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残り物には福がある? 逆張りでカセットテープ会社が過去最高の生産数に


 多くの会社の方向性とは逆の道を進む「逆張り」の経営で成功したという話を。アメリカで「カセットテープ複製工場」というマニアックなことをやって成功した会社の記事がおもしろかったのです。

 この記事を読んで思い出した難しすぎて競合が消えてしまったという、ブリジストンの超大型タイヤなどの例も紹介。さらに、別のところで書いていた「逆張り経営」といった話を合わせています。そちらでは、マクドナルドなどの話が出てきていました。

2015/9/18:
●残り物には福がある? 逆張りでカセットテープ会社が過去最高の生産数に
●難しすぎて競合が消えてしまった超大型タイヤの例
●日本では競合相手が全滅して世界にただ1社となった例すらある
●アナログ愛好者の需要を読みきった結果
2010/7/13:
●大相撲の懸賞旗の取り止めが相次ぐ中、マクドは逆に増加
●縮小市場での合併…を逆張り経営だとみなす記事も存在
2020/03/24:
●値上げのディズニーランドの逆、入園料を値下げどころか無料に!
●「子連れで居酒屋はダメ」「スキー場は冬に行くもの」も逆転


●残り物には福がある? 逆張りでカセットテープ会社が過去最高の生産数に

2015/9/18:アメリカ・ミズーリ州のNational Audio Companyは、今も"全米でも最後になったというカセットテープ複製工場で新しい製品作りを続けて"いるそうです。
(全米最後の「カセットテープ複製工場」で続けられる音楽カセットの製造風景 - GIGAZINE(2015年09月03日 23時00分00秒)より)

 「全米最後」の工場というのはたぶんカセットテープの製造そのものではなく、カセットテープの「複製」では、ということでしょうね。以下のような説明がありました。
1990年代から2000年にかけ、カセットテープに見切りをつけた多くのカセット複製業者は、CDに代表されるデジタルメディアの複製へとビジネスを転換し始めました。

その当時のNACはカセット複製ビジネスには携わっていなかったため、市場の縮小でダメージを受けることはなかったとのこと。しかしステップ社長はカセットが見直される時代が来ると踏んでいました。

そこで、同社では事業を転換したり撤退した同業者の買収を行い、使われていた機器を再生させてカセット複製事業への体制を整えていったとのこと。

 "競合相手が少なくなったこともあり、同社のカセット複製ビジネスは好調"。スティーブ・ステップ社長によれば、過去最高の生産数を更新しているというから驚きです。

 「残り物には福がある」ということわざを思い出しますし、いわゆる「逆張り」がうまく行ったようにも見えます。


●難しすぎて競合が消えてしまった超大型タイヤの例

 これで思い出した話があります。競合相手が次々と撤退して成功するという話は、だいぶ前にもやりました。検索してもどこで書いたか見つからなくて苦労しましたが、一つは日本製の強み 産業空洞化せず日本の工場で作れる製品はどんなものか?ですね。

 記憶と違ってメーカー自体は有名、ブリジストンです。ブリヂストンの建設・鉱山車両に搭載する超大型タイヤは、顧客に応じて大きさはもちろん、トレッド(路面に接触するゴム層)パターンやゴムの材質などまで変える必要があるという面倒くさい商品。

 このように圧倒的に参入障壁が高いため、世界で唯一とは行かないものの、ブリヂストンと仏Michelin(ミシュラン)が世界の超大型タイヤのシェアを2分している状態。寡占です。

 ブリヂストン北九州工場工場長の吉崎聡さんは当時、あまりの難しさに次々と他社が去って行く状況を「当社はオンリーワンになるチャンスと捉えた」ようです。難しいのが逆に良いという話です。


●日本では競合相手が全滅して世界にただ1社となった例すらある

 他社が勝手に消えていってしまった…というのは、世界一の日本企業 ヤマシンフィルタ,西工業,東北電子産業,大阪ソーダ,エルム,アクアパス,クリスタルシステム,旭ダイヤモンド工業で出てきたダイソーもそうです。このダイソーは100円ショップと同じ名前で紛らわしかったんですが、今は100円ショップでないダイソー、社名を大阪ソーダに 理由が予想外でやったように、大阪ソーダになっています。

