えた影響金額を試算 – 飲食店のための分煙環境を考える「分煙ソリューション」 | 日経レストラン ONLINEという記事を今頃読んでみました。全国で初めての受動喫煙防止条例を神奈川県が2010年4月に施行しておよそ1年という時期の記事です。

 調査会社の富士経済が2010年夏以降に大手チェーンと個人店にヒアリング調査したデータをもとに、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが試算。結論としては、神奈川県の外食産業が2010年に受けた影響額はマイナス76億円。2012年までの3年間の試算なら160億円以上になります。

 分煙機器などプラス要素の産業を含めても、神奈川県経済へのインパクトは2010年から2012年までの3年間でマイナス237億円以上。もしこの条例が全国で施行されると仮定すると、3年間でマイナス5000億円近くになるという結論です。


●「分煙機器」業界に恩恵ありそうな受動喫煙防止…なしだったのはなぜ?

 条例施行で最も追い風を受けそうな「分煙機器」業界でしたが、、神奈川県における2010年の影響金額は2000万円にとどまったという分析。条例施行後、飲食店を中心に問い合わせは急増しているものの、価格がネックとなり、実際の導入まで結びついている例は、メーカーの当初の想定より少なかったそうです。

 そして、お金のかからない「全面禁煙」を選択した企業が多かったという理由も大きいようです。別記事によると、大手ですら最も多かったのは「投資額が0円」という店舗で64.2%を占めます。大手で最も多い条例への対応策が「全面禁煙」であることからも、「条例対応にお金をかけられない、かけたくない」ためでしょう。当然、個人店でも100m2超、以下を問わず「0円」が最も多くなっています。
(禁煙条例は一定程度、業績にマイナス – 飲食店のための分煙環境を考える「分煙ソリューション」 | 日経レストラン ONLINE(2010年9月号掲載)より)

 また、禁煙グッズや禁煙補助剤の動向。電子たばこの人気が高まるなど、市場自体は伸びているが、条例施行が売上増に影響したかというと、そうした声は聞かれず、条例施行が経済に与えた影響はゼロとしているそうです。


●ファミレスなどの外食産業では予想通り打撃という分析に

 外食業界は普通に打撃を受けています。以下は、最初の方の記事からの引用。
ヒアリングによると、ファストフード(FF)やファミリーレストラン(FR)、喫茶の場合、「全席喫煙」や「エリア分煙」から、「全席禁煙」に移行したケースで売り上げ減になっている店が目立ち、FFで1~3%ダウン、FRで4~6%ダウン、喫茶で5%ダウンだった。

それより影響が大きいのは、居酒屋や、すし店などの専門店で、「全席喫煙」から「全席禁煙」もしくは「分煙」に変えた場合に、居酒屋で20%ダウン、専門店で15%ダウンとなっている。

(中略)もし、神奈川県の受動喫煙防止条例が全国で施行されたらどうなるだろう。神奈川県の外食市場は全国の7.4%のシェアがある。そこから計算すると、全国の影響金額は2010年で1034億円のマイナス。2011年が861億円、2012年も400億円、3年間合計で2295億円のマイナスとなる計算だ。

●調査した三菱UFJリサーチ、実は「影響はわからない」と言っている

 この試算に関する反応を追っていると、以下のような記事を見つけました。
つなごう医療 中日メディカルサイト | 受動喫煙対策進まず 反対派「経済に打撃」  (2015年3月18日) 【北陸中日新聞】

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングが10年に条例を施行した神奈川県における経済的な影響を調査している。飲食店や宿泊施設が大幅に売り上げを減らし、10〜12年の3年間で、県全体で237億円の損失が出るという試算だった。神奈川県の条例が全国の都道府県で施行された場合の試算では、同じ3年間で、損失額が4880億円に上った。

 同社は「あくまでも試算。実際にどんな影響が出ているかは分からない」と説明する。

 分析した三菱UFJリサーチ&コンサルティング自身がよくわからないと言っているんですね。


●リーマン・ショックの影響で悪く見えるだけ?神奈川県の反論

 ただ、以下の神奈川県がん対策課の反論はおかしいと思います。

「逆にファミリー層の集客に効果があったという調査結果もある。リーマン・ショックなどの影響も重なった時期なので、本当のところははっきりしない」

 変だと思ったのは、日経レストラン ONLINEの二つ目の記事では、以下のようにあったためです。
大手で禁煙や分煙にした店舗のうち、条例施行前と現在を比較して売上高が「増加した」が3.2%、「減少した」が42.2%となった。外食不況で何もしなくても業績が悪化する店舗も少なくないが、「喫煙環境に変化がなかった店」と比較しても売り上げが減少した店の割合は18.5ポイント多い。

●経済効果より重要なのは健康問題という選択があっても良い

 一方で、北陸中日新聞にあった以下の指摘はもっともだと思います。
健康面や医療費削減などの効果については考慮されていない。条例制定後、神奈川県の成年男性、女性ともに喫煙率が下がったという報告もある。

