2018/04/22:
若者は内向き志向…と叩くマスコミ
原因は「英語コンプレックス」などの説
でも他の世代を調べてみると…
新聞などは高齢者メディアなので若者叩きで稼いでる?
本当に深刻なのは、管理職の内向き志向
●若者は内向き志向…と叩くマスコミ
2018/04/22:最近あまり見なくなったのですけど、マスコミが盛んに「若者は内向き志向」と叩いていた当時の投稿を見直ししました。
2010/11/22:メディアの報じるところによれば、今の日本の若者というのは内向き志向なんだそうです。また、「若者は内向き志向」という言葉は若者に対して批判的な論調で出てくることが多いです。
たとえば、"内向世代 海外で他流試合を"(産経新聞 2010/07/21)はタイトルの時点でそういった調子なのがわかります。以下のようなことを書いた上で、"海外赴任を希望する若手社員・職員の激減を嘆く大手商社の役員や外務省幹部の声を耳にする"というジャーナリストの話を紹介していました。
"いささかショッキングな数字がある。スイスの国際経営開発研究所(IMD)による海外留学学生数の調査(2009年)で、日本は調査対象57カ国・地域中、41位に低迷"
"法務省による年代別出国率の推移では、20代の出国率は長年右肩上がりの傾向が続いていたが、平成9年の24・1%をピークに減少に転じ、19年は19・4%にとどまった"
"社会のグローバル化が進む中、国際人創造に向けた先進的な教育に取り組む大学や高校がある一方で、海外に出たがらない若者の増加が指摘されている"
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/education/418507/
●原因は「英語コンプレックス」などの説
上記の話などを理由に、記事では、"なぜ、日本の若者はこれほど内向きになってしまったのか"と若者が内向き志向であることを断定。
ただ、その原因については、データ的な話すらありません。衆院議員だったの浅尾慶一郎さん(現自民党、当時はみんなの党)の以下のような話をまず紹介。
「日本の場合、国内で仕事がないといいつつなんとかなるし、海外に行かなくても別に出世に影響しない、だからハングリーさに欠けるんです」
その上で、"日本では、企業活動にしても学術研究にしても一定レベルは国内で完結できる環境がある"他、"国内市場が小さいアジア諸国と違い、わざわざ海外に出る必然性が低い"と結論。また、"加えて「英語コンプレックス」を持つ人が少なからずいる"からだとしていました。
●でも他の世代を調べてみると…
しかし、若者が他の世代より内向き志向だというのは、怪しいかもしれません。産業能率大学の杉原徹哉マネジメントリサーチセンター長の調べでは、今後海外で働きたいかを聞いてみると、課長クラスでも働きたくないという人が6割近くいて、部長でも4割以上もいることがわかっています。
実は、今年春の新入社員向けの調査では半分に相当する49%が海外で働きたくないと思うと回答していたので、課長ではむしろ悪い数字。これを素直に見ると、課長世代の方が内向き志向だということになります。
さらに中国など新興国に限り、「どちらかと言えば働きたくない」という回答も加えれば、課長クラスでは7割が嫌がり、部長クラスでも半分近くとなるそうです。
新入社員の調査は前回の2007年の時は36.2%、2001年には29.2%ですから、増えているには違いないのですが、課長・部長の数字を見ると、これは若手の問題というよりも日本人全体の問題と考えた方が良さそうです。
(
2010年11月16日 課長たちも「新興国には行きたくない」(日経ビジネスオンライン 佐藤 紀泰)より)
●新聞などは高齢者メディアなので若者叩きで稼いでる?
杉原徹哉さんはこの新入社員の調査結果自体は、当然の流れだと言っています。
10年前は海外赴任と言えば欧米が中心だったのが、中国を中心とする新興国への海外赴任に変化しました。新興国は競争が激しく、厳しいビジネスの現場に放り込まれて成果を出せと言われても、今の若い人たちは無理だと思ってしまうのだそうです。
これが当たっているのかどうかはわかりませんが、この説明は若手に限らず、部課長にも適用できそうです。
私は欧米だろうが新興国だろうが旅行ですら行きたくないという人間なので、海外赴任が嫌だってのはとてもよくわかります。でも、それを若者のせいにして、より重要なところをぼかしていても何一つ解決しません。
メディアも商売ですから、広告主と読者の悪口というのは言いづらいものです。特に新聞紙などは比較的高齢な人のメディアになりつつあるので、叩きやすい若者を叩いているというのが現状なのかもしれません。
●本当に深刻なのは、管理職の内向き志向
2010/11/22、11/25:日本企業にとって新興国は最大の成長市場であるのに、そこで現地法人の経営幹部となる日本企業の管理職が行きたがらないのは問題であり、新人のことを嘆いている場合ではないと杉原徹哉さんは言います。
そこで、取締役候補育成に用いられている選抜制度という例を挙げて、グローバル人材でも同じような選抜でしっかりやっていく必要があると主張されています。
投稿後読んだ
2010年11月24日 海外でも「日本的経営」が強みに 新興国でも長期雇用はかなり定着している 佐藤 紀泰(日経ビジネスオンライン)でも、経営者、役員、部長と上の方に問題があることが指摘されていました。
人材のグローバル化は従業員の問題でもあるが、経営者の問題だ。従業員に「グローバル化しろ」なんて命令してもだめだ。経営者こそがグローバル化しないと。上からやらないとダメです。
日本企業のグローバル人材経営では本社の役員フロアがネックになる。まず、ここからグローバル化が進めば、かなり違う。
特に日本企業を見ていると、部長クラスが国際競争力で劣ります。海外に出て行っても、なかなか活躍できない。この部長世代の人材が弱いのが日本企業の問題です。
ただ、日本に来る外資系企業は日本の学生への関心が薄いし、国内企業でもグローバル人材として考えると日本の学生の採用は厳しいとも書かれています。年寄りも若手も頑張らなきゃいけないのは、いっしょですね。
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