Netflixが日本で苦戦する理由…ですけど、これは日本人がアメリカ人と異なるコンテンツ、日本のコンテンツを見たいから…というものです。同じことは他の動画サービス、Huluなどで言えますね。ただし、そのことを理解しているNetflixはオリジナルコンテンツにも力を入れています。特に現在は日本重視の姿勢が強まっているようでした。
2015/8/30:
●Netflixが日本で苦戦する理由 日本人は~~が好きだから
●「検索をする必要がない」方が実はユーザーフレンドリー
●作品数が多く見えるのに、Netflixは数の多さを強調していない
●強さの秘訣?社長の鶴の一声よりもA/Bテストを重視する
2018/05/17:
●NetflixとHulu、日本で人気なのはどっち?動画調査によると…
2019/11/24:
●飛ぶ鳥を落とす勢いだったネットフリックスが苦戦
●新興ネット企業が従来のテレビ局や映画会社に勝てるのか?
2020/03/13:
●Netflixが日本アニメを救い、日本アニメもNetflixを救う?
●日本は間違いなくハリウッドと並ぶコンテンツ供給源!と期待
●Netflixが日本で苦戦する理由 日本人は~~が好きだから
2015/8/30:以前、Hulu(フールー)についてもおもしろいと紹介した…と思って検索かけたら、やっていませんでした。ただ、このHuluは、結局、日本ではいまいちな感じですね。伸びていません。ということで、「Netflix」もコケそうな感じがありますが、ビジネスモデル的な話はやはり興味があります。
「デアデビル」などの独自配信とともにやってくる「Netflix」の日本戦略を徹底解説、一体何がすごいのか? - GIGAZINE(2015年08月26日 12時00分00秒)という記事の前半じゃ、延々と「デアデビル」という作品の紹介していてつまらなかったです。PR記事なんでしょうね。ただ、後半にはビジネスモデル的な話がありました。日本法人のPR担当の中島啓子さんへのインタビューです。
まず、先述のHuluがパッとしない理由も同じなのかな?と感じた話から。アメリカで成功した動画サイトが日本で苦戦する理由と考えられそうです。
<日本の場合、「日本のコンテンツを見たい」と思っているユーザーが多いので、Netflixでは日本向けのコンテンツとして「TERRACE HOUSE BOYS & GIRLS IN THE CITY」と「アンダーウェア」の2作品を発表しました。ですが、サービス開始時点では「Netflixだけで見られる日本オリジナル作品」に関して大量に揃えているという状態ではないので、スタートダッシュで大成功を収めると楽観視はしていません>
映画なんかはよく邦画がクソだと言われるんですけどね。テレビドラマは確かに海外より国内コンテンツが主流です。
ネットで継続的に見てもらうものなので、おそらくNetflixもそういった続き物が主体なのでしょう。そうなると、やはり日本で作られたコンテンツ(ローカルコンテンツ)が必要ということになりそうです。
●「検索をする必要がない」方が実はユーザーフレンドリー
Huluもここらへんの話がおもしろかった記憶がありますが、ユーザーの見たいものをいかに届けるか?という部分。Netflixではユーザーの視聴履歴を参考にした独自のレコメンドシステムで大量のライブラリーの中からおすすめ作品を選び出していて、75%のユーザーがこのシステムによって次に見る作品を決めているというほどだそうです。
一方で、こういうのは日本企業が下手ですよね。例えば、ネット通販でのオススメは楽天市場よりAmazonがうまく、動画でもニコニコ動画よりユーチューブがうまいです。最初にニコニコ動画を見たときは、オススメコンテンツのひどさに慣れず、かなり戸惑いました。今はだいぶマシになりましたけどね。
宣伝的な話になりますが、上記のようなオススメ機能の強さは以下のような思想によるそうです。
「まず第一の発想が、「検索をさせない」「検索をする必要がない」ということなんです。Netflixのモットーに「徹底的なユーザーフレンドリー」というものがあります。広告がないことでスキップする必要がなく、スキップのための待ち時間もないので、見たいものに早くたどり着ける。だから、検索もする必要をなくす、というのがベースです」
ただ、日本の場合ローカルコンテンツ好きってのがありますから、そううまく行かなそうな気がします。
●作品数が多く見えるのに、Netflixは数の多さを強調していない
おもしろいと思ったのが、「あまり、作品のタイトル数や何話見られるという数字は前面に押し出していないようですが」という質問があったことです。