 私は以前も書いたように、喫煙率を減少させることをそもそもプラスの経済効果やマイナスの経済効果で示して、それを施策の拠りどころとするのは変だと思います。

 これは要するに喫煙による健康悪化より経済を取るかどうかという話です。より重要なのは、禁煙による死者増加など、健康問題をどのように捉えるか?というところです。
(ああ、でも、金額によっては現実的には実行不可能なので現状維持を選ぶってのはあり得ますね。やっぱり金額の大小も関係してくるのか)


●「『受動喫煙』という概念自体イカサマ」とする愛煙家団体も

 で、検索していると、その健康問題についてバッサリ否定している人たちがいらっしゃいました。
神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例 - Wikipedia

・パイプ喫煙愛好家団体である日本パイプクラブ連盟は、同連盟のウェブサイトに掲載した「禁煙ファシズムにもの申す」のコラムにおいて、この条例を「喫煙者を徹底的に敵視して、喫煙者と、喫煙を認める飲食店を問答無用で攻撃するのが狙いのトンデモナイ条例」とし、「民主党首魁の鳩山某を、米紙は米政府高官の言説を引用する形で『loopy』と鋭く揶揄しておりましたが、鳩山某に負けず劣らずの愚劣さからして、まさに『神奈川県のloopy条例』と名付けても差し支えない」と非難している。

 ・さらに、同コラムには、受動喫煙について「『受動喫煙』なる言葉を造語して、煙草の害とやらを極端に誇張するのは医学を捻じ曲げ、疫学を悪用する性質の悪いイカサマである」として、「『受動喫煙』なるものが仮に成立するなら「受動・自動車排気ガス・呼吸」とかいう言葉も成立しておかしくありませんが、自動車の排気ガスについては知らぬ顔の半兵衛で口を噤んでいるところに、『受動喫煙』なるものの欺瞞性が明らかであります。」と断定している。

 子供の前でタバコを吸う・受動喫煙気にしないと回答する親たちにおいて、子どもの前での喫煙も気にしない親が3割もいて驚いたという話をしました。愛煙家団体ですらこの調子でしたら、そういう人が多いのもわかる気がします。

 なお、向こうでも書いたように、受動喫煙の害が大きいことは現在のところ医学的な支持を得ているため、「受動喫煙なんてない」というのは、非科学的な意見と言わざるを得ません。

 あと、「受動・自動車排気ガス・呼吸」のくだりが意味不明で吹きました。自動車に限らず工場などでもそうであるように、公害として昔から問題となっており、以前より改善されています。これはむしろ受動喫煙ももっと問題視して良いという話になってしまうような…?


●理解あり…意外に受動喫煙防止条例への賛成が多い個人の飲食店

 日経レストラン ONLINEの二つ目の記事でおもしろかったのが、レストランの条例に対する賛否です。

大手
賛成 7.3%
どちらかというと賛成 17.1%
どちらともいえない 4.9%
どちらかというと反対 35.8%
反対 35.0%

個人店
賛成 25.9%
どちらかというと賛成 13.8%
どちらかというと反対 17.2%
反対 43.1%

 普通に反対のお店が多いんですが、大手より個人店で反対が少ないというのもおもしろいですね。

 さらに個人店のうち100m2 超の店舗に限ってみると、「賛成、どちらかというと賛成」が53.5%と過半数を超えたそうです。自由意見欄には「社会的にも健康面でも禁煙の流れだから対応せざるをえない」といった意見が多かったとしていました。

 経済を取るか健康を取るかといった選択肢で意見が割れることは多いでしょうが、世の中全体で見ると禁煙の流れが強いのは確かです。


●実は逆?飲食店の受動喫煙防止をすると売上減少どころか増加に!

2019/08/26:その後、飲食店の受動喫煙防止・全面禁煙で売上が減るはデマ?むしろ増えるという調査しかないという主張でやっているように、多くの研究では店舗の受動喫煙防止で売上が減るどころか、逆に増えるという調査が多いそうです。

 研究において異なる結果が出ることは珍しくなく、一つ調査があって決まりというものではありません。その場合どう考えたら良いかというと、信頼性の高い研究を重視すること。よりよいのは、多数の研究をまとめて分析した研究を見ることです。

 今回の場合は、そもそも最初で紹介したような飲食店の受動喫煙防止で売上が減る…という調査はほとんどないということで、信頼できないと考えて良いでしょう。最初の分析では店舗にヒアリングしたもので、思い込みによるものが大きかったのかも。そもそも分析した三菱UFJリサーチ&コンサルティング自身が「よくわからない」と言っている分析であり、信頼性が高いものではありませんでした。


【本文中でリンクした投稿】
  ■飲食店の受動喫煙防止・全面禁煙で売上が減るはデマ?むしろ増えるという調査しかないという主張
  ■子供の前でタバコを吸う・受動喫煙気にしないと回答する親たち

【関連投稿】
  ■喫煙率の傾向 低所得者・低学歴・同性愛者ほどタバコを吸う
  ■タバコ会社終了のお知らせ 肺がんで死亡の男の妻に2.4兆円賠償金
  ■海外(特にアメリカ)のタバコ規制とオリンピック東京招致の関係
  ■たばこ増税で税収増、値上げしても禁煙は難しい?
  ■食べ物・飲み物・嗜好品についての投稿まとめ

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