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老舗企業柿安本店の赤塚保正社長、伝統を守らずに攻める!


 柿安本店の話をまとめ。<老舗企業柿安本店の赤塚保正社長、伝統を守らずに攻める!>、<高級惣菜店は田舎じゃダメ、都会でなくてはいけない>などをまとめています。

冒頭に追記
2023/09/29追記:
●しぐれ煮は桑名が発祥で地元の名物 柿安本店も桑名市に本社 【NEW】

柿安本店 料亭しぐれ煮詰合せ RA30 [牛肉しぐれ煮詰合せ]




●しぐれ煮は桑名が発祥で地元の名物 柿安本店も桑名市に本社

2023/09/29追記:この投稿を書く前のだいぶ昔、三重県のお土産で何買おうかな~と迷って、何気なく桑名のしぐれ煮を買ったんですよね。で、その後、ここで書いていた柿安本店の話を読んだら、ここも桑名市の企業。以下のサイトによると、しぐれ煮は桑名市名物というか、桑名が発祥だといいます。

農水産物・加工品/伊勢国の玄関口 桑名市観光サイト
<水郷の町、桑名では木曽三川の恵みを受けたはまぐり、海苔などの海産物を中心に、たけのこ、のり、なばな、トマトなど、豊富な自然の味覚を楽しむことができます。江戸時代からの名物「しぐれ煮」や「米油」も桑名が発祥です。>

牛肉しぐれ煮
<桑名に古くから伝わる製法で仕上げた、牛肉のしぐれ煮。すき焼き、しゃぶしゃぶが名物の料亭本店を桑名市に構える「柿安本店」が、厳選された牛肉を素材に、食感を損なわないよう秘伝のタレでじっくりと炊き上げました。ごはんのお供として長年愛されている地元の味です。>

しぐれ煮
<しぐれは桑名を代表する名産品。あさりやハマグリなどの魚介類をたっぷりの醤油と砂糖で炊き、甘辛く調理したものです。素材を浮かしながら炊き上げる「浮かし煮」によってふっくらやわらかく、香り豊かに仕上がります。桑名土産の定番で市内には多くの名店があります。>

柿安本店 - Wikipedia
<株式会社柿安本店[2](かきやすほんてん、英: Kakiyasu Honten Co.,Ltd.[4])は、三重県桑名市に本社を置く食品メーカーである。>
<店舗ブランドとしても採用されている現社名は、創業者である赤塚安次郎が果樹園において柿を栽培しており「柿の安さん」「柿安」と評判になっていたことに由来するという[5]。赤塚は1871年(明治4年)、三重県桑名川岸町(現在の桑名市)において現在の事業の礎となる牛鍋屋を開業した[6]。1968年(昭和43年)11月、株式会社柿安本店として会社法人となり、現在に至っている[6]。>

●老舗企業柿安本店の赤塚保正社長、伝統を守らずに攻める!

2015/7/26:柿安本店の赤塚保正社長は、インタビューアーに「老舗企業にどんなイメージを持たれていますか」と最初逆に質問していました。インタビューアーの方は「一子相伝の技を受け継ぎ、祖業を堅実に守り抜く」と答えましたが、赤塚保正社長は「だとすれば、柿安本店は異質な老舗企業と言えるかもしれません」として、以下のような話をしていました。

<赤塚社長> 創業者、赤塚安次郎が三重県桑名市に祖業である牛鍋店を開業したのは1871(明治4)年。安次郎は柿の行商を生業としていたのですが、幕末から明治にかけ東京界隈で牛鍋が流行っていると知るや歩いて上京し、地元・桑名に牛鍋店を開業しました。
(中略)安次郎だけではありません。私は6代目の社長になりますが、創業者を筆頭に代々の経営者は祖業に縛られることなく、様々な事業に挑んできました。そんな当社ですから「長寿の秘訣を話せ」と聞かれれば、「主力事業が旬の時期を終える前に次の分野を見つけ出し、収益の柱を少しずつ移してきたこと」としか言いようがありません。
([深刻!高齢化社会]なぜ田舎の母は、むやみに和菓子を買い込むのか:日経ビジネスオンライン 鈴木 信行 2015年5月25日より)