 大阪ソーダが得意なのは、高機能樹脂のジアリルフタレート(DAP)というもの。この製品を供給できるのは世界で1社のみだとのことですから、2,3社でほぼ独占状態みたいなことじゃないですね。大げさではなく、正真正銘にマジで独占しているわけです。

 ダイソーがなぜこのような独占状態になったのか?というのは、前述の通り、他社が撤退して成功したためで、これはブリヂストンと同じでした。さらに、実を言うと、他社が消えたのも、ブリジストンに近い理由。様々な分子量のDAP樹脂を作り分けることができることで、他社は太刀打ちできず、一社、一社と脱落していったという話でした。


●アナログ愛好者の需要を読みきった結果

 ただ、これらは複製カセットテープのケースとは、だいぶ事情が異なりますね。日本で成功した2社の事業で競合が消えた理由は、いずれも技術的に難しかったというもの。さらに重要なのは、需要があるのに技術的に困難ということで、需要自体が急減していたわけではありませんでした。

 業界が縮小しているときにしがみつくと必ず良いか?と言うと、もちろんそうではありません。そのような法則が成り立つのであれば、世の中から消えていく製品ジャンルというのは存在しないということになります。やはりそのまま消えてしまうということが大半なわけです。

 National Audio Companyの逆張りが成功した理由は、「衰退しつつも根強くファンが残るはずだ」という読みが当たったおかげといえるでしょう。記事では、デジタル音楽が全盛になった現在でも、カセットテープなどのアナログ機器へ回顧する流れも生まれていることを指摘していました。

 ということで、逆張りすると必ず成功すると勘違いしちゃうと、痛い目に遭うと思います。ご注意ください。


●大相撲の懸賞旗の取り止めが相次ぐ中、マクドは逆に増加

2010/7/13:野球賭博問題およびNHKの名古屋場所での生中継中止などにより、大相撲の懸賞旗の取り止めが相次ぐ中、日本マクドナルドホールディングスは懸賞を継続する方針を明らかにしたそうです。「懸賞を出すのは、広告という意味合いよりも応援の意味が強い。大相撲というファンの多い国技を、サッカーワールドカップや五輪などと同様に長期的に応援したい」(広報)とのことでした。
(マック、大相撲懸賞を継続 中継中止でも「広告ではなく応援」 産経新聞 2010/07/07より)

 これで終わると良い話風なのですが、TV中継もないのに… 懸賞金100本も出す日本マクドナルドの“大英断” 2010年07月11日 ゲンダイネットによれば、これは”逆張り”経営なんだそうです。「逆張り経営」とは初耳ですが、「逆張り」というのは投資の世界の用語で、株価などが下がっていく局面で買う手法。

 記事には、経済ジャーナリストの真保紀一郎さんの話として、次のようなものが載っていました。

「原田泳幸社長の“逆張り”経営の真骨頂ですよ。原田社長のこれまでの経営戦略を振り返ると、いかに逆張りが多いかが分かります。08年には外食各社が値下げ競争に走る中、マクドナルドはあえて値上げに踏み切った。店舗閉鎖も素早く、今年は全店舗の10分の1に匹敵する約400店を閉めます。その一方、デフレに逆行する高価格帯中心のハンバーガー店を渋谷や青山に開店させた。この逆張り経営が好業績に結びついているのです」
「相撲の懸賞では協会に恩を売る効果もさることながら、マーケティング戦略として有効だと判断したのでしょう。相撲ファンのすそ野は広いですからね」

 なるほど、おもしろいですね。(2018/03/05追記:ただ、原田泳幸社長は本業でつまずいて、マクドナルドは別の社長で復活しています)


●縮小市場での合併…を逆張り経営だとみなす記事も存在

 他にこの「逆張り経営」なる用語を使っているものはないかなと探してみると、ホンマノオト>企業と経済研究 「ライオンの逆張り経営」(元記事は週刊ダイヤモンド6/11号)というのもありました。これは2005年の記事のようですが、ライオンが大衆薬市場が縮小傾向にある中、中外製薬から大衆薬事業を買収し、敢えて規模拡大を目指したということについて、「逆張り経営」としているようです。

