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軽減税率はトラブルだらけ ビスケットをケーキと認めさせる訴訟も


2015/9/7:
●誰も得しないと言われる軽減税率…政治家には魅力的な理由
●プリングルズはポテトチップスじゃないと提訴して勝訴
●ビスケットをケーキと認めさせる裁判を10年 20年分の税金を取り返す
●テイクアウトかどうかがややこしく消費者もお店側も混乱状態に
●持ち帰ると嘘をついてその場で食べると軽減税率適用という問題も
●イートインとテイクアウトの嘘、お店側も脱税することができる
●フランスでもカナダでも問題が発生 ドーナツ購入で抜け道など
2019/11/02:
●日本でもやっぱりイートイン脱税が横行、お店側は対策で負担


●誰も得しないと言われる軽減税率…政治家には魅力的な理由

2015/9/7:軽減税率は公認会計士・税理士も反対「誰にとってもメリットがない」が意外にたくさん読まれたので、続けて軽減税率の話を。

 減税率のネタは大量にあるものの、既に今まで書いたもので問題点は出尽くしています。なので、結局は問題点を繰り返して…という形ではあります。それらの問題点の中では比較的軽いものの、書きやすかった軽減税率の適用範囲に関する話を今回はピッアップ。

 この適用範囲というのは、財務省が軽減税率不採用の案を出して、与党議員らが慌てていることとも関係あるかもしれません。消費税の軽減税率と利権・癒着 自民党207議員が新聞への導入賛同署名で書いたように、自民党の議員らなんかは、新聞に有利になるよう働きかけをしていました。こうやって政治家が業界に恩を売れるという意味では、軽減税率に魅力的なところがあるとは言えます。



●プリングルズはポテトチップスじゃないと提訴して勝訴

 適用範囲は政治家の働きかけの他にも、問題を引き起こします。例えば、以下のようなトラブルに、企業も自治体も時間と金を費やす可能性が出てくるのです。

< 日本でも売られている菓子の「プリングルズ」。イギリスでは、じゃがいもを原料として作られたポテトチップスは軽減対象外だが、ケーキやビスケットは軽減税率の対象となる。
 このプリングルズの製造元であるプロクター・アンド・ギャンブル社は「プリングルズはポテトチップスではなくビスケット」と主張。2008年にロンドンの英国高等裁判所が下したのは、「プリングルズはポテトチップスではない」との判決。含まれているじゃがいも原料が42%しかないことなどが理由だった>
(プリングルズ ジャガ芋使用率42%のためクッキーとP&G主張 NEWSポストセブン / 2012年8月26日 7時0分より)

 また、チョコレートは贅沢品として標準課税されるイギリスでは、ビスケットがややこしいことに。チョコレートがけのビスケットの場合、チョコが半分以上を覆っていれば贅沢品として扱われるという違いが生まれるのです。

 このような線引きの難しいところ、非生産的なところで企業努力をするという妙なことになります。今、発泡酒の税金を変えるとか何とか言っていますが、あれはそもそも変な税制にして長く続けてきた国が悪く、努力してきた企業は大迷惑です。


●ビスケットをケーキと認めさせる裁判を10年 20年分の税金を取り返す

 適用範囲の微妙さは、訴訟にお金と時間がかかるだけではありません。国が負けた場合、過去に国に入った税金も返さなくちゃいけなくなります。

 しかも、実際に取った税金より多く返却することになるかもしれません。というのも、企業側は過大な税金を取られていなければ、それを運用して利益を得ていたと考えられるためです。

<この曖昧さゆえに裁判沙汰となったのが、「ティーケーキ」という商品。これまで贅沢品のチョコがけビスケットとして標準税率が課せられていたが、イギリスの小売り大手が「ケーキだから0%だ」と主張して政府を提訴。10年を超す法廷闘争の末にケーキと認められ、過去に払った約20年分の税金が返還されることになった>


