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プレミアム商品券で地域活性化は不可能 典型的な愚策である理由


 以下の記事を読んだ時点では、特に取り上げるつもりはありませんでした。


●「プレミアム付き商品券」は国の政策としては愚策だ
民主・細野政調会長、「『プレミアム付き商品券』は愚策」と批判 08/18 16:02 FNN

国の交付金を活用して、地元の商店街などで購入価格を上回る買い物ができる「プレミアム付き商品券」について、民主党の細野政調会長は18日、「国の政策としては愚策だ。ほかの消費を減らして、商品券で日常品を買うことが行われているのが現実だ」と批判した。

●新国立競技場も愚策の典型

 上記の記事だけだと広がらないですしスルーする予定だったんですが、その後に読んだ別記事でちょうどプレミアム商品券の話があり、こちらにはかなり興味を感じました。
地方は「好き嫌い」で物事を決めすぎる 「ゴマすりコンサルタント」採用も致命傷に 東洋経済オンライン / 2015年8月18日 8時0分

巨大な商業再開発を行ったり、財政が厳しいといいながら豪華な庁舎を建て替えたり、交付金でプレミアム商品券を配ったら東京資本のチェーン店に流れて終わったり・・。このように、後からみれば「なんでこんなひどい計画を」と思えるような馬鹿げた話が多発しています。

もちろん、新国立競技場のケースでもわかるとおり、こうしたトンデモ意思決定は国や大企業でも常に起こっています。では、なぜこんなことが多発するのでしょうか。結局、論理的な意思決定よりも、情緒的な意思決定がいまだに尊重される土壌があるからです。これは大都市よりも地方で起こりやすい。地方では、地縁や血縁がどうしても濃くなりがちだからです。

●論理的ではない「情緒的な意思決定」

 この記事では「プレミアム商品券」は上記のようにちょこっと載っているだけ。メインは以前の記事ということですので、そちらは後で別に見ます。

 その前にこっちの記事も少し紹介。ポイントは2点であり、好き嫌いで決めてしまうというのが一つです。国立競技場の森喜朗元首相の発言の数々なんかもそんな感じですが、「情緒的な意思決定」という言い方もされています。
私が商店街活性化の取り組みにかかわってから最も驚いたことの一つは、「あいつの爺さんは、ウチの店の邪魔をした」といったような、「世代をまたがった恨みつらみ」を受け継いでいたりすることです。個人的に因縁としてもっているならまだしも、公的な立場で利害を調整する役割が期待される商店会長などが、個人的な人の好き嫌いで意思決定を変えてしまいます。これには、かなり驚いたものです。

地域の取り組みにおいて、物事を見るのではなく、発言をした人の好き嫌いによって「良し悪し」を判断するところがあるのです。

●地域活性化ができない人ほど優遇される構造

 もう一つのポイントは「ゴマすりコンサルタント」。ゴマすりコンサルタントはこの情緒性を非常に上手に使います。地域活性化ではなく、コンサル料を得ることを目的とした場合、それが最も合理的な手法なのです。
例えば「この町は全国で一番綺麗な◯◯がある、この町は世界でも有数の◯◯がある」といった「綺麗なストーリー」を並べて改革にかかわる参加者をモチベートします。このような「大した根拠はない、だがあながち嘘とも言えない」情緒的な内容は、地域の意思決定に関与する代表者たちにも好まれることを、彼らはよくわかっています。

地元の情緒的な意思決定に逆手に取り入る外部コンサルは、空気を読みまくって、配慮に配慮を重ねていくわけですが、当然ながらこうした人たちにまかせると、事業の成果は出ません。なぜでしょうか。事業の成果を出すことではなく、プロセスで皆に気に入られることのほうが、その人のビジネスとしては合理的だからです。

 一方、論理的な人ほど排除されてしまうという困ったことになります。
数字をもとにした問題の整理を提案すると「彼(彼女)は活性化の邪魔ばかりする」とか、しまいには「否定的な意見ばかり言わずに、どうやれるのか提案したまえ」という有難いご指導までいただいて、二度と呼ばれなくなるわけです。

その結果、論理的な人ほど地域における意思決定にかかわらなくなり、時には、その地域を離れていくことにもなってしまいます。結果、ますますもって同質性をもった異論のでない、勢いだけをもった計画が暴走していきます。

