ノーベル生理学・医学賞候補、遠藤章さんの話をまとめ。<もう一つのノーベル賞の前哨戦、ガードナー国際賞までも受賞>、<世界で一番服用されている奇跡の薬『スタチン』を発見した功績>、<当時有望だともてはやされていた菌ではなくカビ・キノコを選ぶ>などをまとめています。
冒頭に追記
2022/09/26追記:
●世界で一番服用されている奇跡の薬『スタチン』を発見した功績 【NEW】
●当時有望だともてはやされていた菌ではなくカビ・キノコを選ぶ 【NEW】
●世界で一番服用されている奇跡の薬『スタチン』を発見した功績
2022/09/26追記:遠藤章さんの研究に関する話を補足。
世界で一番服用されている奇跡の薬『スタチン』を発見 東北大学萩友会(しゅうゆうかい)-TOHOKU UNIVERSITY-という、いかにもすごいぞ!という感じのページがありました。<「第二のペニシリン」と呼ばれる『スタチン』>という言い方をしている部分もあります。
<遠藤の業績を想像していただくには、『いま、世界で一番売れている薬の発見者で、その劇的な薬効の実証者でもある』と説明すれば、いかに人類に貢献している科学者かが納得していただけることでしょう。その薬『スタチン』は、青カビから発見した「コンパクチン」の強力な血中コレステロール低下作用の発見から生まれました>
ただし、2006年に『日本国際賞』を受賞したとき、東北大学関係者の当初の反応は鈍いように感じられたとのこと。『遠藤先生って誰? 』、『どんな業績? 』といった反応だったといいます。<日本より外国でまず評価され、それから日本で認められる。これが、独創的で、世界の最先端を走る日本人研究者の残念な宿命>とされていました。
●当時有望だともてはやされていた菌ではなくカビ・キノコを選ぶ
この発見は、6千株ものカビやキノコを一つずつ培養しては、コレステロール合成阻害剤を探すという地道な作業を行った結果でした。ただ、そもそもノーベル賞級の発見に多い「非主流分野での研究」だったことも重要な成功理由のひとつ。当時有望だと思われていた分野ではないところを選んだことが独創的な発見に繋がりました。
<ここでの成功の一つの鍵は、それまで生理活性物質探索の宝庫ともてはやされていた放線菌ではなく、昔から日本人の食生活に利用されていたカビやキノコをあえて探索の対象に選んだ卓見と勇気でしょう>
<この選択は、当時の研究の流行にはまったく逆らう決断でした。カビやキノコを選ぶ。秋田の山村育ちの遠藤には子ども時代からなじみのあるものだったからです。
さらに、製薬会社『三共』でのそれまでの8年間を、カビとキノコが生産する酵素の研究をし、手なれていたからでもありました>
毎度毎度同じこと書いていて申し訳ないんですが、画期的な発見が有望と思われる分野ではなく、有望ではないと思われる分野で見つかることは、最近の日本政府がやっている予算重点配分が逆効果である可能性を示唆しています。実際、最近の日本の論文の引用数は驚くほど下がっており、政府方針の失敗が疑われる状況です。
●ノーベル生理学・医学賞候補、遠藤章氏 ラスカー賞受賞のため有力
2015/10/4:
日本人ノーベル賞候補、竹市雅俊氏の経歴 STAP細胞問題でも有名にとセットの予定でしたが、長くなってしまったので単独で。竹市雅俊さんがネタ豊富すぎなんですもの…。紹介したかったもう一人は、遠藤章特別栄誉教授でした。一昨年から使い損ねていた記事からです。
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朝日新聞デジタル:ノーベル賞を占う 来週発表 有力研究・日本人は(2013年10月3日9時23分)
<日本人では、ノーベル賞の登竜門とも言われる、米国の医学賞ラスカー賞の臨床医学部門を2008年に受けた東京農工大の遠藤章特別栄誉教授への期待が高まる。遠藤さんは青カビから、血中コレステロール値を下げる薬の開発につながった物質スタチンを発見した>
遠藤教授も、竹市さんといっしょで以前も書いていました。
ノーベル医学生理学賞・日本人有力候補 森和俊,遠藤章,竹市雅俊などと
日本のノーベル賞級研究者 澤芳樹, 遠藤章, 岸本忠三,細野秀雄らです。
