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中国共産党・政府の検閲に抵抗する南方都市報と南方週末


2010/12/14 中国紙南方都市報、写真でノーベル平和賞祝福
2010/12/16 南方都市報の魅力と平和賞メッセージの解説
2013/1/11 週末という言葉すら検索不能!中国の南方週末社説差し替え事件
2013/1/14 中国検閲の実態 南方週末事件に見る新聞の改ざん


●2010/12/14 中国紙南方都市報、写真でノーベル平和賞祝福

 NHK海外テレビで、劉暁波さんがノーベル平和賞受賞のニュースを放送中に突然真っ暗にする(今年10月、※1))など、中国ではマスメディアに対して検閲を行っています。

 しかし、そんな中で広東省の有力紙、南方都市報は12日付の一面トップで、写真によってノーベル平和賞を祝福しました。


 それはどういう写真なのかと言うと、水色の床の上に鶴が5羽並んでいて、後ろには誰も座っていない椅子3つ、それから、右端に人が一人いて鶴に向かって手のひらを差し出しているというもの。

 これは広州市で開会式が行われたアジア・パラリンピック競技大会のリハーサル風景を撮影したものらしいのですが、一見あんまり意味の無さそうな写真です。


 ところが、これは「事前審査をする共産党宣伝部をうまくだました秀逸な写真」(ネットの声)なのです。

 まず、わかりやすいのは空席の椅子で、これは10日にノルウェーの首都オスロで行われたノーベル平和賞の授賞式で、出席できなかった民主化活動家、劉暁波氏のために壇上に用意された椅子を連想させるものです。

 これに加えて、「鶴」は中国語で祝賀するの「賀」と同じ発音なので、これで祝福を表しているのでは?という見解があります。(以上、※2)

 そして、さらに高度な解釈になると、写真に載っている「ツル」「平らな台(※4では平らに敷かれたじゅうたん)」「手のひら」の単語を組み合わせると、平和賞を意味する中国語とほぼ同じ発音になるということで、こちらも平和賞を暗示しているようです。(南方都市報の魅力と平和賞メッセージの解説で少し情報を追加しました)


 中国当局は国内のメディアに対し、今年のノーベル平和賞に関する報道を厳しく制限しており、メディア各社は原則的に国営新華社通信が配信した劉暁波氏を批判する記事しか使用できないことになっているようです。(※2)そのため、これらについて南方都市報は平和賞とは全く無関係だと言っているようですが、戸籍制度改革をめぐる当局批判とみられる共同社説を掲げるなど、元々進歩的な社論が売り物(※3)のようです。

 また、南方都市報の属する南方報業メディアグループ自体が政治改革を支持しているようです。昨年末には当局の圧力を無視して、訪中したオバマ米大統領に単独インタービューした南方都市報の姉妹紙、南方週末の編集長が降格処分を受けたということもあったようです。(※2)

 調べてみると、この他に南方都市報では、6月2日付の紙面に、3台の戦車の前に立つ人物を黒板に描く少年の風刺画を掲載したことがあったそうです。この風刺画は南方都市報のウェブサイトからはすぐに削除されたそうですが、天安門事件当時、戦車の行く手に立ちはだかった青年を想起させるという狙いだったようです。(※5)


 監視があることも、関係者の処分があることも予想される中で、敢えてこのような報道を行うというのは立派なことです。何とも気概のあるマスメディアだなぁと感心しましたし、センスも良いと思います。

(追記:南方都市報については、南方都市報の魅力と平和賞メッセージの解説でもう少し書きました)

 参考記事
※1 中国でノーベル平和賞のNHKニュース視聴できず 当局制限か 産経新聞 2010/10/08
※2 中国紙が1面で劉氏を祝福?ネット上で称賛が殺到 産経新聞 2010/12/14
※3 「空席のいす」中国メディアに 平和賞めぐる当局批判? 2010年12月13日 朝日新聞
※4 1面に「空席の椅子」=中国紙掲載、ネットで話題に 時事ドットコム 2010/12/14
※5 天安門事件から21年「再評価を」続く抵抗 SANKEI EXPRESS 2010/06/05


