主な代用魚の一覧 回転寿司の代用魚詐欺は、違法・偽装表示じゃないの?以外にも代用魚の話をやりたいなと思っていたのに、ひどく間が空きました。
●そもそも鮭は寿司ネタに使われていない
食材の虚偽表示問題や外食産業の不適正表示を受け、消費者庁が「適正表示のガイドライン案」を出したことがありました。しかし、某大手回転寿司チェーンの社員は、次のように、このガイドライン案に対し否定的な見方を示していたそうです。
「すべての食材を正確に表示したら、かえって消費者が混乱するケースもあると思います。例えば、サーモンをニジマス(引用者注:サーモントラウトとも言う)と表記しても、イメージがわきづらく、注文しなくなるんじゃないでしょうか。実際、鮭は寿司ネタに使われることはないので、サーモンを鮭と勘違いする人は少なくなっていると思います」
(
回転寿司、なぜ正確なネタ表示がされない?透ける消費者庁ガイドラインの難しさ Business Journal / 2014年2月1日 14時0分)
ただ、「注文しなくなるんじゃないでしょうか」は店側の言い分であり、身勝手です。名前を正確にすると注文されなくなるというのは、騙されていた可能性も高いということです。
というか、そもそも鮭は寿司ネタに使われていないんですね。それで、「鮭」という書き方をしていないのか。
あと、後半では以下のようなことも言っていましたが、これも身勝手な話で共感できません。
「代用魚の名前を出せば、拒絶反応を示す客が必ず出てきます。それを防ぐためには、本来の魚を使わなければならなくなりますが、そうすると現在の価格を維持するのは困難です。安くおいしいものを提供するためには、代用魚の存在は欠かせません。また、季節によって入手が困難な魚を、味や見た目が似ている魚で代用することは、お客様のニーズに応えるためにも必要なんです。これは偽装ではなく、あくまでも“代用”です」
私自身は代用魚の名前でも一向に構わないわけですが、正直に書いて拒否されたとしても仕方ないことでしょう。だって、嘘なんですもの。
●代用魚の具体的な例
代用魚のサンプル集めとしては、同じ方の以下の話が豊富でした。
「季節や店によっても違いますが、寿司ネタは正確な表示をしていないことがかなりあります。黒マグロと表記されている大トロや中トロは、ガストロという魚で代用されていることがあります。鯛はテラピア、ブリはイボダイ、ネギトロなどに使われるトロにはアカマンボウを使用している店もあります。ほかにも、イワシやカンパチ、ハマチなど、挙げればきりがないほど、代用魚は流入しています」
前述のものと合わせてまとめます。
本来の魚 代用魚
サーモン ニジマス(サーモントラウト)
黒マグロの大トロや中トロ ガストロ
鯛 テラピア
ブリ イボダイ
ネギトロ アカマンボウ
イワシ 不明
カンパチ 不明
ハマチ 不明
●回転寿司で代用魚という話はデマ? 流通量や淡水魚の問題で無理
一方、代用魚の話自体が嘘だという記事もあります。でも、前述の方は「某大手回転寿司チェーンの社員」らしいんですけどね。まるっきり捏造でない限り、代用魚の話自体が嘘ということにはなりません。
とりあえず、言い分を見てみましょう。以下、そのまま引用ではなく、まとめて。
1.流通量が少なすぎる
「中トロ=赤マンボウ」や「マグロ=ガストロ」などの生で食べられる状態のものが市場にたくさん入るわけもなく、数十店舗、数百店舗もあるような大手回転寿司チェーン全店で常時使えるわけがない。
2.淡水魚なのに生食?
「ナイルパーチ=スズキ」や「ティラピア=タイ」というのも相当無理がある。淡水魚なので寄生虫がおり、生食には適していないから。流通量もありえないが、何年も使っていたら健康被害が出ているはず。
3.小規模店でも使うのはムリ
そもそも魚の使用量が少ない小規模店でコストを下げるためにそんなリスクの高いことをするはずもない。日本から遠く離れた国の魚を生で食べられる状態で運ぶには高性能の冷凍庫などの設備も必要であり、そんな資金も無いと思われる。
【コラム】回転寿司で「代用魚」の使用は絶対にありえない / 流通量などを考えればすぐ分かる話なのに信じる人が多すぎる ロケットニュース24 / 2013年11月7日 16時0分 執筆:なかの
●なぜほぼ全部回転寿司の魚は代用魚という前提なのか?
