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姫さざえという種類、実はない!中国産ナンカイサザエと混入状態に


 <なぜ今頃?日本のサザエが新種と判明して新たに学名 福田宏岡山大准教授が「発見」>、<姫さざえという種類、実はない!中国産ナンカイサザエと混入状態に>、<サザエと言えばトゲ…だけど、実は必ずトゲがあるとは限らなかった>など、サザエ関係の話をまとめています。

2022/02/27まとめ:
●サザエと言えばトゲ…だけど、実は必ずトゲがあるとは限らなかった


●なぜ今頃?日本のサザエが新種と判明して新たに学名

2017/10/04:新種の生物が見つかるのはよくあること。実はそれほど珍しくありません。ただ、「こんな身近な貝に名前がなかったとは思わなかった」と「発見者」である福田宏岡山大准教授(貝類分類学)が言っているように、身近な生物の場合は極めて珍しいことです。

 なぜ今まで学名がついていなかったのか?というと、どうも中国産のサザエと同じ名前が使われていたためのようです。見分けがつかないというわけではなく、サザエは日本、韓国沿岸の種と、中国南部沿岸の種に大別され、とげの長さや並び方など外見で容易に見分けられるとのこと。

 しかし、日本のサザエはこれまで1786年に英国の博物学者(Wikipediaによるとライトフット)が付けた「トゥルボ・コーヌトス」とされていました。今回、福田准教授がこの原典をインターネットで調べたところ、そのスケッチは明らかに中国産の特徴を備え、産地も「中国」と書かれていたことが判明。つまり、この名前は中国系のサザエにつけられたもので、日本のサザエに名前がついていなかったのです。

 ただ、これすぐにで新種登録!…とはなりません。他の学名を名付ける話でも出ていたのですが、ここからが面倒くさいところ。以降、1995年までにサザエについて記されたほぼ全ての文献を精査、日本沿岸のサザエには正式な学名がないことを論証した上で、「トゥルボ・サザエ」と命名し記載されました。
(日本のサザエ、「新種」だった 学名あったのは中国産:朝日新聞デジタル 中村通子 2017年5月20日01時37分より)


●サザエの混同のせいで消えてしまった幻の学名も登場

 記事では説明がなかったものの、今回の発見で消えた学名もあるのではないか?とサザエ - Wikipediaを見ると、やはりそれがありました。以下のような経緯です。

(1)1786年に英国のライトフットが、中国原産のナンカイサザエを「トゥルボ・コーヌトス」(Turbo cornutus)と命名。
(2)しかし、1848年、英国の貝類学者リーヴがナンカイサザエとサザエを混同して、間違えてサザエの方を Turbo cornutus と同定して、これが定着してしまう。
(3)1995年、この時点で名前がないと思われていたナンカイサザエの学名として Turbo chinensisが記載される。
(4)2017年、サザエの方に名前がなかったことが判明して、「トゥルボ・サザエ」(Turbo sazae)と記載される。
(5)同時に「トゥルボ・コーヌトス」はナンカイサザエであったことが判明し、あとから付けられたTurbo chinensisが重複命名(新参異名)であって無効となる。

 消えたChinensisは、「チャイニエンシス」と読むのが一般的なようです。中国原産の生物に多く使われている学名で、おそらく意味も中国なのだと思われます。


●みんなが知っているキリンも実は新種だった?驚きの説が出る

 なお、極めて珍しいと書いた新種発見ですが、キリンも今後新種と判明するかもしれません。ずっと1種だと思われていたキリン、今頃になって4種類いると判明で書いたように、実は同一種ではなく、何種類かに分けられるべきでは?という主張が出ています。

 このキリンの話はまだ全然確定ではありませんが、同じ種類だと思っていたけど実は別種っだった…というパターンが、よく知られている動物に新たに学名がつくパターン。キノコ系なんかは同定が難しいらしく、ちょこちょこ分類が変わっていて、有名なものでも分類と学名が変わることが多い生物です。

 新種絡みでした他の投稿としては、新種のヒト属「ホモ・ナレディ」発見の発表は大嘘か?証拠に乏しく批判多い研究というのもあります。ただ、タイトル見てわかるように、異議があるんですね。さっきのキリンも批判が出ており、ここらへんはすぐには決まりません。

 他に、最近投稿した発見された変わったカエル ブタ鼻でモグラのようなブパティ・インドハナガエルも新種の話。比較的小さな生物だと新種発見は全然珍しくなく、これからも驚くような生物が見つかると思われます。


●姫さざえという種類、実はない!中国産ナンカイサザエと混入状態に

2019/07/24:サザエのWikipediaによると、小型のサザエは近縁種であるナンカイサザエ(同じページで説明した中国産のサザエ)と同様に「姫さざえ」などの名で市場に出回ることもあるそうです。ところが、「ヒメサザエ」という種があるわけではなく、単に大きさで呼び分けているだけなんだそうな。そして、この売り名の場合だと、サザエと中国産ナンカイサザエの区別もされていません。食品偽装的な問題もありそうですね。

 あと、サザエのこうした分類そのものについて、<サザエ類の蓋の彫刻は種によって異なることが多く、従来より属の分類などにも用いられてきたが、やや人為分類的なきらいもある>とも指摘されていました。とりあえず、現在のところは以下の通りに分けられています。(リュウテン属 - Wikipediaより)

