2015/9/6:
●駄目な子供の育て方 「してはいけない」の禁止令・否定が子供を潰す
●グールディング夫妻とは何者?グールディングとの表記も
●「お姉ちゃんなんだから」など…子供を苦しめる親の13の禁止令
●「叱る」より「褒める」が良いのは研究で明らか…禁止令が悪い理由
●子を認めてあげて!実は「褒める」よりもさらに良い「認める」がある
2019/06/17:
●口答えする子やルールを守れない子の方がむしろ将来成功する?
2021/06/28追記:
●親の言うことは絶対?罵倒されながらも親の介護を続ける息子 【NEW】
●一見バラバラに見えるが実は似てる…子どもを傷つける親の5パターン 【NEW】
●駄目な子供の育て方 「してはいけない」の禁止令・否定が子供を潰す
2015/9/6:
あなたを苦しめる幼少期の「13の禁止令」|人生の99%は思い込み――支配された人生から脱却するための心理学|ダイヤモンド・オンライン(2015年6月3日 鈴木敏昭 [心理学者]) は、記事の最初のあたりを見た感じ、今回の話は過去に読んだものとの共通点が多く、ある程度信頼できそうだと感じました。
しかし、この考え方がどれくらい研究者の間で支持されているとか、様々な研究によって確かめられているとかという話は見あたらず。子育てに関する話というのは、全般に信頼性をはかるのが難しいですね。大抵、そういったデータが見つかりませんので、自称専門家の経験談による根拠のないアドバイスとの取捨選択が困難です。
ただ、前述のように一見してダメだと思うようなひどいものではありませんでしたので、さらっと見ていくことに。記事では、幼少期の禁止令が人生に及ぼす影響があることを指摘。そして、そうした禁止令の中でも、アメリカの医学博士で国際交流分析学会の会長も務めたグルーディング夫妻が特に人生に大きな影響を与えるとした禁止令があり、それらについて紹介しているようです。
●グールディング夫妻とは何者?グールディングとの表記も
先にプロフィールを。記事では「グルーディング」となっていますが、「グールディング」が一般的なようです。
Mary Goulding(メアリー・グールディング)
国際TA協会 教授会員
夫の故ロバート・グールディング医学博士とともに、TA理論とゲシュタルト療法を統合し、「再決断療法」を開発。Western Institute for Family and Group Therapy で長年後進の指導にあたってきた。1975年にエリック・バーン記念科学賞を受賞している。
治療においてバーンが<成人>の汚染解除を主目的にし、かつ個人の脚本の書き換えに関しては悲観的であったのに対し、彼らは脚本(人生計画)の成立に演じる<子ども>の役割を重視し、幼時期の決断について現在の自分の立場から再決断が可能であるとして、個人の持つパワーを強調する。
復刻版DVD TA Today&Tomorrow 私の治療哲学 幼時決断・禁止令と再決断 医学・医療 領域 セミナー 講習会 の チーム医療
●「お姉ちゃんなんだから」など…子供を苦しめる親の13の禁止令
では、以下13の禁止令について見ていきます。
(1)「何もするな」「実行するな」
具体例:「木登りなんて危ないこと、やめなさい」「あの子と遊んではいけません」「怪我するからサッカーはやめなさい」
「何もするな」「実行するな」とありますが、これだけ見てもさっぱりわかりませんので、具体例の方でイメージを膨らましてください。こういった禁止令をたくさん作ると、"従順な子どもであろうとし続けた結果、大人になっても積極性に欠け、人の意見に従ってばかりになる傾向が強い"とのこと。
この後の話もそういうものだと思われますが、「~してはいけない」というスタイルは、子供を縛ってしまうため良くないというのはよく言われています。
(2)「お前であるな」
具体例:「本当は、女の子が欲しかった」「女は損よね」と自分の性別やアイデンティティを否定する。
"自分の性や自分自身に自信が持てなく"なり、"自分に自信がないので、まわりの評価や常識、世間体に左右されやす"くなるとの説明。
(3)「子どもであるな」
具体例:「あなたはお姉ちゃんなんだから、しっかりしなさい」「もうお兄ちゃんなんだから、泣かないの!」
