東京オリンピック中止を!という声があるのですが、実は過去にマジでオリンピック返上ってのがあったという話。しかも、その例というのが日本の東京でした。東京五輪がその返上を申し出たオリンピックだったそうなんですよ。全然知りませんでしたわ。
2019/11/04追記:
●もう東京オリンピックはやめたら?世界に宣伝される醜い日本の姿
2020/12/20追記:
●東京オリンピック「中止すべき」が「開催すべき」を上回る
●五輪なんかやめろ!選手村施設を作る木材、地方に無償提供求める組織委
2015/7/30:今回の投稿は2016年の秋だったかな? とにかくだいぶ前に書いていたものです。投稿するタイミングを逃していたものの、"東京五輪 選手村の交流施設を作る木材 全国から無償で募集"(NHK 7月25日 7時08分)という記事を見て、これとセットにしようと思いました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170725/k10011072751000.html
記事によると、東京オリンピック・パラリンピックの組織委員会は、選手村施設の屋根や壁などに使う木材を全国の自治体から無償で提供してもらい、大会後は各自治体で東京オリンピックのレガシー=遺産として活用してもらう取り組みを始めることにしたとのこと。なんでもレガシーって言えば済むと思っているんですかね?
組織委員会は「木材を全国から募ることで大会機運の醸成につなげ、コスト削減と大会の記憶が残る取り組みにしていきたい」とも話しています。でも、このコスト削減というのは、地方のことを全く考えていません。
はてなブックマークでは、当然反発コメントが人気していました。
“金持ってる東京が、田舎にたかるとかふざけんじゃねえよ。林業振興のためにも普通に買ってやれよ、バカじゃないのか。”(toronei 2017/07/25)
“なんて偉そうな乞食だ”(timetrain 2017/07/25)
“戦時中の金属供出を思い起こさせる。”(takuzo1213 2017/07/25)
“金を使うべきところには使わないくせにどうでもいいとこにはクソみたいに垂れ流すああもうほんとクソ。”(wideangle 2017/07/25)
オリンピック中止を願う声ももちろん出ています。さらに、施設建設にとっても良い方法ではないのではないか?という疑問の声も出ていました。
“五輪返上しろ、乞食が。林業が盛んな自治体はこんな募集に公募せず抗議した方がいい。戦時下の徴用・供出と何が違うんだよ。バカにしすぎ”(kaeru-no-tsura 2017/07/25)
“これ資材の種類がどうしようもなくバラバラになって建設会社が困るやつだ.しかも全部使い切る縛りがつくだろう”(lumely 2017/07/25)
●大会開催準備基金の豊富さが東京五輪の売りだった
というか、そもそも東京五輪招致のとき、日本は「お金がある」というのをセールスポイントにしていませんでしたっけ? お金の話をアピールしたことは、当時賛否両論だった覚えがあります。確かライバルのマドリーは資金力に問題があったはずで下品である一方で、効果的なアピールだといった評価の声も聞かれました。
で、確認してみると、猪瀬直樹知事(当時)がやっぱり金持ちアピールしていました。なぜか小池都知事のせいにしている人が多いですけど、一番問題だったのは猪瀬直樹知事時代で、誘致は石原慎太郎時代からの流れですからね。小池都知事をスケープゴートにするというのは無理があります。
「私たちは、大会開催によって、都市とスポーツに新しいレガシーをもたらします。45億米ドルもの大会開催準備基金がそれを可能にします。大会が終わった後も、常設のスポーツ施設として残る10の競技会場整備に必要な資金を、すでに保有しているのです」
(
オリンピック東京プレゼン全文、安倍首相や猪瀬知事は何を話した?(IOC総会・プレゼン内容) The Huffington Post 投稿日: 2013年09月08日 02時16分 JST 更新: 2013年12月19日 07時08分 JSTより)
しかし、その後の日本のドタバタを見てみると、資金力が豊富というイメージとは、実態があまりにもかけ離れていますよね。東京オリンピックでは費用関係で嘘が多数出ている他、会場に関しては小池都知事がやはり地方に負担を転嫁しようとして反発されていました。お金の関係はかなり嘘をついた上で、招致したのだと思われます。
