2015/9/28:
●「これほどの孤独感を味わったことはない」億万長者がツイート
●お金が多くても幸せとは無関係だから給料下げます!で社員逃げる
●「年収75000ドルを超えると、人間の幸福感はもう上がらない」に誤解
●年収が上がれば上がるほど満足度も上がる…が、実際の研究結果
●幸せは周囲や過去との比較で決まる?給料が下がれば当然不幸に…
●さらに残酷な幸せとお金の研究「人生全体の満足度に年収の上限はない」
●「これほどの孤独感を味わったことはない」億万長者がツイート
2015/9/28:お金に執着するのはオススメしないのですが、かと言ってお金を敵視するかのごとく、不当に軽視するのも問題があります。
今回の投稿を書くきっかけとなった元記事は、
億万長者になった『Minecraft』作者の孤独。お金で買えるのは何? lifehacker / 2015年9月18日 22時0分というもの。タイトルになっていたのは、オンラインゲーム『Minecraft』のクリエイターであるマルクス・ペルソンさんの話でした。
彼は先日、「イビザ島で友だちや有名人とパーティーをしてる。やりたいと思うことは何でもできる。これほどの孤独感を味わったことはないよ」とツイートしていたとのこと。記事では、億万長者なのに幸せだとは限らないと強調していました。
●お金が多くても幸せとは無関係だから給料下げます!で社員逃げる
ただ、これ、やりたいことをしていないから、こうなったんじゃないの?と思います。「やりたいと思うことは何でもできる」と言っているものの、「友だちや有名人とパーティー」はセレブらしい時の過ごし方をしているだけで、ペルソンさんの「やりたいこと」であったかは怪しいものです。
「やりたいこと」というのは、人それぞれですからね。よく「お金で幸せは買えない」と言いますが、これも人によって違います。
それなのに、「お金が多くても幸せとは無関係だから給料下げます!」とやった馬鹿社長がいて、社員らに逃げられたようです。しかも、客にも逃げられてますからね。アホすぎます。
彼が影響を受けたのは、2010年のプリンストン大学の研究。年収75000ドル(約900万円)を超えると、人間の幸福感はもう上がらないことがわかっていると、記事では紹介されていました。
これを知った決済代行会社のCEOであるダン・プライスさんは、社員の年収を75000ドルまでに抑えることに決めてしまいます。結果、社員は去り、訴訟が起こり、一部のクライアントも離れていくということになりました。
●「年収75000ドルを超えると、人間の幸福感はもう上がらない」に誤解
しかし、そもそもこの社長によるプリンストン大学の研究の理解は間違っているんですよ。この研究は、
やっぱり世の中金なのか?年収と幸福度の関係を見た残酷な研究で紹介したもの。これは、社長が考えているような単純な話ではありませんでした。
さっきの「お金があって幸せかどうかはお前が決める話じゃねーだろ」と書きましたよね。幸せの感じ方には個人差があるという時点で社長のやったことは間違いなのですけど、個人差以外にも問題があるのです。
この馬鹿社長は研究の結論を勘違いしてしまったのか、違うことがわかっていて社員の給料を下げる口実にしたのか、どちらかだと思われます。ひょっとしたら会社の利益を出すための機会をうかがっていただけかもしれません。
●年収が上がれば上がるほど満足度も上がる…が、実際の研究結果
まず一つの間違いは、プリンストン大学の研究だと、7万5000ドルという額について「仕事のストレスや仕事につぎ込む時間の長さ」と「稼いだお金で買える物や体験」が相殺しあうようになるしきい値となっていると、分析していたこと。
つまり、年収は上がるに連れて仕事がハードになって、幸せが思うように上がっていかないということです。7万5000ドルより高い年収の場合、仕事のハードさと年収の高さが釣り合っている状態。満足度は上がり続けるものの、その分仕事のストレスがあるために全体の幸福度が上がりきらなくなるということです。
この状態で給料だけを下げたら、どうなるでしょう? そりゃ不幸せになって当たり前ですわ。仕事のたいへんさは変わらずに、給与だけは安くなるのです。「普通にブラック企業だろ、それ」という話。本当この社長はアホすぎると思います。
●幸せは周囲や過去との比較で決まる?給料が下がれば当然不幸に…
そうじゃなくたって今までより年収が悪くなるというのは、幸せ度を下げます。さっきの記事では以下のような話がありましたし、以前私も内戦直後の国の幸福度が意外に悪くないという調査を見ました。これも周囲との比較や、これまでの自分との比較で説明できるでしょう。
<地球幸福度指数によると、コスタリカ、ベトナム、ジャマイカの人は年老いたアメリカ人よりもはるかに幸せです。残念ながら、アメリカ人の幸福度は151カ国中104位でした>
そうじゃない方が良いとは思うものの、幸せは相対的なもので決まることが大きいように見えますね。
幸福度と自殺の関係 幸せな都道府県は自殺が少ない?逆に多い?では、周囲に幸せな人が多い地域ほど自殺が多い、というショッキングな研究を紹介しています。
●さらに残酷な幸せとお金の研究「人生全体の満足度に年収の上限はない」
この社長はさらにもう一つ間違えました。「お金で幸せは買えない」派が都合よく無視しそうなところですけど、プリンストン大学ではもう一つ拍子抜けするような結論も得ています。実は7万5000ドルで上昇が止まってしまう幸せというのは、飽くまで「日々感じる生活に対する満足感や幸福感」の話でしかないのです。
研究では、「自分の人生全体を自己評価したもの」も見ていました。そして、この条件では、普通に年収が高ければ高いほど「人生に満足している」と答えるという結果に。こちらの人生全体の満足度の方に上限はなく、お金を稼げば稼ぐほど満足する人が多いという、お金持ちじゃない人には残酷な結果が導き出されました。
…ということで、「社員の給料を一定水準以上に上がらなくしても幸せの最大化が約束される」という研究結果ではありません。全然違いますよね。なぜ社員の給料を下げて良いという結論に達したのか不思議です。私自身はお金がたくさんなくても幸せであり、皆さんもそうである方が良いと思いますけど、こういう風に自分の都合よく話を捻じ曲げてしまうのはたいへん良くありません。
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