"「自分がやらねば!」という責任感が強い余り、それが足かせになることもある"とのこと。
(4)「成長するな」「親から自立してはいけない」
具体例:「全部お母さんがやってあげるわよ」と過保護に育てられたり、末っ子で甘やかされて育てる。
こちらは(3)「子どもであるな」の逆パターン。
毒親の過干渉という呪縛 20年前の「いいお母さん」像が今は毒母がこういう話です。
(5)「感じるな」「感情を表に出してはいけない」
具体例:感情を「我慢しなさい!」と抑え込んだり、無視したりする。
"自分の感情を抑えこむのが癖になり、物事に無関心・無感動に"なるとのこと。
(6)「考えるな」
具体例: 「親に口答えするな!」「黙って言うことを聞いていればいいんだ!」
自分で考えるのを放棄し、"論理的に物事を考えたり、冷静に判断することができなくなったりする"んだそうな。毒親のパターンに近いですね。
(7)「近寄るな」
具体例:「忙しいから後にして」「静かにしてちょうだい」など、あまり相手をしない。
"上司や同僚に相談せずに一人でなんとかしようとしてしまう人や、嫌なことがあっても「自分が我慢すればいいんだ」と考えてしまう"人になりがち。
(8)「成功するな」
具体例:うまくいったときには褒めてもらえない一方で、失敗したときは慰めたり、励ます。また、「お前は肝心なところでダメだねえ」など言う。
"「成功してはいけない」というように思い込む"という解説。この解説は何かしっくり来ませんが、失敗したときにばかり注目を浴びるのが、マズいパターンだというのはわかります。
わざと問題を起こして親の関心を惹こうとする子になってしまうおそれがある一方、物事をより良くしようと努力しない子になってしまうと思われます。
(9)「自分のことで欲しがるな」
これは具体例がなかったですが、わかりますね。(5)「感じるな」「感情を表に出してはいけない」で出た「我慢しなさい!」の物欲バージョンです。
"自分の欲求を素直に言えないだけでなく、幸運を人に譲り、幸せを自ら壊すような行動をとってしまう"とのこと。
(10)「健康であってはいけない」
具体例:病気のときだけお菓子やジュースを好きなだけ食べさせてもらえた人や、親が体の弱い兄弟姉妹の面倒ばかり見ていた人に多い。
これは(8)「成功するな」の健康版っぽいですね。やはり"病気や怪我で同情を引こうとしたり、突飛な行動やおかしな発言で周りの注目を集めようとしたりする"とのこと。
(11)「重要な人になってはいけない」
具体例:テストでいい点をとったときや先生に褒められたときの反応が薄い。
順番をもうちょっと考えられなかったのかなと思いますが、これも(8)「成功するな」に似た感じ。
(12)「所属してはいけない」「仲間入りをしてはいけない」「孤独になれ」
具体例:「あの子と口をきいてはいけません」と親が友達を選んだり、「この子は恥ずかしがり屋だから」と親が子どもの心を代弁してしまったりする。
"職場やグループに溶け込めず、一人で行動することが多くな"りがち。
(13)「存在するな」
具体例:幼い頃に虐待を受けたり、「お前さえいなければ、私は離婚していたのに」などと言う。
"自分は生きていてはいけないという思い込みから、自分の体や命を大事にできなくなる"というキツイ話。
●「叱る」より「褒める」が良いのは研究で明らか…禁止令が悪い理由
同じ内容を書いた別記事に対し、「~するな」ばっかりで何をしていいかわからないといった感想がありました。「これでわからなくなるなんて考えてなさすぎだろう」と思ってしまったんですが、確かにわかりづらいところもあるかも。最初いいかな?と思ったんですが、こうやって一つ一つ見ていくと、結構しっくり来ませんね。
「~するな」系の教育はむしろ一般的であり、支配的だと思われますので、なおさらこれを読んだ人には戸惑いが大きいでしょう。私の親もそういった「~するな」系の教育でした。ということで、ヒントになるかどうかはわかりませんけど、私が今回の話をある程度信頼できると思った理由について少し書きます。
子育てや社員の育て方で支持されている研究は、「叱る」より「褒める」が良いというものです。これはかなり一致した傾向。そして、今回良くないとされていたしつけは基本的に「叱る」的なもの。全般に子供や部下を否定するような教育法は悪影響であると言われており、大まかな方向性としては間違っていないと思われます。
