
●右派・保守派はサザエさんが好き?「もう一度サザエさん」が総裁賞に
2015/8/12:保守派(右派)の方は古き良き大家族というのが好きだと感じることが多いです。以前、
サザエさん一家は日本人の理想の家族像ではない 7,8割が否定的で書いたように、「もう一度サザエさん・ちびまるこちゃん」という作品が、論文募集みたいなもので、最高賞である「自由民主党総裁賞」を授与していました。
「ウーマノミクス」女性の感性を政策に! | 女性局の活動 | 自由民主党 女性局の「ウーマノミクス 決勝審査 発表概要 2011年02月15日」では、少し説明があります。内容を見ると、やはり多世代同居の大家族が大好き!といった感じ。政府がこうした多世代同居、あるいは、それに似た形を増やすように支援すべきといった主張が出ています。
<近年、「個」を尊重する社会が進み、「無縁化」や「孤独死」が現実のものとなり、将来への不安を抱く世代が増えている。これは、多世代同居という日本の家族の形が崩壊したことに由来すると考えられる。
今一度、サザエさんやちびまるこちゃんの家庭のような多世代同居、「味噌汁の冷めない距離」でのつながりを取り戻すための政策を提言する。
(1) 同居だけではなく、隣居、近距離居住を促進するための税制を取り入れる。
(2) 企業に対し、勤務地や就業形態など、従業員が親と同居することに配慮した場合の優遇策を整備する>
●サザエさん作者、戦時中は翼賛一家大和さんという漫画を書いていた
というわけで、サザエさんはは右派に愛される漫画というイメージがあったのですけど、驚いたことにサザエさんの作者である長谷川町子さんは戦時中は大政翼賛会に協力する漫画を書いていらっしゃったそうです。こりゃ、保守派の方はますますサザエさんを応援しなくちゃいけません!
翼賛一家大和さん - Wikipediaによると、『翼賛一家大和さん』(よくさんいっかやまとさん)は、「アサヒグラフ」に1941年2月5日号から同年5月14日号まで連載された長谷川町子の日本の4コマ漫画作品。全15話だったそうです。
なお、この翼賛一家というのは、長谷川町子さんのオリジナルではなく、漫画家の国策団体である新日本漫畫家協會が作ったもの。そもそも『翼賛一家』は大政翼賛会に協力するために作られたもので、この翼賛一家に関する漫画は、実は長谷川町子さん以外も書いています。
翼賛一家 - Wikipedia
『翼賛一家』(よくさんいっか)とは、日本の第二次世界大戦中、複数人の漫画家によって描かれた家族物の漫画作品である。漫画家の国策団体である新日本漫畫家協會が大政翼賛会に協力するために、1940年に創作された。戦時中の模範的な家族像として「大和家」が設定され、多くの雑誌にこの一家の物語が掲載されたり単行本が発表されたりした。雑誌は例えば、『寫眞週報』(情報局)、『漫画』(新日本漫畫家協會)、『週刊朝日』(朝日新聞社)などである。たくさんの漫画家が翼賛協力金を払ってこの漫画の執筆権を買ったのだが、執筆陣は秋好馨、井崎かずを、近藤日出造、筑摩鐵平、中村篤九、那須良輔、長谷川町子、松下井知夫、村山しげる、矢沢茂四、山川哲、山崎善一、山本一郎などなど有名無名多岐にわたっている。
また、漫画以外にも1941年3月、「大和一家數へ唄」(新日本漫畫家協會作詞、古賀政男作曲、古川ロッパ、若原春江歌)や、「新體制家庭音頭」(サトウ・ハチロー作詞、古賀政男作曲、伊藤久男、霧島昇、松原操、菊地章子歌)という二曲を収録したレコードが日本コロムビアから発売された。
●『翼賛一家』はやっぱり大家族!サザエさん以上に家族が多い11人!