●テイクアウトかどうかがややこしく消費者もお店側も混乱状態に

 「優遇税率をどこまでの適用範囲とするのか」では、他の煩雑さも生まれます。イギリスでは、持ち帰りするかどうかで、優遇税率かどうか変わってくるそうです。具体的には、"テイクアウトとなれば、ゼロ税率となるがイートインでは20%の通常税率が課せられ"ます。
(欧州で見てきた消費税軽減税率の現実 とても煩雑!テイクアウトと店内食の区別|森信茂樹の目覚めよ!納税者|ダイヤモンド・オンライン  森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]  2014年5月14日 より)

 このため、イギリスのスターバックスでは、食品に2つの表示がついているという不思議なことになっています。わかりづらいですよね。

 ところが、さらにややこしいことに、"イートインとテイクアウトとが同じ値段になっている"商品もあります。なぜか?と言うと、「ホットフード」という概念があり、「温めて食べる」商品は、"テイクアウトだろうがイートインだろうが、標準税率(20%)がかかる"のです。売り場を分けることでスターバックスは対応しているようですが、非常にややこしいことになっています。


●持ち帰ると嘘をついてその場で食べると軽減税率適用という問題も

 テイクアウトなら優遇税率という場合ですが、抜け道があります。ドイツはホットフードの概念がないそうなので、全商品にこの裏技が使えそうです。

<お客にテイクアウトかイートインかを聞いて適用税率を判断すると、消費者の多くは、「テイクアウトといって購入し、その場で食べる」という行動にでる>

 ドイツのマクドナルドの場合はこれを避けるために、商品の本体価格を2つ作って、消費税適用後に同じ価格にするように調整しているようですね。
 ドイツでは「ホットフード」という概念は導入されていない。基本的にお客に聞いて、それに従い判断している。写真5のように、イートインとテイクアウトの2つの値段が書いてある。標準税率は19%、軽減税率は7%である。

 しかし、ドイツマクドナルドの価格表示は異なっている。写真6はドイツマクドナルドでハンバーガーを買った際のレシートだが、テイクアウトとイートインの場合、適用税率は異なる(19%と7%)にもかかわらず、同じ価格で販売されていることがわかる。

(中略)マクドナルドでは、イートインしてもテイクアウトしても、同じ料金で販売することにより、税当局とトラブルを避けたいという店側の配慮からの値段設定である。

 ただ、これはこれで面倒なことに変わりありません。
 もっとも、税務申告のためにはイートインとテイクアウトのお客の数(販売個数)は適正に把握しておく必要がある。軽減税率の適用されるテイクアウトの販売個数を実際より多く申告すれば、納税額は少なくて済むからである。

 そこで、ドイツの税務当局の役割は、その店の申告するイートインとテイクアウトの割合が本当かどうかをチェックするという。

●イートインとテイクアウトの嘘、お店側も脱税することができる

 本体価格の調整の話がわかりづらいかな?と思ったので、投稿直前に追加。日本の消費税8%と10%で、具体的な例を出してみましょう。たとえば、本体価格500円の商品は、消費税8%なら540円です。テイクアウトのルールがなければ、当然その場で食べても持ち帰っても540円です。

 ところが、消費税増税に合わせて軽減税率を適用し、テイクアウトならこれまで通り8%、お店で食べたら10%とすることにします。これを素直にやると、テイクアウトで540円、その場で食べると消費税10%で550円となります。

 しかし、ドイツのマクドナルド方式の場合、同じ価格になるように調整していました。仮に550円に合わせるとした場合は、テイクアウトの本体価格を509円と値上げしてしまえば良いのです。

お店で食べる 本体価格500円 消費税率10% 550円
テイクアウト 本体価格509円 消費税率8%  550円

 実際には材料費などを除くため異なるんじゃないかと思うんですけど、マクドナルドが支払うべき税金は、お店で食べる場合は50円、テイクアウトなら41円と考えることにします。なので、テイクアウトを多く申告すれば、脱税できちゃうって話が、作者の森信茂樹教授が言っていたものです。

 ドイツの税務当局はテイクアウトの割合を本当かどうかチェックすると書いていましたが、どうやってチェックしているんでしょうね?

