2023/07/27:
一部見直し
●IQを上げる意味なし 起業家の成功に必要なのはパターン認識
2015/8/21:IQにこだわったり、子どものIQをどうにかして上げようとしたりするのはどうかと思うんですよね。で、IQを上げる意味なんてないよ…という記事をよく読むのですが、大体こういう記事は「その代わりにこれがいいんです」と、別の胡散臭いものを推奨してくるんですよね…。
たとえば、以下の
「優れた起業家とIQは何の関係もない」 成功する起業家に必要なことは? | TechCrunch Japan(投稿日: 2014年12月13日 13時04分 JST 更新: 2014年12月13日 13時15分)という記事がそういうものです。
<シリコンバレー発の起業家育成プログラム&スタートアップ・アクセラレーター「ファウンダー・インスティテュート関西」が興味深いインフォグラフィックを作成したので、ご紹介しよう。
ファウンダー・インスティテュートでは、過去5年にわたり起業家に適正テストを受けさせており、その数は今日までに実に2万人にものぼる。これらの起業家が卒業後にスタートアップを創業し、その後の各社のパフォーマンスを追跡する形でデータを収集した。>
ただ、記事を読んでみると、上記のようにデータを取って結果と見比べている…という予想外にしっかりしたもの。これは意外に信頼性あるかもしれませんね。IQに関係する部分は以下のところで、優れた起業家とIQは無関係だったとのことです。
<驚くことに、優れた起業家と I.Q.(知能指数) の間には「全く何の関係もない」ことが分かった。これも一般的には「I.Q.が高い=頭が良い=ビジネスが得意」と捉えられがちだが、実は優れた起業家に必要なものは I.Q.ではなく、パターン認識であることが明確になった>
(2023/07/27追記:ただし、その後知った研究によると、IQ系テストと仕事の出来については相関性が見られました。しかも、相関性が見られたというレベルではなく、全採用方針で最も高い相関性。データ数も多い感じでこちらの方が信頼性が高そうです。とはいえ、条件が同じではないため、両方成立する可能性はあるでしょう。)
●パターン認識とは何か?
以上のように記事では、、<実は優れた起業家に必要なものは I.Q.ではなく、パターン認識であることが明確になった>と書いていました。このパターン認識とはそもそも何でしょうか。記事によると、パターン認識とは、<失敗体験を素早く解析して同じ過ちを繰り返さない、成功体験であれば同じ成功が繰り返し発生するための仕組みを素早く作り上げるスキル>だといいます。
ただし、
パターン認識 - Wikipediaの説明も読んでみると、結構違う説明になっていました。指し示すものが異なる感じです。
<パターン認識(パターンにんしき、Pattern recognition)は自然情報処理のひとつ。 画像・音声などの雑多な情報を含むデータの中から、意味を持つ対象を選別して取り出す処理である。
音声データから人間の声を認識して取り出し命令として解釈する音声認識、画像データの中から文字を認識してテキストデータに変換する(OCR)、大量の文書情報の中から、特定のキーワードを認識して文書の検索を実施する全文検索システム、などの技術がこのパターン認識に含まれる。
人間の脳にとっては非常に当たり前な過程でありながら、コンピュータで実現するには精度・速度どちらの面についても困難を伴う>
●成功に必要なのはグリット、IQや才能は無関係
もう一つ、IQを上げる意味なんてない、代わりにこれが必要です、という別の記事がありました。こちらは、
才能やIQは関係ない!成功するために必要な「グリット」という能力とは?(All About4月6日(月)8時45分)というものです。
<ネットを見ていたらグリット(Grit)という言葉に出会いました。ペンシルベニア大学の心理学者が発見した成功への鍵となる能力です。
成功や自己実現のためには才能やIQは関係なく、グリットと名付けられた将来へ向かっての熱意や長期的な忍耐が必要なのだそうです。そしてグリットには各人の生まれつきの限界値はなく、自分の意志で伸ばすことができる能力なのだそうです>
IQが関係ないとまで言ってしまうと行き過ぎな気がしますが、学者さんが断言していたんだそうな。慎重さに欠ける言い方ですね。本当に言ったんですかね、そんなこと。それとも、心理学者ってそういうものなのでしょうか。
検索すると、このペンシルベニア大学の心理学者というのは、Angela Lee Duckworth(アンジェラ・リー・ダックワース)さんのことみたいです。プレゼンテーションの日本語訳がありました。ああ、これも結構ちゃんと調べていますね。異なる内容の調査においても、前述のグリットが成功・不成功に関わっていることを示しています。