●2010/12/16 南方都市報の魅力と平和賞メッセージの解説

 中国紙南方都市報、写真でノーベル平和賞祝福で広東省の有力紙、南方都市報が掲載した、水色の床の上に鶴が5羽並んでいて、後ろには誰も座っていない椅子3つ、それから、右端に人が一人いて鶴に向かって手のひらを差し出しているという写真の意味するメッセージについて書きました。


 そこでは、

空席の椅子 = ノーベル平和賞の授賞式で、出席できなかった劉暁波さんのため用意された椅子

鶴 = 中国語で祝賀するの「賀」と同じ発音で祝福の意

「ツル」「平らな台(平らに敷かれたじゅうたん)」「手のひら」 = 平和賞を意味する中国語とほぼ同じ発音

 との説明になっていました。


 ただ「鶴」が二種類あるのを不思議に思い、北京語と広東話での違いだろうかと気になっていたのですが、解決しないままブログ記事を上げてしまいました。

 で、少し心残りがあったので、今日またニュースを読んでいたら、ちゃんと書いている記事も見つかりました。


 空席の椅子は良いとして、それ以外の意味を新しい情報を元に説明すると、

鶴 = 鶴は「和」と同音

平らの台 = 平らの台の「平」

手のひら = 手のひらを意味する「掌」は「奨」と似た発音

三つ合わせて「和平奨」 = 中国語で「平和賞」

鶴 = 「鶴」は「賀」とも同音字だから、「平和賞受賞を祝賀する」というメッセージ

 となります。(※1,2より)


 参考にしたうち、※1は大紀元のニュース。ここはニューヨークの反中国政府の中国語新聞であり、情報が怪しいことでも有名ですが、さすがに中国語の解説では頼りになります。

 この記事で大紀元は、南方都市報について、

「さすが南方都市報。創意と勇気のある行動だ。この写真には、自らの意志を表明し、なお当局に言いがかりを付けさせないという工夫を滲ませている」

中国では業界随一の良心と勇気のあるメディアと称えられている南方都市報

中国の厳しい報道規制の隙間をかいくぐりながら、大胆な報道に挑戦し続けている南方都市報

 とベタ褒めです。


 これらも少し割り引いて読まなくちゃなりませんが、それにしてもこの新聞紙は本当におもしろいところがあるようです。

 前回記事でもいくつか中国政府に対しての挑戦的な報道を紹介しましたが、SANKEI EXPRESS(※2)では、権力の不正をしばしば追及していると書かれています。

 そして、2003年に政府の報道統制を破って新型肺炎(SARS)の再発生を報じたところ、編集局長が汚職の疑いで拘束されたこと、2005年には炭鉱事故をめぐる省幹部の責任追及記事が大き過ぎるとして副編集長が解任されているということも載せています。

 この新聞紙は中国共産党広東省委員会機関紙「南方日報」系なんだそうですけど、共産党にケンカ売っています。なんか不思議です。新聞紙は基本共産党が絡まないと出せないものなんでしょうか?


 あと、ここは関心空間(※3)によると、レイアウトにも特徴があるようです。

 サイズは電車やバスの中で簡単に読めるくらいとありますが、SANKEI EXPRESS(※2)によるとタブロイド紙との説明があります。Wikipedia(※4)によれば、タブロイドは元々は597mm × 375mm(A2判ほど)ということでこの程度の大きさなんでしょうか?

 実はタブロイドには、センセーショナルな事件報道やゴシップ報道などに力を入れる大衆紙といった意味合いもあり、こちらの意味の可能性もありますが、報道内容を見るとどうなんでしょう?


