2020/07/04:
●昭和大病院の教授・講師の6論文で撤回 日米学術誌が不正を理由に
●論文の教授は「日本麻酔科学会の常務理事」…名前もわかりそう
●昭和大学は医学部で入試不正も 女子差別ではなく浪人差別など認める
2020/07/11:
●教授は日本麻酔科学会の常務理事を辞任、講師は昭和大学を退職
●短期間で100論文の時点で怪しい?ノーベル賞候補者と似たパターン
2021/05/31:
●昭和大学・上嶋浩順講師が142論文で不正!大嶽浩司教授も一部共著に問題 【NEW】
産科麻酔の疑問Q&A60
●昭和大病院の教授・講師の6論文で撤回 日米学術誌が不正を理由に
2020/07/04:
昭和大教授ら連名論文6本を撤回 学術誌「不正あった」 大学が調査開始 毎日新聞2020年7月3日 20時03分によると、昭和大病院の教授と講師が2016~19年に連名で執筆した論文計6本について、掲載した日米の学術誌が「不正があった」などとして撤回したといいます。
昭和大学は調査委員会を設置して調査を始めるところでまだ不正認定はなし。ただ、この書き方からすると、学術誌の中には明確に不正があったと言っているところがあるようですね。この撤回された6本の内訳は以下の通り。ただ、今後さらに増えるかもしれません。
日本麻酔科学会の機関誌「JAクリニカルリポート」が16年と18年に掲載した2本
米国区域麻酔学会の学術誌が16年と19年に掲載した3本
米国医学誌「メディシン」が18年に掲載した1本
今後増えるかもしれないというのは、不正を行う人は他でもやっている可能性が高いということが一つ。また、2人は連名の論文を100本以上作成しているということで、論文数が多いために増える余地が大きいとも言えます。世界の不正論文数ランキングは日本人が上位に多いのですけど、また日本から大物が誕生するかもしれませんね。
●論文の教授は「日本麻酔科学会の常務理事」…名前もわかりそう
「大物」ということで言えば、この昭和大病院の教授は日本麻酔科学会の常務理事であるとのこと。前述の撤回論文があった「JAクリニカルリポート」を出しているところです。この情報だけで特定可能な気がしますが、間違いがある可能性があるので私は特定を避けておきます。
とりあえず、
一般の皆様 - 日本麻酔科学会について - 役員・代議員一覧|公益社団法人 日本麻酔科学会に掲載されている「常務理事」は以下の6名。検索してプロフィールを見ると、この中に昭和大学に所属する人がいることも確認できますが、情報が古くて不正疑惑の人とは別人などといった可能性もありますので、十分注意してください。(2021/05/31:最後に名前があった大嶽浩司教授で間違いありませんでした)
<常務理事>
<小板橋俊哉 上村 裕一 齋藤 繁 足立 健彦 小澤 章子 大嶽 浩司>
●昭和大学は医学部で入試不正も 女子差別ではなく浪人差別など認める
なお、昭和大学の不正という話題ですと、例の医学部で流行った入試不正があります。これは当然大学側が悪いと言うしかない話なのですけど、素直に認めた大学だけが損をして、認めなかった大学が損失を免れる…といった状況にもなっており、認めた大学だけ叩くのは微妙な感じになってしまいました。
<昭和大学は2018年10月15日、医学部の入学試験において不正が行われていたことを明らかにした。現役と1浪の受験生に加点していたほか、同窓生の親族を優先的に補欠合格させていた>
<文部科学省から2点の指摘を受けたことを公表した。1点目は、1次試験(学力試験)合格者に対して行われる2次試験時の高校調査書の評価において、現役受験生と1年浪人受験生に加点していたこと。2点目は、一般選抜II期入学試験において、募集定員20名に加え、補欠者の中から昭和大学同窓子女を優先的に合格させていたこと>
(
昭和大学、医学部の不正入試を公表…現役生への加点など | リセマム 2018.10.16より)
●教授は日本麻酔科学会の常務理事を辞任、講師は昭和大学を退職
2020/07/11:論文筆者らは不正を認めず争う…といった感じになるのかな?と思っていましたし、実際、「認めた」とはまだニュースに書かれていなかったはずです。ただ、前述の不正報道の後すぐに、役職などを辞任する…といったことが起きていました。
