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ゲノム編集CRISPRーCas9のノーベル賞、本来は日本人が受賞すべきだった?


2020/10/10:
●ゲノム編集CRISPRーCas9のノーベル賞、本来は日本人が受賞すべきだった?
2015/7/29:
●京都大学などが「ゲノム編集」でマダイを1.5倍の大きさにすることに成功
●より正確な遺伝子組み換え技術「ゲノム編集」
●画期的なゲノム編集技術 CRISPR-Cas9システムが転機に
●ゲノム編集には一方で倫理的な問題も
●ヒト受精卵でのゲノム編集は時期尚早?
2018/06/27:
●がん治療期待のゲノム編集の新手法でがんリスク増大の可能性
2019/09/20:
●大半のゲノム編集食品、日本では「表示義務なし」と政府が決定


●ゲノム編集CRISPRーCas9のノーベル賞、本来は日本人が受賞すべきだった?

2020/10/10:このページで書いていたゲノム編集の手法、「CRISPRーCas9」(クリスパー・キャスナイン)が、ノーベル化学賞の受賞対象となりました。画期的でなおかつ実用性が高いために、ノーベル賞受賞は当然だと私も思います。

 この受賞に関連して、<ノーベル化学賞 受賞のもとになる発見をした日本人研究者は>(NHK 2020年10月7日 21時34分)などの記事が出ていました。たぶんそういう意図ではないと思うものの、本来は日本人も受賞すべきだったというニュアンスを感じ取れなくもない記事。韓国がこういう記事を出していたら、たぶんボロクソに叩かれていたと思います。

 肝心の中身ですが、中田篤男・大阪大学名誉教授は、以下のように、当時はどういう意味なのかわからず何の役に立つかもわからなかったといった話をされてます。また、いっしょに研究した石野良純・九州大学教授も「私も『CRISPR』の発見者といわれ非常に光栄です。(中略)私が『CRISPR』を発見した時には何をするものかまったく分かりませんでした」とおっしゃっていました。

<ノーベル化学賞の受賞対象になったゲノム編集の手法、「CRISPRーCas9」(クリスパー・キャスナイン)のもとになる、DNAの塩基配列を1980年代に発見した大阪大学名誉教授の中田篤男さん(90)は「私たちの発見に意味づけをしてくれてとてもありがたいし2人が受賞してうれしい」と話していました。
中田さんは、大阪大学で大腸菌の遺伝子の解読に取り組み、1987年、当時、研究生だった九州大学教授の石野良純さんらと大腸菌の遺伝子に規則的に並んだ塩基配列の繰り返しがあることを発見しました。
この塩基配列の繰り返しは、ほかの細菌にも存在し、細菌がウイルスに感染した際に、ウイルスのDNAの一部を取り込んで記憶し、次の感染に備える免疫の働きを持つことが分かり、のちに「CRISPR」と名付けられました。
その後、「CRISPR」の仕組みを応用して狙ったとおりに遺伝子を切断したり、挿入したりすることができるようになり、簡便で精度がきわめて高いゲノム編集の方法が確立されました。
中田さんは「当時、繰り返し現れる配列が何を意味するのか分かっておらず、ゲノム編集に使われるようになるとは思ってもいなかった。私たちの発見に意味づけをしてくれてとてもありがたいし2人が受賞してうれしい」と話していました>
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201007/k10012652881000.html


●京都大学などが「ゲノム編集」でマダイを1.5倍の大きさにすることに成功

2015/7/29:京都大学の木下政人助教と近畿大学などのグループが、「ゲノム編集」と呼ばれる技術を使い、高級魚として知られる「マダイ」を通常の1.5倍程度の重さにまで大きくすることに成功したそうです。

 「ゲノム編集」というのは、これまでの遺伝子組み換え技術よりもはるかに正確に遺伝子を操作できる技術で、ここ数年、急速に研究が進んでいたものです。研究グループは、この技術を使い、高級魚として知られるマダイで筋肉の量を調節している「ミオスタチン」という遺伝子を操作しました。

 その結果、ふ化して1年の時点で、大きいもので通常の1.2倍から1.5倍の重さにまで育つマダイを作り出すことに成功したということです。
("「ゲノム編集」で1.5倍の大きさの魚に NHKニュース" 7月29日 18時54分より)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150729/k10010171241000.htm

 ミオスタチンは昔、筋肉量を調節するミオスタチンって何?でやっています。筋肉でムキムキのマウスなんてのも作られていました。

 食品としての安全性は、今後の検討というところ。ただし、この技術を使って魚の品種改良が本格的に始まる可能性があるとされており、木下助教は「ゲノム編集により水産物の品種改良が大きく進めば、食糧問題にも貢献できると考えられる」と乗り気でした。