 柿安本店 - Wikipediaによると、現在は5事業を主要事業としているそうです。

<精肉・惣菜・レストラン・食品・和菓子の5事業を主要事業としている。店舗ブランドとしても採用されている現社名は、創業者である赤塚安次郎が果樹園において柿を栽培しており「柿の安さん」「柿安」と評判になっていたことに由来するという。赤塚は1871年(明治4年)、三重県桑名川岸町(現在の桑名市)において現在の事業の礎となる牛鍋屋を開業した>


●需要の読みとお値打ち価格が事業多角化の秘訣

 過去に何度も書いているように、私は変わらない企業より変わる企業の方が好みです。とはいえ、ただ単に多角化すれば良いというわけではありません。勝てる事業でなければ意味がないのです。

 私は勝ちやすいものの一つとして「相乗効果・シナジー効果が出せるもの」を想定しています。ところが、赤塚保正社長はそれも否定してしまっており、おもしろかったです。

<赤塚社長> ただ、特徴的なのは、闇雲に次の挑戦先を選んできたわけではないことです。「同じ食の分野だから」「何となく儲かりそうだから」。そんな曖昧な基準で多角化を図ったのではうまくいきません。結論から言えば、柿安本店は、次の2つの条件が当てはまる分野にのみ、事業領域を拡大してきました。(1)人口動態や社会の変化から見て、今後、確実に需要が増える分野、(2)創業から続く経営理念「おいしいものをお値打ちに提供する」ことが可能な分野、です。


●高級惣菜店は田舎じゃダメ、都会でなくてはいけない

 たとえば、総菜店「柿安ダイニング」もそういった基準だったそうです。まず、きっかけは、2001年に発生したBSE(牛海綿状脳症)騒動。それまで柿安は牛肉だけのビジネスを手掛けていました。ところが、BSEという外的要因により、客足がパタリと止まりました。

 そこで、当時社長を務めていた父の赤塚保さんは、総菜事業の強化を掲げ、総菜店「柿安ダイニング」の都市部への大量出店に踏み切ったといいます。最初は父のこの狙いがよく分からなかったというものの、以下のような考えがあってだったといいます。

「日本の都市部では、1人で暮らす人が増えている。彼らが家族を持っても夫婦2人と子供1人といった核家族で、多くは共働きになる」
「さらに、都市部で暮らす人は今後『食』にお金をかけるようになる。地方は『車』⇒『住』⇒『食』の順位でお金を使う。でも都市では車は必要ない、賃貸で暮らすと言う人も多い。となると、お金をかけるのは『食』だ」
「都市部に高級惣菜店を出せば成功する」


●赤塚保正社長の父「今のうちに次の柱を探せ」…大切である理由

 特にいいな!と思ったのが、赤塚保正社長のお父さんが2005年頃、精肉事業もBSEショックから立ち直り、総菜事業進出時のような危機的状況ではなかったのに、「今のうちに次の柱を探せ」と命じていたことです。流行り廃りがあるので、平時のうちに次の準備をしておくことは大切。でも、現実にはなかなかできないことです。

 そこで先の2条件を満たした高級和菓子事業に赤塚保正社長は取り組むことになりました。これは良かったのですけど、「百貨店に出店するのがベスト」という意見については父に却下されていまします。高級和菓子と百貨店自体は合いそうなもので、なぜ却下となったのか不思議なところです。

 しかし、「百貨店には、長い伝統を持つ和菓子屋さんがある。そんな“横綱”の横に店を出して、“新入幕”の柿安が本当に『おいしいものをお値打ちに提供』できるのか」との指摘。なるほどというものです。そこで量販店(おそらく総合スーパーみたいなところ)に進出したんですが、「百貨店と同じく200円前後」だと60、70円が普通の量販店から見て割高感があるので、「120円程度」とさらに工夫しました。

