2015/9/14:
●ただでさえ低い日本企業への信頼性が東芝のせいでさらに低下
●東芝は変われない 不正会計の修正なしなら増益で好調とアピール
●東芝財務部長は「不適切ではなくグレーだ」という驚きの発言も
●トップのせいで…というのは本当?経営陣だけの問題とは思えない
●会長だけが悪いわけではなさげ…腐敗はどこまで進んでいるのか
2018/05/09:
●改ざん組織トップ「どの組織でも改ざんはあり得る話。個人の問題」
●ただでさえ低い日本企業への信頼性が東芝のせいでさらに低下
2020/01/23:
売上200億円でほぼ全部架空取引?東芝子会社の東芝ITサービスで書いたように、東芝がまたやりました。やっぱり東芝が変われるはずないよねってことで、過去のこの投稿を再投稿しています。
2015/9/14:勝ち組電機企業とされていたのに、実は不正のおかげだったという東芝。これは日本の恥とも言える不正行為で、情けないです。日経ビジネスオンラインのある記事では、「東芝の不正会計は日本の株式市場の透明性に泥を塗る、実にけしからん問題」と書いていました。
(
不正会計の東芝にアグレッシブな財務部長登場!:日経ビジネスオンライン 大西 康之 2015年9月14日)
海外のウォール・ストリート・ジャーナルなんかは、社説で
【社説】東芝が露呈した「日本株式会社」の腐敗 企業統治改革は必須 - WSJ(2015 年 9 月 11 日 19:14 JST)というのを出しています。有料記事なので読めていませんが、おそらく東芝だけでなく日本の企業全体の問題だと見ているのでしょう。オリンパス問題もあったので、日本企業への信用はもともと極めて低いです。
●東芝は変われない 不正会計の修正なしなら増益で好調とアピール
で、その東芝が変われるか?という話なんですが、「こりゃダメそうだ。東芝は変われないな…」と感じたのが、最初の日経ビジネスオンラインの記事なのです。室町社長の後に登場した渡辺幸一財務部長は、不正会計問題があった中で以下のように強気の発言を繰り返していました。
「2014年度決算は、もろもろございましたが、実質的な営業損益は増益であります」
「原子力事業の2014年度の売上高は6200億円で前年度比10%増。STP(東芝が約600億円を投融資したが、パートナーが投資を凍結して宙に浮いている米国での原発建設プロジェクト)の
減損がなかりせば増益です」
「電子デバイス部門も、
減損処理がなかりせば、営業増益でありました」
記事では以下のようにツッコまれていました。全然反省の色がないですよね、これ…。
"「なかりせば」ってアナタ。その減損を「知らんぷり」してきたから、問題になっているんじゃないですか。
5年以上の長きわたり利益を水増ししてきた会社の財務部長が「なかりせば」って。"
●東芝財務部長は「不適切ではなくグレーだ」という驚きの発言も
ネットでは「損さえなければプラスだった」というギャンブラーの心理などとも、言われていました。ただ、不正でのプラスだったんですからそれ以上にひどい話。ギャンブルで言うのであれば、「イカサマが見抜かれなければ勝ってたんだ。だから、俺は弱くない」と食ってかかられるようなものです。戸惑いますわ。
そして、渡辺幸一財務部長の攻めは、上記で終わりではありません。まだ攻めるのです。東芝の不正は政府のせい説を紹介した
不適切会計の一因は国にも?国策企業・東芝と佐々木則夫元副会長の問題発言の中でも出てきたウエスチングハウスについての説明でも、東芝の非を認めたくないようです。
これは、記者の「新たな修正の中に入っているウエスチングハウス(東芝が買収した米原発機器大手=WH)の55億円のコスト増ですが、これも不適切会計と考えてよいでしょうか」という質問に関する場面のことでした。
室町社長は、「これは後発事象なので不適切ではないと思いますが、米子会社に対するトップのプレッシャーがあったという意味では…」と説明したいたのですけど、ここで室町社長の回答にかぶせるように、渡辺財務部長がしゃべり始め、以下のように正当化したのです。
「これは判断の違いでありまして、従来は1台ごとの工事進行基準で計上していたものを10台まとめて評価するという。グルーピングをしたときに判断の違いが出てくるという問題であり、まったくもって不適切とは言えないグレーな状況と考えています」
●トップのせいで…というのは本当?経営陣だけの問題とは思えない
グレーだったとしても全く良いとは言えずむしろ問題ある気がしますが、そもそも不適切会計で1500億円以上も誤魔化していたことが判明して間もないときの会見ですからね。もうちょっと言い方があるだろうという話。まるで反省の色が見えません。
