2010/12/8:
本当に内向き志向なのは上の世代
自分は海外に行く気ないが若者は行け!という調査結果に…
海外に行くべきなのは若者よりも管理職世代
管理職世代を表に当てはめてみると…
若者が内向き化している原因は海外勤務の実態の変化
●本当に内向き志向なのは上の世代
2010/12/8:世代対立を煽りたいわけではないのですが、最近若者叩きに反論する投稿を多く書いています。まあ、主流は若者叩きが多いので、バランスが取れて悪くないんじゃないでしょうか。
今回以前書いた
若者は内向き志向…と叩くマスコミ でも他の世代を調べてみると…と同じテーマの話を。また「若者が内向き志向」という報道を疑問視する記事を見つけたのでご紹介します。
その記事は"20代は海外就労に前向き!? 「若者の海外離れ」説の真偽"(2010.11.18 R25)というもの0で、「海外で働くことに関心がある・どちらかといえば関心がある」と回答した20代の若者の割合が30代以降の数値と比べると高い、という結果が紹介されています。
http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/rxr_detail/?id=20101118-00004250-r25&vos=nr25in0000001
この調査は内閣府の
平成22年度 労働者の国際移動に関する世論調査。以下のような結果となっていました。40代以降の数字は比較的似通っていますが、40代以降よりも30代、30代よりも20代といった感じで、若いほどより海外で働くことに前向きなことがわかります。
(数字は全て%) | 20~29歳 | 30~39歳 | 40~49歳 | 50~59歳 | 60~69歳 | 70歳以上 |
関心がある(小計) | 40.0 | 33.7 | 20.6 | 19.9 | 17.2 | 12.5 |
関心がある | 20.0 | 13.1 | 8.5 | 10.4 | 9.0 | 7.4 |
どちらかといえば関心がある | 20.0 | 20.6 | 12.1 | 9.6 | 8.2 | 5.2 |
関心がない(小計) | 58.8 | 66.0 | 79.4 | 80.1 | 82.6 | 85.6 |
どちらかといえば関心がない | 18.8 | 20.6 | 26.2 | 15.7 | 12.9 | 6.3 |
関心がない | 40.0 | 45.4 | 53.2 | 64.3 | 69.7 | 79.3 |
わからない | 1.2 | 0.3 | - | - | 0.3 | 1.9 |
●自分は海外に行く気ないが若者は行け!という調査結果に…
一方で、調査では「若い世代が外国で働く経験を積むべきか」という質問も行っています。こちらは記事で紹介はなかったものの、おもしろいので同様に表にしました。
「(外国で働く経験をを)積むべきだと思う(小計)」だと世代で顕著な差が見えないものの、一番積極的な回答である「積むべきだと思う」では、年齢が高いほどそう思っているという傾向がはっきりと現れました。年齢が上の人は自分は行くつもりないけど、若者は行けと言っている格好です。
(数字は全て%) | 20~29歳 | 30~39歳 | 40~49歳 | 50~59歳 | 60~69歳 | 70歳以上 |
積むべきだと思う(小計) | 72.7 | 80.4 | 74.4 | 75.8 | 76.8 | 62.9 |
積むべきだと思う | 18.8 | 26.8 | 29.4 | 38.8 | 40.6 | 38.1 |
どちらかといえば積むべきだと思う | 53.9 | 53.6 | 45.0 | 37.1 | 36.1 | 24.8 |
積むべきだと思わない(小計) | 26.1 | 18.0 | 23.2 | 18.8 | 20.3 | 29.2 |
どちらかといえば積むべきだと思わない | 15.8 | 9.5 | 15.0 | 9.8 | 10.3 | 12.0 |
積むべきだと思わない | 10.3 | 8.5 | 8.2 | 9.0 | 10.0 | 17.2 |
わからない | 1.2 | 1.6 | 2.4 | 5.3 | 2.9 | 7.9 |
●海外に行くべきなのは若者よりも管理職世代
この調査は今回が初めてですので、過去との比較はできません。「今の40代以降が若い頃はもっと海外に積極的であったのけど、年を取れば外に出ることはない。海外へ行くのは若者と決まっている」との反論があるかもしれません。
ただし、
若者は内向き志向…と叩くマスコミ でも他の世代を調べてみると…で紹介したようにむしろ海外に行くべきなのは、「現地法人の経営幹部となる日本企業の管理職」であるとのこと。「部長クラスが国際競争力で劣ります。海外に出て行っても、なかなか活躍できない。この部長世代の人材が弱いのが日本企業の問題」と指摘している別の記事もありました。
ということで、「海外へ行くのは若者」という認識がそもそもの間違いなのかもしれません。
●管理職世代を表に当てはめてみると…
ちなみに
役職別 平均年収 年収ラボによると、各階級の平均年齢は以下の通り。(元は厚生労働省のデータ)
部長級 51.7歳
課長級 47.1歳
係長級 43.0歳
平社員 38.0歳
これを先程の表と合わせると、次のようになります。
(数字は全て%) | 20~29歳 | 30~39歳 | 40~49歳 | 50~59歳 |
おおよその役職 | 平社員・係長級 | 部長・課長級 |
(外国で働くことに)関心がある(小計) | 40.0 | 33.7 | 20.6 | 19.9 |
関心がある | 20.0 | 13.1 | 8.5 | 10.4 |
どちらかといえば関心がある | 20.0 | 20.6 | 12.1 | 9.6 |
やはり管理職での認識のギャップの方が、より本質的な問題じゃないかと思います。
●若者が内向き化している原因は海外勤務の実態の変化
あと、最初の記事では関西学院大学社会学部の鈴木謙介准教授が、以前の
若者は内向き志向…と叩くマスコミ でも他の世代を調べてみると…で紹介したのとはまた違う見方で、若者が内向き化していると言われる理由を解説していましたので、こちらも紹介。
それは「現実としてグローバル化に直面せざるを得ない環境」があり、二択を迫られることで「海外で働きたい若者と日本を出たくない若者に二極化している」という見方です。
また、「昔の海外勤務は、いつかは日本に帰るというコースが一般的でしたが、現在は、一度海外に行ったら、その土地が自分の人生の中心になる可能性もありえる。以前とは“覚悟”の質が変わっていると思います」と、これもまた前回と違う視点で現在の海外勤務が過去のものと異なることを指摘しています。
【本文中でリンクした投稿】
■
若者は内向き志向…と叩くマスコミ でも他の世代を調べてみると…【関連投稿】
■
会社の電話を取るのは新人や若手の役目…は正しいのか?納得できる理由はある? ■
部下に忖度求める上司「いつでもいい」の裏を読めないとダメ社員扱い ■
日本人に理由を聞くとなぜすぐ謝罪するの?理不尽な上司が多いためか ■
日本語の敬語は無駄でいらない? タメ口のメリットとデメリット ■
敬語不要論と日本の上下関係 タメ口に慣れることができない日本人 ■
ビジネス・仕事・就活・経済についての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|