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エプソンが詐欺、インク残っているのに残量1%で交換…は誤解か?


 海外の投稿者がエプソンのプリンターを調べたら、たくさんインクが残っているのになくなったと表示された!という動画を公開して炎上したそうな。

 ただ、このエプソンのプリンターの方式では、安全上インクをゼロ近くまで使い切ることはできないという指摘がありました。もともとその使い切れないインクを抜いた分だけを表示してて売っていた場合、特に詐欺などではないでしょうね。(2015/9/23)

2018/01/05追記:すごいぞ日本の技術力!製品の寿命を短くしているとして、フランス当局がエプソンを調査



●エプソンが詐欺、インク残っているのに残量1%で交換

2015/9/23:日本人の話かな?と思ったら、海外の人が指摘して話題になったみたいですね。アメリカの美術業者「Bellevue Fine Art Repro」の男性が「残量1%と表示されたプリンターのインクにはどのくらいの量のインクが残っているのか?」という実験動画を公開して炎上という流れです。

 実験に使われたのはEPSONの業務用プリンター「Stylus Pro 7900」だ。投稿者の男性によると、350mlのカートリッジには80ml、700mlのカートリッジには120mlのインクが残っていたとのこと。つまり、約20%ほどのインクが使われないまま交換するよう警告が出るようになるというわけ。

 カートリッジが高額なこともあり、投稿者のケースでは毎月数百ドル(数万円)単位で無駄が出ている計算になり、かなりの金額。投稿者はこの不自然な点についてエプソンに何度も問い合わせたものの、ずっと無視され続け、挙句の果てには「あなたが間違っています」とだけ言われて連絡が途絶えてしまったといいます。動画公開はこれを受けたリアクションでした。
(【炎上】エプソンのプリンターインク商法が詐欺だと男性が告発。残量1%で交換を促されるのにドバドバ残っている | netgeek Gil Pender 2015年9月22日より)


●エプソンが詐欺商法というのは誤解か?

 ただ、はてなブックマークを見てみると、誤解かもしれないなと思う指摘コメントもありました。

“マジレスすると、EPSONが使ってるピエゾ素子系のヘッドは万が一でもエア噛むとやばいから。この手の業務用はそもそも配管が長いから、それなりの安全マージンが必要。”(crosscrow 2015/09/22)

“実際の残量ではなく、ドットカウント(吐き出した量)で交換表示しているんだよ。余っているように見えるのはマージンだよ。カタログ上のランニングコスト表示の通りだろうから詐欺じゃないんじゃない?”(veiros 2015/09/23)

●エプソンはピエゾ素子を用いたマッハ方式を採用

 おそらくエプソンのオフィシャルで説明あるだろうと思い、検索するつもりでした。しかし、上記のブックマークコメントで、URL貼ってるものがありましたわ。はてなブックマークって便利♪

“( 為念 http://faq.epson.jp/faq/01/app/servlet/qadoc?000468 )”(gimonfu_usr 2015/09/23)

 アメリカの業者で使われたのと同じ方式かは不明ですが、前述のコメントでもあった「ピエゾ」についての説明がまずあります。
[FAQ番号:000468]限界値以下になったインクカートリッジ内にインクが残っているのはなぜですか|よくある質問(FAQ)|エプソン

エプソンのインクジェットプリンターは、プリントヘッドに独自のマッハ方式を採用しています。
マッハ方式とは、ピエゾと呼ばれる圧電素子に電圧を加えることにより背面部分が歪み、その振動を利用してインク滴を数十μmという極めて小さいノズル孔から吐出させるエプソン独自のインクジェット技術です。(中略)

●空気の泡に弱いマッハ方式

 問題はこのマッハ方式が空気の泡に弱いということです。
マッハ方式は高精密な構造のため、プリントヘッド内に空気の泡が入ると微細なインク滴を正確に制御できない場合があります。
特にインクが空になったカートリッジを使って印刷を行った場合に、ヘッド内へ多量の空気が泡となって入ります。
その空気の泡をヘッドから取り除くためにはヘッドクリーニングが必要となり、インクが必要以上に消費されてしまいます。
また、気泡が完全に取り除かれない場合は、プリントヘッドの故障を引き起こす可能性があります。(中略)

上記項目でも説明したとおり、ピエゾヘッドの大敵は気泡です。
インクがないのにそのまま使用を続けるとピエゾヘッドが振動し、気泡がノズルの中に入り込んでしまいます。
その後、印刷を実行した場合、ピエゾヘッドが振動しても中に入り込んだ気泡がピエゾの振動を吸収してしまい 正常にインクを吐出することができず、印刷結果に悪影響を及ぼし最悪の場合はヘッドの故障原因になります。