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成功者が共通して持つ「グリット」という能力--才能でも、努力でもない第3の要素とは? - ログミー<私たちは4つの現地調査を行いました。まず1つ目に、私たちの研究チームは「ウェスト・ポイント・ミリタリー・アカデミー(アメリカ、ウェスト・ポイントにある軍事教育学校)」に行き、厳しい軍事トレーニングに耐えて生き残る入隊者と、耐えきれずに中途退学していく入隊者を予測しました。
2つ目に、「ナショナル・スペリング・ビー」での現地調査では、どの生徒が勝ち残るかを予測しました。
3つ目に、過酷な環境の中で働いている教育現場の先生方を調査し、「どの先生が年度末までその教育現場に残ることができるか?」「そのうち、最も生徒に影響を与え、その生徒が持つ学力を引き出し、結果に結びつけることができた先生は誰か?」を研究しました。
4つ目に、私たちは一般企業にご協力いただき、「どのセールス担当者がセールス担当者として生き残れるか?」「トップセールスを記録したのは誰か?」を調査しました。
これら4つの異なる調査対象について研究した結果、成功を収める人たちは、共通してある1つの性格を持っていることが明らかになったのです。
それは高学歴や知能の高さではありませんでした。外見の良さでも、身体的能力の差でもありません。これこそが「グリット」です>
IQの代わりに胡散臭いものを勧めて…と書き始めたのに、こちらもある程度妥当性を感じます。というのも、以前同じくIQ絡みで、
幼児期の子供はIQより自制心の強さが大事 マシュマロ実験の結果というのをやっていたためです。
忍耐力・自制心・我慢強さ、そして、グリット、言い方はいろいろとありますが、これらが社会的な成功と相関関係を持つことは、過去の研究を見てもある程度理解できます。また、忍耐力・自制心・我慢強さがあると成功しやすいというのは、感覚的にもそう抵抗ないでしょう。どちらかと言うと、そりゃそうだろうという話にすら思えます。
●グリットも遺伝で決まるのでは?
ただ、以前の話で私はこの忍耐強さが先天的なものであり、後天的に身につけるのが難しい可能性があると書きました。つまり、結局、遺伝で決まっているという残酷な話ですね。ここらへんのところは、アンジェラ・リー・ダックワースさんの研究では、以下のようになっていました。
<私が自信を持って言えることは、生まれ持った才能や知能はグリットに関係しない、ということです。(中略)
それはただ単に、その才能・知能を伸ばすための長期的な、継続的な努力が足りなかっただけなのです。(中略)私たちの研究結果によれば、グリットは生まれ持った才能・知能とは基本的に関連性がなく、先天的な才能・知能を測る方法としてグリットを用いることはできません。(中略)
「グロースマインド・セット」というのは、スタンフォード大学のキャロル・ドゥエック博士が発展させた考えで、内容としては「知能は生まれつき固定されたものではなく、後天性のもの、努力を重ねることによって変えることができるものである」という考え方です。
ドゥエック博士の研究では、子供たちに脳と知能の発達について予め学習させ、知能は生まれつきのものではなく、挑戦し続けること、努力することによっていくらでも伸ばすことが可能であると教え込んだ後に難しい問題を解かせると、子供たちは難しい問題に対しても失敗を恐れず、自ら進んで挑戦しようとすることが分かりました。
なぜなら、彼らは失敗することについて、永遠に続く致命的なものではないと知っているからです>
●失敗することは大事
検索すると、キャロル・ドゥエック博士の本は日本でも出ていることがわかりました。
「やればできる!」の研究―能力を開花させるマインドセットの力
というものです。
この研究の方の信頼性がわからないと何とも言えません。ただ、失敗することが大事と教えることは私も大切だと思います。ただ単に「諦めてはいけない。必ずできるようになる」とだけ言ってしまうと、
燃え尽き症候群と夢 「努力すれば必ず夢は叶う」を信じる危うさで書いた話みたいに、うまくいかなかったときに心が折れて死んでしまうかもしれません。
ですから、「諦めてはいけない。必ずできるようになる」には賛成しないつもりでしたけど、失敗しながらチャレンジしていくというものでしたら、そこまで危険ではないと思います。あと、失敗という点に関しては、最初のIQよりパターン認識が大事という話でも、「失敗体験を素早く解析して同じ過ちを繰り返さない」とあったので、少し繋がってきます。
企業系の話で私は繰り返し「小さく失敗すること」や「早く失敗すること」の重要性について書いています。失敗がポイントになる話は結構ありますね。
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