●横並びのやり方では地方創生は不可能

 これはこれでおもしろい話でしたが、本題のプレミアム商品券の話をいい加減やらないといけません。それはこちらの記事でした。
地方はどうすれば「横並び」から脱出できるか | 地方創生のリアル | 東洋経済オンライン 「プレミアム商品券」では地方は生き返らない 木下 斉 :地方再生人、内閣官房地域活性化伝道師

 モノがひと通り整備され、さらには縮小社会を迎えて成熟化のプロセスにある今、全国で同じことをやってしまうと、逆効果になることも少なくありません。

 例えば、隣り合う自治体が似たような「B級グルメ」や「ゆるキャラ」に取り組んだり、同じような体育館や市民ホールを整備するケースが目立っています。結果として、互いに潰し合いをすることになってしまっています。

 今、地域活性化事業に求められているのは、全国どこでもできるような「汎用性」ではなく、ここでしかできないという「希少性」です。

(中略)しかし、残念ながら、国や自治体のこうした「横並び構造」は未だ堅牢です。最近で言えば、今まさに全国各地で売りだされているプレミアム商品券が「典型的な例」です。

(中略)政府が交付金を配る際、プレミアム商品券というメニューを提示した途端に、1709市区町村と30都道府県からプレミアム商品券を実施するという計画が出されました。

今年4月現在の市町村数は1718ですから、ほぼ100%といっていい自治体で展開されるわけです。プレミアム商品券に類似する、旅行商品の割引事業もまた、東京都を除く46道府県で取り組まれます。

●プレミアム商品券で地域活性化は不可能、典型的なダメな政策である理由

 かつてのプレミアム商品券は、"一部の商店街でしかやっていなかったからこそ、周辺からも通常以上に顧客の流入があり、例えば各店舗が値下げする負担を超えるだけの売上げの伸びがあり"ました。

 しかし、国が推し進めて猫も杓子もプレミアム商品券をやるということになると、緊急経済対策にはなり得ても、地域活性化の効果は望めないというのが、プレミアム商品券が典型的なダメな政策である理由だそうです。


●地方の自民党議員がプレミアム商品券で不正

 あと、「プレミアム商品券」でニュース検索すると、余計な問題まで引き起こしていることを知りました。
プレミアム商品券:「家族購入を知らず」上限超え市議辞職 毎日新聞 2015年08月15日 18時42分(最終更新 08月15日 20時19分)

 茨城県常陸太田市の井坂孝行市議(61)=自民=と家族が、同市が7月に発売したプレミアム付き商品券を上限を超えて重複購入していたことが15日、分かった。井坂市議は14日付で深谷秀峰議長に辞職届を提出し、受理された。

 市などによると、1セット1万2000円分のプレミアム付き商品券を1万円で販売。購入上限は1人当たり5セット(6万円分)とした。井坂市議は家族5人分25セットと、代理で知人5人分25セットの計50セット(60万円分)を購入。これとは別に家族の一人が家族5人分の25セット(30万円分)を重複購入した。【佐藤則夫】

●市職員も便宜をはかっていた

 「家族が買ったのは後から分かった」と釈明したそうです。ただ、「家族が買ったのは後から分かった」では説明できないことがあります。

 上限は1人6万円ですから本来は30万円まで。ですので、60万円を持っている時点でおかしいわけです。家族分以外の30万円にも問題があります。

 また、以下の記事によると、"使用は1回10万円分の上限を設定"していたそうです。家族(妻だとのこと)がこの90万円を持って自動車会社に持っていったそうですから、こちらも軽々と上限をオーバー。

 さらに、市職員が購入に際して便宜を図っていた、というおまけ付きです。
プレミアム商品券:辞職市議の依頼で市職員が代理購入 毎日新聞 2015年08月18日 13時10分

 茨城県常陸太田市の井坂孝行前市議(61)=14日付で辞職=と家族が、同市のプレミアム付き商品券を不正に購入した問題で、井坂氏の依頼を受けた市職員が、発売開始日に代理で購入するなどの便宜を図っていたことが、同市が17日に公表した調査結果で分かった。【佐藤則夫】

 最後の不正は政策の悪さのせいではないんですが、なんかもうハチャメチャになっているな…という感じです。


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