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地方議員の報酬は高いどころか安すぎ 無投票当選増加の理由に


●無投票当選増加の理由は当選のハードルが上がったため?との説

2015/9/10:今回の話の前に、地方議員の年収はいくら? 高い・安い報酬の市町村ランキングというものを投稿。もともとやりたかったのは今回の話なのですが、その前に地方議員の具体的な報酬額についてやらないと…と思ったので、先にそちらをやりました。

 で、やりたかったのは、無投票当選が増加している…という話。無投票当選が過去最高、地方議員のなり手がいない!:日経ビジネスオンライン(安藤 毅 2015年4月9日)によると、2015年の41道府県議選は、「全選挙区の33.4%で無投票が確定し、総定数の2割超が無投票で当選した。無投票当選者の割合は総務省に記録が残る1951年の統一選以降で最高」という結果でした。

 理由の一つはもちろん人口減少だろうと思うのですが、記事ではそれによって「なぜこれほどまでに無投票当選が続出しているのか。まずは人口減少や自治体の合併を反映して定数が減り、当選のハードルが上がったこと」が理由だとしていたんですよね。

<道府県議選で当選レベルに達するだけの支持を集めるには一定の知名度や「おさまりの良さ」がより重要となり、「若さ」や「風頼み」の新人候補には逆風となる。筆者の知人も立候補を模索したが、最終的に断念に追い込まれた>

 ただ、号泣議員こと野々村竜太郎さんが当選したこととの整合性が取れない説明でしょう。大阪維新の会の仲間みたいな党に偽装していたとはいえ、ハードルが高くなったはずの地方選挙で泡沫候補が受かるというのも妙な話です。首をかしげました。


●地方議員の報酬は高いどころか安すぎ 無投票当選増加の理由に

 著者は他に。高齢化の進行や都市部への人口流出による人材の不足・有権者の無関心・「地域の和」を尊重して争いを避けようという空気という3つの理由を追加。その上で、"地方議員としての「美味しみ」が薄れ、今や自他ともに認める「割に合わない商売」の代名詞に位置付けられるまでになったことも大きいのではないだろうか"としていました。これが記事の主題です。

 既に変だなと思うことが書かれていましたが、この後はもっと変です。"筆者の出身地、岩手県の旧知のある県議"という方が「こまめに冠婚葬祭や地域の会合に対処すれば、議員報酬の半分はなくなる」と言っていたそうです。いや、それ、議員の仕事じゃないじゃん!という話ですわ。

<高齢化が進む地域を地盤とするだけに、地元では毎週のように弔事がある。地区の寄り合いや業界ごとの会合も頻繁に開かれる。法律的に「アウト」とならない範囲内での対応に留意しているとはいえ、選挙の事を考えれば付き合いを重視せざるを得ず、出費はどうしてもかさむという>

 この「冠婚葬祭や地域の会合に出席するには報酬が少なすぎる」だけでなく、前述の通り、無投票当選増加の理由は当選のハードルが上がった説も号泣議員のせいで説得力がなく、胡散臭さを増しています。この後、その号泣議員の話がちょうど出てくるのですが、これまた変なことを書いています。

<おまけに、昨年話題をさらった「号泣県議」問題もあり、議員として活動する際の調査・研究に充てる名目で支給される「政務調査費」の使途に対する監視の目は厳しくなるばかり。人口減で自治体の活力も税収も低迷し、かつてのように地元に道路を引っ張ってくるような利益配分型システムは、崩れた>

 おかしな話はまだ続きます。「地域の御用聞きが地方議員の主な仕事」だという以下の話も、冠婚葬祭と同じで、本来の政治家の仕事じゃないでしょ?という話。記事では地方議員にもっと旨味を!とはさすがに書いていなかったものの、何となく腑に落ちない書き方をしていました。

・地元から感謝されることは少なくなったのに、寄せられる要望や陳情、苦情の類は引っ切りなし。地域住民にとっては、地元議員は「偉い人」から「使う人」へとすっかり変容した。
・「この街や地域をどうしていくのか。そういうことを考え、勉強するより、地域の御用聞きとしての役割に追われていた。それも仕方ないことだけど、さ」(岩手県内のあるベテラン市議)

(2022/05/12追記:その後、公明党はリベラル?野党より左翼?右翼化・自民党化する傾向も…でやっているように、この有権者の「御用聞き」である口利きが先鋭化して、自民党と連立を組む公明党有力議員が逮捕される事件が起きています。要するに支持者に対して不平等に利益供与するので、基本的に良くないんですよね)


●地方議員はまともな仕事をしていない?本来、するべき仕事とは?

 一方、わかりやすく批判的だったのが、議会では座るだけの地方議員 控室でBLOG更新等の「政治活動」- NEWSポストセブン(2015年4月10日07時00分)(週刊ポスト2015年4月17日号)これはこれで議員叩きが目的化しているおそれはあるものの、上記の話よりは説得力があります。

「市議は予算提案権を持っていないから、例えば予算案を修正しようにも、現実には行政の長にお願いするしか手はない。いくら一般質問しても、意味がないと感じてしまうので、誰も手を挙げなくなる。質問しないことよりも深刻なのは、議員の本来の仕事である議案をきちんと読む議員がほとんどいないことだ。
 経験上、8割近くの議員は議会に提出される各議案をまともに読んでいません。会派が賛成ならば自分も賛成、反対ならば自分も反対なので、わざわざ読む必要がない。これは会派運営で行なわれている日本の地方議会の弊害です」(関西地方で20年間の地方議員生活を送った元市議)

 この元市議の場合、現役時代にある議案に目を通したところ、水道料金の積算根拠が間違っていたという大チョンボを発見。が、他の議員からそれを指摘する声は一切出なかったとのこと。質問もせず議案も読まないのに、地方議員たちは議会で何をしているのか…と指摘していました。

「議会に出ても座っているだけの議員らが、開会日には律儀に議会庁舎に顔を出す理由は、議員控室を自分の事務所代わりに使っているケースが多いためです。控室で1日の大半の時間を自分のブログ更新や掲示板チェック、支援者との懇談、陳情の面会といった“個人の政治活動”に費やしている。本当の仕事場は議会ではなく控室という議員は少なくない」(元市議)

 最初の日経ビジネスオンライン記事では、「行政サービスの効率化や負担増など不利益の配分を住民にお願いする機会が多くなり、議員が矢面に立たされる場面が増えている」(増田寛也・元総務相)という話がありました。たぶん報酬が安いのにやることが多くて割に合わないというニュアンスなんでしょう。

 ただ、これらの仕事を地方議員がやるのは「そんなにおかしなことではないんじゃないの?」というもの。少なくとも冠婚葬祭や地域の御用聞きよりは、よほどまともな仕事でしょう。報酬が安い方が良いということもないのですが、やることやっていないくせに議員にとって都合の良い話だけされても困りますわ…。


【本文中でリンクした投稿】
  ■地方議員の年収はいくら? 高い・安い報酬の市町村ランキング
  ■公明党はリベラル?野党より左翼?右翼化・自民党化する傾向も…

【関連投稿】
  ■議員報酬は削減するより増額すべき?矢祭町日当制の理想と現実
  ■日本の国会議員の給与(歳費)は世界一?
  ■国会議員・地方議員の報酬は高くすべき?低くすべき?
  ■ネット選挙の問題点 SNS、Twitterでのネガティブキャンペーン
  ■政治・政策・政党・政治家についての投稿まとめ

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