「弊社のレコメンデーションで、多くのユーザーの皆さまに納得できるだけの作品数を誇っていると思っていますので、公表する必要がないんです。大きな投資をしてレコメンデーション機能の改良をしているのは、作品数が多くても「探すのが面倒くさい」「探しきれない」となってしまうからです。数の多さを押し出すのは、私たちの進んでいる方向とは違うという考えから、あまり数字を出していません」
「レコメンデーション機能は使えば使うほど育っていくので、触ってもらえばそれだけ気に入っていただける自信があります」という話もありました。規模の大きさが効いてくるという話。これはネット検索なんかもそうですね。
●強さの秘訣?社長の鶴の一声よりもA/Bテストを重視する
もう一人NetFlix ディレクター 下井昌人さんの話は、あまりおもしろいところがなかったんですが、以下は好きな考え方です。
「Netflixのレーティングは5段階なんですが、リード(引用者注:創業者のリード・ヘイスティングス)があるとき「3.5や4.5のように中間の値があってもいいんじゃないか。うちのレーティングを変えよう」と言ったことがありました。ところが、うちのエンジニアは「Yes」とは言わず、「リードが言っていることが正しいかどうか、まずはユーザーに聞こう」と言ったんです。それでA/Bテストをしてみた結果、「3.5や4.5といった細かい選択肢を与えた方が、人はレーティングをしない」ということがわかりました。たとえ有名なCEOの提案であっても「データは逆の結果を示しました。従って、やりません」となりました。分からないことはユーザーに聞くということが徹底している文化があるんです」
前述の通り、日本では苦戦するんじゃないか?と思いますし、海外企業なので応援するつもりもないんですが、学ぶべきところがあると思います。
●NetflixとHulu、日本で人気なのはどっち?動画調査によると…
2018/05/17:Netflixは日本だと苦戦するんじゃないか?と予想していたので、今検索して
日本で一番人気の有料動画は?Netflix・Hulu・DAZN・dTV・Amazonプライム・ビデオなどを書きました。
パッとしない感じのHuluよりもさらにユーザーが少なく、やはり大ヒットという感じではありませんでした。ICT総研が2017年末に行った有料動画配信サービスの利用動向に関する調査で、定額制ユーザーの利用サービスを聞いたところ、Huluが25%で2位なのに対し、Netflixは14%で4位に留まりました。Huluの方が勝っています。
ただし、前年度との比較がある「動画配信ビジネス調査報告書2017」を見ると、善戦しているのはNetflixの方であることがわかります。3か月以内に有料の動画配信サービスを利用した人に聞いた、利用している有料の動画配信サービスの比率は以下でした。
Hulu 前年18.5% → 14.9%
Netflix 前年3.9% → 7.6%
この差を見ると、前述のような海外有料動画が日本人に人気になりにくい理由をよく理解しているNetflixの方が、より頑張っているのかもしれないと感じました。
●飛ぶ鳥を落とす勢いだったネットフリックスが苦戦
2019/11/24:日本だけではない世界全体のネットフリックスの話。どうも苦戦しているようです。
ネットフリックス、増収も有料会員伸び鈍く 4~6月 :日本経済新聞(2019/7/18 7:59)という記事がありました。
米ネットフリックスが発表した2019年4~6月期の売上高は、前年同期比26%増の49億2311万ドル(約5310億円)だったものの、中身は良くない数字。世界の有料会員数は1億5156万人と3月末比で270万人の増加にとどまり、会社予想の「500万人の増加」を下回りました。1月に値上げした米国は、なんと12万6千人の減少。最も成功したように見えたアメリカでは、増えるどころか減っているようです。
リード・ヘイスティングス最高経営責任者(CEO)は、伸びが鈍化した要因について「コンテンツ」としていました。ネットフリックスは、一にも二にもコンテンツであり、ここは重要。ヘイスティングスCEOはこのコンテンツで巻き返すと強気です。
ただし、状況的にはむしろ苦しいところ。ウォルト・ディズニーが独自の動画配信サービスを始め、AT&T系のワーナーメディアやコムキャスト傘下のNBCユニバーサルも20年に参入予定。これはライバルが増えるという問題より、ネットフリックスのコンテンツが減る危機の方が大きそうな感じ。自社サービスの開始に伴い、ネットフリックスから人気ドラマを引き揚げる動きが出ているそうです。
●新興ネット企業が従来のテレビ局や映画会社に勝てるのか?
