孫正義さんは伸びる企業・良い企業に出資・投資するのがうまい…という印象だったのですけど、ビットコインの買い方が下手な素人みたいなもので驚きました。さらに、その後、ウィーワークでも典型的にダメな買い方をしていたことが判明。また、過去には米Uberでも下手な買い方をしていたと知りました。以前の大当たりはまぐれだったんですかね…?
<孫正義氏、仮想通貨ビットコインを高値で買って大損>、<孫正義氏は投資が下手?ブランドイメージの毀損の方がでかい>、<ダメ会社を買い増し…ウィーワークへの投資が下手すぎ>、<米Uberへの出資タイミングも「典型的な下手な投資家」>、<一見完璧!過去の成功した投資と現在失敗している投資の違いは?>などの話をやっています。
2023/04/30追記:
●本物の金持ちはビットコイン嫌い?ビル・ゲイツ氏「バカが買うもの」 【NEW】
●孫正義氏、仮想通貨ビットコインを高値で買って大損
2019/04/24:
ビットコインでは企業も大損 GMO・SBI・DMM・ビットメインが赤字か?の方に追記しても良いかなと思いましたが、一応別で。企業ではなく、個人での損失でもあります。ソフトバンクの孫正義さんが大損したそうな。
ダウ・ジョーンズ通信によると、孫さんは、フトバンクグループ傘下の米投資会社「フォートレス・インベストメント・グループ」の幹部の勧めで仮想通貨のビットコインへの投資。高値をつけていたビットコインを2017年後半に購入しました。
ところが、その後相場が急落。その急落していた2018年の早い時期に売却し、1億3000万ドル(約145億円)以上の損失を出したといいます。ただ、ソフトバンクグループの広報担当者は「コメントを差し控える」としていて詳細は不明。個人の話ではあるのですが、孫正義さんは寄付みたいな個人の話も広報でやっていたので、ここが窓口としては良さそうなんですけどね。
(
孫正義氏、ビットコインで145億円損失か 毎日新聞2019年4月23日 22時25分(最終更新 4月23日 22時31分より)
●孫正義氏は投資が下手?ブランドイメージの毀損の方がでかい
私は投資自体オススメしていませんが、実を言うと勝率というのは素人が思うほど大事ではありません。初心者は勝率に引っ張られてしまいむしろ負けやすくなります。勝率が高くても大損すればマイナスになるのです。逆に言えば、勝率がそう高くなくても、うまい人はプラスに持っていきます。孫正義さんについても1回の失敗であげつらうのは良くないでしょう。
ただ、私がそもそもビットコインに投資するという選択を取ること自体が賢くないとは正直感じました。素人っぽさがあります。成功したお金持ちが投資するイメージのものでなく、むしろ嫌っている人が多かったはずです。
さらにそのビットコインも高値で買って、急落して売るという投資の下手っぴさが全開。損失そのものは全体の資産からすれば屁みたいなものですけど、それよりも孫正義さんのブランドイメージの毀損の方が大きいと感じました。
より詳細な報道によると、マジで最も高いときに買って損失を出した感じ。ビットコインは2017年12月にピークをつけて以降、2018年末までに80%以上下落したのですが、よりによってその2017年にビットコインが最高値を更新した頃に買っていたとのことでした。
また、孫正義さんって「言うほどすごくないよね」ってのは、他の人も感じているみたいです。ウォール・ストリート・ジャーナルは、190億ドル(2兆1300億円)の資産価値が推定される孫社長に対して些細な損失にすぎないだろうが、「忍耐強く、預言者的な投資家という評判に傷がついた」と指摘していました。
(
ソフトバンク孫社長、仮想通貨ビットコイン投資で145億円超の損失:WSJ「忍耐強い投資家という評判に傷ついた」より)
●公募のソフトバンク株を買うのも下手な投資家
仮想通貨は、うまい投資家、特にお金を多く持っている人だったらまず買わないだろうというものですけど、ソフトバンク関連で言うと、親子上場で新たに公募したソフトバンク株というのもうまい人ならやらない投資でした。
これは、
ソフトバンク株を買った人の末路…今頃「妥当な株価は半分」と言い出す証券会社たちで書いた話であり、意外なことに「カリスマ投資家」とされる人も「買い」だと言っていて驚きました。これもブランドイメージを傷つけた感じですね。