●日本は過去に東京オリンピックを返上した実績がある
ここからもともと下書きで書いていた話。
不正誘致ならロンドン五輪の報道も日本人は歓迎、東京五輪返上ムードが蔓延で書いたように、一時は東京オリンピック中止歓迎のムードがありました。
でもさすがに中止するわけには行かないだろう…と思っていたら、過去には本当に中止になった東京オリンピックがあったと知って驚きました。
東京オリンピック (1940年) - Wikipediaでは、以下のように書かれています。
<東京オリンピック(とうきょうオリンピック)は、1940年(昭和15年)に日本の東京府東京市(現・東京都区部)で開催されることが予定されていた夏季オリンピックである。
史上初めて欧米以外の有色人種国家であり、アジアで行われるオリンピック大会、そして紀元二千六百年記念行事として準備が進められていたものの、日中戦争の影響等から日本政府が開催権を返上、実現には至らなかった>
●東京オリンピック中止の理由は主に日中戦争
中止の理由は主に日中戦争とのことですが、そりゃそうですよね。オリンピックなんてやっている場合じゃないですし、海外の人だって戦争をやッている真っ最中の国に来たくありません。
<国内からの反対意見>
<開催に向けた準備が進む一方で、1937年3月に衆議院予算総会で河野一郎(政友会、後に日本陸上競技連盟会長)が「今日のような一触即発の国際情勢において、オリンピックを開催するのはいかがと思う」と発言。実際に前年までヨーロッパとアフリカでは第二次エチオピア戦争が起きており、またこの発言のその4か月後に盧溝橋事件が起こり、その後日本軍と中華民国国軍の戦闘区域が拡大し「支那事変」(日中戦争)と呼ばれるようになると、陸軍が軍内部からの選手選出に異論を唱えた。また各種団体からの満州国選手団の参加を求める抗議行動が続いていた>
また、日本は戦争に忙しいというだけでなく、経済的にも苦しかったようです。
<1938年に入ると日中戦争の長期化により鉄鋼を中心とした戦略資材の逼迫した為競技施設の建設にも支障が生じ、東京市の起債も困難となってきた。さらに陸軍大臣・杉山元が議会においてオリンピック中止を進言し、河野が再び開催中止を求める質問を行うなど、開催に否定的な空気が国内で広まった。それまでオリンピック開催を盛り上げる一翼を担ってきた読売新聞や東京朝日新聞などでは、オリンピック関係の記事がこの年から打って変わって縮小している。
さらに、軍部からの圧力を受けた内閣総理大臣・近衛文麿は、同年6月23日に行われた閣議で戦争遂行以外の資材の使用を制限する需要計画を決定し、この中にオリンピックの中止が明記されていたことから、事実上オリンピックの開催中止が内定した。
(中略)東京での開催に大きな役割を果たした嘉納治五郎がカイロからの帰途で病死するに至り、日本政府は1938年7月15日の閣議で開催権を正式に返上した>
●海外からも当然反対の声 日本代表の説明がひどくさらに失望される
また、海外でも反対意見が出ていたようです。これは十分に理解できることなのですが、理解できないのが、日本がそれにまともな反論もできなかったということです。
<国外からの反対意見>
<カイロ総会前には、中国大陸における利権をめぐって日本と対立していたイギリスやイギリス連邦を構成する自治領オーストラリアだけでなく、大会開催権を争っていたフィンランドからも中止(とヘルシンキでの代替開催)を求める声が上がっており、さらに日中戦争の一方の当事国である中華民国は開催都市変更を要望してきた。このような状況下にあるにもかかわらず、
「中国大陸での動乱が収まらなかった時は中華民国の選手の出場はどうするのか」という質問に対し、カイロ総会に至っても軍部のプレッシャーを受けて足並みが揃わなかった日本側委員は満足な回答をすることができず、外国委員を失望させた。>
●オリンピックはいつの時代でも税金を無駄にする 海外にバラマキ提案も
Wikipediaでは、東京市が1930年から返上までの間、拠出した五輪関係費用は90万円以上にのぼるという話もありました。90万円と聞くと大したことないように感じますが、現在とは物価が違います。おそらく当時は相当な大金だったのでしょう。