ネットフリックスはこうした番組に支払っていた費用を、独自コンテンツの制作に振り向ける方針。しかし、日経新聞は、市場がこれをあまり評価せず、悲観的に見ていることを強調していました。
ただ、
Netflix、Amazonらがエミー賞独占 TVドラマ衰退、俳優の反応は?でやっているように、今やネット配信のオリジナル作品はテレビドラマ以上に評価されてるので勝てる可能性はあると思います。勝敗は予想しづらいですね。ネットフリックスはデータ企業で、視聴者の好みを抑えているというのも大きいです。結局、できあがるコンテンツ次第としか言えないでしょう。
なお、世界で苦戦する中で、ネットフリックスが日本重視の姿勢を見せているといった報道も見られます。日本市場ではそれほど成功しているようには見えないものの、逆に成長の余地が大きいと考えているのかもしれません。
●Netflixが日本アニメを救い、日本アニメもNetflixを救う?
2020/03/13:ネットフリックスが日本重視の姿勢を見せている…に関連しての追記。ただ、その後、
アニメーターを搾取してた日本企業、外資系に人材取られピンチにというのも書いていたので、そっちに追記しても良いような内容です。
今回の記事は、
アニメーターを搾取してた日本企業、外資系に人材取られピンチにで使った記事よりも古く、2019年11月11日の
日本アニメはネットフリックスを救えるか? | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト(アーサー・ビラサンタ)というもの。
アニメーターを搾取してた日本企業、外資系に人材取られピンチには、ネットフリックスが日本アニメを救うという方向性でしたが、今回の記事は逆に日本アニメがネットフリックスを救うか?というもの。持ちつ持たれつなのかもしれません。
●日本は間違いなくハリウッドと並ぶコンテンツ供給源!と期待
記事時点でネットフリックスは、18本のオリジナルの日本のアニメシリーズを配信。力を入れていることがわかります。日本及びアニメ担当ディレクターのジョン・ダーダリアさんは、「日本は間違いなく、ハリウッドと並ぶコンテンツ供給源だ」と、日本のコンテンツの重要性を強調していました。
ネットフリックスはそこまで日本で成功していないように見えたのですけど、記事はかなり評価していますね。日本の調査会社ヒューマンメディアによれば、日本アニメの海外における売上は2012年の4倍に相当する約10億ドルに達しているとのこと。以下のようにも書いています。
<ネットフリックスは日本市場において大きな存在感を示しており、会員数は数百万人に上る。成長戦略の一環として、同社は日本でのビジネスのさらなる拡大と、アジアへのさらなる進出を図っていくだろう>
ただし、記事では、日本のアニメシリーズはいずれも人気作だが、それでもウォルト・ディズニーおよびその傘下にある人気キャラクターたちとの競争で勝てるかどうかは微妙なところだ…という評価でした。これは、
日本のクールジャパン自称はクールじゃなくて寒い…海外でツッコミでも出てきたように、日本のコンテンツがハリウッドのライバルというレベルには達していないという意味でしょう。
なので、日本及びアニメ担当ディレクターの「日本は間違いなく、ハリウッドと並ぶコンテンツ供給源だ」は今のところ言い過ぎで期待しすぎです。とはいえ、アジアという話があったように、収益が期待しやすい地域もあります。日本のアニメなどというのは、十分使える重要な武器にはなり得ると私は考えています。前述の通り、日本で成功するにはそういうコンテンツが必ずいりますしね。
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