2015/9/18:
●日本の技術は世界一! → 自動ブレーキによる事故、トヨタ自動車でも
●事故発生…やはり自動ブレーキはむしろ不安全と言っていいのか?
●最新の自動車の安全性評価テスト調査結果が発表に!その結果は…
●調査では、自動ブレーキ特有の事故の発生は未考慮なのでは?
2021/11/05追記:
●アンチ自動ブレーキ派に悲報、ついに義務化されてしまうことに 【NEW】
●自動ブレーキを望んでいる人が大半?ここまで普及した理由 【NEW】
●日本の技術は世界一! → 自動ブレーキによる事故、トヨタ自動車でも
2015/9/18:ブレーキ関係だと以前、
アクセルとブレーキの踏み間違い不可能、ナルセペダルの画期性をやっています。これはすごくおもしろい話でした。このときにも事故を防止するはずの自動ブレーキのせいで余計事故に…という話をしましたが、今回もそういう例から。
2013年11月、マツダのスポーツタイプ多目的車(SUV)「CX-5」が、自動車販売店の駐車場で、障害物を検知して自動ブレーキをかける機能の体験走行を実施していました。ところが、その自動ブレーキ体験で事故が起きてしまいます。
車は7メートル先のウレタンマットに向かって走行し、自動ブレーキで停止するはずだったのに突っ込みます。マットを突破しただけでなく、6.6メートル先の金網フェンスにまで衝突して前部が大破。試乗運転していた客の男性と、販売店従業員が捻挫や骨折の重軽傷を負ったそうです。
実は数日前には、政府とトヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業(ホンダ)の大手3社が国会周辺で自動運転技術搭載車両の実証実験を実施。試乗した安倍晋三首相が、「さすがに日本の技術は世界一だなと体で感じた」とコメントしたばかりだったそうです。
(
相次ぐ車の自動ブレーキ機能起因事故で露呈した、普及へのハードル〜難しい運転手責任 | ビジネスジャーナル 2013.11.19より)
さらにマツダだけではなく、安倍首相参加の実証実験に出ていて、日本を代表する自動車会社であるトヨタ自動車でもトラブルがあったようです。東京都葛飾区の首都高速で2013年5月、走行中のトヨタ車に急ブレーキがかかり、後続車に追突される事故が発生していました。検知用のレーザーが乱反射して、横からの「割り込み」があったと認識したのが原因だったそうです。
●事故発生…やはり自動ブレーキはむしろ不安全と言っていいのか?
ただ、これらをもってただちに自動ブレーキが悪とは言えません。自動ブレーキがない自動車との事故の多さや深刻さを比べなくてはいけないためです。
LCCの安全性は低い?飛行機事故が目立った2014年の驚きの事故率では、ハイテク機がパイロットにとって操縦しづらいもので余計危ないという主張がありました。しかし、人のやる部分を少なくした方が、結果的に事故が減るという可能性はあります。ハイテク化に起因する事故が、ハイテク化前に起きていた事故より少なければ「より安全になった」と言えます。
ホンダ研究者「制限速度を守るとあおられるのが自動運転車の問題」のときには、グーグルカーが雨の日に事故が起きるからダメという話も出ていました。しかし、人間の運転においても、晴れの日より雨の日の事故が多いそうです。これも結果的に事故が少なくなるのはどっちか?の方を見なくては意味がありません。
まあ、人のミスは許せるけど、機械が原因となったミスが許せないって心理もあるかもしれませんけどね。最近書いた"グーグルの自動運転車はやはり危険? 衝突14回でついに負傷者も"(
ホンダ研究者「制限速度を守るとあおられるのが自動運転車の問題」にまとめています)では、グーグルの自動運転車に対する根拠なき批判が目立ちました。
●最新の自動車の安全性評価テスト調査結果が発表に!その結果は…
こんな風に怪しい!と感じている人の多そうな自動ブレーキの効果について、興味深い研究がありました。
自動的に衝突を防ぐ自動車の「自動ブレーキ」は安全なのか? - GIGAZINE(2015年05月15日 19時00分57秒)によると、自動車の安全性評価テスト「Euro NCAP」が発表した最新の調査結果だそうです。
このEuro NCAPが発表した最新の自動車安全性調査の結果によると、衝突被害軽減ブレーキによって後部衝突事故が38%も減少している…というのが事実。調査はヨーロッパ5か国とオーストラリアのANCAPのデータをメタ分析にかけたもので、低速走行時の衝突被害軽減ブレーキの安全性を証明する貴重なデータだと見られています。
実を言うと、過去に衝突被害軽減ブレーキが悪い評価を受けていたこともあったとのこと。ただし、この種のブレーキを想定していない古いテスト手法だったために悪かっただけ…という可能性があるようです。こうしたテストって、そもそものテスト設計が悪いと実際とは異なる評価になっちゃいますからね。
2013年に日本の自動車アセスメント(JNCAP)やヨーロッパのEuro NCAPといった世界の自動車安全評価にも衝突被害軽減ブレーキの項目が加えられていますが、従来の停止を基準に採点していたため、衝突被害軽減ブレーキは安全性で低い評価を受けることもあったと説明されていました。
●調査では、自動ブレーキ特有の事故の発生は未考慮なのでは?