 なお、本体価格がいっしょの場合でも、マクドナルドが支払う税金は、お店で食べる場合なら50円、テイクアウトなら40円と、やはりテイクアウトの方がだいぶ安くなります。


●フランスでもカナダでも問題が発生 ドーナツ購入で抜け道など

 記事に戻って、今度はフランスのケース。このフランスに関する記述は短いのですが、これも結局複雑です。

 "わが国での軽減税率の議論が始まったが、このような煩雑で非効率な状況になっている欧州諸国での現状も、ぜひ参考にしてほしい"と、当時森信茂樹教授は書いていました。
 フランスでは、標準税率は20%だが、レストランサービスや食料品には軽減税率が適用されている。もっとも同じ軽減税率でも、レストランサービスは10%、食料品は5.5%と異なる税率である。したがって、イートインの場合は10%、テイクアウトは5.5%と異なるが、ピザ等温めて提供されるもの(すぐにその場で食べることができるもの)については10%になるようだ。

 森信教授は繰り返し軽減税率の問題点を指摘しており、別記事では上記以外の例を出していました。
消費増税議論(その2)消費税の逆進性解消には給付付き税額控除が有効だ|森信茂樹の目覚めよ!納税者|ダイヤモンド・オンライン  森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員] 2011年12月19日

 優遇税率をどこまでの適用範囲とするのか、業界と税制当局との間で議論が白熱、訴訟やトラブルが生じ、納税者・事業者双方に大きなコストをかけている。(中略)

 カナダでは、ドーナツ等の菓子について、販売個数が5個以下の場合には飲食サービスとして標準税率、6個以上は(その場で食べることはないということで)食料品としてゼロ税率、というように外形的に決めている。そこで、ドーナツ屋の店先で見知らぬ購入者が集まって、「ドーナツ購入クラブ」を結成し、6個以上になるのを待って共同購入・清算するという事態が生じている。

 こういう不毛な制度を導入するってのは、バカバカしい話です。


●日本でもやっぱりイートイン脱税が横行、お店側は対策で負担

2019/11/02:自民党議員の業界との癒着があったせいかはわかりませんが、結局、日本も軽減税率を実施。海外の成功・失敗や研究成果などを活用すると、日本をもっと良くすることは可能なんですけどね。政治家は全く学びません。おまけに日本の場合、増税と軽減税率適用と同時に2種類のキャッシュレス還元を実施して、考えられないほどややこしいことになりました。アホの極みでしょう。

 で、軽減税率の件なのですが、このページで書いていた、テイクアウトすると嘘をついてお店で食べるという不正が、やはり日本でも起きました。予想できたというか、絶対に起きるとわかっていたこと。「イートイン脱税」という呼び名も定着したみたいですね。これはお店側の余計な負担を増しているので、わずかですけど経済を悪化させる効果もあるかもしれません。

 例えば、名古屋市中区のから揚げ店では、持ち帰り用として購入したにもかかわらず店の入り口のベンチに座って食べる客が後を絶たなかったことから、ベンチを撤去する事態に。

 また、大手コーヒーチェーンの「ドトールコーヒー」では、店内で飲食する客にも希望に応じ持ち帰り用と同じ紙コップで商品を提供していたのを、わざわざ持ち帰り商品と区別するため「EAT IN」と書かれたシールを貼って対応することになりました。本当政治家は余計なことをしてくれましたね。
( “イートイン脱税” 後絶たず 座席撤去など店が対応 2019年11月2日 6時36分 NHKより)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191102/k10012161511000.html


【本文中でリンクした投稿】
  ■軽減税率は公認会計士・税理士も反対「誰にとってもメリットがない」
  ■消費税の軽減税率と利権・癒着 自民党207議員が新聞への導入賛同署名

【関連投稿】
  ■メリット薄い軽減税率、5つの問題点 逆進性対策として効果が低いなど
  ■法人税減税で、外資系企業の日本参入促進や直接投資増加 効果は?
  ■消費税を上げる分ゴルフ場利用税廃止?麻生太郎・下村博文が賛成
  ■政治・政策・政党・政治家についての投稿まとめ

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