●子を認めてあげて!実は「褒める」よりもさらに良い「認める」がある
さらに言うと、社員の話ではあまりないものの、子育てでは「褒める」よりも「認める」の方がずっと良いと言われることがしばしばあります。今回良くないとされた親の行動は、基本的に子供のことを認めていないものだというのがわかるでしょう。
親が子に「~するな」と禁止してしまうというのは、親が子をコントロールしようという気持ちが大きいためだと思われます。キツイ言い方をしてしまいますが、これは親が子供を所有物のように思い通りにしようと考えているところがあるためです。
では、子供を認めるとして、すべて子供のなすがままにするのが良いのでしょうか? しかし、実はこれも良くありません。以前のものでも書いたように、そんなことはそもそも不可能です。
キーワードである「認める」は子供の特性ややりたいことに理解を示すということであり、すべてやりたいようにやらせるということではありません。これがとてつもなく面倒くさいので力で服従させたくなるのですが、子供の望むこと、親の望むこと、他の人や世間の都合などが異なることを説明し、説得していかなくてはいけません。一応短くまとめると、「子供は親の思い通りにはならないこと」「子供を認めること」がポイントでしょうかね。
あと、無関心系の話がスルーになっていましたが、これも子供を認める…といったもので説明できますね。干渉しすぎるのは悪ですが、当然親は子供に関心を持つ必要があり、無関心が良いわけではありません。
…といった感じですが、まあ、これは私の理解であり、正しいかどうかはさっぱりわかりません。とりあえず、上記の禁止令は良くないという主張はそうおかしくないと感じた理由を説明すると、このようになりました。
●口答えする子やルールを守れない子の方がむしろ将来成功する?
2019/06/17:上記ときちんと対応する話ではないのですけど、研究の裏付けがある話を発見したので紹介。
口答えする子どもは成功する可能性が高い:研究結果 | ライフハッカー[日本版]というもので、以下のような内容でした。
(1) 思春期に口答えする子は、大人になってより成功する
バージニア大学の調査によると、常に親と口論していた子どもやティーンエイジャーは、家庭の外で意見の対立に直面したときに強い。この調査では、150人以上の13歳児に親に大きく歯向かった経験について質問。そして2年後に、仲間からの圧力にどう反応しているかを聞きました。すると、2年前に冷静を保てば両親と意見が食い違っても良いと思った子のほうが、実社会で仲間からの圧力に屈しない勇気があることがわかった。
親に口答えする子どもは自信をもって嫌なことは嫌と言うことができるが、他者と意見をぶつけ合うことを覚えなかった子は、強いことを言われると引き下がってしまうと考えられる。
(2)よくしゃべる子どもは成績が良い
マイアミ大学の研究によると、よくしゃべる幼稚園児のほうが、キンダーガーテン(引用者注:調べ直してみると、アメリカのキンダーガーデンは小学校の0年生相当だそう)に入学したときに、より準備ができており、成績が良いことがわかった。
クラス全体の障害となるほどしゃべってしまうような子も、習得のプロセスにより積極的に関わり、注目を集めている。よくしゃべる子は、口を動かしながら、コミュニケーション・スキルを発達させ、自分の問いに対する答えを求め、得ることを習得していると考えられている。
(3)ルールを守れない子は、人並み以上の成績を収め、高収入の大人になる
米国心理学会の学術誌『Developmental Psychology』に掲載された、幼少時の行動が大人になってからのキャリアの成功にどのような影響を及ぼすかという研究では、12歳の参加者を観察し、その40年後に再度観察が行われた。大人になってからの高収入の最大の予測因子は、子どもの時によくルールを破ったということだったとわかった。
理由はよくわかっていないが、より強い競争心や自己主張を伴い、転じて、より高い給与を求めたり交渉したりすることが得意になるのではないかとも考えられている。
