2015/7/16:
●矛盾する反対のことわざ「下手の横好き」と「好きこそものの上手なれ」
●「下手の横好き」が反対の「好きこそものの上手なれ」になった例
●笑いを誘ってランキング1位 でもなぜ受けているのかはわからず
●音楽づくり自体を楽しんで成長してついにプロに…という理想的な形
●「曲の再生数やコメント数はそれほど気にしていない」というのは大事
●笑われることを気にする人は上達しない…徒然草を思わせる成功譚
2015/1/10:
●価格.comと食べログも物好きなオタク社員のおかげで成功した! 【NEW】
●矛盾する反対のことわざ「下手の横好き」と「好きこそものの上手なれ」
2015/7/16:矛盾したような感じのことわざって結構あって、一度集めようと思っていたんですが、そういった反対ことわざっぽいものの中に「下手の横好き」と「好きこそものの上手なれ」があります。
<下手の横好き>
下手なくせに、その物事をむやみに好み、熱心なこと。(
デジタル大辞泉の解説 コトバンクより)
<好きこそ物の上手なれ>
好きな事にはおのずと熱中できるから、上達が早いものだ。(
デジタル大辞泉の解説 好きこそ物の上手なれ(スキコソモノノジョウズナレ)とは - コトバンクより)
●「下手の横好き」が反対の「好きこそものの上手なれ」になった例
この二つのことわざを思い出したのが、
「年に100曲作った」――“ひどい耳コピ”で笑われた中2、6年でプロ作曲家に ネットとボカロがつないだ成長の軌跡- ITmedia ニュース[岡田有花,ITmedia]という記事でした。
2007年に投稿された「中二の俺がスーパーマリオブラザーズを頑張って耳コピしてみた」と、その7年後、2014年に投稿された「【カービィアレンジ】そらをこえていくたび」。両方とも同じ人の作品だが、前者はリズムも音も珍妙。後者は原曲のメロディと雰囲気を再現しながら、広がりのある美しいアレンジになっていて、本当に同じ人が作ったのかと、楽曲のクオリティの差に驚く出来だったとのこと。
その成長ぶりはネットユーザーを驚かせ、ニュース記事で取り上げられるなどして話題に。後者の動画には「マリオ見てからこっちくると別人だわ」「人ってこんなに成長できるのか」「ここまで変われるのはスゴイよ、ほんと」など、驚きと賞賛のコメントがあふれているといいます。
2007年
2014年
●笑いを誘ってランキング1位 でもなぜ受けているのかはわからず
"「中二の俺がスーパーマリオブラザーズを頑張って耳コピしてみた」を作ったのは、実際に中学2年生だったころ"だそうです。
兄に紹介してもらった作曲ソフトで遊びで作曲。当初は公開するつもりはなかったものの、偶然、兄が聴いて大爆笑し、マリオのほかのBGMも作り、ニコニコ動画に投稿するようすすめたとのこと。お兄さんがいろいろと元凶でした。
また、"完成した曲を聞き、どこかおかしいとは気づいていたが、「修正のしかたもよく分からなかった」"ということで、本人も薄々おかしいとは思っていたみたいですね。
投稿動画は"「ゲーム」カテゴリのランキングで1位を獲得"したものの、"何が受けているのかはよく分からなかったが、「F5を押すとコメントや再生数がどんどん増えていくのがすごく面白かった」"という話も。子供らしいエピソードで、当時は「ただおもしろかっただけ」という感じがあります。下手の横好きでした。
●音楽づくり自体を楽しんで成長してついにプロに…という理想的な形
経歴によると、八戸市の高校を卒業後、仙台市内の電子系専門学校の音楽関連学科に進学。作曲理論や演奏の基礎を学んだ。20歳で卒業し、フリーランスとして独立。個人でアルバムを作ったり、同人CDやゲームに曲を提供しているほか、メジャーレーベルのボカロCDに参加したり、スマートフォン「Xperia」の初音ミク版「dx39.net Xperia feat.HATSUNE MIKU」に楽曲が採用されるなど、企業にも作品を提供しているとのこと。現在はプロになった…と言って良さそうです。
私がいいなぁと思ったのが、音楽づくり自体を楽しんでいるように見えたこと。以前も書いていますが、成果を目標にしてしまうとそれが達成できなかったときに心が折れやすいです。ですので、私は過程を楽しめるのが理想的だと考えています。
実際には、"高校時代の夢はゲームのサウンドクリエイター"といった、成果的な目標はあったようです。一方で、"「1年に100曲作ろう」と決めて実際に作った年もある"という話もありましたが、これは成果的な目標ではないので、私はこっちをオススメしたいですね。音楽づくり自体やそれに付随するものに夢中になっている様子がわかる話も、以下のようにいくつも見られました。
・「別のゲームでも作ってみて」と兄に依頼され、「ドラクエI」「星のカービィ」のBGMの耳コピ動画を作成してニコ動に投稿。「原曲が行方不明」などと視聴者の爆笑を誘った。
・他の作曲家らと、Skypeチャットで話したり、お互いの曲を聴き合ったり、一緒に音楽イベントに出たり、同人CDを作ったり――たくさんの仲間と交わってきた。口べたで人付き合いが苦手だが、音楽を通じて人と交流できるのがうれしい。
・「曲を作る楽しさを感じることができたのは、曲を聴いて感想をくださった方とか、真に僕の曲を受け止めてくださった人とか、周りの方のおかげです」
●「曲の再生数やコメント数はそれほど気にしていない」というのは大事