 また、普通の食べ物といっしょに売り場で売る(=レジイン)だと、あまり売れないこともわかりました。一般食品の会計を済ましたレジアウトの方が売れるのです。これは何となく想像できますね。レジで支払いを済ませた後は、「予算通り買い物したから帰ろう」という気持ちが一旦リセットされ、たとえ予算オーバーでも追加でついつい買ってしまうという心理のようです。これもおもしろいと思いました。


●また多角化!フードコートレストランを開始して牛肉以外まで

2019/06/24:柿安本店で検索かけると、柿安本店、出店計画を50店に上方修正 新業態第3ブランド開発: 日本経済新聞(2018年10月24日 19:30)というニュースが出てきました。絶好調なようです。あと、フードコート事業というのをやっていますね。上記の記事では出てこなかった話で、たぶんこれもまた新規事業ではないかと思われます。牛肉ではなく豚肉中心ということで、これもまた伝統とは異なるところが見えていました。

・柿安本店は2019年2月期の出店計画を上方修正。飲食や和菓子事業などの出店数を期初計画より10店増やし、50店とする。過去最多の水準という。
・中でも新業態のフードコート型レストランの出店を加速し、豚肉料理を中心に据えた新たな店の業態開発も進める。幅広い客層の取り込みを狙う。
・同社の主力は精肉や総菜事業だが、百貨店以外の販路拡大策の一環としてフードコート型レストランの出店を加速させている。牛肉料理を提供する「柿安Meat Express」は関東を中心に展開。今期は前の期の出店実績の倍近い10店以上の出店を見込む。
・一方、「第3ブランド」として豚肉料理を提供するフードコート店の開発を進めている。「奇跡の親子丼」や「Meat Express」とすみ分け、フードコートの出店に幅を持たせる。


●赤字が続く飲食店の4割閉店へ…カード情報流出という不祥事も発生

2021/12/25追記:前回の追記のときには、絶好調といった感じだったのですが、新型コロナウイルス問題が直撃して一転して絶不調に。多角化は大事なのですが、小さく失敗するのが良いので、リスクを取りすぎると一気に傾くこともあり、難しいです。柿安本店の場合はどの程度だったんでしょうね。

 また、柿安本店ではオンラインショップでのカード情報流出という不祥事も、新型コロナウイルス問題での飲食店の大量閉店と同じ2021年に発生しており、踏んだり蹴ったりな感じ。情報流出は他社でもよくあるのですが、不正利用の可能性があるというところまで行っており、深刻な方の事例です。

<精肉事業や総菜店などを手掛ける柿安本店は2022年2月期に外食店の2割にあたる8店を閉鎖する。新型コロナウイルスの流行が長引いて客足が落ち込み「レストラン事業」は営業赤字が続いている。収益の責任を明確にするため同事業は6月に設立する子会社に移して、業績の立て直しを急ぐ>
(柿安本店、外食8店閉鎖 コロナで客足減、和菓子11店も: 日本経済新聞 2021年4月19日 19:45より)

<柿安本店は外食店の閉鎖を急ぐ。主力の精肉や総菜の販売店は採算を確保しているが、飲食店は新型コロナウイルスが流行して集客力が落ちている。2021年2月末時点で合計39あった店舗のうち、4割弱にあたる14店を22年2月末までに閉鎖する。4月時点では8店を閉める計画だったが、閉鎖対象店を上乗せする。23年2月期にはビュッフェ店から撤退する>
(新型コロナ: 柿安本店、21年度の外食店閉店上乗せ 全店の4割対象に: 日本経済新聞 2021年10月29日 19:30より)

<精肉や惣菜などを各地のデパートなどで販売する柿安本店は1月19日、ECサイト「柿安オンラインショップ」が不正アクセスを受けて顧客のクレジットカード情報が流出し、一部の顧客のカード情報が不正利用された可能性があると発表した。第三者によってシステムの脆弱性が突かれ、ペイメントアプリを改ざんされたためという>
(不正アクセスでペイメントアプリ改ざん 「柿安オンラインショップ」カード情報集出、不正利用も - ITmedia NEWS 2021年01月20日より)


柿安本店 料亭しぐれ煮詰合せ RA30 [牛肉しぐれ煮詰合せ]




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