睡眠不足が大きな問題になり、健康被害を与えているということだけなら皆さんご存知でしょう。ただ、早起きは健康に良いということも信じている方がいらっしゃるかもしれません。昔から言われてますしね。ところが、この良いと信じられてきた早起きが、むしろ睡眠にとって悪影響でいわゆる「体に悪い」とする研究が多数出ているのです。
2017/04/18追記:
●別の研究でも大学の授業開始時刻は11時が最適との結果が出る…
●体内時計は早起きに不適切 9時始業の仕事や学校は拷問のようなもの
2015/9/27:9時始業で「拷問のようなもの」だったら、安倍首相が始めた朝型勤務やサマータイム制は、何と言ったら良いんでしょうね? 「拷問」以上だと言うと、もう「死刑」の一種みたいなものでしょうか? 大げさすぎて、何だか荒唐無稽な話にも聞こえます。
(
朝型勤務「ゆう活」やサマータイム制度のメリットとデメリット)
ただ、人間は早起きに不向きだという話自体は、過去にも書いており、ある程度健康被害があることは本当でしょう。今回の記事は、
9時始業は「拷問のようなもの」 英睡眠専門家の提言が話題 J-CASTニュース9月23日(水)11時30分というものでした。
<いわゆる「9〜17時」の就業時間は、体内時計が刻む「概日リズム」とは合っておらず健康上のリスクを高めるとしており、こういった環境は「拷問のようなもの」だと説明。学校やオフィスの始業時間を10時に遅くするように求めている。
オックスフォード大学睡眠概日神経科学研究所のポール・ケリー名誉臨床研究フェローが科学フェスティバルで発言した内容を、2015年9月8日にから9日にかけて英主要メディアが相次いで報じた。BBCやデイリー・メイル紙によると、ケリー氏は10歳から55歳の大半の人の体内時計は早起きに不適切だとして「目覚まし時計をセットするのは、起きて仕事に行く時間に自然に目覚めないから」と説明>
●大学は11時始業でちょうど良い 始業時間が遅いだけで成績もアップ
睡眠不足が悪影響なことは間違いありません。たとえば、うちでは、
6時間睡眠10日で徹夜レベルまで認知機能低下 少し睡眠不足の怖さという話をやっています。ケリー名誉臨床研究フェローの場合は、以下のような話をしていました。
<ケリー氏によると、今の社会は「睡眠を奪われた社会」。注意力や記憶力に悪影響を与え、アルコールや薬物中毒といった問題を引き起こすと主張している。睡眠を「奪われた」割合が最も高いのが14〜24歳で、高校までは10時、大学は11時始業にすると最も概日リズムに合うという>
学業成績と睡眠の関係については、以前
寝る子は育つ 子どもの成績は何より睡眠時間が大事・肥満も減少を書いています。今回あった<ケリー氏は、長く眠ると「成績が10%伸びる」とも主張している。ある高校で始業時刻を8時50分から10時に遅くしたところ、全国統一試験(GCSE)で高得点を取った生徒の割合が34%から50%に上昇したという>は同じエピソードかもしれません。
●朝型の人以外の7割にとっては、健康を害する制度
以上…ですが、これだけですとちょっと短いので、
朝型勤務「ゆう活」やサマータイム制度のメリットとデメリットでやった話をもう一度。国立精神・神経医療研究センターで実施した1170名での調査結果によると、日本人の朝型・夜型は以下のような分布になっています。
超夜型 8.4%
夜型 22.7%
中間型 41.0%
朝型 22.0%
超朝型 5.9%
3割いる朝型の人は、朝型シフトにもちろん対応可能。それ以外の7割の方も、早朝に太陽光を浴びることで、「体内時計をリセットする」と言われています。ところが、光位相反応は基本的に1日しか持続しません。なので、寝坊で早起きに失敗したり、休日に少し長く寝てしてしまうと、また早起きに慣らすために睡眠を削る期間が必要になります。
特におよそ3割いる夜型の人は、「体内時計をリセットする」効果が弱い上に、朝型から元の夜型に体が戻るのも早いそうです。なので、夜型の人は特に体に負担がかかりやすくなっています。悪夢のような制度ですね。絶対、サマータイムなんか導入しちゃいけませんわ…。
●別の研究でも大学の授業開始時刻は11時が最適との結果が出る…
2017/04/18:やや異なる話ではあるものの、似たような方向性の研究で、大学での学生の学習経験をより良いものにするには「午前11時以降に授業をスタートするのが最も良い」というものがありました。Frontiers in Human Neuroscience上で公開された研究結果です。
アメリカのネバダリノ大学およびイギリスのオープン大学が、大学の1年生と2年生を対象に学生の1日の認識能力を調査。もちろん個人差があるので全員に最適とは言えないものの、認識能力のテスト結果や学生に答えてもらったアンケートの内容などから、「最も多くの学生が恩恵を受ける始業時間」は、「午前11時」となりました。
これを紹介した
「大学での学びを改善するには午前11時以降に授業をスタートするのが良い」という研究結果 - GIGAZINEによれば、イギリス・ロンドンのUCL Academyでは2013年から始業時間を午前10時に変更するなど、既にこのような見直しの動きはあるようです。学習効率だけでなく、1限目に遅刻する学生の数は大幅に削減できるといった効果も大きいとされていました。
ただ、これにともなって、夜更かしも長時間化してしまうと、結局、ギリギリで起きて頭がぼーっとしている、寝不足になるといった問題も生じてきそうです。なぜそう考えたのかと言うと、午後から仕事を始めている日本の会社の人で、結局、ギリギリで起きて飯を食わずに会社に行って、夜はガンガン夜更かし…という例を知ってしまったためでした。
健康面で考えると、それじゃ意味ないんだよなぁ…という話。結局、良い睡眠がとれず、体に負担をかけてしまうでしょう。もちろんこれは個別ケースですので、全体に当てはめられるわけではありません。ただ、ダメな状態で最適化してしまう人が結構出てくる心配があります。
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