 レイアウトの続きに戻りますが、「中国語もよく分からん」のに思わず買っちゃう「レイアウトの素晴らしさ」だそうで、「カラーの写真をふんだんに使っていて、シンプルなのにカラフル」で「こんな見やすい新聞が日本にもあったらいいのにと思う」そうです。

 また、一番近いレイアウトは「NewsWeek」だけど、なにしろ、見やすい、比較しやすいとのこと。

 「事件そのものやそのままの人物を撮るというより、ちょっと象徴的に撮るやり方の写真が多い。例えば、映したい人、モノを手前にして焦点を合わし、バックグラウンドをボカスやりかたとか」なんてところは、今回の平和賞祝賀写真に繋がるセンスの良さを感じさせます。


 こういう風に個性がある新聞というのは、良いものです。別にここの真似しなくたって良いのですが、それぞれが工夫してくれると新聞紙だってまだまだ行けると思います。


 参考記事
※1 1面に「空席のイス」 南方都市報、平和賞欠席をほのめかすか 10/12/14 大紀元
※2 中国紙 本音は劉氏祝福? SANKEI EXPRESS 2010/12/15
※3 南方都市報 関心空間
※4 タブロイド Wikipedia


●2013/1/11 週末という言葉すら検索不能!中国の南方週末社説差し替え事件

 問題となったのは「南方週末(南方周末)」ですが、名前が似ていたので検索してみると、以前書いた"中国紙南方都市報、写真でノーベル平和賞祝福で扱った「南方都市報」と同じ系列のようです。

南方報業伝媒集団(なんぽう-ほうぎょう-でんばい-しゅうだん、南方報業メディアグループ)は、広東省所属の国有メディア企業の一つで、元南方日報報業集団から改組・改名して2005年7月18日に創立した。

「南方日報」、「南方週末」、「南方都市報」などの11の新聞、「南方人物週刊」、「名牌」、「21世紀商業評論」などの雑誌、3つのウェブサイト(南方網、南方報業網、奧一網)と1つの出版社(南方日報出版社)が所属する。本部は広州市越秀区広州大道中289号に位置する。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E6%96%B9%E5%A0%B1%E6%A5%AD%E4%BC%9D%E5%AA%92%E9%9B%86%E5%9B%A3


南方報業伝媒集団の発行する新聞・南方週末は、官僚の汚職や社会の不正などについての独自取材を行うなど、真相に迫る報道を行うことで都市部の若年層を中心に人気があり、中国国内で最も影響力のある新聞の一つとされている。発行元を同じくする南方都市報とともにギリギリの表現で体制批判を行なっており、1989年の六四天安門事件や2010年の劉暁波のノーベル平和賞受賞、2011年の鉄道衝突脱線事故なども取り上げるなど、リベラルな思想で知られてきた。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E6%96%B9%E9%80%B1%E6%9C%AB%E7%A4%BE%E8%AA%AC%E5%B7%AE%E3%81%97%E6%9B%BF%E3%81%88%E4%BA%8B%E4%BB%B6

 中国は良くない部分の方が目立ちますけど、たびたび弾圧を受けながらも精力的な報道を続ける新聞社の姿勢は、むしろ見習うべきだと思います。(新聞記者の質もピンキリで賄賂が当たり前ってところも多いんですが)


 上記のうち2つ目の引用は、「背景」という項目から取ったものです。
背景

中国では憲法により言論の自由が保証されてはいるが、実際には報道機関は共産党の宣伝機関と位置づけられており、政府当局による厳しい監督下にある。

 事件の概要はこちらです。

南方週末社説差し替え事件(なんぽうしゅうまつしゃせつさしかえじけん)は、中華人民共和国の有力紙、南方週末(南方周末)が中国共産党幹部より2013年新年号の社説の差し替えを命じられた事件である。南方週末が行ったのはあくまでも検閲済みの記事を差し替えられたことに対する抗議であるが、中国国内では出版への検閲そのものに対する批判が大きく広がり、就任間もない習近平総書記に試練が突きつけられたとも表現された。

 まだ動きがあり変わるかもしれませんけど、詳細は以下です。(全然省略できなかったので、長いです)

