貸した本が返ってこないというのが、日本の図書館で問題になっているとのこと。催促費用が馬鹿にならないため、数万冊もの権利を放棄する図書館も現れています。一方、アメリカではこうした問題はないとされていました。本当かな?と思うのですけど、延滞料があるので問題は皆無という説明でした。
2021/01/05追記:
●なぜ本を返さない人物に対し甘いのか?図書館側の回答とは…
●借りパク!図書館の本が返ってこない…悩む日本の図書館
2018/02/09:東京都足立区は2016年、長期未返却の本について返還請求権を放棄しました。10年以上返却されなかった本などが対象で、その数はなんと約1万9千冊。2万円以上の本も7冊含まれており、価格は総額約2500万円にもあります。また、翌年の17年度にも、さらに約2千冊の権利を放棄しました。
これまでは、督促はがきを送って対応してきました。しかし、費用や手間がかかる割に効果がありません。返還の見込みが薄い利用者への対応を続けても、お金は減るばかり。それで諦めてしまったようです。コストに関しては、埼玉県川口市などの例が出ていました。16年度に約1万7千枚を送り、約84万円がかかったそうで、過去5年間では500万円に達します。
先の足立区は大量の返還請求権を放棄した一方で、未返却期間が比較的短い利用者への督促を強化。業者に委託し、一軒一軒戸別訪問を行っていおり、これによって4割ほどが戻ってきたといいます。ただ、戸別訪問ははがきより効果が高いとはいえ、当然費用がかかります。足立区は16、17年度の2年間で計210万円かかったとしていました。
(
「本が帰ってこない」悩む公立図書館 :日本経済新聞 2018/2/5 14:32より)
●米国では延滞問題がない…とされている理由は延滞料金だった!
川口市立図書館の担当者は「はがきを送る費用がなくなれば、もっと図書館のサービスや蔵書の充実が図れる」と訴えていました。そりゃそうでしょうね。現状はサービスと無関係なところにお金を取られています。
一方、海外では延滞料を科すことで未返却を防ぐ国があるそうです。桃山学院大学の山本順一教授(図書館情報学)によると、米国では多くの図書館が1日当たり一冊1ドル未満の延滞料を徴収しており、未返却が問題になることはないとしていました。
記事では、返し忘れや返したつもりになっていたケースが大半とされていたのですけど、これは延滞料が存在するレンタルDVDなどでも起きていること。「未返却が問題になることはない」は怪しいと感じます。ただ、お金がかかる分、抑止効果になっているのかもしれません。
ただし、日本の図書館法は「入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価も徴収してはならない」と規定しており、現状では延滞料制度の導入はできないそうです。
●1日当たり100円の延滞料は妥当なのか?安いと効果がない可能性
「未返却が問題になることはない」が怪しいと思ったことに関しては、1日当たり一冊100円程度(現在1米ドルは108円ほど)の延滞料で効果があるのか?というのも気になりました。罰金が少なすぎる場合、効果が弱いどころか、逆に違反が増えてしまう…といった実験が過去に行われているためです。
TSUTAYAは応援したくないのですけど、
返却期限と延滞金について | TSUTAYA DISCAS よくある質問を見てみると、DVD/CD・コミックともに「延長料金は1日につき1枚50円(税込54円)」となっていました。思ったより安いですね。ただ、TSUTAYAの実店舗では300円といった料金が多いようです。300円だとだいぶ違います。
そして、「返し忘れや返したつもりになっていたケースが大半」と書かれていたように、日数が重なってきます。延滞料が膨れ上がるといったこともあるでしょう。これくらいの金額で十分なのかもしれません。なお、
高すぎる延滞料金・罰金・違約金、支払わないでも良い? 駐車場などでやっているように、あまりにも高すぎる延滞料の請求は法的に認められていません。借りパクを推奨するわけではないものの、覚えておいてください。
●なぜ本を返さない人物に対し甘いのか?図書館側の回答とは…
2021/01/05:図書館の本が返ってこない…に関して検索していると、
図書館はなぜ本をきちんと返さない人物に対し甘いのか。 | 函館市というものが出てきました。タイトルになっている内容の他、函館市へ質問を出した方は以下のように言っています。(改行は変更)
<返さないことは横領や詐欺にはならないのか。被害届を出したり裁判を起こさないのか。(中略)被害者がいるのだからしっかりしていただきたい。また、図書館の雑誌を買う費用が私たちの税金ならば、その雑誌は図書館のものではあるが税金を払っているすべての人のものである。(中略)こちらの払った税金で買ったものを盗まれて、いいかげんにしないでいただきたい。返さないで盗んだもの勝ちということか>
函館市側は、期限内に返却されないのは一部の利用者であること、返却期限の翌日から新規貸出・新規予約等の受付を停止するとともに、指定管理者から適宜電話等による督促を行っており、ほとんどの利用者から返却されていると回答していました。
直接的に質問内容には回答していませんが、被害はごく一部であり、なおかつ新規受付を停止することで、被害を最小限に食い止めているために、訴訟などを行わなくても問題は大きくないということでしょう。訴訟などにもコストがかかるために、これは理解できる対応です。
ただ、もともと紹介していた足立区のケースでは、10年以上返却されなかった本の数は約1万9千冊で、2万円以上の本も7冊含まれており、価格は総額約2500万円…などとなっていました。被害額が無視できる程度…という函館市の説明は、本当なのだろうか?と思ってしまうところがあります。
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