2020/03/18:
●犯罪心理学の浅野正・文教大准教授が妻殺人容疑で逮捕で波紋
●大学職員なのに「住所不詳」の謎、妻と別居中だったためか?
●批判の多いロールシャッハ・テストの学会に所属し書籍も刊行
2022/05/14追記:
●裁判開始…妻の殺害を認める一方で無罪を主張している理由とは?
2022/07/30追記:
●浅野正教授は無罪を主張…さいたま地方裁判所が下した判決は? 【NEW】
●犯罪心理学の浅野正・文教大准教授が妻殺人容疑で逮捕で波紋
2020/03/18:大学の先生による殺人というのは、最近数年に一回くらいはある気がしますね。これが他の職業より多いかどうかは不明。ただ、一般人より注目されやすい職業ですから印象には残りやすいでしょう。今回は犯罪心理学が専門の教授という得意性で、特に注目されやすい事件になっています。
容疑者は文教大准教授 埼玉県庁前の女性殺害:時事ドットコムによると、埼玉県庁前の路上で少年鑑別所職員浅野法代さん(53)が殺害された事件で、埼玉県越谷市にある文教大は記者会見し、殺人未遂容疑で逮捕された浅野正さん(51)が同大の人間科学部准教授だと発表。以下のような授業をしていたともいいます。
<専門は犯罪心理学で非行や犯罪の発生のメカニズムを研究していて、ゼミでは過去1年間に起きた犯罪の原因を分析したり、学生と一緒に少年院や刑務所などを訪問したりして、加害者に対する教育や被害者支援について学ぶ授業をしていたということです>
(<女性刺殺 別居中の大学准教授の夫が背後から押し倒し殺害か>(NHK 2020年3月17日 13時30分)より)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200317/k10012335251000.html
●大学職員なのに「住所不詳」の謎、妻と別居中だったためか?
時事通信では、浅野准教授は少年鑑別所や刑務所勤務などを経て、2007年4月から同大で臨床心理学や犯罪心理学を教え、15年に学部准教授になり、埼玉犯罪被害者援助センターの理事も務めていたという説明。毎日新聞によると、妻も少年鑑別所職員であり、専門が同じみたいですね。
(
さいたま殺人、容疑者は犯罪心理学専門の文教大准教授 別居中の妻を襲撃か 毎日新聞2020年3月17日 12時38分(最終更新 3月17日 21時37分より)
なお、時事通信では、浅野正准教授は、大学職員なのにも関わらず、「住所不詳」と書いていました。県警によると、2人は夫婦で別居中だったとのことで、そこらへんの関係で現在住んでいる場所を確かめられていなかったのかもしれません。
それから、あまり意味がない情報ですが、文教大学の益田勉・人間科学部長は「人柄は温厚で学生にも親切だった。大変驚いた」と述べていたとのこと。実名を出して話す場合は、そもそも「いかにもやりそうな人物だった」と言うことは稀ですし、そこらへんはよくわかりません。
また、いかにも犯罪者っぽい人が犯罪をするというのはそもそも偏見です。それから、一般論としては、裁判で確定するまで犯罪者かどうかも不明。冤罪がありますからね。ただし、今回に関して言えば、毎日新聞によると、「刺したことは間違いない」と容疑を認めているといいます。
●批判の多いロールシャッハ・テストの学会に所属し書籍も刊行
経歴情報については、補足。
ロールシャッハ研究の方法と諸論点
では、以下のような情報があります。ついているレビューなどを見ると、この書籍は浅野准教授が一から書いたのではなく、翻訳を行ったものみたいですね。
<文教大学人間科学部臨床心理学科准教授。一橋大学社会学部卒業、横浜国立大学教育学研究科修士課程修了、南イリノイ大学大学院(刑事司法)修士課程修了。東京少年鑑別所、千葉少年鑑別所の鑑別部門専門官、川越少年刑務所分類審議室調査専門官、甲府少年鑑別所鑑別部門統括専門官、千葉刑務所分類審議官統括矯正処遇官等を経て現職。所属学会は、日本ロールシャッハ学会、包括システムによる日本ロールシャッハ学会、日本心理臨床学会、日本犯罪心理学会、日本犯罪社会学会、日本うつ病学会、日本描画テスト・描画療法学会。著書として『子どものロールシャッハ法』(共著 金子書房 2005)、『臨床心理アセスメント・新訂版』(共著 丸善出版 2013)、『臨床心理学の基礎を学ぶ』(共著 文教大学出版事業部 2014)他、論文多数会>
ロールシャッハの本を書いていて、日本ロールシャッハ学会などに所属している…というのは気になりました。被験者にインクのしみを見せて何を想像するかを述べてもらうロールシャッハ・テストは、非科学的ではないかと批判があるためです。ただ、レビューによると、この本もテストの問題点には触れているようでした。
●裁判開始…妻の殺害を認める一方で無罪を主張している理由とは?
2022/05/14追記:浅野正・文教大元准教授の裁判員裁判が、さいたま地方裁判所で始まりました。報道をパッと眺めると、「妻の殺害を認める」というものと「無罪主張」というものが混在している状態です。殺害を認めているのになぜ無罪?というと、心神喪失の状態のせい…という主張のためでした。
<13日、さいたま地方裁判所で始まった裁判員裁判で、被告は「間違いありません」と述べ、起訴された内容を認めました。
一方、弁護士は当時被告が心神喪失の状態だったとして無罪を主張しました。
続いて検察は「被告は弁護士に離婚の相談をしたり妻と別居したりする中で、妻と娘が自分を自殺に追い込み財産を横取りしようとしていると妄想するようになり殺害を決意した。被告は妄想性疾患にかかっていたが正常な判断で行った面も残っていた」などと述べました。
裁判は被告の責任能力の程度が争点で、判決は来月22日に言い渡される予定です>
(さいたま 妻殺害事件裁判 被告の元准教授の弁護士が無罪主張|NHK 首都圏のニュースより)
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20220513/1000079855.html
なお、こうした心神喪失の主張をすればみんな無罪になると誤解している人が多いのですが、実際には年々難しくなっているという解説記事を以前読みました。弁護側の主張が認められないことが増えているそうです。記事にあるように、この責任能力の程度が重要な争点となりそうですね。
●浅野正教授は無罪を主張…さいたま地方裁判所が下した判決は?
2022/07/30追記:紹介するのが遅れて元記事が消えちゃったのですが、さいたま地方裁判所の判決が出ていました。<路上で妻を殺害の罪 元大学准教授に懲役7年の判決>[テレビ朝日 2022/06/22 18:20]という記事が出ています。前回、心神喪失でも無罪になりづらくなっていると書いたように、有罪判決でした。
<今月22日の判決で、さいたま地裁は「3人の娘を育てながら懸命に仕事をしていたのに突如、路上で絶命しており、その無念さは察するに余りある」と述べました。
一方、法代さんらが自分を自殺に追い込もうとしたなどと「妄想を抱えるなかで、怒りの感情が生じて視野狭窄(きょうさく)に陥った」と指摘しました。
そのうえで「犯行時に心神耗弱の状態にあった事案のなかで、重い部類に属するとまではいえない」などとして懲役7年を言い渡しました>
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000258876.html
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