当局による記事差し替え要求

南方週末の編集部は2013年1月3日付の新年号に掲載する「中国の夢、憲政の夢」というタイトルの社説を出稿。政治の民主化や言論の自由など、人々の権利向上を求める原稿には表題の憲政のほか、民主、自由、平等といった表現が使われ、また反日デモ参加者に対し理性的な行動を求める文章なども盛り込まれていた。当局による記事の検閲も終え、1月1日未明に編集部5人のデスク全員が署名し編集作業は終了、あとは新聞の印刷を行うのみとなっていた。

しかし印刷直前の2013年1月1日夕方、中国共産党広東省委員会宣伝部が編集部の中でも体制寄りの黄灿編集長、伍小峰常務副編集長を呼び出し、共産党を賛美する内容の「我々はいつの時代よりも、民族復興の偉大な夢に最も近づいている」とする原稿に差し替えるよう要求し、編集者や記者が休暇をとっている1月2日に紙面変更を実施。新聞は宣伝部の要求どおりに発行された。(中略)

記者と共産党の対立

1月4日、編集部は検閲を通過していたにもかかわらず記事の差し替えを要求されたことを不当として、元記者や編集者など約50人が連名で事件の徹底的な調査と、共産党規約に基づき宣伝部のトップである庹震(英語版)部長の謝罪と辞任を要求する声明を中国版ツイッター新浪微博にて発表。本来掲載されるはずだった文章もネット上で公開し、重大な出版上の事故であると非難した。しかしその後、編集者らの微博は閲覧が不可能になった。翌1月5日には、宣伝部によって記事の書き換えや掲載を認められなかった記事は2012年だけで1,034本あったとする抗議声明をインターネット上に発表するなど、これまでの党による検閲の実態を訴えた。

1月6日、南方週末の記者が微博のアカウントのパスワードを上層部に押さえられたことを微博で暴露。直後、南方週末の公式アカウントには「読者に告ぐ」と題した文章が掲載され、新年号の社説には一部に誤りがあったと謝罪する一方で、社説は責任者が書いたものであり、ネット上で流れている当局による差し替えの噂は事実ではないとした。これにより編集部上層部の共産党支持が明らかとなり、記者との対立が激化した。この発表に南方週末の記者など約100人が共同声明を発表し、抗議の意志を表明。宣伝部の圧力がかかった偽の声明であると反発し、一部の記者がストライキに突入した。

編集部が抗議声明を発表した1月4日には中国共産党の全国宣伝部長会議が開かれ、報道機関に対し党と政府の主張を広めるよう要求。人民日報の国際版環球時報は、中国の報道機関には言論統制が必要であり、西側諸国のそれとは違うと主張した。また6日の編集部上層部による「介入否定」の発表を利用し、環球時報は政府に対して公開の場で対抗する選択肢は西側諸国ですらありえないと翌7日付の社説で主張。そのような試みを行えば必ず敗者となるとするなど、強硬姿勢を明確にした。なお、7日には党中央宣伝部が国内の報道機関に対して、この社説を転載するよう指示し、8日には各紙は転載を開始。これに対し、北京の有力紙・新京報の社長が抗議のため辞任を表明する事態に発展した。

 人民日報や環球時報は事実上政府の新聞であり、他の新聞社とはまた異なります。

1/13追記:庹震宣伝部長の解任がポイントとなっていたのですが、この人は政府報道機関である新華社通信の元副社長だそうです。どうやら南方週末の報道が政府にとって好ましくないため、内部に送り込んで事前に検閲するようにしていたようです。すごい世界ですね。

  ■中国検閲の実態 南方週末事件に見る新聞の改ざん


検閲に対する批判の広がり

報道機関が当局に対し明確な抗議の意志を示したことは中国では異例のこととされ、また同時期、共産党の憲法や政治体制の改革に言及を行った政治改革志向の雑誌「炎黄春秋」のウェブサイトも閲覧が不可能になるといった事件も重なった。

共産党幹部と編集部の対立はインターネット上で「南方週末事件」と称され、共産党の検閲に対する非難の書き込みが行われた。(中略)

またジャーナリストや弁護士らが抗議デモを呼び掛ける事態となり、大学教授や作家らが呼びかけた庹宣伝部長の解任を求める署名はインターネット上で1月7日までに3,000人を集めた。

