仏教に関する話をまとめ。<作務も托鉢も本来仏教の修行ではない 釈迦も「時間の無駄」と>、<草むしり禁止の理由は意外なもの 不殺生戒が理由ではない>などをまとめています。
2023/07/27:
一部見直し
●作務も托鉢も本来仏教の修行ではない 釈迦も「時間の無駄」と
2015/8/13:
生臭坊主がいてもタイでは僧が尊敬される 収入の50%をお布施にの続きで
タイのお坊さんが「サングラスにグッチのバッグ」でも尊敬される理由:日経ビジネスオンライン (鵜飼 秀徳 2015年5月23日)からの話です。原始仏教研究の第一人者・花園大学の佐々木閑教授は、日本では禅宗が最も"釈迦の仏教の色"を残しているとしていました。しかし、違っている部分ももちろんあります。そのひとつが托鉢だそうです。
まず、インタビューアーが「托鉢は禅宗以外でもやっているが、きちんと修行の中に托鉢が組み込まれているのは禅宗だけ」という話をします。佐々木閑教授もこれにはまず同意。ただ、続けて、「でも禅宗がやっていることも本当の托鉢じゃありません」という話し、以下のように説明していました。
佐々木閑・花園大学教授
<日本の禅宗は「托鉢は修行だ」と言っているでしょ。実はそれが間違い。そもそも修行とは坐禅のことを指すのであって、托鉢は修行ではない。托鉢とは、社会に依存して生きるサンガの唯一の生計の道なのです>
<仏教本来の修行とは、坐禅とお経の勉強の2つだけなのです。坐禅とは言い換えれば瞑想ですね。これに対して托鉢は、完全依存型の僧侶が布施で食べていく唯一の方策として釈迦が設定した「ご飯を食べるための手段」に過ぎません。>
佐々木閑教授は、"僧侶は本来、托鉢なんかしない方がいい"と言っていました。お釈迦様自身がそのようなことを言っていたようです。
<釈迦はこう言いました。托鉢の時間は無駄だ、仮に信者の中にファンがいて、「私の家でご飯をあげるからおいでなさい」と言われたら喜んで行け。そうすれば、さっさと食べて帰ってくれば残りの時間が全部修行に使える。だから、托鉢という方法でなくとも、人様がくださるご飯なら、どんな形であってももらってよい、と。これは日本でも見られる法事の際のお呼ばれのご飯に当たるわけですね>
●仏教の修行は坐禅とお経の勉強だけ…なら、作務も無駄なのか?
これ以上に驚いたのが、作務(さむ)についてです。座禅とお経以外は仏教の修行ではないとすれば、作務もまた時間の無駄となります。…とその前に作務の説明を。以下の
作務(サム)とは - コトバンクでの説明でも修行だと書かれています。私もこの認識でした。なお、作務衣ってのは、もともとはこの作務のときに着ていた服でした。お坊さんは今も使っています。
デジタル大辞泉の解説
さ‐む【作務】
禅寺で、僧が掃除などの労務を行うこと。修行の一つと見なされる。
大辞林 第三版の解説
さむ【作務】
〘仏〙 禅宗で,農作業・清掃などの作業。
作務の説明は前述の通り。ところが、これもまた佐々木閑教授がズバッと否定。「それから禅宗では、作務と言って掃除や草むしりを修行の一環としてやっています。しかし、作務も本来は無駄な時間だとされています」とおっしゃっていました。
●草むしり禁止の理由は意外なもの 不殺生戒が理由ではない
また、「特に草抜きは、仏教では本来禁止」としていました。私はこれ、「いわゆる不殺生戒があるから、ですか」と聞いていたインタビューアーと同じような理由を考えました。しかし、佐々木閑教授の説明はそうではありませんでした。わりと俗な理由です。
「いや、ちょっと違うんです。仏教では植物を生き物とは考えませんから、草を抜くと殺生になる、とは考えません。ところが当時、仏教と違って、植物は生き物だと考える宗教もあったのです。代表はジャイナ教です。ジャイナ教では植物は生き物だと考えます。だから彼らは植物を切ったり抜いたりしません。
そうしますと、一般人から見ると、ジャイナ教の人は植物を大切にしているのに、仏教の坊さんは平気で草を抜いているとなると、比較された時に仏教の方が質が劣っているように見えます。本当なら草むしりは殺生ではないので問題ないのですが、ほかの宗教と比較された時に見劣りする。そういうわけで、仏教もジャイナ教にならって植物を抜いてはいけない、となったのです」
おもしろいと言っちゃあれですが、ジャイナ教はかなり考え方がすごくって、ブログ開始当初から一度取り上げたいと思いつつ、未だにやっていません。いつになるかわかりませんけど、ジャイナ教についても一度調べてみたいです。
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