オランダなど複数の国で信号機をオフにする試みが行われているんだそうですけど、むしろ交通事故が減る…という予想外の結果が出ています。東日本大震災停電で信号が消えて交通事故増加…という話を私は小耳に挟んだことがあったので意外でした。で、調べてみたものの、停電前後の事故件数について書かれたものはそもそも見つかりませんでした。
2019/11/13:
●オランダで信号機をオフにする実験 むしろ安全に気を遣うように?
●意識の高いオランダだからできたことで日本では無理…に反論!
●オランダが特殊ではない?ドイツやイギリスでも同様の結果に
●東日本大震災停電で信号が消えて交通事故増加…はデマ?
2020/03/15:
●北海道胆振東部地震の停電で信号機オフ、事故は減った?増えた?
●オランダで信号機をオフにする実験 むしろ安全に気を遣うように?
2019/11/13:オランダ・アムステルダムの町の中心部では交通の70%近くが自転車で、そのためもっと自転車用に合ったインフラが求められているといのこと。そこで、2016年5月に、アムステルダム市では交差点から信号を失くしてしまうという、非常に思い切った試験を行いました。怖い!危険だ!と思ってしまう実験です。
英紙ガーディアンは試験前と試験後に街の人にインタビュー。すると、60%の人が、交差点での交通が改善したと答えたとのこと。「人がもっと注意を払うようになった」、「自然と、自分たちで調整し合うようになったのがすごい」、「ちょっと怖いけど、止まる必要もないし、機嫌が悪い人もいない」といった感じです。
交差点を通る他の人たちと譲ったり譲られたりといった感じで、摩擦は見られなかったといいます。ちょっと信じられませんね。
(
自転車大国オランダ、信号機を消してみたら起きたこと... | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト 2017年10月10日(火)18時30分 松丸さとみより)
●意識の高いオランダだからできたことで日本では無理…に反論!
記事では、他の国での実験の話もあり、これがより興味深いところ。ただ、その前に
はてなブックマークの人気コメントを紹介。以下が一番人気のコメントでした。
<信号機のない交差点なんて日本にだってどこにでもあるだろ。表通りなど交通量の多いところに特別についてるだけ。むしろ順番は逆で信号機のない交差点で事故が起きると信号機が設置される>
私もそう理解していたものの、実験ではむしろ信号機の方が交通事故を増やしていると示唆するもの。また、今回は交通量の多いところでの実験であり、日本での信号機のない交差点とは全然違います。
他に「絶対日本では試験的でも以ての外だとされ、実行できないこと」というコメントが人気コメントになっていましたが、それ以上に「これ日本だとできない系の自虐コメがたくさんつくやつだ」に。で、なぜか「日本人も自信持って…」という趣旨のコメントも人気になっていたのですけど、元記事の話からどんどん離れていってわけわからなくなっています。
<日本だってクレイジーなスクランブル交差点で接触なしに歩けるんだから自信を持っていいと思うよ>
このページはなぜか変なコメントが多いのですけど、苦手な人もいるのでは?という以下の指摘コメントだけは気づきを得られたところ。信号機によって小さい子供や老人などの交通事故は減らせそうで、本当に信号機なしの方が安全なのかは、もっと注意深く検討した方が良いと思います。
AFCP <"交差点に差し掛かると、ほとんどのサイクリストはスピードを落とし、他のサイクリストや自動車とアイコンタクトやジェスチャー、顔の表情、言葉などで合図を送り合った" これが苦手な人もいるんだろうな……>
ひょっとしたらある種の事故が増える一方で、別の種類の事故が大きく減るので全体としては減少、といった感じになる可能性も。そして、その場合はたとえ事故が減るとしても、子供のような同情されやすい人の事故が増えるケースなどでは、反対論が強くなるかもしれません。
●オランダが特殊ではない?ドイツやイギリスでも同様の結果に
はてなブックマークでは、「日本では無理」論に対して、<日本で自転車がマジョリティの場所があってはじめて日本では○○と言い出すべき話題だろうに>という反論も人気になっていました。ただ、元記事では自転車が少ないところでも、同様の報告があることがちゃんと書かれていたのです。
<過去には、オランダの人口5万人の小さな町ドラハテンで同様に、試験的に信号を撤去したら良好だったため、2006年に完全に撤去したという実績がある(ただしこの時は代わりにラウンドアバウト/環状交差点を採用した)。
自転車が主要な街ではないが、オランダを真似て交差点の信号を取り払ったら、交通がスムーズになったり事故が減ったという実験結果は、ドイツ(2008年)や英国(2009年)でもあったようだ。今回は首都で、しかも交通量の多い交差点での実験だった>
記事を読む限り、今回の報告は研究者によるものではなくかなり怪しいと思ったのですけど、他の地方でも同様の結果が見られていたとなると、途端に信頼性が増してきます。興味あるところですので、より詳しい話が見つかれば追記したいですね。
●東日本大震災停電で信号が消えて交通事故増加…はデマ?