軽く検索したら、当時は大卒初任給が70円くらいだったとのこと。今の大卒初任給が20万円だとすれば、およそ2857倍の価値。これを元に当時の90万円を計算して現在の価値に直すと、25.7億円です。
あと、この金額を見てあれ?と思ったのが、「欧米から遠く離れていることによる旅費・時間の問題」に対して、東京市が「参加希望国当たり100万円の補助を行う」と反論していたことです。さっきの計算なら、1カ国あたり28.6億円も払うという話。こっちの方があり得なくて、さすがに誤記じゃないかと疑います。気が狂っていますわ。
でも、マジでその金額を各国にばらまこうとしていたのでしたら、昔から税金の使い道が間違っていたんだなと思わせる話です。
●もう東京オリンピックはやめたら?世界に宣伝される醜い日本の姿
2019/11/04:
全競技を札幌開催? もう東京オリンピックはやめたらどうか | 文春オンラインという記事があったので読んでみたら、山本一郎さんの記事でした。記事では各所への批判があり、IOCや小池都知事への批判もあるのですけど、一番問題なのは、東京に問題があるのに最高の環境だと嘘をついて誘致した当時の猪瀬直樹知事の東京都や安倍首相の日本政府の問題です。
「アメリカのプロスポーツイベントのせいで夏にやらなきゃいけなくなった」というIOCやアメリカへの責任転嫁がマスコミやネットの一部であるものの、そもそも「東京では夏にできません」と正直に言っていれば起きなかったこと。詐欺にあった企業に対して、詐欺師を叩かずに被害にあった企業の方を叩くようなものは同意できません。
とりあえず、記事ではすべてにおいて問題があるということで、山本一郎さんらしく全方位ぶった切り。そして、日本の国威を示すべき一大イベントのはずなのに、衰退しつつある日本の有様を世界に発信したいのかと思えるような、実に残念な状況だけが世界に良く知られてしまうという不思議な結末になっている、としていました。
はてなブックマークでも、以下のようなコメントが一番人気になっています。
<ほんと、日本の悪いところが全部集約されたかのようなイベントだよね。日本を知ってもらう。という目的は絶賛大成功中ですね。よかったですね。世界にアッピールできて>(cordante1980)
さすがにここまで来て返上はいろいろと無理でしょうけど、
東京五輪買収不正誘致なら英開催の報道も日本人は歓迎、中止返上ムードが蔓延の方で書いたように、買収不正問題のときに日本が五輪返上したらむしろカッコよかったと思うんですよ。「不正はしたけどそれを潔く認め反省する日本」として、世界から称賛を浴びたでしょう。私はそういう日本の方が好きです。
●東京オリンピック「中止すべき」が「開催すべき」を上回る
2020/12/20:その後、東京オリンピックが全く別の理由で中止危機になるという予想外なことになりました。まず、新型コロナウイルスの感染が世界中に拡大して、日本も世界もオリンピックどころではなくなり、翌年に延期に。さらに延期にはしたものの、2021年に問題が解決するという根拠は特にない状態で、そのまま2021年まであとわずかというところまで来ています。
そんな中で、NHKが2020年12月に、東京オリンピック・パラリンピックの開催について世論調査を行いました。実際には、他の調査とのセットであり、例えば、桜を見る会前夜祭についての安倍前総理大臣の説明についても尋ねています。こちらでは、「大いに納得している」が2%、「ある程度納得している」が11%しかいないという結果になっていました。
一方、うちの投稿のテーマである東京オリンピック・パラリンピックの開については、「開催すべき」が27%、「中止すべき」が32%、「さらに延期すべき」が31%という結果に。安倍前総理大臣の説明への納得感ほど圧倒的な結果ではないものの、「中止すべき」が「開催すべき」を上回る結果になりました。
実を言うと、NHKは10月に同じ質問をしています。その際には、「開催すべき」が40%、「中止すべき」が23%、「さらに延期すべき」が25%でしたので、中止の声は今より少なく、「開催すべき」という人ももう少し多かったようです。前回の調査後、新型コロナウイルス感染者が急増したことが影響を及ぼしているようでした。逆に言うと、冬が終わって感染者が減ると、また「開催すべき」が増えてくるかもしれませんね。
【本文中でリンクした投稿】
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