2010/11/23:
厳しいしつけ・虐待・体罰でいい子が育つ?
犯罪者の家庭環境調査の結果
犯罪者と虐待経験者に相関性はある?
2018/04/06:
虐待未満の体罰や恐怖を利用したしつけについての研究も発見
●厳しいしつけ・虐待・体罰でいい子が育つ?
2010/11/23:私は検索大好きで1日に何十回も検索するのですが、その際に目的と違うページに目が行って脱線することがしばしばあります。そんな感じで昔見つけたページに、
誤った親子関係か脳機能の異常か -人格障害者の誕生- 2007-09-22 ワンニャン物語プラス・アルファというページがあり、興味深く読みました。
作者は受刑者や非行少年の心理調査という仕事をしていた方で、「 『懲役』と『担当さん』の365日」という本も出されています。
先のページによると、この方は受刑者の面接を始めてからしばらく経った後に、「子供の頃、親から厳しく育てられた」 と言う受刑者が少なくないということに気付いたそうです。厳しく育てて犯罪者になるの?と不思議に思うかもしれませんが、受刑者らの言う「厳しく」は、普通に言う「厳しく」ではなく、内容は「親からの体罰や虐待」だったようです。
たとえばそれは、殴られた、蹴られた、布団叩きやハタキの柄やズボンのベルトなど手近の物で叩かれた、熱い湯茶を浴びせられた、タバコの火を体に押し付けられた、針で刺された、バケツの水の中に頭を押し込まれた、食事を与えられず外に締め出された、紐で縛られ物置で一晩明かしたなどのようです。
ちょっと検索して読んでみると、ネット世論はパッと見9:1か8:2ぐらいで体罰賛成論で占められていますが、おそらく上記のようなもの(特に熱湯、タバコ、針など)は想定していないでしょう。これは「体罰」というよりは、「虐待」と呼んだ方が良さそうです。
●犯罪者の家庭環境調査の結果
作者は受刑者を主観的な判断ではあるものの、以下の三つに分けてみました。
「厳格」(罵倒、体罰、虐待あり)
「普通」
「甘い」(大抵、欲しいものは買って貰えた、わがままが通った)
そもそもこれらが一般人で三等分されるかどうかもわかりませんが、結果として「甘い」 は僅かで、「厳格」 が3分の1以上になったそうです。そして、特に「厳格」 は、暴力団関係者など粗暴犯受刑者(傷害、暴行、恐喝など)、それも少年院歴のある者、累犯者に目立ったとのことです。
この他、柏原智子 「女子犯罪と成人矯正」 『犯罪と非行』 No.138 2003年で、栃木刑務所に服役中の女子受刑者372人の調査結果では、37%の者に幼少時に親からの虐待経験があったという話も紹介されています。
これらの理由としては、暴力的なしつけを受けた人は、親の姿に学び、思い通りに事が運ばなくなると、直ぐにいら立ち、攻撃的な衝動が抑えきれず、暴力的言動を現すためだそうです。
また、さっき少し話した「体罰」の話ですが、作者は基本的に体罰反対のようで、子供が親の望む方向に矯正されたとしても、それは、罰への恐怖の結果であって、自制心、善悪の判断力、良心が育ったわけではないとおっしゃっています。
●犯罪者と虐待経験者に相関性はある?
私は本当に犯罪者と虐待された経験者の相関性があるのかを知りたかったのですが、検索してもそういうデータはありません。どうやらあまり広く研究されていないのかもしれません。
ちょっと関連するのは、
犯罪を起こすのは幼児虐待か、あるいは遺伝子か。 神経症を治すホームページくらいでした。このサイトでは、アメリカの雑誌に載った記事などを翻訳してくださっているコーナーがあり、先のページはHealthScoutNews Reporter (By Adam Marcus) 2002年8月2日などとあります。
このレポートは「何故子供の頃虐待された経験があるのに、あるものは粗暴犯罪に走り、他のものはそうならないのか遺伝子の面から研究した」ものとあり、子供の頃虐待された経験のある人が粗暴犯罪に走りやすいことがそもそもの前提となっているような書き方です。
ということで、直接私の知りたいデータはなかったのですが、犯罪者と虐待経験者に相関性があるのはよく知られた事実なのかもしれません。
ちなみにレポートの内容は、活動が弱いMAOA(モノアミンオキシダーゼA)遺伝子を持つ男子は子供時代に虐待を受けると、普通のレベルで活動するMAOA遺伝子をもつ男子より、反社会的行動をする傾向が高い事が判明したというものです。また、活発型MAOA遺伝子を持つ人は、たとえ児童虐待を受けても反社会的行動を起こしにくいともあります。
犯罪は遺伝子と環境の両方の影響を受け、遺伝子は1つでなく多くの遺伝子が関連していると思われるそうですが、とりあえず、「MAOA遺伝子が弱い & 虐待を受ける = 犯罪を起こしやすい」ということがわかったそうです。
私はこれによって体罰反対を唱えようというつもりは、毛頭ありません。社会で行われる法による罰則というのも、ある意味体罰みたいなもので、それらに抑止効果がないとは直ちに信じられないからです。
ただ「(良いしつけである)体罰」と「虐待」の境界は非常に微妙なものだと思いますし、なぜそれがいけないことなのかを学ぶ方が体罰より大切だということは、最初に引用の作者に賛成します。
●虐待未満の体罰や恐怖を利用したしつけについての研究も発見
2018/04/06;これを書いた当時は特に体罰反対ではなかったのですけど、その後いろいろ読んでいくと、全然体罰や厳しいしつけはダメだとわかりました。例えば、
虐待未満の体罰でも家庭のしつけとしては逆効果 子供の問題行動が増加してしまうでは、虐待ではない体罰でも効果ありとする研究がほとんどないという話をやっています。
さらに体罰まで行かなくても、恐怖を利用したしつけですらむしろダメという研究もあります。こちらは、
恐怖を利用したしつけは逆効果と研究で判明!叱るや「勉強しなさい」も子供の脳に悪影響でやった話。
この投稿のタイトルにもなっているように、そもそも「叱る」の効果もあまり良くないということがわかっています。最初の投稿を書いた当時は、ここまで悪いものだとは予想できませんでした。
こうした結果については、「当然だろう」という反応もあるのでしょうが、自分で勝手に決めつけるんじゃなくて、ちゃんと研究や調査、データなどを探してみるってのは大事です。結果的に正解であっても、直感や思い込みや感情で決めちゃうというのは危険なことですからね。
【本文中でリンクした投稿】
■
虐待未満の体罰でも家庭のしつけとしては逆効果 子供の問題行動が増加してしまう ■
恐怖を利用したしつけは逆効果と研究で判明!叱るや「勉強しなさい」も子供の脳に悪影響【関連投稿】
■
体罰などの体育会系マネジメントはカルト宗教の洗脳手法 精神的に監禁し支配するのが大事 ■
産経新聞、体罰賛成論で岩崎夏海を採用「体罰禁止では問題は解決しない」 ■
海外でも代表監督による暴力(体罰?)問題はある アメリカのショートトラック(スピードスケート)での告発事件 ■
橋下聖子の内部告発者の名前公表要求に見る日本のパワハラ・いじめの背景 ■
内部告発者が匿名なのはおかしい、「痛み」も伝わらない 柔道五輪代表暴力問題で大手新聞社 ■
人生・生活についての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|