●より正確な遺伝子組み換え技術「ゲノム編集」

 上記では、「ゲノム編集」をこれまでの遺伝子組み換え技術よりもはるかに正確に遺伝子を操作できる技術と説明していました。

 他に、生物の遺伝子をねらいどおりに操作できる技術で、いわば生命の設計図を自在に書き換えることができるものだとも書かれていました。これまでにあった「遺伝子組み換え」技術との大きな違いは、「偶然」ではなく「ねらいどおり」に操作できる点。

 この説明だと誤解を招きそうですけど、「遺伝子組み換え」の場合も狙ってやっているものです。ただし、「遺伝子組み換え」は特定の場所に別の遺伝子を入れる作業は何千回、何万回試して初めて入れることができるという確率の低さ。これを「偶然」に頼っていて、簡単ではないと説明していました。

 一方、「ゲノム編集」の技術はもっと正確に、ねらいどおりにできるようにしようと開発されてきたものだといいます。


●画期的なゲノム編集技術 CRISPR-Cas9システムが転機に

 ブレイクスルーとなった技術は、「クリスパー・キャス法」というものだそうです。検索してみると、CRISPR-Cas9システム(CRISPR/Casとも)といった言い方が多い感じです。NHKの説明では以下でした。

"鍵となったのは、遺伝子を切り貼りするはさみの役割をしている物質をねらった場所に届ける技術の開発です。1990年代からいくつかの方法が開発されてきましたが、おととし発表された「クリスパー・キャス法」という新たな方法が画期的で、一気に研究が進むことになりました。「クリスパー・キャス法」では、遺伝子の特定の場所を探しだし、そこに、はさみの役割をする物質を誘導することができます。狙った遺伝子を働かなくさせたり、その場所に別の遺伝子を入れたりすることが簡単かつ正確に行えるようになり、研究が急速に進展するようになったのです"

 別サイトの説明も見ましたが、長いので導入部だけ紹介します。
特集:CRISPR-Cas9 とは | DNA二本鎖を切断してゲノム配列の任意の場所を削除、置換、挿入することができる新しい遺伝子改変技術 | コスモ・バイオ株式会社

DNA二本鎖を切断してゲノム配列の任意の場所を削除、置換、挿入することができる新しい遺伝子改変技術

CRISPR-Cas9(clustered regularly interspaced short palindromic repeats / CRISPR associated proteins)とは、DNA二本鎖を切断(Double Strand Breaks=DSBs)してゲノム配列の任意の場所を削除、置換、挿入することができる新しい遺伝子改変技術です。

●ゲノム編集には一方で倫理的な問題も

 この手の技術は大抵倫理的な問題を言われます。ゲノム編集では、既に人間に適応された例があるようですね。

 NHKによると、2015年4月、中国の広州市にある大学の研究チームが、ゲノム編集の技術を使って、ヒトの受精卵で血液の病気に関する遺伝子の改変を行ったと論文で発表しました。専門家は、この技術がヒトに応用された世界で初のケースではないかとしていました。

 しかし、同時に、ゲノム編集の技術をヒトでどのように応用していくのか議論が必要だとしていて、技術を利用するうえでの基準やルール作りの必要性も指摘されていたといいます。


●ヒト受精卵でのゲノム編集は時期尚早?

 この中国の件はもう少し見てみましょう。中国が人間の受精卵で「ゲノム編集」 欧米で大論争 〈AERA〉|dot.ドット 朝日新聞出版(更新 2015/5/19 16:00) という記事がありました。
 中国でついにヒト受精卵の「ゲノム編集」が行われた。簡単かつ正確に遺伝子を操作する技術「ゲノム編集」を受精卵に使えば、生まれる前に病気を治す可能性を開くが、一方でまだ未熟な技術を使えば子孫にどんな影響が出るか分からないから、研究を停止したほうがいい──ノーベル賞受賞者を含む専門家が、こう呼びかけるなど、欧米で議論が盛んになっている。(中略)

 論文によると、目的はゲノム編集技術がヒトの受精卵でも使えるかどうかを試すこと。ただし、使ったのは、精子2個分の染色体が含まれる異常な受精卵。不妊治療クリニックから提供を受けたものだという。狙いは、血液に含まれるたんぱく質を作る遺伝子の改変。この遺伝子に異常があると重い貧血を起こす病気になる。受精卵86個を使った実験の結果、28個で狙い通りに遺伝子を切断できた。ただ、異常な受精卵を使ったためか、成功率が低すぎるので、実験を打ち切ったという。狙った場所以外での遺伝子切断が多数起こることも分かった。

