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最高なチョコレートダイエットを証明したドイツ論文、嘘だった?


2020/12/07追記:
●チョコレートは「ダイエットに最適」はデマ?管理栄養士に聞いてみた
●食べ過ぎを誘発!逆に「ダイエットに最悪」な食べ物の特徴とは?


●最高なチョコレートダイエットを証明したドイツ論文、嘘だった?

2015/8/24:チョコレートを食べる方が食べないよりも効率的に体重を落とせる…という夢みたいなダイエット方法が効果的だと証明したドイツが論文があったそうです。ただ、この論文は嘘で、世界中を騙した「チョコレートダイエット」論文と紹介されていました。でも、私は聞いたことなかったんですよね。

 既に記事が削除されたという可能性はあるものの、今古い記事を検索してもあまり見つかりませんね。記事だけではなく、ブログへの転載などもほとんどありませんので、日本ではおそらくほとんど話題にならなかったものと思います。そんな数少ない日本の記事としては、IRORIO(イロリオ)のチョコレートはダイエットの味方?ドイツの研究所による調査結果 - IRORIO(イロリオ)(2015年03月31日 12時00分 宮城 保之)がありました。

 ただ、IRORIOは騒動の発覚後、何食わぬ顔で「チョコレートがダイエットに効果的」は嘘、甘い話に世界中が騙される - IRORIO(イロリオ)(岩藤健 2015年05月29日 10時00分)というのも出しています。嘘論文ですから騙されるこがあるのはある程度やむを得ないと思うものの、以前自分のサイトで書いた記事に一切触れていないところは素直にクズだと思っちゃいました。


●ヨハネス・ボハノン博士「チョコレートはダイエット効果を加速」

 とりあえず、その騙されていた方の記事チョコレートはダイエットの味方?ドイツの研究所による調査結果 - IRORIO(イロリオ)(2015年03月31日 12時00分 宮城 保之)を見てみましょう。記事では、興味深い調査結果を表したのは、ドイツ・マインツの「ダイエットおよび健康研究所」である…などと書いていました。以下のような実験だったとされています。

<調査実験への参加者は2つのダイエット・グループに分かたれた。一方のグループでは、参加者は低炭水化物によるダイエットを行う。他方のグループでは、それに加え1日当たり40グラムのビターチョコレートが与えられる。
 その結果、チョコレートを与えられたグループは1週間後に体重の減少を見せ、その後、明らかにチョコ無しのグループより速いテンポで痩せ始めた。さらに血液値は向上し、総じてチョコ無しグループより良い状態を示した>

 チョコレートグループのほうがより効果的に体重を落とせたことに、調査チーム代表のヨハネス・ボハノン博士は「ですがはるかに重要なのは、彼らがさらに痩せ続けたことです。もう一方のチョコ無しグループはまた反動で太り始めているというのにですよ」と驚いていたとのこと。で、ヨハネス・ボハノン博士は、カカオ含有量の多いチョコレートはダイエット効果を加速させるのでは、などといったもっともらしいこともおっしゃっていたそうです。
(出典元:Wer Schokolade isst, bleibt schlank! - Bild(3/28))


●博士は偽名、論文執筆者は研究者ですらなくジャーナリストだった

 上記でお名前が出ていたヨハネス・ボハノン博士、実はそもそも偽名で存在しない人物だったようです。IRORIO(イロリオ)がしれっと後から出していた「チョコレートがダイエットに効果的」は嘘、甘い話に世界中が騙される(岩藤健 2015年05月29日 10時00分)では、以下のように書かれています。

<「私の名前はジョン。職業はジャーナリストだ」と、調査チームの代表を務めたヨハネス・ボハノン博士は、自らの身分を明かした>

 ただし、まるっきり嘘だったわけではないようです。驚いたことに、チョコレートを食べた場合の体重変化と食べなかった場合の体重変化は、実際に実験を行い確認されたとのこと。データは本物でした。

 では、何がマズかったのか?と言うと、少数のサンプルから、有意義なデータだけを抜き出した結果であり、とても科学と呼べるものではないという点。読み返してみると、最初の記事では一切人数に関する話がありませんでしたね。

 そういえば、サンプルが少ないって話だけだと、血液型診断の祖・古川竹二の論文が予想以上にひどい 根拠以前の問題で書いた、血液型診断の祖・古川竹二さんの論文もそうですね。この血液型性格診断は、日本人で信じている人が多いニセ科学です。


●お前が言うな!自分を棚に上げて他のマスコミの間違いだけを報道

 間違いはない方が良いですが、あった場合は仕方ありません。謝罪して訂正すれば良いでしょう。ただ、最初の間違い記事を訂正していなかったIRORIOは、2つ目の記では自身のことを棚に上げて、以下のように書いていました。

<科学の要件を満たしていない論文を、いい加減な学術誌に投稿し、掲載されるや「ダイエットおよび健康研究所」の急ごしらえなWEBサイトでリリースを発表した。
 これをドイツ最大の日刊紙『ビルト』が裏付けも取らず掲載(現在は削除・謝罪済み)し、世界20カ国のメディアがセンセーショナルな見出しで報じる>

 この他に、"ライバルに先んじてセンセーショナルな見出しが欲しいメディアも同様の間違いを犯すのだろう"というありがたいお言葉もありました。

 なお、上記であったドイツの『ビルト』は大衆紙という分類であり、大したことないレベルです。日本の大衆紙としては産経新聞社の夕刊フジなどがありますが、日本人には大衆紙ではなくスポーツ新聞レベルと言った方がわかりやすいかもしれません。つまり、もともと信頼性が低いと考えて良い媒体でした。


