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葬式の喪服が黒は日本の伝統ではない 死に装束と結婚の白無垢の意味


 喪服と結婚衣装の色に関する話をあれこれ。黒の印象が強い喪服というのは日本ではかなり最近広まった風習であること、花嫁衣装の白のウェディングドレスと白無垢が同じ色である一方、日本では死に装束も白であることなどについて書いています。(2017/09/06)


●死に装束は白装束で黒じゃない

2017/09/06:日本の伝統だと思っているものが意外に歴史が浅かったり、西洋の風習だったりということがよくあります。喪服が黒というのも、日本の伝統ではないのではないかと思いました。

 まず、喪服というか、亡くなっている人が着る服の話。死に装束 - Wikipediaでは、死に装束を、故人に対して施される衣装のことであり、白を基調とすることから白装束(しろしょうぞく)とも称すと説明していました。

 "近年では、故人に対し死に装束を施さずに浴衣や故人が生前によく着用していた服を着せ、死に装束は遺体の上からかぶせたり、棺内に入れるだけであったりすることもある"ともありましたが、これは逆に言えば、現在でも白装束の風習が残っていることを意味しています。


●葬式の喪服が黒は日本の伝統ではない

 では、喪服はどうだったのでしょう? 喪服 - Wikipediaによると、大坂の場合、江戸時代まで、喪服は喪主に限らず、白が一般的でした。親族は白または水色の無紋の麻の上下で、夏は白の晒(さらし)を着用。女性も白絹白麻布の着物に白絹白綸子(りんず)の帯を着用したそうです。

 ただ、「大阪では」とあったように、地域によって違ったようです。江戸では親族でも染服に小紋上下を着用したと書かれていました。この「染服」を検索しても出てこないのですが、要するに色付きの服って意味ですかね? とりあえず、白とは限らなかったようです。

 しかし、これは結局、喪服が黒というのが日本の伝統ではないことも意味しています。Wikipediaによれば、上流階級において黒が喪の色として認識され、次第に明治期を通じて黒に変わっていったのは、明治11年の大久保利通の葬儀の際多くが黒の大礼服で出席したことだそうです。

 これにより、和服では、男性は紋付地黒の羽織袴、女性は黒色の紋付が着用されるようになり、さらに、昭和30年代には、喪主や親族以外は洋服の喪服を着用するようにと変わっていきました。


●西洋のウエディングドレスは18世紀ごろの発祥

 このように喪服の色が気になったのは、同じ白だけど…? 「ウエディングドレス」と「白無垢」の微妙な違い オトナンサー | ライフ・美容 | 2017年09月05日を読んだのがきっかけでした。こちらでは、カラー&イメージコンサルタントの花岡ふみよさんが、「ウエディングドレス」と「白無垢」の発祥について説明しています。

 ウエディングドレスは18世紀ごろの欧州が発祥。英国のヴィクトリア朝時代において、花嫁は処女であることが求められ、それを視覚的に示すのが白のウエディングドレスでした。白のウエディングドレスが一般に普及したのは1840年、英国のヴィクトリア女王が結婚式で白のドレスを着たことがきっかけとされています。

 それまで庶民の間ではウエディングドレスの色に決まりがないどころか、式後もドレスをリフォームして着回していたとのこと。ただ、裕福な上流階級の女性たちはほとんど着回さず、若い女性の正装用だった白のドレスをウエディングドレスとして着用していました。ヴィクトリア女王はこの例にならったようです。


●なぜ死に装束と同じ色?日本の白無垢の意味

 一方、日本で婚礼に白無垢が着用されるようになったのは室町時代とこれより早いようです。室町時代は1336年 – 1573年ですからね。

 ところが、これ、前述の死に装束と同じ色だということになります。不思議な気がするのですが、そもそも日本人には「白=不吉」という概念がないと説明していました。ただし、以下の説明は結局死に関係しているというものです。

「当時、女性が他家に嫁ぐ際には『生家で身に付けた習慣や風習、しきたりなどを全て捨て、生まれ変わったつもりで嫁ぎ先の家族として生きる』という覚悟を強いられました。つまり、白い花嫁衣装は娘時代と決別するための『死に装束』としての意味合いもあったのです」
「白無垢はその名の通り、何にも染まっていない無垢な状態で嫁ぎ、婚家に染まることを示します」


●白装束の理由は神聖な色?修行僧の衣装?

 うーん、上記の「他家に嫁いで妻が古い家を捨てる」という考え方が、日本の伝統なのか、あるいは強固に根付いた考え方だったのかといったところはちょっと怪しい気がしますので、もう少し確かめたいところです。

 例えば、古い家を捨てる象徴のような気がする妻の苗字の変更というのは、日本では実はかなり新しい風習なのです。
(関連:夫婦同姓は日本の伝統文化ではない 明治前半までは夫婦別姓が原則)

 また、家族制度 - Wikipediaでは、"江戸時代以前の日本では、儒教の影響が強い中国や朝鮮よりは家族制度が緩やかであり、強固な家族制度を有するのは、武家や公家に限られた。明治時代に近代法体系を整備する過程で、庶民にも男系重視の家族制度(家制度)が採り入れられた"としています。

 一方、死に装束が「白」である理由は、日本では古くから「白」は太陽の光の色であり、神聖な色だったことによる、という説が一般的だと、記事ではしていました。ただし、先のWikipediaでは「多くは仏式で巡礼者または修行僧の衣装」と指摘していましたし、こちらも定説ではないかもしれません。


【本文中でリンクした投稿】
  ■夫婦同姓は日本の伝統文化ではない 明治前半までは夫婦別姓が原則

【その他関連投稿】
  ■葬式に菊は日本らしい風習なのか?
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