ただ、こちらの件は逆に言うと、個人などに高値で価値の低いソフトバンク株を売りつけた、というわけで、孫正義さんは非常にうまくやったということ。こういうゲスい儲け方は、孫正義さんって非常にうまいんですね。その他、価値のある企業への投資も正直うまいと思います。でも、波を読んで稼ぐ投資みたいなものは下手なのかもしれません。
●ダメ会社を買い増し…ウィーワークへの投資が下手すぎ
2020/03/17:その後、孫正義さんでは、
孫正義ソフトバンク社長の投資したウィーワークは詐欺企業だった?というのを書いています。このウィーワークへの投資の仕方は、素人の典型的な失敗パターンに見えたんですよね。
上がると思って買った会社が実は全然ダメで値下がりして損したときに、今ならむしろ安く買える!と買い増ししていくうちに損失が膨大になった…という感じでした。
今まで私はむしろ孫正義さんの投資のうまさを評価していたものの、このように最近はボロクソみたいですね。
【大赤字ソフトバンク】Uber、Pepper、WeWork……孫社長はなぜ「ハズレ」を引くのか? | 文春オンライン(2019/11/14 石川 温)という記事も出ていました。
●米Uberへの出資タイミングも「典型的な下手な投資家」
記事では、孫社長の「判断ミス」はWeWorkに限った話ではない、としています。そして、ここ数年の孫社長が熱を上げて、のめり込んでいる投資に限って「ハズレ」を引いている感があるとのこと。孫正義さんが評価するほどむしろ悪いってことみたいですね。
2016年の株主総会で孫社長は、2014年に米Uberに出資できるチャンスがあったにもかかわらず、手を出さなかったことを後悔していると打ち明けたそうです。こうしたミスは仕方ないものの、問題は遅れてUberに出資したこと。「安値で買えなかったことを後悔して高値買い」というのも、下手な投資家の典型的なミスそのものです。
<ソフトバンクは2017年から2018年にかけて、満を持してUberの1兆円規模の株式を取得する。しかし、現在は大幅赤字を計上中で、株価は上場時がピークで現在は公開価格を下回っている。孫社長が2014年の段階でUberに出資できていれば、状況は全く異なり、大儲けしていたはずだ。
このUberへの投資についての後悔から「出資のタイミングを逃がしたくない」という焦りが生まれ、結果として、WeWorkの大失敗に繋がったともいえる>
なお、記事では、アメリカの携帯電話会社のスプリント買収やロボット事業のペッパーも失敗だったとみなしていました。投資とは言えないものの、グーグルから引き抜いたニケシュ・アローラさんを後継者にしようとして思い直したことも失敗として加えています。一方で、熱の入れ具合が違うためか、うちでやっていたビットコインについては触れていませんでした
●安く買って高く売るが投資の基本、ソフトバンクのアリババ売却は?
2020/05/25:上記を追記した直後の話であったため、ブックマークだけしておいて追記するまでに間を空けたのですけど、
ソフトバンクG、4.5兆円の資産売却-最大2兆円の自己株取得へ - Bloomberg(2020年3月23日 14:02 JST)というニュースが気になっていました。これは株価が下がっていたことが理由でしょう。
<ソフトバンクグループは23日、自己株式取得と負債削減のため最大4兆5000億円の資産売却や資金化を行うと発表した。最大2兆円の自己株式取得に加え、負債償還や社債買い入れに充てる>
<世界同時株安による投資先企業の株価下落に加え、新規株式公開(IPO)による利益回収の先行きも不透明になり、ソフトバンクGの株価は下落していた。格付け会社のS&Pグローバル・レーティングの格付け見通し引き下げなどを受け、19日終値は1994年の上場後、最大の下落率となっていた>
孫正義社長は「負債の削減を通じてバランスシートを強化する」とも表明。これらの説明により、ソフトバンクグループ株が上昇しました。一方で、ソフトバンクグループの主な資産であり、売却に使われると予想されるアリババなどは株価を下げていたタイミング。このアリババは本来なら高いときに売るものだと指摘されていました。
<市場が荒れているため、売れるものはアリババ・グループ・ホールディングなど優良資産に限られる>(松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリスト)