あと、私はパッと読んで、「東日本大震災の福島原発事故のときに、停電で信号機が際に交通事故が多発した」と聞いたことがあったことを思い出しました。はてなブックマークでもこの話が出ていることを期待したのですけどなし。前述の海外の実験結果が事実なら、「日本人には無理」というのが正しいということになります。
で、検索してみたものの、そもそも「停電で事故が増えた」という話をしているところを見つけるのに苦労。ごく一部でささやかれていたデマだったのかも…と思ってきたところで、
(PDF)東日本大震災レポート - SOMPOリスクマネジメントを発見。以下のように書かれていました。
<日本大震災の発生から2ヶ月が過ぎました。この震災の影響により、東京電力管下では3月14日以降、1都8県にわたり計画停電が実施され、家庭への電力供給のみならず公共施設への電力供給がストップしたことから交通機関や病院、商店等を始めとする様々な場所で混乱が発生しました。とりわけ道路上では信号機が滅灯し、これが影響したと思われる交通事故も多数発生いたしました>
ただし、停電前との交通事故発生数や、より望ましい発生率の増減比較などはなし。たとえ停電由来の交通事故があったとしても、それ以外の要因による交通事故がそれ以上に減っていれば、むしろ「停電で交通事故が減った」ということにすらなります。絶対に比較が必要です。
レポート自体は停電時特有の事故の注意点を伝えるものであり、全然問題ないのですけど、私が知りたかった「信号機オフで交通事故増加」に関しては比較がないと証拠にならず、この時点では事実とは言えません。前述の海外の報告もしっかりした話がなかったので、ここらへんはもっとデータなどがほしいところです。
●北海道胆振東部地震の停電で信号機オフ、事故は減った?増えた?
2020/03/15:東日本大震災のときじゃないのですけど、北海道胆振東部地震のときに参考になりそうな話を発見。
発生直後、犯罪減少 停電で警官が多数配備 毎日新聞2018年10月3日 21時57分(最終更新 10月3日 21時57分)という記事があったのです。
道警警備課によると、人身交通事故件数は通常1日20~30件。地震のあった9月6日は21件であったものの、以降は減り続け、9日はわずか3件だったそうです。6~9日の4日間の計51件のうち、信号機が消えていたことが影響したとみられる事故は9件。ただ、それ以外の事故が減ったということでしょうね。
道警警備課の渡部雅彦次席は交通事故について、地震後に企業などが休止し、ガソリンスタンドでの給油も困難になるなど車での移動が減ったことを挙げていました。なので、これは信号機オフのおかげというよりは、単に自動車に乗らなかった…という話であり、前半の信号機オフ実験の話とは明らかに異なる感じです。
なお、記事タイトルでわかるように事故以外に事件も減りました。渡部雅彦次席は刑法犯減について「犯罪者も命が大切。地震で身動きが取れなかったのではないか」と推測。さらに多数の警官が配備されていたことや、侵入などの際に懐中電灯が必要で目立つことなどが減少の要因と予想しています。
<道警警備課によると、道内の刑法犯認知件数は9月1~5日の平均が72・6件だったのに対し、6日は50件と大幅減。9日までの4日間の平均も63・75件だった。地震後は会社倉庫から発電機が盗まれるなどの窃盗事件が18件あったが、ツイッターなどに流れた「避難所で窃盗事件」などの被害届はなかった>
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