特に良いと思ったのが、"曲の再生数やコメント数はそれほど気にしていない"という話。こういうのを目標にしてしまうと、心が荒んできます。
「でっかい人間になりたいです。みんなからスゲ-って思われるような」と言っていたのは危ないパターンですが、直後に「……いや、思われなくても、自分の中で納得できるぐらいスゲー曲を書けるようになりたいです。自分にコンプレックスを抱えている部分もあったので、自分に自信が持てるような人間になりたくて」と続けていました。
他人からの評価を基準にしてしまうと病みやすいんですよ。比較するのなら、他人ではなく自分と比べた方が良いです。
"本当に勢いだけで、貯金もまったくない状態で上京"したそうで、力が入るすぎている印象を受けますが、以下の話は力が抜けた感じがあり、良いです。
「もうけようと思って東京に出てきたわけでは全くないです。いろんな人と話したりつながって、面白いことをやりたい。今は音楽しかないので、やれるところまで音楽をやりたいですね」
●笑われることを気にする人は上達しない…徒然草を思わせる成功譚
はてなブックマークでは、以下のような感想がありました。
IthacaChasma 徒然草の第百五十段「下手な頃から上級者に混ざってバカにされながらも練習した奴が上達できる。バカにしてる奴は成長できずあっさり抜かれる」を地で行ってる人。 2015/02/10
徒然草の第百五十段というのは以下。
徒然草 第百五十段 - weemo*
徒然草 第百五十段
【現代語訳】
これから芸事を身につけようとする人は、とかく「ヘタクソなうちは誰にも見せたくない。こっそり練習して、ある程度見られるようになってから披露するのがカッコいい」と言うものだけど、そういうことを言っている人が最終的にモノになった例はひとつもない。
まだ未熟でヘタクソな頃から、上手くてベテランな人たちに混ざって、バカにされて笑われて、それでも恥ずかしがらずに頑張っていれば、特別な才能がなくても上達できる。道を踏み外したり、我流に固執することもないだろう。そのまま練習し続けていれば、そういう態度をバカにしていた人たちを遙かに超えて、達人になっていく。人間的にも成長するし、周囲からの尊敬も得られる。
いまは「天下に並ぶ者なし」と言われている人でも、最初は笑われ、けなされ、屈辱を味わった。それでもその人が正しく学び、その道を一歩一歩進み続けてきたおかげで、多くの人がその教えを授かることが出来るようになった。どんな世界でも、同じである。
もう一つ、はてなブックマークから。
feita 最初馬鹿にされたから悔しくて頑張ったとかじゃなくて、むしろそれがきっかけで人に作った曲聞いてもらうのが楽しくて仕方なくなったって感じなんだろうな。100曲作ったのも努力って意識ないだろう。すごいもんだ。 2015/02/10
将棋の羽生善治、親の期待なし・子供の頃の目標なしで上達でも、将棋の羽生善治さんがただ将棋を打つのが好きで続けていたら上達したという話がおもしろかったです。こういうのが一番良いのだと思われます。
●価格.comと食べログも物好きなオタク社員のおかげで成功した!
2015/1/10:
ポーター賞企業に学ぶ、ライバルに差をつける競争戦略:カカクコムの徹底した「ユーザー本位」、その鍵は情熱ある“オタク社員”にあった- Business Media 誠(岡崎勝己, 構成:伏見学,2014年11月20日 08時00分)という記事の話は、当初別のところで紹介していました。ただ、内容的にこちらのページの方が近いかな?ということで、2021年12月16日にこちらに移動してきています。
価格.comを運営するカカクコムの田中実代表取締役社長は、価格.comが成功した理由について、「PCやデジタルカメラなどに並々ならぬ情熱を持つ、いわゆる“オタク”の社員が何人もいたことも幸いしました」ということも挙げていました。
「社員のオタク度が高いほど、それだけ自身が消費者の立場に立ち、よりきめ細かな情報提供に取り組もうとします」という好きこそものの上手なれ的な効果が出たというのです。そういえば、同じカカクコムの運営する「食べログ」も既存のサービスに満足できないから自分で作りたいという情熱的な1人の社員の執念で作ったと聞いたことがあります。
また、食べログの方は、グーグルにおける勤務時間の20%を自分の考えのために用いるという「20%ルール」の話も思いだす話。
ソニー倒産なら戦犯はこの5人だ!スマホ大赤字・下方修正の責任者などで書いた社員の自由度が、尖ったサービス・製品を生み出すという見方です。社員に好きなことをやらせることが、思わぬ効果を生み出すことがあるのでしょう。
【本文中でリンクした投稿】
■
将棋の羽生善治、親の期待なし・子供の頃の目標なしで上達 ■
ソニー倒産なら戦犯はこの5人だ!スマホ大赤字・下方修正の責任者など【関連投稿】
■
努力は必ず報われるということわざの残酷さ 努力は人を裏切る ■
努力は必ず報われる VS 才能がない人は努力しても無駄・才能が全て ■
燃え尽き症候群と夢 「努力すれば必ず夢は叶う」を信じる危うさ ■
「夢は叶う」と教えるな 努力しても叶わない夢があることを教えろ ■
才能があって努力もしても、ビジネス的に成功するとは限らない ■
人生・生活についての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|