<投資会社である以上、資産を相場が「安いときに買って高いところで売るのが本来の姿」>(いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員)
アリババはソフトバンクグループを支える超優良資産であるため、これを安売りしてしまうというのは、ソフトバンクグループの強みを失わせ、本来は悪手だと思われます。ただ、記事では、<取引は今後、4四半期にわたり実施><これから検討していく>としていたので、口先だけで株価を上げて、叩き売りは避ける…ということだったのかも。こういう口先だけのことなら、孫正義さんは非常に有能ですよね。
●ソフトバンクの倒産はあり得ない!ただし、未公開株は怪しい…
2020/07/29:前回のアリババ売却の話。銀行員のための教科書というブログさんは、世の中で騒がれている問題について、専門的な金融知識を元に「実は大したことがない」といった解説をされることが多いです。ソフトバンクの件について書いた
株価が暴落しているソフトバンクグループは大丈夫なのか?も、やはり大丈夫で倒産はあり得ないといった結論になっています。
ただし、銀行員のための教科書さんでも、問題をいくつか指摘していたことの方が印象的でした。例えば、孫正義さんが言うように、ソフトバンクグループが保有する他社株の価値からすると、ソフトバンクグループ自体の株価が低すぎるというのは本当だとしつつも、有利子負債を考慮しておらず都合が良すぎだとしていました。
また、ウィーワークのような未公開株(非上場株)が不透明なために、損失が隠されている可能性も指摘。ウィーワークは実際失敗が隠蔽されていました。また、投資能力に懸念が生じていることも指摘。今回の株価暴落は行き過ぎであっても、孫正義さんが主張するほどソフトバンクグループはそもそも価値の高い企業ではない…といった感じでした。
●ベンチャー企業に先行投資して市場独占!が孫正義氏の成功手法
2022/09/13追記:ウィーワーク買収に関する記事を読みました。今さら…という話ではあるのですが、良い解説記事だったんですよね。また、この解説を読むと、なぜ最初は孫正義さんの投資がうまいように見えたのに、後に下手に見えたのか…というのもわかる気がしてきました。
記事そのものは新しいものであり、2022年8月24日n
孫正義氏のソフトバンクG、巨額損失でビジネスモデルのほころび露呈 - Bloombergというタイトル。作者はMax Chafkinさんですので、たぶん海外記事の和訳ですね。孫正義さんの投資手法はスタートアップ・ベンチャー企業に先行投資して市場を独占するという戦略だとのこと。ところが、一見うまく行きそうなこの戦略が今のところうまく行っていないのです。
<ウィーワークやウーバー・テクノロジーズ、ドアダッシュなどに巨額の出資を行ってきた孫正義氏の戦略は、こうしたスタートアップが何年にもにわたる赤字に耐えるようにした上で、市場の寡占状態を確立し、長期的利益を得るというものだ。
理論上はそうだが、ソフトバンクGが8日に発表した4-6月期決算は3兆円を超える創業以来最大の赤字となった。この赤字の一部は円安が原因だが、2兆円余りがビジョン・ファンドの損失だった。前四半期も巨額の損失を計上。孫氏は2022年のこれまでの業績により、21年以来の利益を事実上失ったと認めた>
<ソフトバンクGは、投資先を減らし全般的に人員を減らす方針だ。(中略)同社は市場の混乱とバリュエーションバブルの犠牲になったと説明したが、テクノロジーバブルが生じていたとすれば、そうしたバブルを膨らませる上で重要な役割を演じたのは孫氏自身だった(引用者注:つまり、できの悪い言い訳だとの指摘)>
●相互に支え合う投資…はウソ 実際は脅しをかけて相手企業を支配
作者のMax Chafkinさんは、「ソフトバンクGは技術革新に関する期待に加え、出資先企業が相互に支え合うという考えに基づく洗練された投資哲学を持っているように振る舞っている」と書いていました。ただし、わざわざ「振る舞っている」という書き方をしていますので、これは見せかけだという意味でしょう。
イメージが良い言い方をしている宣伝文句であり、実際は以下のようなやり方だとのこと。求められる2倍、3倍以上の資金を提供しており、一見相手企業に優しいように見えますが、これにより、ソフトバンクグループ以外からの出資を不必要として、ソフトバンクグループで相手企業を独占支配できるようになるのかもしれません。