なので、今回はサクッとやるつもりだったのですが、前述の理由で単独記事に。予定と違ってしまって書くことに迷います。とりあえず、竹市さんの方で出てきたノーベル賞の登竜門であるラスカー賞とガードナー賞の話をしてみましょうか。
どちらも受賞せずに生理学・医学賞に輝いた研究者はいるとはいうものの、ノーベル賞受賞者が3人いれば誰かは受賞しているそうで、どちらかの賞を受賞していればノーベル賞への近道となるとしていました。しかし、最初で既に出てきたように、遠藤教授は既にラスカー賞を受賞しています。有力だと言えるでしょう。
●日本人ノーベル生理学・医学賞候補、遠藤章氏の経歴 受賞歴も
ラスカー賞を含めた受賞歴。以下に記した以外にも「文化功労者」に選ばれています。
<受賞歴>
1966年4月 - 農芸化学賞(日本農芸化学会)
1987年10月 - ハインリヒ・ウイーランド賞(西ドイツ)
1988年3月 - 東レ科学技術賞(日本)
2000年5月 - ウオーレン・アルパート賞[2][3](米国)
2006年4月 - 日本国際賞(スタチンの発見と開発)[4]
2006年11月 - マスリー賞[5](米国)
2008年9月 - アルバート・ラスカー臨床医学研究賞(米国)
遠藤章 - Wikipediaより
最後に経歴。大学は東北大出身で、博士号も東北大ですね。
日本はノーベル賞ランキングで3位、大学は圏外 該当の受賞者とは?で見たときは、東北大はそう多くない印象でした。
<略歴>
1953年3月 - 秋田市立高校(現 秋田中央高校)卒業
1957年3月 - 東北大学農学部農芸化学科卒業
1957年4月 - 三共株式会社(現第一三共株式会社)入社
1966年9月 - 東北大学より農学博士 「Studies on pectolytic enzymes of molds(糸状菌のペクチン質分解酵素に関する研究)」
1966年9月 - アルバート・アインシュタイン医科大学留学(1968年8月まで)
1975年8月 - 三共株式会社発酵研究所研究第3室長
1979年1月 - 東京農工大学農学部助教授
1986年12月 - 同上教授
1997年3月 - 同上定年退官
1997年4月 - 同上名誉教授、株式会社バイオファーム研究所代表取締役所長
2005年4月 - 金沢大学大学院医学系研究科脂質研究講座客員教授
2007年6月 - 東北大学特任教授
2008年9月 - 東京農工大学特別栄誉教授
2009年4月 - 早稲田大学特命教授
2009年11月 - 一橋大学イノベーション研究センター客員教授
●もう一つのノーベル賞の前哨戦、ガードナー国際賞までも受賞
2017/03/30:カナダのガードナー財団が、医学分野で大きな発見や貢献をした研究者に贈る「ガードナー国際賞」に、遠藤章・東京農工大特別栄誉教授(83)ら5人を選んだと発表しました。
(
ノーベル賞の前哨戦、ガードナー賞に遠藤章氏ら 読売新聞 / 2017年3月29日 13時57分より)
評価された功績は、「スタチン」を発見して、心不全などの病気の予防と治療につなげたこと。最初の記事にもあったように、遠藤章・特別栄誉教授は、血中コレステロール値を下げる高脂血症治療薬の原型となる物質「スタチン」を青カビから発見しています。
ガードナー国際賞・ラスカー賞ダブル受賞の場合に、さらにノーベル賞を受賞する確率が上がるかどうかは、過去の受賞者を調べてみないとわかりません。ただ、普通に考えると可能性が高まりそうに思えます。そろそろかもしれません。
【本文中でリンクした投稿】
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ノーベル医学生理学賞・日本人有力候補 森和俊,遠藤章,竹市雅俊など ■
日本のノーベル賞級研究者 澤芳樹, 遠藤章, 岸本忠三,細野秀雄ら ■
日本人ノーベル賞候補、竹市雅俊氏の経歴 STAP細胞問題でも有名に ■
日本はノーベル賞ランキングで3位、大学は圏外 該当の受賞者とは?【関連投稿】
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ノーベル化学賞日本人有力候補 国武豊喜,春田正毅,新海征治ら ■
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