また1月7日には広東省にある南方報業伝媒集団の社屋や北京市の支社に支持者が集まって報道の自由を求めるデモが行われた。デモは警察の許可を得て行われ、広東省には300人の市民が集まり、出版の自由が失われたことの象徴とみなされている菊の花を手にとった若者たちが集まったほか、有名な市民活動家胡佳も北京支局に駆けつけ、抗議が行われた。また浙江省杭州市でも民主活動家の毛慶祥と呂耿松(中国語版)が南方週末に声援を送るとした横断幕を掲げ、翌8日に国家政権転覆扇動の容疑で公安当局に身柄を拘束された。

デモが行われた1月7日には記者が新聞職業倫理委員会の名義を用いて徹底調査を改めて求めたほか、国際ジャーナリスト連盟が習近平総書記に調査を求める声明を発表。また香港記者協会も広東省に調査を要求した。7日はアメリカ国務省のビクトリア・ヌーランド報道官が中国政府による検閲を批判するに至り、翌8日には中国の洪磊外交部報道官が内政干渉であるとしてこれに反発する声明を発表した。

1月8日には新浪網、網易、騰訊(英語版)といった中国の大手ポータルサイトにおいて、一見するとわからないが各行の冒頭を縦読みすることにより、南方週末への応援を意味する「南方周末加油」と読めるような構成になっていることが話題となった。

検閲に対する国内での批判の広がりに中国政府は情報統制で対応し、記者等による反論を次々に閲覧不可能にしたほか、南方週末を支持する報道記事も次々に削除。また微博では「南方周末」「南方」「周末」という言葉で検索ができなくなり、文字通り週末という意味で使っている投稿すら検索できなくなるという事態となった。

 「縦読み」ですって、ちょっとおもしろい。新聞社がこれをやらなきゃ伝えられないってのが、おかしなことですが。

 「週末という意味で使っている投稿すら検索できなくなる」というめちゃくちゃな事態に。

事件の収束

事態を収束させるため、胡春華広東省党委員会書記が自ら調停に動く。ストライキを行なっている職員は全員が職場に復帰し、黄灿編集長が引責辞任すれば記者に対する処罰は行わないほか、近い将来に庹宣伝部長を更迭するという解決案を提示し、事実上の南方週末に対する歩み寄りを行った。1月8日、南方週末と宣伝部の協議が胡春華も間に入って行われ、記者陣は職場復帰に同意し、ストライキは終息。1月10日号は予定通り発行されることとなった。また宣伝部は記事の事前中止を行わないこととなった。

9日付の環球時報は社説で態度を難化させ、社会や報道の改革は継続すべきであるとした。

事件の評価

報道の自由をめぐる政府当局と市民の間で勃発した対立は、改革推進を掲げる習近平共産党総書記にとって試金石となる可能性があるとされた。また習が報道機関に対し表現の自由をどの程度まで認めるのかを測る出来事であるとも指摘された。結果として共産党は問題の広がりを押さえるため強行措置は取らず、南方週末に譲歩した。

一方、南方週末は規制の枠組みの中でどこまで自由を確保できるかという点が注目された。結果として庹宣伝部長の辞任の確約を得たほか、記事の事前審査も廃止させるなどの成果を勝ち取った。しかし、合意内容が着実に履行されるかは不明な点も多い。とはいえ南方週末もこれ以上の抗議継続は得策ではないと判断し、痛み分けの妥協を行ったとの見方もなされた。

 ただ、これ、習近平総書記としては、失態になりませんかね?