●インクを残した状態で残量1%、交換と表示される理由

 そして、この空気の泡を防ぐためにインクが多く必要だ、という説明です。
 多少のインクを残した状態でインクエンドになる理由

プリントヘッド内へ空気の泡が入ることを未然に防ぐために、エプソンのインクカートリッジは所定の印字枚数に相当するインクを消費した時点で、インクカートリッジが完全に空にならないように多少のインクを残した状態でインクエンドとなります。

インクの印字可能量は、インクエンド時の残量を含まない実使用可能量を基本にしています。
なお、実際に残るインクの量については印刷状況などの様々な要因によるばらつきがあるため、多少の変動があります。
※ ピエゾヘッドを守るためにカートリッジ内に残されているインクは、インクコストには含まれておりません。

●問題は「損している」と勘違いする人間の感じ方

 インクを残した状態で残量1%になるのは、"インクエンド時の残量を含まない実使用可能量を基本にして"いるためでしょう。使えない状態の数字で、たとえば、残量20%などとした場合、それで交換と表示される方が、抵抗感が強いはずです。表示の考え方自体は妥当でしょう。

 残量表示をどちらにするにせよ、問題はユーザーが損している気持ちになることですね。実際には損しているわけでも、騙しているわけでもないものの、人間の感じ方としてそうなります。

 "カートリッジ内に残されているインクは、インクコストには含まれておりません"とエプソンは書いています。最初から使わないものがあることを考慮したインク代ですので、詐欺ではありません。

 先ほどのコメントの"カタログ上のランニングコスト表示の通りだろうから詐欺じゃないんじゃない?"が、これに対応します。


●エプソンには試練、何らかの対応が必要

 マズかったのは、海外のエプソンの対応ですね。いわゆるクレーマーみたいな思考ですと、説明しても理解してもらえなかったという可能性がありますが、ここらへんは丁寧に説明して、炎上騒ぎになるのを防ぐべきでした。

 また、最初からこの方式ではインクが余るという説明を、大きく強調して売る必要もあったかもしれません。そうすると、心理的なところから売れ行きが落ちていた可能性がありますが、誤解から信頼を大きく落としてしまっては、結局、マイナスの方が大きくなります。

 あと、これは飽くまで誤解であって、意図した「デマ」のようなものではないと思われます。ドサクサに紛れてキヤノンの宣伝している人もいらっしゃいましたが、どちらが優れているというわけではなく、実際の使用量に応じたコストパフォーマンスなどでの勝負です。前述の通り、エプソンは心理的に不利な感じもしますが…。

 途中でも書いたように、これは今回のプリンターがピエゾ素子を用いたマッハ方式の場合の話です。違う方式であればまた別の問題になりますし、マッハ方式であっても余りすぎの可能性はあります。(なお、Stylus Pro 7900 | 9900の説明ページでは、"MicroPiezo TFP print"という表記が見えます)

 いずれにしても、エプソンは傷口がこれ以上広がらないうちに、素早く対応した方が良さそうです。


●すごいぞ日本の技術力!製品の寿命を短くしているとして、フランス当局がエプソンを調査

2018/01/05追記:最初の話と違って、確実性が高そうな話し。大手プリンターメーカーのエプソン(Epson)が製品の寿命を計画的に短くしているとして、フランスの検察当局が消費者保護法に基づき調査を進めていることが28日、明らかになったそうです。
(意図的に買い替えを強制か、エプソンを調査 仏検察:AFPBB News(2017年12月29日 10:41)より)

 フランスでは2015年、意図的に製品の寿命を短くして消費者に買い替えを強制することを禁止する法律が可決されていました。こうした行為があった企業に対しては年間売上高の5%に当たる罰金、会社幹部には最長2年の禁錮刑が科されます。エプソンが仮に訴追されれば、この記念すべき初のケースとなるそうです。

 今回の件は、フランスの検察当局が調べているということで、最初の指摘よりは確度の高そうに思えました。ただ、一部の弁護士は裁判で違反行為を立証するのは難しいとの見方を示しているとのこと。やはり証拠が乏しいのかもしれません。

 当初の話では、エプソンを叩いてキヤノンを宣伝していました。今回のニュースの反応ツイートのまとめなどでも、ブラザー工業が良いといったことを言う人がいたようです。

 ただ、記事によると、消費者団体HOPが9月、エプソンに加え、ブラザーやキヤノンもプリンターのインクがまだ残っているにもかかわらず、消費者をだまして買い替えを促しているとして申し立てを行っていました。今回の調査がエプソンだけというので違いはあるのですが、少なくともこの記事を読んでブラザー工業推しになるのは変な話だろうとは言えます。

 また、まとめでは「すごいぞ日本の技術力!」と皮肉めいたことも書いていたようですが、これもまた変な話。消費者団体HOPは、上記日本の3社とともに、米HPも同じ容疑で名前を挙げていました。日本企業が4社中3社と大きく占めているのは事実ですが、日本企業だけ叩くというのも変な話でした。

 まあ、日本にとっては不名誉なニュースではありますけどね。


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