日経ビジネスオンラインでも危うさを感じるとしていました。<あっぱれである。社長の発言を遮ってまで会社を守ろうとするその愛社精神。まことに見上げたものじゃ>としつつ、以下のように書いています。
<だが、長年多くのサラリーマンを見てきたシニア記者は、そのアグレッシブさに、歴代社長の「チャレンジ」と同じ危うさを感じもいたした>
●会長だけが悪いわけではなさげ…腐敗はどこまで進んでいるのか
東芝については、社内闘争などのようにトップの問題とする報道が多かったです。例えば、以下は「会長が牛耳ってきたせい」という記事。(私はかさ上げ額は1500億円台だと思っていたのですが、下記では"東芝の発表によると、利益のかさ上げ額は2248億円としているが、すでに確定していた本決算である2014年3月期までだと2781億円に達する"という説明でした)
東芝よ、本気で再生しようという気があるのか? ~不正防止のための新組織が、早々に骨抜きにされるイヤな予感 | 磯山友幸「経済ニュースの裏側」 | 現代ビジネス [講談社] 2015年09月09日(水) 磯山 友幸
東芝は、日本に欧米型のガバナンスの制度が選択制で認められた直後の2003年6月に「委員会設置会社(現在の指名委員会等設置会社)」に移行した。監視と執行が分離されるはずだったが、実際には社外取締役の監視は機能せず、今回の不祥事につながった。実は「形」は作ったものの、巧妙に「魂」を抜いていたのである。
委員会設置会社の「肝」が指名委員会にあることは多くの経営者が認めるところだ。委員の過半数を社外取締役にすることが法律で求められており、社長をクビにする権限を社外が握ることになるのだから、当然である。
日本企業の多くが委員会設置会社への移行をためらったのも、「指名委員会」への抵抗だった。東芝は見事にそれを骨抜きにしたのである。
これまで、東芝の指名委員会は取締役会長と社外取締役2人が務める形が続いてきた。そして、社外の委員には学者や官僚OBなどを据えたのである。社外が過半数の形ではあるが、社長経験者の会長が牛耳る態勢になることは火を見るより明らかだ。
不祥事が起きる直前まで、室町会長と、元中国大使の谷野作太郎氏、一橋大学教授だった伊丹敬之氏が指名委員を務めていた。会長の提案を拒絶することのないメンバーを選んできたということだろう。ちなみに、監査委員会も社内委員はガッチリ監査専門家で固め、社外委員は門外漢を据えていた。
記事自体は、「東芝の幹部たちが本気で東芝を変えようとしているのか」と、疑問視するもの。ただ、日経ビジネスオンラインであったような話を聞いてしまうと、東芝は経営陣に限らずかなり内部まで腐っているんじゃないかと思わざるを得ません。
●改ざん組織トップ「どの組織でも改ざんはあり得る話。個人の問題」
2018/05/09:東芝の人が実際にそう言ったというわけではないのですけど、仮に不正会計を行った東芝の社長が「どの組織でも改ざんはあり得る話。個人の問題だ」と言ったら猛烈な批判を浴びることは想像に難くありません。
確かに捏造改ざんという不祥事は最近多く起こっています。東芝の後にも、
日本企業の不正事件 神戸製鋼データ改ざん、東洋ゴムの免震ゴム不正、日産、三菱自動車やスズキの燃費不正、三菱マテリアルという話を書きました。
しかし、だからといって、自社の問題の正当化や経営陣の責任を他に転嫁するような「どの組織でも改ざんはあり得る話。個人の問題だ」という発言は許されないでしょう。ただ、世の中にはこうした発言をしても、熱心に擁護される方がいるのです。麻生太郎財務大臣です。
いじめ・パワハラ・セクハラそのものは犯罪ではない 民事不介入で警察が動かないケースも多いで使った同じ記事では、以下のような話もありました。
"また、麻生大臣は、森友問題の文書改ざんに関連して「どの組織でも改ざんはあり得る話。個人の問題だ」と述べました"
(
「セクハラ罪ない」麻生大臣「事実申し上げただけ」(2018/05/08 11:49) テレ朝より)
民間であれば擁護なく叩かれるほどひどい言動が、ファンが多い政治家だと問題なしとされてしまうというケースが最近続いています。「政治以外のケースだとどうなるか?」と考える癖をつけてもらいたいです。
【本文中でリンクした投稿】
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売上200億円でほぼ全部架空取引?東芝子会社の東芝ITサービス ■
不適切会計の一因は国にも?国策企業・東芝と佐々木則夫元副会長の問題発言 ■
日本企業の不正事件 神戸製鋼データ改ざん、東洋ゴムの免震ゴム不正、日産、三菱自動車やスズキの燃費不正、三菱マテリアル ■
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