『翼賛一家』は「大和一家」とも表記されていますが、以下のような構成。サザエさん以上の大家族でした。祖父祖母、父母、子供七人と、11人もの大家族だったそうです。キャラクター原案も設定されており、各漫画家の作品に統一感を出していたそうです。
・賛平(さんぺい) - 一家の長。48歳。中学校の体育教師をしている。頭が禿げている。
・たみ子(たみこ) - 賛平の妻。45歳。七人の子の母。働き者。
・武士(たけし) - 賛平の父で隱居をしている。77歳。年の割に矍鑠。白い髯を蓄えている。
・ふぢ - 武士の妻。70歳。病気知らずで智識慾が旺盛。スバズバ物を言うのを好む。
・勇(いさむ) - 賛平の長男。25歳。会社員。熱血漢で行動力が強い。坊主頭。
・さくら - 賛平の長女。21歳。華美な服装、化粧を嫌う。
・二郎(じろう) - 賛平の次男。20歳。大学生。スポーツ万能。
・みさを - 賛平の次女。17歳。女学生。栄養食の探究が趣味。
・三郎(さぶろう) - 賛平の三男。12歳。小学生。よく頭に折り紙のかぶとを被っている。
・稻子(いねこ) - 賛平の三女。8歳。小学生。天衣無縫で純真無垢。
・昭子(あきこ) - 賛成の四女。2歳の赤ちゃん。
「賛平」の「賛」はたぶん「大政翼賛」の「賛」。苗字の「大和」は日本の象徴、「ふぢ」は「富士山」、「さくら」は日本の心である「桜」といった感じで、日本らしい名前が多いですね。「武士(たけし)」も「武士(ぶし)」由来でしょう。また、勇、昭子あたりも戦時中らしさがあります。二郎、三郎を含めて実際に当時多かった名前だったとも言えそうでした。
●内容はいたってほんわか路線 極めて重要な『翼賛一家大和さん』の存在
『翼賛一家大和さん』は、大政翼賛会に協力するために作られたので中身も生々しいのかと思いきや、内容が紹介されている
長谷川町子 幻の作品『翼賛一家大和さん』第一回 はじめに: 東雲ストライク!(2008年01月05日)を見ると、ほのぼの系のようです。最初のWikipediaでも以下のような記述でした。
<内容はサザエさんの初期のように、ほんわかとしている。小学校から国民学校に名前が変わったなどの時事ネタも存在する。第十四話はミスで第十三話となっている。「翼賛漫畫 進メ大和一家」として昭和17年に日本繪雑誌社から45銭で単行本が刊行されていた(昭和17年4月15日印刷、同年4月25日発行)。長谷川町子の他にも松下井知夫、矢崎茂四、山本一郎などが描いた「翼賛一家大和さん」も収録されている>
先程もリンクした「東雲ストライク!」さんでは、
長谷川町子 幻の作品『翼賛一家大和さん』第四回 第十一話~第十五話紹介: 東雲ストライク!(2008年01月19日)において、初期のサザエさんと同じようなネタを使っていることを指摘しています。さらに以下のようにこの作品の重要性を指摘していました。
<こうして見ると、大和さんは初期のサザエさんに影響を与えているなあ、という気がしてきます。
大和一家の中で登場頻度の多いキャラは
サンペイ、タミ、ミサヲ、サブロウ、イネコですが
これはそのままサザエさんの初期構成である
波平、フネ、サザエ、カツオ、ワカメに通じますし
大和さんとサザエさんで似たようなオチの話がいくつもあります>
結論としては、「大和さんはサザエさんを語る上で、無視するわけにはいかない作品」としていました。ところが、「幻の作品」とされているのわかるように、Wikipediaによると、単行本の刊行は、その後一切行われていないといいます。『翼賛一家大和さん』なくして『サザエさん』はなかったという重要な作品だと思われますが、経緯が前述の通りのものでいわば「黒歴史」ですから戦後は「なかったこと」にされたのかもしれません。
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