 研究チームは、英科学誌ネイチャーの記者に、同誌や米科学誌サイエンスは、この論文を倫理的な観点から受理しなかったと語っている。

 こういう画期的な技術は個人的にはワクワクするものです。ただ、何だかわからない漠然とした不安や反発を呼ぶことも多いです。

 従来の遺伝子組み換え技術に対しても、現在、相当な抵抗があります。ゲノム編集についても悪いイメージが定着してしまわないように慎重にやって欲しいんですが、功名心に駆られた一部の研究者が先走ることは防ぎきれないかもしれません。


●がん治療期待のゲノム編集の新手法でがんリスク増大の可能性

2018/06/27:ゲノム編集のマイナス面の話で追記。当初の投稿で書いたCRISPR/Cas9(クリスパー・キャス9)は、ノーベル賞候補と言われるほどの画期的な技術です。がんの治療に実際に使用できるかどうかも現在調べられている期待の技術でした。

 ところが、がんの治療も期待されるこの手法に、がんのリスクが高まる恐れがあるとの研究成果を、スウェーデンのカロリンスカ研究所などのチームが米医学誌ネイチャー・メディシンに発表しました。

 研究チームは、ヒトの網膜細胞を使った実験で、クリスパー・キャス9で編集しやすい細胞としにくい細胞があり、それは遺伝子の修復に関わるがん抑制遺伝子の働きに左右されることを見つけました。うまく編集できる細胞はがん抑制遺伝子があまり働いていない一方で、抑制遺伝子がよく働いている細胞は編集が難しくなっていました。
(ゲノム編集でがんリスク増大か ノーベル賞候補の技術:朝日新聞デジタル 福地慶太郎、戸田政考 2018年6月18日12時00分より)

 別記事によると、これは現在のクリスパー・キャス9自体ががんリスクを高めるという意味ではなく、クリスパー・キャス9のより有効的な方法に問題がある…という意味のようです。

(1)研究チームは、CRISPR/Cas9の治療効果をさらに高めるための研究を行っている。
(2)研究により、p53遺伝子がCRISPR/Cas9によるゲノム編集の効率が下がってしまうことことわかった。またp53遺伝子は、切断する時に細胞の成長を制御していることもわかった。
(3)CRISPR/Cas9の治療効果を高めるにはp53遺伝子の働きを抑制する必要がある。
(4)しかし、p53遺伝子はの活動を抑制すると、DNA切断後の細胞の成長を制御できなくなることにつながるため、最終的にこの細胞がガンの原因になってしまうリスクがある。
(ゲノム編集技術「CRISPR/Cas9」による治療はガンのリスクを高める可能性があると研究者が指摘 - GIGAZINE 2018年06月12日 13時00分より)

 このため、「ゲノム編集技術クリスパー・キャス9による治療はガンのリスクを高める可能性がある」ではなく、「ゲノム編集技術クリスパー・キャス9をより効率的にした治療はガンのリスクを高める可能性がある」と言った方が良さそうでした。


●大半のゲノム編集食品、日本では「表示義務なし」と政府が決定

2019/09/20:遺伝情報を効率よく変えられる「ゲノム編集」を使った食品についての対応が決まり、消費者庁が発表しました。その対応は以下の通り。現在あるゲノム編集食品は、このうち1つ目の「狙った遺伝子を壊して変異を起こす手法」がほとんどだそうです。

狙った遺伝子を壊して変異を起こす手法 → 表示を義務化しない
外部から遺伝子を導入する手法 → 遺伝子組み換え食品と同じように安全性を審査し、表示も義務付ける
(ゲノム編集食品、届け出したら表示を 義務化は見送り:朝日新聞デジタル 野村杏実 2019年9月19日18時28分より)

 表示を義務化した場合、違反した事業者を特定して処分する必要がありますが、現時点ではゲノム編集と従来の品種改良を判別する検査法がないというのが、表示を義務化しなかった理由だとのこと。

 一方で、消費者からゲノム編集食品かどうかを知りたいという声があることから、厚労省に届け出があった食品やそれを原材料とする加工食品については「積極的に情報提供するよう努めるべき」だとしたといいます。この書き方だとわかりづらいですけど、どうも国はお願いするだけで、特にルールは作らない感じです。

 ゲノム編集食品かどうかを知りたいという需要があるということは、逆にゲノム編集食品でないことを示す表示にも需要があることわかります。「遺伝子組み換えではない」のゲノム編集版ですね。

 このゲノム編集食品でないことを表示する場合は、流通管理の取引記録など根拠となる資料に基づいて表示するよう求めるとされていました。これもわかりづらい書き方なんですけど、ある程度ルール化されているようで、「ゲノム編集を使っていない」と表示するのはちょっと面倒くさそうな感じです。


【本文中でリンクした投稿】
  ■筋肉量を調節するミオスタチンって何?

【関連投稿】
  ■米で農薬の効かないスーパー雑草出現!遺伝子組み換え作物のせい?
  ■週刊文春「今のところ、遺伝子組換えの食塩はない」で恥を晒す
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