さっき書いたように、回転寿司の中の人が認めている時点であれですが、ロケットニュース24らしい雑な記事ですね。
1.流通量が少なすぎる
この話は実は
主な代用魚の一覧 回転寿司の代用魚詐欺は、違法・偽装表示じゃないの?でも書きました。ただ、「大手回転寿司チェーン全店で常時使えるわけがない」と書いているように、誰も常時使うとは言っていないでしょう。飽くまで代用魚です。
代用魚をメインに常に流しているとか、だから回転寿司は安いんだとかいった話は怪しいと言えますが、ピンチヒッター的に代用しているくらいなら十分にあり得ます。これだけでは否定できません。
2.淡水魚なのに生食?
これはその通りだと思いますが、ナイルパーチは刺し身の代用魚ではなく、白身魚のフライじゃないかなぁ?(関連:
白身魚のフライのナイルパーチ ヴィクトリア湖の悲劇とダーウィンの悪夢)
ああ、でも、「ティラピア=タイ」は「鯛 テラピア」でさっき出ていましたね。ここだけ後で確かめてみましょう。
あと、冷凍でも寄生虫を殺せるらしいので、これもやっぱり否定できますかね。
美味しい100円回転寿司チェーンとヤバい回転寿司店の見分け方でも、冷凍を使っているという話が出てきていました。
3.小規模店でも使うのはムリ
これも最初と同じで別にほぼ全部代用しているという話ではありません、という話がまずひとつ。
それから、「日本から遠く離れた国の魚を生で食べられる状態で運ぶには高性能の冷凍庫などの設備も必要であり、そんな資金も無いと思われる」とありましたが、何で回転寿司屋さん自身が遠くの国から運んでこなくちゃいけないのかもわかりません。意味不明。
この記者の中では、海外産の食品を使っている料理屋さんは、自ら海外で買い付けて持ってきていることになっているんでしょうか?
●「ティラピア=タイ」がうそ臭いのは別の理由
さて、後回しにした「ティラピア=タイ」の件。Wikipedia見ると、淡水魚だから説とは別の理由で、現実的でなさそうな感じ。
ティラピア - Wikipedia
日本に導入されたティラピアと呼称される魚は、シクリッド科(カワスズメ科)のナイルティラピア(Nile tilapia、Oreochromis niloticus)、カワスズメ(モザンビークティラピア、Mozambique tilapia、Oreochromis mossambicus)、ジルティラピア(Tilapia zillii)で、第二次世界大戦後の食糧危機においてタンパク源として注目された。
このうち食用として普及したのはナイルティラピアで、流通名は「イズミダイ」又は「チカダイ」と呼ばれ養殖されている。流通名として高級感があるなどといった理由で付けられた名前だが、鯛類とは全くの別種で、生息環境も異なる。
外観もクロダイまたは鯛に似て、味や食感も非常に美味だが、国産の養殖のティラピアは、生産量や人件費の関係で比較的高価であり、近年、日本では鯛そのものが大量に養殖されるようになり、鯛そのものの価格も下がったため、ほとんど見かけなくなった。
「ほとんど見かけなくなった」ですので全滅ではなさげですが、代用魚を用いるメリットはあまり感じられません。うーん、これを見ちゃうと、最初の某大手回転寿司チェーンの社員さんの話も怪しいですね。どいつもこいつも胡散臭いです。
関連
■
主な代用魚の一覧 回転寿司の代用魚詐欺は、違法・偽装表示じゃないの? ■
美味しい100円回転寿司チェーンとヤバい回転寿司店の見分け方 ■
白身魚のフライのナイルパーチ ヴィクトリア湖の悲劇とダーウィンの悪夢 ■
倒産危機で小僧寿しが迷走 ラーメン屋転業,意見公募,社長横領疑惑 ■
回転寿司で何皿食べる?男女別の平均皿数や人気のネタランキング ■
小僧寿しの倒産危機の迷走劇 過去に謎の1円値下げやピザ販売も ■
食べ物・飲み物・嗜好品についての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|