 記事では、ライオン得意のハミガキなど家庭用品分野での単価の下落が、全体の売上高に影響を与えているため、大衆薬市場に賭けたというようなことを書いています。

 ライオンは、きめ細かい商品陳列力と独自の商品開発力(でも、研究開発費は極めて少なくて不利の記述も)に自信があり、薬品事業で大手の仲間入りを狙っていたそうです。

 これもおそらく不利と思える状況で、敢えて拡大というのを、「逆張り」と比喩したのでしょう。ただ、成長が頭打ちになって合併を模索する…というのは、通常考えられる有力な選択肢の1つで「逆張り経営」ってほどでもない気もします。

 この最後のものは除いておくとしても、この「逆張り経営」という考え方自体は、逆転の発想好きの私としては、好み。実際にやらなくても、一度逆の考えをしてみるだけでも新たな発見があるんじゃないかなぁと思います。


●値上げのディズニーランドの逆、入園料を値下げどころか無料に!

2020/03/24:その後、逆張り経営で輝く企業  :日本経済新聞(2019/3/24 5:30)という記事が出ていました。ここではまず、富士急行が運営する富士急ハイランド(山梨県富士吉田市)の例が出ています。

 富士急ハイランドが「逆張り経営」と言われた理由は、2018年7月に入園料の無料化に踏み切ったことでした。東京ディズニーリゾートやUSJが値上げを繰り返すなか、逆転の発想が功を奏した格好だとされています。

 これは常識的な方法が行き詰まっていたためでもありました。これまで約5年ごとに大型ジェットコースターを導入し、集客力の向上を図ってきたものの、高齢化の時代ではイマイチであったようです。

 無料化のヒントになったのは、ハイランドが隣接する施設を13年に新設し、入園料を無料にしたこと。シニア層や訪日外国人の来客が伸び、飲食や物販収入が増加したため、ハイランド本体の無料化にも踏み切った…という流れのようです。

 では、何で稼いでいるか?というと、すでに説明で出てきた飲食・物販や駐車料収入の伸びなど。有料のアトラクションもあったようで、前述の絶叫マシンなどの利用料金は値上げしています。無料化以降の約半年でハイランドの売上高は前年同期比12%、入場者は39%それぞれ増えたとのこと。うまく行っている感じですね。

 ただ、ハイランドの場合は、富士急行グループでやっていることの強みも生きました。高速バスの利用者が増え、富士急の運輸部門の営業利益(18年4~12月)は15%増加。さらにグループで運営するホテルの宿泊者も伸びたといいます。


●「子連れで居酒屋はダメ」「スキー場は冬に行くもの」も逆転

 上記はわかりやすい話でしたが、次の例は微妙かもしれません。「串カツ田中」の話でした。串カツ田中の売上減少、全席禁煙失敗ではなく成功しすぎのせい?で書いたように、串カツ田中は最近苦戦しています。

 この串カツ田中の場合は、居酒屋なのにファミリー客重視というのが「逆張り」の理由。外食各社が苦戦するなかでの好業績は、「子連れで居酒屋はご法度」との社会常識を打ち破ったからと言えると、記事では書いていました。

 また、日本スキー場開発も以前紹介した企業。日本のスキー場のパウダースノー「JAPOW」、世界のSNSで多数発信でやったように、冬にやるはずのスキー場を夏でもにぎわう工夫を凝らしているというのが、逆張りとされたようでした。


【本文中でリンクした投稿】
  ■串カツ田中の売上減少、全席禁煙失敗ではなく成功しすぎのせい?
  ■日本のスキー場のパウダースノー「JAPOW」、世界のSNSで多数発信
  ■日本製の強み 産業空洞化せず日本の工場で作れる製品はどんなものか?
  ■世界一の日本企業 ヤマシンフィルタ,西工業,東北電子産業,大阪ソーダ,エルム,アクアパス,クリスタルシステム,旭ダイヤモンド工業
  ■100円ショップでないダイソー、社名を大阪ソーダに 理由が予想外

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