集合天才(collective genius)という概念が最近注目されているそうです。ゼネラル・エレクトリック(GE)における組織運営の考え方の一つであり、「一人の天才に頼るのではなく、組織やチームで新しいアイデアを生み出す」などといった説明がありました。
ただ、「三人寄れば文殊の知恵」と似た概念なのかどうかは怪しいとところ。凡人でもすごい画期的なことができるという説明があり、ここだけ見ると「特別に頭の良い者でなくても三人集まって相談すれば何か良い知恵が浮かぶ」という「三人寄れば文殊の知恵」と似ているようにも思えます。
ところが、元ネタとなったゼネラル・エレクトリック(GE)を見ると、凡人などではなく、「専門家」を集めるとされているのです。どうも凡人でも集めればすごいといった、うまい話ではなさそうでした。
2015/7/19:
●集合天才(collective genius、コレクティブ・ジーニアス)とは?
●集合天才(コレクティブ・ジーニアス)で凡人を集めて天才にできる?
●「発明王エジソン」は嘘?彼の最大の発明品は「研究所」という説も
●すごそうな「集合天才」、実際の有用性や方法論ははっきりしない
●集合天才(collective genius、コレクティブ・ジーニアス)とは?
2015/7/19:「集合天才」の話があったのは、
一人の天才に、凡人の集団が対抗する術とは | DHBR編集長ブログ|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー(2015年05月23日)という記事。ハーバード・ビジネス・レビューは専門家が様々な論文を紹介する話が載っているので期待して読み始めたのですが、これは編集者が書いたコラムであり、研究論文などの紹介ではありませんでした。
とりあえず、岩佐文夫編集長が個人的に、最近、注目しているというのが、collective genius(コレクティブ・ジーニアス)という概念だそうです。日本では「集合天才」と訳されることもある用語でした。
意味としては、「一人の天才に頼るのではなく、組織やチームで新しいアイデアを生み出す」という考え方。この考え方は、スティーブ・ジョブスがいなくても、凡人が集まって一つの画期的なコンセプトが生まれる可能性を示唆していると、コラムでは説明されていました。
●集合天才(コレクティブ・ジーニアス)で凡人を集めて天才にできる?
「集合天才」についてはWikipediaにも既に項目が存在していました。ただし、こちらでは凡人を集めるではなく、「各々の専門分野において突出した才能」を集めるという説明。これって、えらい違いじゃないですかね。
まう、
集合天才 - Wikipedia(最終更新 2011年9月17日 (土) 22:57)では、集合天才とは、ゼネラル・エレクトリックにおける組織運営の考え方の一つだと書かれていました。その上で以下のように書いているのです。
<各々の専門分野において突出した才能を集めれば、一個の天才をも凌ぐ存在を作り出すことができる。一人ひとりは凡人であっても、互いに協力し、各々の能力を生かすことができればよいのだ。価値あるものを世に送り出すために、天才の出現を待つ必要はない…。ゼネラル・エレクトリックも、その母体であったトーマス・エジソン主宰の研究所も、このような考え方のもと、有用な発明を数多生み出してきた>
とはいえ、知識や才能をただ集めただけでは、単なる集団のままで終わる可能性があるとのこと。才能ある人たちでもただ集めるだけではダメなんですね。組織が集合天才として機能するためには、個々の才能や蓄積された情報が有機的に結びつくことが必要であり、そのための環境やプロセスの構築が必要とされているとのこと。
また、「集合知(wisdom of crowd)」が最近のキーワードとして取り上げられるなかで、改めて注目を集めている言葉でもあるとされていました。
●「発明王エジソン」は嘘?彼の最大の発明品は「研究所」という説も
エジソンさんは盗用がうまかっただけ、宣伝がうまかっただけなどよいっや陰口もありますが、実際、発明の天才というイメージだとちょっと違うところがあるのは事実のようです。以下のような説明がありました。
<ゼネラル・エレクトリックの創始者、トーマス・エジソンは「発明王」として知られるが、しかしながら彼の偉大な業績のうち具体的にどれが彼自身の固有の発想に基づくものであるのか、またどの部分が他の研究者の協力によるものか、判然としない>
ただ、エジソン自身がディレクションした、この「研究所」というシステムこそ、エジソン最大の発明とする見方もあると、こちらでは書いていました。それだけでも偉大な功績だと考えられます。
<エジソンは29歳の時、「もっと研究に没頭したい。世の中の役に立つものをつくりたい」と、ニュージャージー州メンローパークに研究所を設立した。設備・システムを整え、各国から志ある技術者・研究者を迎えた。研究に好きなだけ没頭できる環境はエジソン自身が求めていたものであった。
この地で、それぞれ専門領域の異なる技術者・研究者たちは各々の才能を生かし、また互いの存在に刺激を受け、共に力を合わせて様々な発明群を世に送り出してきたのである。後にこの研究所からは一流の才能が育ち、巣立っていった。
(中略)エジソンの研究所は基礎研究の成果を応用し、実用化することにかけて他の追随を許さず、結果として生み出された製品群は、工業的にきわめて品質の高いものだったといわれている>
●すごそうな「集合天才」、実際の有用性や方法論ははっきりしない
以上のような話を見ることで、「集合天才」という概念があることは、わかりました。問題はその有用性や集合天才を作り出す方法論です。最初の記事はてっきりそういう話だと思ったのですが、さにあらず。<知りたいのは、組織として創造性を発揮する方法論です>ということで、作者も知らないようでした。
一方、Wikipediaの説明の中で出てきた「集合知」(Collective Intelligence)というもの。こちらでしたら既に研究が多くあります。うちでも、
集合知のメリットとデメリット 集合なのに他人の意見を知ると逆効果にや
Wikipediaの信頼性 学術論文でも参考文献として引用される時代にで紹介したことがあります。
「集合天才」(collective genius)の概念についてもたいへん興味があるものの、残念なことに、まだまだ研究はこれから…といった感じ。今回の検索で見つけたものだけでは、わからないところだらけでした。
【本文中でリンクした投稿】
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集合知のメリットとデメリット 集合なのに他人の意見を知ると逆効果に ■
Wikipediaの信頼性 学術論文でも参考文献として引用される時代に【関連投稿】
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