ドイツの小学1年生には「いいえ、と言おう」という、日本人には信じられない変わった授業があるんだそうです。おもしろいですね。それ以外にも海外のエピソードが出てきます。あと、「空気を読むのは日本人だけ」というのは言い過ぎではないか…といった話も追記しています。
2010/11/25:
●フランス人は大人も子供も会話が「いいえ」から始まる
●ドイツの小学1年生には「いいえ、と言おう」という授業がある
●空気を読む日本人と「いいえ」と言えるドイツ人の違い
●上辺だけで納得してしまうと「本質」を見失う?
2020/02/17:
●「空気を読むのは日本人だけ」というのは言い過ぎ?海外でもある
●フランス人は大人も子供も会話が「いいえ」から始まる
2010/11/25:
ヨーロッパで仕事するには交渉力が必要 ネゴしない日本人はダメ?では、フランスでは親が子供に何か頼むと、反射的に「Non(いやだ)」と答える子供が多いと聞いて、驚いてしまいました。
これは大人になっても同様で、たいてい最初は「難しい、無理だ」という答えが返ってくるので、お互いに自分の意見を言い、相手の主張を聞き、説得するという作業が、日常的に行われているとのこと。たいへんですけど、これが交渉力の練習になりそうです。
一方、今回はフランスではなく、ドイツの「いいえ」のお話。記事の作者も以前の方とは異なります。ドイツメーカー・アウディなどの車のデザイナーである和田 智さんによる
2010年4月6日 『本質か、現象か』、何を信じるのか? 「いいえ」を教えるドイツ 日経ビジネスオンラインという記事からです。
(2018/03/06追記:今読むと、考察部分にしっかりした根拠が示されないあんまり良くない記事を紹介しちゃったかなと思うのですけど、海外のエピソード的なものは純粋におもしろいと思います)
●ドイツの小学1年生には「いいえ、と言おう」という授業がある
和田 智さんによると、ドイツの小学1年生の授業では、「Nein Sagen(ナイン・ザーゲン)」の授業というのがあるそうです。Nein Sagenは直訳すると「いいえ、と言おう」「違う、と言おう」という意味で、先生に言われたことに対して「いいえ、そう思いません」と答え、そして「なぜそう思わないのか」を説明できなくてはいけないという授業だそうです。
前回のフランスの話でも「生意気な子供ですね」といった感じで茶化しましたが、作者の知人のドイツ人も小学1年生の娘が最近言うことを聞かなくなって困ると嘆いていたそうな。子供はお母さんに何を言われても、「イヤだ。私はそう思わない」とあらゆる屁理屈を並べては面白がっているようです。
作者は日本人なら自分を押し通すばかりではなく、できるだけ相手の意見に耳を傾けるようにと、教育されると書いています。私はどちらかがダメだというのではなく、どちらもそれぞれ個性があっておもしろいと思いますが、フランスやドイツの子供というのは日本人にとっては、とんでもないクソガキに違いありません。
●空気を読む日本人と「いいえ」と言えるドイツ人の違い
さて、ここからドイツの話が展開されるのかなと思いきや、日本の話になっていきます。作者は日本人のこの特性を「日本が誇るべき感性」と言っていますが、実はこの感覚が今の日本の社会におけるこころの問題になっているような気もすると言います。
個性よりも協調性の重視し、Nein Sagenとは真逆の、空気を読むことを小学校時代から学習し、大人になることで、「現象」しか見えなくなり、その反義語である「本質」が見えなくなってしまっているのではないかと指摘しています。
そして、荘子の『欲望に捕われているなら現象しか見る事ができない』という言葉を引用し、人や時の流れに左右されることもなく、最後に信じられる嘘のないもの=本質を見極める仕事をしたいと書かれています。
この作者はデザイナーの方で、日本のデザインは瞬間的ですぐ色褪せるもので、一方のドイツは「重み」があるもの(おそらく後世に残っていくものだということ)だと言っています。
●上辺だけで納得してしまうと「本質」を見失う?
私は「本質を考える」という考え方が結構好きですね。また、開始当初のブログタイトルではわざわざ「ズレた感想」と断っていたように、みんなが右を向いているのに左を向いて、空気を読めないと言われるタイプですので、わりと共感する内容です。
もちろん「できるだけ相手の意見に耳を傾けるように」というのも素晴らしいことですし、私の中にはそういった日本人らしい感覚も色濃く存在しています。
ただ謙虚さや協調性が上辺だけで納得しないままやっていたり、作者が言われるような「現象」に囚われているばかりだったりすると、素晴らしい仕事はできないのかもしれません。
●「空気を読むのは日本人だけ」というのは言い過ぎ?海外でもある
2020/02/17:なお、日本では忖度が強く求められるなど特殊な文化があるものの、「空気を読む」というのが日本人だけ…とまで言っちゃうと言い過ぎじゃないかと思われます。例えば、
場の空気 - Wikipediaでは、海外に関する記述が見られました。
<「場の空気を読む」ということは、「顔色を窺う」ことと同義といってもよい。集団や社会への親和性という面から見れば、周囲の人の反応を意識することであり、他人の表情や言動から、自分の行動への評価を見つけ出すことである。
場の空気を読むことに長ける人は集団への親和性が高くなり、逆に場の空気を読めない人は集団内の人々からの評価が低くなる傾向が見られる。これは日本に限ったことではなく、他の国々でも同様の傾向があると思われる>
<カナダでの調査およびアメリカでの調査でも「場の空気」を読めない人に対する、集団からの評価は次第に低くなる、との結果が出ている>
(ともに内藤誼人『「場の空気」を読む技術』サンマーク出版, 2004年より)
また、同じ書籍による以下のような捉え方も、日本特有のものとまでは言えないであろうという話です。日本が空気を読むことを強いられる傾向が海外に比べて非常に強い…くらいの感覚だと思われます。
<場の空気を読む、すなわち場の空気を意識することは暗黙知であり、心理学ではこのような能力を「社会的知能(ソーシャル・インテリジェンス)」と呼んでいるとしている。そのような能力は「EQ」(情動指数、心の知能指数)という呼び方でも知られ、習得可能なもの(=技能)として捉え、社会技能と呼んでいる。つまり、対人心理学においては、対人関係の巧拙を生得的なもの(=性格)としては捉えない>
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