まず、講師は同昭和大学を既に退職。報道の前にすでに退職していた可能性はあるものの、初報のときは退職したとはされておらず在籍しているという書き方だったため、論文撤回を受けての退職ではないかと予想されます。
また、大物の教授の方ですが、2019年5月に就任しており、21年6月までの任期だった日本麻酔科学会の常務理事を辞任していました。こちらは20年6月25日と日付がはっきりしており、どうやら初報より前だった模様。「一身上の都合により辞任したい」と申し出があり、学会側が受理したといいます。
(
論文撤回の昭和大病院教授、日本麻酔科学会の常務理事を辞任 連名で執筆の講師は退職 毎日新聞2020年7月10日 18時05分より)
初報より前に辞任していたため、前回リンクした
一般の皆様 - 日本麻酔科学会について - 役員・代議員一覧|公益社団法人 日本麻酔科学会はすでに該当者が辞めた後だった可能性もありますので、該当者を断定しなくて良かったですわ。なお、今確認すると、前回よりお名前がひとり減っています。前回見たときに、昭和大学所属だと当たりをつけていた人でした。
●短期間で100論文の時点で怪しい?ノーベル賞候補者と似たパターン
あと、前回、撤回論文が増えるのではないか?と書いたのですけど、すでに別の米国の学術誌も論文1本の撤回作業に入っているとも報じられていました。また、2人は連名の論文を100本以上作成しているという話に絡んで、15~20年という短い間に量産されていたという情報も重要そう。しかも、これがすべて同じこの米国の学術誌だといいます。学会関係者によると、特定の研究者の論文がこれだけの数、一つの学術誌に掲載されることは「一般的ではない」とのことでした。異常に見えますね。
論文量産でなおかつ不正が疑われるというパターンとしては、
ノーベル賞候補と言われていた井上明久・元東北大総長に不正疑惑を思い出します。両者とも大物だったというところも共通点。画期的な不正論文や論文の多さによって出世してしまう場合もあるため、このように大物に不正疑惑が出ることがあります。
一方、大物にありがちな不正のもみ消しは今回起きていなかった様子。どこが最初に不正による撤回を決めたかわからないのですけど、日本の大物研究者に忖度しない海外の学術誌が不正を指摘して…といったパターンかもしれないと想像しました。いずれにせよ隠蔽されなくて良かったですね。
産科麻酔の疑問Q&A60
●昭和大学・上嶋浩順講師が142論文で不正!大嶽浩司教授も一部共著に問題
2021/05/31:
世界記録?上嶋浩順・昭和大学講師が大量の捏造や改ざんで不正というのを、このページの話の続報だと気づかずに新規投稿。当初から今後大量に増える可能性を指摘していたのに、すっかり忘れていました。142本の論文に不正が指摘されているという、マジで世界トップクラスの問題に発展しています。
また、そちらのタイトルでわかるように講師のお名前が判明。上嶋浩順・昭和大学講師でした。プロフィールなどは新しい方の投稿で書いていますが、
産科麻酔の疑問Q&A60(共著)などの書籍を出すなど、むしろ評価は高い人だったそうです。報告書では。評価が高いからこそチェックされなかったという指摘でした。
それから、このページの件の続報だと気づかなかったせいで、重要情報じゃないと思って向こうを書いたときには紹介しなかったのですが、大嶽浩司教授の話もニュースでは出ています。捏造や改ざんなどには加担していなかったものの、一部の論文で不適切に共著者になっていたとして、降格の処分となっていました。
【本文中でリンクした投稿】
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ノーベル賞候補と言われていた井上明久・元東北大総長に不正疑惑 ■
世界記録?上嶋浩順・昭和大学講師が大量の捏造や改ざんで不正【関連投稿】
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