●実は普通に研究も間違いが多い…怪しい論文でも掲載され得る仕組み

 ところで、ジャーナリストがなぜこのようなことをやったのか?というと、デタラメな論文がどれだけ大きな見出しになるかを調べたためだったそうです。で、ビルトやIRORIOが引っかかって、やっぱりダメだね…という結果になりました。

 なので、この問題はマスメディアのいい加減さを示すものです。ただ、学術誌であっても全面的に信頼できるわけではない…といった話でもあるんですよね。過去にも科学雑誌掲載の論文はデタラメだらけ 偽論文を査読は見破れない>など、この問題についてうちでは何度か書いてきました。

 そういった過去投稿では、学術誌掲載論文でも信頼してはいけない STAP細胞とソーカル事件
 STAP細胞問題での西川さんの対応の妥当性はさておき、より詳細に説明されており、記事そのものはさすがという内容です。西川さんはSTAP細胞問題は主にマスコミが悪い!といった結論で、今回のニュースはそういった批判にうってつけのものでもありました。
「チョコレートでスリムになる」はニセ論文、怪しい論文は仕立てられる、見抜く大切さ | Medエッジ 2015年6月13日 10:30 PM

 怪しい論文でも掲載され得る仕組みは意外と単純だ。(中略)

 研究グループは、ダイエットのドキュメンタリー映画の一環であると説明して、実際に16人を雇って3週間のダイエットを行ってもらい、比較調査も行った。

 少ない人数で多数の項目について調査すると、統計学的に「有意な」数値が何らかは得られるものだ。(中略)

 統計学的なトリックによって、「研究」ではチョコレートと減量効果が関係していると証明された形になり、本物らしく体裁を整えられた。

 その上で、研究グループは、厳しい査読を行うという論文誌20誌に投稿。24時間以内に複数の雑誌から受諾の返事が返ってきた。

 最終的に大出版社が発行するインターナショナル・アーカイブズ・オブ・メディシンを選択した。(中略)

 その後、ニセのニュース・リリースなどの仕掛けを経て、ついに、大手メディアのヘッドラインに取り上げられ、世界中の注目を集めることになった。

 こういう問題が起きやすい論文は「~という化学物質が危険」「~は体に良くない」といったものでも多いのではないか?と、私は警戒しています。マスメディア、そして、大衆が好む話であるためです。

 なお、日本ではあまり報道されなかったっぽいと書いたチョコレートダイエットですが、これは先のヨハネス・ボハノン博士の名前で検索結果を見た感じで言っています。実は論文の裏付けがないチョコレートダイエットですと、日本でも多量ヒット。これはもうニセ論文というレベルですらないわけですから余計悪く、日本人が特別冷静な判断力を持っているわけではなさそうでした。


●チョコレートは「ダイエットに最適」はデマ?管理栄養士に聞いてみた

2020/12/07:「論文の裏付けがないチョコレートダイエット」の件で追記。チョコレートは「ダイエットに最適」という説があるようです。この関係で、チョコレートは「ダイエットに最適」説を管理栄養士に聞く! 「太りやすい/太りにくい食べ方」も(サイゾーウーマン 2020年2月11日 17:00)という記事がありましたが、記事で出ていた管理栄養士の岡田明子さんは穏当な見解でトンデモっぽさはありませんでした。

 まず、『ダイエット中のおやつにチョコレートが最適』と言われているのは、「全てのチョコではなく、カカオ含有量が80%以上などのカカオ量の多い苦いチョコを対象としている場合」としており、この時点でほとんどのチョコレートを除外。さらに、チョコレートは「ダイエットに最適」というのはそもそもデマで、食べない方がベストとされていました。

「あくまで、『ダイエット中でもチョコがどうしてもやめられない人は、カカオ量の多いチョコを食べるといい』という話で、『ダイエットにいいらしいから、いっぱい食べていい/食べた方がいい』ものではありません。何にせよ、食べすぎるというのはよくありません」(管理栄養士の岡田明子さん)


●食べ過ぎを誘発!逆に「ダイエットに最悪」な食べ物の特徴とは?

 そもそもチョコには「エンドレスで食べてしまう」という特徴があるとされており、むしろチョコレートは「ダイエットに最悪」な感じ。チョコだけを食べるというのは、食べすぎにつながり、太りやすい食べ方と言えるのではないかとされていました。たとえ高カカオのものでも、チョコは決して痩せやすくなるための食べ物ではないことがわかった…と記事では、結論づけています。

 ただし、チョコもクッキーも脂質と糖質のかたまりという意味では同じである一方、ダイエット中に同じ量食べるなら、高カカオチョコレートの方がマシ…という見解も。とはいえ、食物繊維が豊富なドライフルーツや干し芋、ナッツの方がよりマシともされており、一番マシなお菓子でもありません。そして、「何にせよ食べすぎたらダメ」という結論でもあります。

 なお、私はそもそも絶食や極端に食べ物を減らす減量法はオススメしていません。栄養が偏りやすかったり、筋力が衰えて余計太りやすい体になったりするためです。今回出てきた「食べすぎないようにする」というのが、一番良いですね。ただ、間食の方を減らしたくないという人が多かったり、もっともらしく見えたりするために、科学的根拠のないダイエット方法の方が人気になってしまうのだと思われます。


【本文中でリンクした投稿】
  ■血液型診断の祖・古川竹二の論文が予想以上にひどい 根拠以前の問題
  ■学術誌掲載論文でも信頼してはいけない STAP細胞とソーカル事件
  ■科学雑誌掲載の論文はデタラメだらけ 偽論文を査読は見破れない

【関連投稿】
  ■論文が不正だらけである理由 再現性をとる追試が行われないから
  ■日本では最優秀の人は博士にならない 就職難で大学院進学を避ける傾向
  ■研究不正は倫理教育では防げない 「教育する」では対策になっていない
  ■研究不正疑惑についての投稿まとめ

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