昨年、スコットランドがイギリスからの独立するか?という話が大きな話題になりました。ただ、私はイギリスよりスペインの方が危ないイメージでしたので、意外でした。
(関連:
スコットランドがイギリスから独立する可能性が高いって本当?)
スペインでは、カタルーニャ以外にもバスク地方が独立を訴えていました。私のイメージですと、バスクの方が過激でしたが、今は下火のようです。(2015/9/28)
2015/9/28:
●バルセロナ抱えるカタルーニャ州、独立派政党で過半数獲得
●直ちに重大な影響を及ぼすリスクにはならないという市場の予想
●独立の是非を問う住民投票では、8割が独立に賛成
2017/08/21:
●バルセロナテロすら独立運動に利用のカタルーニャ
●カタルーニャと違い、現在は下火になっているバスク地方の独立運動
2020/08/28:
●カタルーニャ独立デモと香港デモは同じ?中国を批判するEUの矛盾
●バルセロナ抱えるカタルーニャ州、独立派政党で過半数獲得
2015/9/28:カタルーニャ州と言われると、ピンと来ないでしょうが、サッカーなどでも有名なバルセロナを抱える州と言えば、わかるでしょう。芸術分野でも有名で、スペインを代表する都市です。そこが独立だというのですから、大ごとだというのがわかります。
スペイン・カタルーニャ州議会選、独立派が過半数獲得=暫定結果 ロイター / 2015年9月28日 8時15分
[バルセロナ 27日 ロイター] - スペイン北東部カタルーニャ自治州で27日、州議会選挙(135議席)の投開票が行われ、公式の暫定開票結果によると、同国からの分離独立を掲げる政党が過半数の議席を獲得した。
97%の票を集計した暫定結果によると、独立賛成派の選挙連合「Junts pel Si(共にイエス)」が62議席を、別の独立賛成派の左派CUPが10議席をそれぞれ獲得する見通し。同選挙連合とCUPの得票率は合わせて47.8%となり、分離独立運動にとって追い風となる。
●直ちに重大な影響を及ぼすリスクにはならないという市場の予想
独立賛成派の選挙連合「Junts pel Si(共にイエス)」とCUPは、"これまで、過半数議席を獲得すれば18カ月以内に一方的に独立を宣言すると表明してい"たそうです。
そう言われると、じゃあ、「さぁ、すぐ独立だ!」となるだろうと思います。ところが、奇妙なことに、そうでもないんだそうです。
ただアナリストは、州議会選を受けて最も起こり得る結果は同州当局とスペイン政府との対話実施だとの見方を示している。
投資家は今回の結果が直ちに重大な影響を及ぼすリスクになるとはみていないが、28日の金融市場はネガティブに反応する可能性がある。
●独立の是非を問う住民投票では、8割が独立に賛成
選挙前の記事を見てみると、住民投票では、80%余りが独立に賛成。過半数どころじゃありません。決定力がないからこその80%かもしれませんが、スコットランド式の住民投票だったら、接戦ではなく圧勝で独立決定でした。
独立争点 スペイン カタルーニャ州で投票始まる NHKニュース 9月27日 17時42分
独立を主張するカタルーニャ州のマス州首相は、選挙の結果、みずからの政党を含め独立を主張する3つの政党が過半数の議席を得れば、スペイン政府との協議や独自の憲法の制定などを進め、18か月以内に独立を宣言したいとしています。
カタルーニャ州では去年、独立の是非を問う住民投票が行われ、80%余りが独立に賛成しましたが、これに先立って憲法裁判所が投票の差し止めを命じたため、法的な拘束力のない投票結果となりました。
スペイン政府はあくまで独立を阻止する構えで、選挙の結果によっては、スペイン経済をけん引するカタルーニャ州とスペイン政府の対立がさらに激しくなることも予想され、選挙結果が注目されます。
最初の記事では、"一方的に独立を宣言する"としていました。これは法的な拘束力のない独立の是非を問う住民投票だったのと同じように、法的な根拠がないという意味かもしれません。だとすれば、要するにパフォーマンスです。なので、市場も冷静な見方で、落ち着いているのかもしれません。
●バルセロナテロすら独立運動に利用のカタルーニャ
2017/08/21:2017年8月17日夕方、スペインのバルセロナの繁華街(ランブランス通り)で自動車で人の列へと突っ込むテロが起きました。数時間後にも、同じカタルーニャ州のカンブリスで、車が群衆に突っ込む事件が起きています。