 最後は譲歩しましたけど、途中の対応が悪かったために火に油を注いだ末の敗北といった格好になりました。


●2013/1/14 中国検閲の実態 南方週末事件に見る新聞の改ざん

 週末という言葉すら検索不能!中国の南方週末社説差し替え事件はあまり読まれませんでした。中国叩きのネタは好まれそうなものですが、硬派な話はあまり読まれないかもしれません。

 でも、まあ、引き続きやっちゃいます。

2013年01月13日 朝日新聞 【広州=小山謙太郎】
中国紙「南方週末」改ざん 年越し攻防の詳細判明

 中国紙「南方週末」の新年特別号が当局の指示で改ざんされた経緯の詳細が12日、分かった。社内の報告書の全文を朝日新聞が入手した。(中略)

 報告書や同紙記者らによると、発端は昨年12月24日。「省宣(広東省党委宣伝部)に見せるから」。黄燦編集長はそう言って、新年特別号の原稿案を受け取った。

 ●震(●は席の巾が尺)・宣伝部長は昨年5月に国営新華社通信の副社長から転じ、先進的な論調の南方週末の事前検閲を始めていた。新年号でも原稿案に注文がついた。「2013年の10大問題」と題した記事では、「一人っ子政策」「公人の財産公開」「労働矯正制度」「ビザ免除国の増加」が削除された。「夢を追う人物」の紹介欄では、ネットで政府批判をして労働矯正を受けた人などの記事がボツになった。
http://digital.asahi.com/articles/TKY201301120371.html?ref=comkiji_txt_end_kjid_TKY201301120371

 週末という言葉すら検索不能!中国の南方週末社説差し替え事件をやったとき、●震宣伝部長の解任が重要なポイントになっていて不思議に思っていたのですが、そこではあまり説明がありませんでした。

 この記事の説明でやっとわかりましたが、どうやら政府報道機関である新華社通信から送り込まれた監視人だったようです。

 党と編集部とのやりとりは年内いっぱい続き、黄編集長が党側の意を先回りする形でも修正を重ねた。

 「新年の祝辞」は「憲政の夢」などとしていた見出しも、二転三転のうえ「夢に近づいている」と党を持ち上げる形になった。文字数も1800字から1千字に短縮され、16面の予定だった新年号は12面に減った。

 ここまででさんざん手直ししています。

 ところが……。

 校了は1月1日午前3時。徹夜が続いた編集者5人は休みに入った。だが黄編集長と伍小峰副編集長の2人は党の宣伝部に呼び出された。広州市内の省党委員会庁舎に直接出向くのは異例だ。省党委の宣伝部長の意を受けた楊健・副部長が、さらに内容を変えよと指示した。

 これに記者たちの怒りが爆発しました。

 伍副編集長は「事前審査が半年続いて、編集部には怒りがたまっている。反発しますよ」と訴えたそうですけど、その通りの事態となりました。


 週末という言葉すら検索不能!中国の南方週末社説差し替え事件で書いた通り、これは総書記に就いて間もない習近平さんの早々の失態となりそうです。

 事態はまだ沈静化せず、以下のような報道もあります。

南方週末問題、中国で厳戒 一部メディアが共闘姿勢
2013/1/12 18:55 日本経済新聞

 【広州=桑原健】中国紙「南方週末」の改ざん問題で、公安当局は週末に入った12日、抗議活動を封じ込めるための厳戒態勢を敷いた。広東省広州市の同紙社屋周辺では数百人の警察官が警戒に当たり、同紙を批判する記事の掲載を一時拒んだ北京市の有力紙「新京報」の社屋前でも私服の警察官が目を光らせた。(中略)

 一方、中国メディアでは、南方週末の抵抗を支持する動きが続いている。内陸部の河南省の地元紙「東方今報」の11日付紙面は、南方週末の題字とともに「私たちは一緒にいる」という大きな見出しの記事を掲載。同省で起きた火災事故を巡る南方週末の報道に対し、同調する考えや写真提供で協力した事実を伝える形をとりながら、監督当局への抵抗に共闘する姿勢を示した。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM12029_S3A110C1FF8000/

 この辺りで一区切りつく可能性もあるものの、今後の経過も注目しておきたいです。


【その他関連投稿】
  ■LINE中国版検閲機能・禁止ワード一覧 「天安門事件」「ジャスミン革命」など
  ■中国脅威論は嘘?アメリカの名門保守雑誌が脅威を否定する論文掲載
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