<実際のアプローチはもっと単純で、黎明期にある業界に巨額資金を投じることにより支配しようという戦略だ。17年以降、孫氏は有望と思われる起業家を見つけると、求められる2倍、3倍以上の資金を提供しようと持ちかけた。創業者が言葉を濁すか、交渉しようとすれば、競合他社に投資すると圧力をかけた。
こうした戦略が、滴滴グローバルやウィーワーク、ウーバーへの巨額投資につながった。ソフトバンクGは17年から18年前半にかけ3社にそれぞれ55億ドル、44億ドル、77億ドルを投資。犬の散歩サービスのワグやビザのロボット配達のズーム、インドのホテルチェーン、オヨなどにも資金を投じた>
●赤字企業に巨額投資でも儲かる理由は「ネット市場は1社で独占」
圧力などはともかくとして、考え方自体は間違っていません。過去に成功してきたソフトバンク以外の投資はこうした手法でうまく行きましたし、孫正義さんが過去に成功してきた投資もある程度この説明に当てはまると感じました。以下のようにネットでは市場独占が起きやすく、富を牛耳ることができるのです。
<ある意味で、これはビジョン・ファンド(ソフトバンクグループのファンド)が投資を開始したころの標準だった発展戦略の延長上にあった。ペイパル共同創業者のピーター・ティール氏が先駆者であるこの戦略は、インターネット市場は1社によって独占されやすいという考えに基づいていた。
こうした論理は、一部のテクノロジー企業が長年の赤字を経て黒字に転じる説明になる>
●一見完璧!過去の成功した投資と現在失敗している投資の違いは?
このように見ていくと、なぜ最近だけ孫正義さんが失敗しているのか?がわかりません。しかし、よくよく考えればわかるように、すべての先行企業がネット市場を独占できるわけではないのです。記事ではいくつかの条件を例示。その条件一つが「確固たる経済理論に基づく本物のテクノロジー企業でなければならない」というものです。
記事では「孫氏が誤ったのはここだ」と説明。ここが落とし穴でした。本物のテクノロジー企業ではないところに投資してしまったのでしょう。前述の赤字でも先行して市場独占の成功パターンはアマゾンにほぼ当てはまる説明でしたが、厳密に言うと、アマゾンは後発。アマゾンも単なる先行企業ではありませんでした。
また、記事では、前述の「求められる2倍、3倍以上の資金を提供」したことも、ソフトバンクグループの失敗だったとしています。相手企業を独占支配できたことは良いように見えるものの、必要以上の巨額の投資を行ったことにより、市場もまた必要以上に肥大化。こうなると、利益を出すのが難しくなってきます。
<孫氏の投資は出資先企業を水膨れさせただけではなく、ベンチャーキャピタル市場をゆがめた。他のベンチャーキャピタルは、多めの資金を集めなければならなくなり、膨らんだバリュエーションでの投資を強いられた>
●本物の金持ちはビットコイン嫌い?ビル・ゲイツ氏「バカが買うもの」
2023/04/30追記:以前書いていた<私がそもそもビットコインに投資するという選択を取ること自体が賢くないとは正直感じました。素人っぽさがあります。成功したお金持ちが投資するイメージのものでなく、むしろ嫌っている人が多かったはずです>の関係で補足。例えば、ビル・ゲイツさんなんかはボロクソに批判していたんですよ。
ビル・ゲイツさんは、ビットコインを批判する際に“Greater Fool ”理論という言葉を使用。何かの値段が理由もなく高騰している際に、「今のうちに買っておけば、値上がりした際に(さんざん値上がりしてから買う)馬鹿な奴に売りつけて儲けることが出来る」という人間の馬鹿げた行動を表したものだそうです。
自分は賢いと思っている人が、バカに売りつけてやろうとして買うのですけど、失敗すれば自分がただ高値で買うだけのバカになります。バカがもっとバカを騙して売ってやろうという考えなわけです。この理論で言うと、孫正義さんはまさに「バカ」ということに…。孫正義さんの場合は実際に損失を出しましたしね。
ただし、お金持ちでビットコインが好きな人もいますので、公平にそういう例も出して孫正義さんをフォローしておきましょう。テスラなどで有名なイーロン・マスクさんはビットコインを以前だいぶ買っていました。ただ、イーロン・マスクさんは親ロシアなどの問題行動やへんてこ発言でも有名ですので、あまりフォローになる例ではなかったかもしれませんけど…。
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