これに関して、
日本では報道されないバルセロナの同時多発テロの背景について | 地中海ブログ(2017.08.21 バルセロナ在住の建築家cruasan)では、主犯格であるイスラム教の指導者がテロに使う予定だった爆弾の事故で亡くなっており、その捜査が進む前に急遽テロを実行したという見方を伝えていました。
このテロは直接的にはカタルーニャの独立とは関係ないんですけど、私が気になったのは追記の部分。地元ではカタルーニャ州政府がカタラン人(カタルーニャ人)の犠牲者をスペイン人の犠牲者と別枠でカウントしていることが問題となっているそうです。悲惨なテロが起きているような状況においても、「カタルーニャは独立国家だ」という政治的主張に使われているということでした。
これは実際、問題を感じるやり方なわけですけど、それだけ独立に対して激しい思いがあるということをよく示しています。
●カタルーニャと違い、現在は下火になっているバスク地方の独立運動
あと、最初の投稿時はバスク地方についてほとんど触れていませんでしたので、バスクの話も少し追記しておきます。当初はWikipediaを使おうかと思いましたが、
スペインのバスク自治州、独立機運が下火に―カタルーニャと好対照 - WSJ( By DAVID ROMÁN 2014 年 4 月 24 日 21:11 JST )の方が良さそうです。
記事が出ていた2014年4月というのは、バスク自治州で政権を握った国家主義政党グループが分離独立に向けた平和的な道のりを約束してから1年半という時期でした。こちらも分離独立を結局宣言していたわけなのですが、実際にはその動きは進んでいないとのことです。
私がバスクの印象の方が強かったのは、悪名高いバスクの分離独立を求める非合法テロリスト集団「バスク祖国と自由(ETA)」の存在のせいでした。独立紛争が続いた43年間の死者数は800人以上に上っていると言います。
この「バスク祖国と自由」は2011年に恒久的な停戦を宣言。しかし、その後も「バスク祖国と自由」は、スペインとフランスに分散して収監されている約500人の囚人について、家族の近くかバスク近郊の監獄に移送させるよう要求して拒否されるなどギクシャクしています。関係性が良いわけではなさそうでした。
ただ、逆にこの囚われている仲間の問題に労力を費やしているがために、本来肝心であるはずの独立問題が選挙の争点から遠ざかってしまうということが起きている…というのが、バスク地方の独立運動がカタルーニャより遅れを取っている理由だという解説でした。
●カタルーニャ独立デモと香港デモは同じ?中国を批判するEUの矛盾
2020/08/28:検索で出てくるのは、やはり現在でもバスク地方よりカタルーニャ地方の独立運動。ただ、2020年の記事ではなく、2019年の記事ばかり出てきたので、2020年はやや勢いがないのでしょうか。私が読んでみた
【地球コラム】カタルーニャ独立派が目論む「第2の香港デモ」:時事ドットコムという記事も2019年11月09日のものでした。
この当時は、最高裁が、2017年のの独立の是非を問う住民投票を主導したジュンケラス前州副首相らに反乱罪などで最高で禁錮13年の有罪判決を言い渡したことにカタルーニャの民衆が反発していた頃。デモ隊が押し寄せて、世界遺産サグラダファミリア教会が臨時休業したり、バルセロナ空港がデモ隊の占拠で機能不全に陥ったりしていました。
このうち、空港占拠というのは、中国本土への犯罪容疑者の引き渡しを可能とする条例改正案をめぐるデモが激化した香港を模倣したものだと、デモの指導者が明言。EUは香港のデモ弾圧を非難しており、カタルーニャの独立派としては、EUの理解を得ることでスペイン中央政府への圧力を期待していたようです。
香港のデモも、カタルーニャのデモも、構図としては政府の横暴に対する平和的な要求であり、EUがカタルーニャ・デモへの中央政府による強硬な対応を批判しなければ、ダブルスタンダードになるとの読みが独立派にはあるとのこと。ただ、イタリアやスコットランドなど欧州各地に独立問題を抱えるEUは、カタルーニャ独立派については支持していないようでした。
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