日本の自尊心をくすぐる話を中国サイトから拾ってきてくれるサーチナ。今回はこんな記事です。
●日本は交通事故が少なくてすごい!中国メディアが賞賛
日本は交通事故が少ない・・・ナゼだ? どうしてだ?=中国メディアが考察 サーチナ / 2015年9月16日 13時39分
中国メディア・捜狐は9日、日本で交通事故の発生率が低い理由について、実際に日本で見聞きした事柄をもとに考察した文章を掲載した。
まず挙げたのは、押しボタン式の歩行者用信号機。(中略)歩行者がボタンを押さない限りは青信号が続くので、自動車の通行を必要以上に妨げることはない」と説明した。
2点目は、自動車(引用者注:自転車の誤記)のライト。日本では自転車に対する管理が厳しく、警察官が路上でチェックすることすらあること、そして「中国人にしてみれば驚きの規則」として、自転車のライト取り付けが義務付けられていることを紹介。(中略)
3点目に挙げたのは、一時停止だ。日本にある多くの交差点には「止まれ」と書かれており、小さな路地でも自動車やバイクは「監視カメラや警察官が存在しなくてもみんな停車」し、安全を確認した後で通過すると説明。4点目は、信号のない横断歩道などでは自動車が減速あるいは停止して歩行者に譲る点を挙げた。
さらに、5点目には歩行者が交通ルールをしっかり守り、学校でも交通安全教育が行われていること、そして最後には道路が狭いながらもきれいに舗装されているほか、住宅地などの交差点では確認用のミラーを非常に多く見かけることを挙げて紹介した。(編集担当:今関忠馬)
●中国は交通事故死者数も最悪 年間20万人以上で日本の4倍の比率
どっちもやらかしそうなので、中国メディアの問題なのか、サーチナなの問題なのか知りませんが、上記では全くデータ的な話がありません。中国メディアの問題だとしても、まともなメディアなら、普通は補足で載せると思うんですけどね。
で、気になった私が検索してみると、中国はこんなにひどい!というNEWSポストセブンの記事が出てきました。雑誌掲載の転載ではなく、どうもネットのオリジナル記事くさいですね。雑誌名の表記がありません。
中国の交通事故死は日本の4倍の年間20万人超 児童も1万人│NEWSポストセブン
世界保健機関(WHO)は昨年1年間で、中国の交通事故死亡者数が20万人以上に達し、そのうち1万人が児童であることを明らかにした。香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が報じた。(中略)
なお、日本の昨年の死亡者数は4113人。日中両国の人口の比率からすると、日本ではほぼ5万人に相当するが、その4倍の20万人というのは極めて高い数字ということが分かる。
●中国で交通事故初心者が多いのは、初心者ドライバーが多いのが原因?
NEWSポストセブンもなぜ中国の交通事故の死者数が多いかについて、分析を試みていました。
この原因は急速な自動車の増加にともない、運転マナーが向上していないことが挙げられる。
例えば、2003年には中国全土の自動車台数は2400万台だったが、昨年は1億5400万台と6倍以上に達している。(中略)
このような中国にけるモータリゼーションの急速な進展によって、免許証保有者が急増しており、中国において4分の1弱のドライバーが運転歴3年未満で、その4分の1弱のドライバーが中国全体の35%の事故を起こしているという実態がある。
●日本でも運転マナーの悪い国はあった
初心者が多いのだとすると、そもそも日本とは比べられません。比較するのは不適切です。
また、初心者じゃなくても、自動車を持つ人が急激に増えているというのは、社会全体としてもまだ自動車に関する規則・マナーが浸透していないのは、致し方ないのでは?と感じました。
私は日本の交通事故の死者数でも多いと感じ、より減らすように努力すべきだと思います。しかし、今の日本の死者数は、一時期よりずっと良くなったことは確かです。つまり、日本人も極めてマナーの悪い時期があったんですね。
交通事故 - Wikipediaによると、"1970年は、自動車保有台数が1652万台程度しか存在しないにも関わらず、交通事故で年間で1万6765人(1年以内死者数では約2万2千人)が死亡し、史上最悪の年となった"とありました。
●日本の悪かった時期と今の中国は同じくらい
この日本の最悪の数字と、今の中国の数字を比較するのも意味ないと思うのですが、一応やってみましょうか。
1970年の日本 人口 1億0372万人 死者数 1万6765人 1万人あたりの死者数 1.6人
2014年の中国 人口 13億5700万人 死者数 20万人以上 1万人あたりの死者数 1.5人(人口は2013年)
ほとんど変わりませんね。やや日本のほうが悪いくらいです。ただ、中国はまだ最悪の数字かどうかはわかりません。個人的にはまだまだ自動車を持つ人が増えて、より悪くなる可能性が高いと思います。
●車の台数あたりで比較すると、中国の方が悪い
自動車の保有台数も載っていましたので、こちらも計算。こっちは中国が悪そうです。
1970年の日本 自動車の保有台数 1652万台 死者数 1万6765人 1万台あたりの死者数 10人
2014年の中国 自動車の保有台数 1億5400万台 死者数 20万人以上 1万台あたりの死者数 13人
大差ではありませんが、中国の方がはっきりと悪くなりました。
●交通事故発生件数や交通事故負傷者数のピークはわりと最近
あと、日本の交通事故ですが、Wikipediaを見ていて驚いたのが、死者数とそれ以外でピークの時期が全く異なったことです。交通事故発生件数や交通事故負傷者数のピークは、2004年なのです。大昔じゃありません。
交通事故発生件数
国内の自動車保有台数の増加により交通事故も比例して増加し、2004年には95万2709件と過去最悪を記録した。その後は国内の自動車保有台数も8000万台程度で安定し、2014年には自動車保有台数が約8027万台と史上最も多くなっているにも関わらず、事故発生件数は57万3465件と10年連続で減少している。これは、自動車保有台数がまだ約4824万台だった1986年よりも少ない件数である。
交通事故負傷者数
事故発生件数と連動して1990年代より増加し、1999年から2007年までは連続して年間負傷者数100万人を突破し、2004年には118万3616人と過去最悪を記録した。その後、事故発生件数と共に減少傾向にあり、2014年の負傷者数は70万9989人となっている。
なぜ事故だけ増えて死者は減ったのだろう?と不思議でしたが、自動車に乗る人への安全対策が上がったからかもしれません。自動車同士、あるいは単独、物損事故などが増えても、ドライバーや搭乗者の安全対策が高まれば、死者数はそれほど増えません。
じゃあ、自動車の安全対策が上がっている今でも死亡事故の多い中国はやっぱりひどい、と言えそうです。ただ、前述のように初心者が多いという特殊事情がありますし、シートベルト着用などのマナーの問題が定着していない影響もあるでしょう。
あんまり比較して喜んでも仕方ない気がします。
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