<サザエ(栄螺)>
 北海道南部~九州、朝鮮半島。鮮新世以降から化石が出現し現在に至る。個体によって棘が非常によく発達し、蓋には明瞭な螺旋状のウネがある。
<ナンカイサザエ(南海栄螺)>
 現在は中国大陸沿岸と台湾の一部に生息するが、鮮新世~更新世の化石は沖縄からも出土する。サザエに極めて近縁で大変良く似ているが、ナンカイサザエは成貝でも殻高が7-8cm程度とやや小型なこと、殻の棘の発達が弱いこと、螺肋が細かく数が多いこと、蓋の表面のウネが弱く微小突起の発達も弱いことなどで区別される。
<ムカシサザエ(昔栄螺)>
 中新世~鮮新世にかけて日本周辺に生息していた。上記の現生2種の共通の祖先と推定される化石種で、殻の棘がサザエほどには発達せず、蓋のウネも弱いなど、2種の中間的な形質を示す。

 ずっと1種だと思われていたキリン、今頃になって4種類いると判明では、素人にもわかりやすい見た目の特徴を重視して分類するのは、比較的古い分類の仕方といった話をやりました。現在では、遺伝子的なところを重視して区別します。サザエの分類がこの先また変わる…ということもあるかもしれませんね。


●サザエと言えばトゲ…だけど、実は必ずトゲがあるとは限らなかった

2019/07/25:上記で書いたように、日本のサザエと中国のナンカイサザエは別種とされており、殻や蓋などにより区別されています。ただ、Wikipediaによると、こうした分け方については疑問も出ているとも書かれていました。おそらく外見よりも遺伝子的なところで種を分別すべきであるためでしょう。

 これに関連して、殻などによる区別が不適切と思わる記述が、Wikipediaには他にも見られました。棘(トゲ)のある殻が特徴的であるため各種の意匠や比喩などに利用されてきたものの、実を言うと、個体によって棘のないものもあるんだそうです。

 また、波の荒くない内海ではトゲ無しという説があったもののこれも怪しい感じ。以下は要出典だらけの記述であり、棘の有無が決まるしくみは全然わかっていないようですが、「個体によって棘のないものもある」の部分は「要出典」とはなっていなかったので、棘があるとは限らないというのは本当っぽかったです。

<殻に棘があるものと無いものがあり、それぞれ有棘型、無棘型と呼ばれるが、棘の発達の度合いは色々あり、成長の途中から棘が出たり、あるいは消失したりする場合もある[要出典]。棘の発達した外海の個体を水流のない水槽などに移して飼育すると、その後は多くの個体で棘を形成しなくなり、逆に棘の発達しない個体を外海に放流すると棘を形成することが知られている。このため、かつては「波の荒い外海に棲む個体は流されるのを防ぐために棘を形成し、波の荒くない内海ではその必要が無いため棘無しになる」という説があった。しかし、実際には波の荒い地域であってもトゲ無しの個体が確認され、またその逆の場合も存在し、飼育実験でも個体によっては棘の有無と水流とが合致しない例もあることから、棘の有無には環境要因と遺伝的要因の両方が関与しているのではないかと考えられるようになった[要出典]>


●トゲありサザエじゃないと売れない…と思いきや逆に評価される地域も

 要出典の記述があるので、別のところも探してみました。すると、丹後の海の生き物サザエにおいて、<サザエと言えば棘(とげ)のある貝殻を思い浮かべますが、棘のないものもいます>としていました。京都府立海洋センターの白藤徳夫・技師による説明です。やはり棘のない個体がいるのだと思われます。

 また、ここでは、前述のWikipediaでそれ以外の要因もあるとされていた波の荒さ説で説明。<棘は波で流されないように体を支えています。そのため、波静かな内海で育ったサザエには棘が不要で生えてこないのです>としていました。あと、瀬戸内海で育った棘無しサザエをお届けしますというページも発見。やっぱり棘なしがいるのは間違いなさそうですね。「サザエには棘のある物と無い物があり、通常、瀬戸内海で育ったサザエにはトゲがありません」と書いていました。

 このサイトでは、棘なしを売りにするような書き方をしていて、棘ありの方が好まれそうなのに…と不思議に思いました。すると、<関東地方では棘のあるサザエの方が立派で、高値で取引されているそうですが広島では棘の無いサザエの方が評価が高い>とのこと。地域によって好みが違うんですね。おもしろいです。


【本文中でリンクした投稿】
  ■キリンは4種類と判明!今までわからなかった意外な理由とは?
  ■新種のヒト属「ホモ・ナレディ」発見の発表は大嘘か?証拠に乏しく批判多い研究
  ■発見された変わったカエル ブタ鼻でモグラのようなブパティ・インドハナガエル、胃の中で子育てして吐き出すカモノハシガエル

【関連投稿】
  ■タコイカはタコ?イカ?イカの足の数10本・タコの足8本は本当か?
  ■人喰いナマズの腹からナチス軍人 アマゾンのカンディルは嘘という説も
  ■動物・植物・生物についての投稿まとめ

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