ところで、トヨタ自動車の事故のように、従来の自動車で起きるはずがなかった新たな事故はどう評価しているんでしょうね。Euro NCAPの研究者は、衝突被害軽減ブレーキによる減速やブレーキ時に後続の非搭載車ドライバーが追突するという事故の存在を認めつつも、衝突被害軽減ブレーキの技術は安全なものとしていたそうです。
ただ、この書き方だと、新たに起きる事故でのマイナスとプラスのどちらが大きいかは、はっきりしません。ここがよくわからなくって何度か読み直し、下書きも何度も直したのですけど、38%減少というのは、「衝突被害軽減ブレーキによって後部衝突事故」のみの話で、他の数値は出ていません。
自動ブレーキ事故が頻繁に報道されているわけではないため、私は新たに起きる事故がそう多くはないのでは?と思っていますけど、そこらへんのデータははっきりしませんでした。
●アンチ自動ブレーキ派に悲報、ついに義務化されてしまうことに
2021/11/05追記:アンチ自動ブレーキな人もいたわけですが、ついに義務化です。また、その後さらに性能も向上したともされています。2021年10月22日に
2021年11月から「自動ブレーキ」義務化! 10年で一気に普及した先進機能は今後どう進化する? くるまのニュースという記事が出ていました。
「自動ブレーキ」は、正式に言うと、「衝突被害軽減ブレーキ」だそうです。国産車の新型車への「衝突被害軽減ブレーキ」の搭載が義務化されるのは、2021年11月から。つまり、すでに義務化されているんですね。「義務化」とは言っても、以下のようにすでにほとんどの自動車に採用されていたため、大きく変わるわけではないようです。
<国土交通省の資料によると、いま(2021年)から10年前の2011年には日本国内で販売されている乗用車全体の1.4%に過ぎなかったのですが、2013年には15.4%となり、その後2015年には45.4%と一気に増加。2016年は66.2%、2017年は77.8%、2018年は84.8%と右肩上がりが続き、直近の2020年では95.8%にまで達しています>
●自動ブレーキを望んでいる人が大半?ここまで普及した理由
記事では、自動ブレーキという存在が一般的に知られるようになったきっかけは、たスバル(当時は富士重工業)の「ぶつからないクルマ」という宣伝広告ではないかとしていました。スバル関係者に取材した際、「正直、販売店やユーザーからここまでアイサイトが強く支持されるとは想定していなかった」としており、この注目は予想外だったそうです。
うちでは「アンチ自動ブレーキ派」の話を紹介していたのですが、どうも自動ブレーキを求める人も多かったみたいですね。トヨタなど他メーカーの販売店からは「ウチもアイサイトのような商品が必要だ。ユーザーからそうした要望が増えてきている」という声が挙がるようになり、自動ブレーキ普及の流れができたそうです。
さらに、第三者機関が量産車の衝突安全や予防安全について評価する「アセスメント」に自動ブレーキが加わることに。これは世界的な流れであり、日本だけで自動ブレーキが進んだわけではないみたいですね。また、世界的な流れですから、海外でも活動している日本メーカーも対応せざるを得ず、日本でも普及も促進しました。
また、このアセスメントによって、「その性能も段階的に向上したといえるでしょう」とのこと。これは、たぶん他社に劣ると困るので、各社ともに性能向上を頑張ったということじゃないかと。安全検査で日本が韓国などより劣るという調査も見たことがあるのですが、日本は世界の国や地域に向けて、自動ブレーキ普及の中心的な役割を果たしてきたともされていました。
自動車関連技術の国際協調について話し合う、国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)では、日本が提案した自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)に関する技術要件が成立し、2021年11月から、乗用車などで自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)の義務化が決まったとのこと。これにより、今後さらに性能向上が期待できるといいます。
【本文中でリンクした投稿】
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ホンダ研究者「制限速度を守るとあおられるのが自動運転車の問題」 ■
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