最後の(3)は、「人並み以上の成績を収め」の説明がありませんでした。ただ、たぶん何らかのデータがあるんでしょうね。また、ひょっとしたら仕事での成績について示しているのかもしれません。学校の成績についてはあまりごまかせないのではないかと思うものの、仕事についの成績の方は気になるところ。まさにルールを守らないことで成功する人の存在がわかっているためです。
これは実力以上に優秀だと誤解されていることになりますし、そうじゃなくても人は思い込みで不正確な評価をしていることがわかっています。また、そうした一見優秀に見える人が、実は企業に隠れた大損害を与えているといった研究も存在。ここらへんの「ルールを破るほど良い」といった話もちょっと注意が必要そうです。
●親の言うことは絶対?罵倒されながらも親の介護を続ける息子
2021/06/28追記:別のところでも紹介した
「毒親」でも介護するべき? しんどい親子関係を今すぐ終わらせる方法とは | mi-mollet(ミモレ) | 明日の私へ、小さな一歩!という記事。藤木美奈子・元龍谷大学准教授(博士は大阪市立大で取得)の書籍『
親の支配 脱出マニュアル 心を傷つける家族から自由になるための本 (こころライブラリー)』を転載したもののようです。
タイトルの<「毒親」でも介護するべき?>の答えはノー。そもそも「子は親孝行するもの」や「子は親の面倒をみるもの」というのは、プログラミングされたものだと指摘。呪縛みたいなものですね。私は逆の「親が子供の面倒を一生見なくてはいけない」は根拠がなくおかしいだろうと思っていたのに、今回の問いには答えを迷ってしまいました。私も呪縛に囚われていたようです。
こうしたプログラミングの例では、「家族がいちばん。血のつながりほど大切なものはない」「誰からも好かれる人になりなさい」「世のため人のために生きることが最善の生き方」「人に迷惑をかけるな。人を頼るべからず」などといったものも。いずれももっともらしく聞こえるものの、親子関係で苦しんでいる人は疑ってよく考えてみるべきだとしていました。
ただ、なかなかこのプログラミングから脱することは難しいようです。ある男性は、罵倒され、脅され、振りまわされてきながらも、親の介護を苦しみながら頑張る「いい子」でした。「施設に託すのもひとつ」などと藤木美奈子さんはアドバイスしますが、「私が見ないと」と譲りません。親から離れられない「共依存」の関係に陥っていました。
●一見バラバラに見えるが実は似てる…子どもを傷つける親の5パターン
不幸なことに毒親に育てられた子は、人間関係がうまくいかず、転退職をくり返したり、結婚生活や子育ても悩み多きものとなることが多いとされていました。なかにはうつ病やパニック障害などの精神疾患を患ったり、酒、薬物、ギャンブル、過食や自傷行為などに救いを求める人もいるそうです。
これは、「親に自分の気持ちを大切にされなかったため」「価値を認めてもらえなかったため」という説明。自分に価値を感じられなくなると問題が起きやすい…というのは、よく指摘されることです。以下の「子どもを傷つける親」のパターンは、一見多種多様に見えるが、「子どもの気持ちを大切にしない」という共通点があるとされていました。
・感情的で、すぐに暴言・暴力をふるう (「出来損ない」なども暴言)
・なんでも自分の思い通りにしようとする (勉強や就職や結婚などで介入。挫折した親だけでなく、成功した親でも見られる)
・自分の価値観を子供に強要する
・子供を他者と比較する (兄弟などと比較。扱いに差をつけるのも良くない)
・夫婦仲が悪く、そこに子供を巻き込む (愚痴を聞かせるのも良くない)
今回の話をこちらにも追記したのは、こうした説明があったため。もともと書いていた「してはいけない」の禁止令・否定が子供を潰すというのも、多くの場合、親が「子どもの気持ちを大切にしない」ためと言えそうな感じです。そして、そうした子供は人生で困難に直面しやすいため、否定し続けるような教育をしない方が良いということですね。
親の支配 脱出マニュアル 心を傷つける家族から自由になるための本 (こころライブラリー)
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