ヨドバシカメラ関連の話をまとめ。<ヨドバシカメラがヤマダ電機やビックカメラなどよりすごい理由>などの話をまとめています。
●ヨドバシカメラがヤマダ電機やビックカメラなどよりすごい理由
2015/10/12:
ショールーミング推奨アプリでヨドバシ.comが攻勢、アマゾンを追撃でブックマークしていたと書いたヨドバシの別記事。読んでみると、こちらはヨドバシ・ドット・コム中心ではなく、ヨドバシカメラ全体への言及でした。記事でまず出ていたのは、2015年3月期決算数値です。
【家電量販大手5社・年間売上高】
1位:ヤマダ電機、1兆6643億円(12.1%減)
2位:ビックカメラ、8120億円(15年8月期予想、2.1%減)
3位:エディオン、6912億円(9.8%減)
4位:ヨドバシカメラ、6515億円(5.7%減) ※非上場のため、6月24日付日経MJの推定値より
5位:ケーズホールディングス(HD)、6371億円(9.1%減)
【家電量販大手5社・経常利益】
1位:ヨドバシカメラ、511億円(3.8%減)、7.8%
2位:ヤマダ電機、355億円(29.2%減)、2.1%
3位:ケーズHD、258億円(17.9%減)、4.0%
4位:ビックカメラ、205億円(14.6%減)、2.5%
5位:エディオン、111億円(25.3%減)、1.6%
(
アマゾンより速い!ヨドバシ.comがスゴすぎる?ヤマダと真逆、卓越した非常識経営 Business Journal / 2015年7月3日 6時0分(文=山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役)より)
ケーズデンキの売上高の少なさに驚きましたが、ヨドバシカメラはとりあえず売上高だと4位。ところが、経常利益だとトップなのです! これは経常利益率が極めて高いためだと思われます。また、ヨドバシカメラは、"売上高を5.7%減らしたのに、経常利益は3.8%しか減らしていない"とも、記事にはありました。業界他社は売上の減少率以上に経常利益率を減らしており、ヨドバシカメラだけ特異な形になっています。
●拡大戦略は取らず、最高の好立地にだけ出店しているヨドバシカメラ
上記のヨドバシカメラの経常利益率の高さを見て、私が真っ先に思いつたのは、ヨドバシカメラの出店戦略です。ヨドバシカメラは普通の家電量販店が行う多店舗出店の拡大戦略を取らずに、主要駅のすぐそばの好立地だけに出店している…というイメージがあります。
以下はJR東海の不手際のせいで出店とりやめというニュースなのですが、この名古屋駅の直近などのような確実に人が集まるところばかりヨドバシカメラは狙って出店しているんですよね。とにかく全国各地どこにでもという多店舗戦略のヤマダ電機とは対照的なやり方です。
JR名古屋駅新ビル、ヨドバシ撤退 ビックカメラ出店へ:朝日新聞デジタル 鈴木毅 2015年5月15日09時10分
JR東海が名古屋駅北側に建設中の超高層ビル「JRゲートタワー」に出店予定だった家電量販店のヨドバシカメラが、建設工事の遅れに伴う金銭負担を巡る対立から、出店を取りやめたことが14日わかった。(中略)
ヨドバシカメラは14日、「(工事の)遅延問題に関して、JR東海などが満足のいく対応をしなかった」などとするコメントを発表し、2日に違約金の支払いなどをJR東海側に求める訴えを名古屋地裁に起こしたことを明らかにした。
●ヨドバシカメラがすごいのは非上場の同族企業だから?
上記は飽くまで私の予想。で、記事はどう書いているのか?と見たら、最初は「非上場の同族企業」を挙げていてズッコケました。これで言うのなら、ヤマダ電機だってそんなに悪くないはずなんですよね。ヤマダ電機の場合、上場しており、「非上場」という条件は外れるので、確かに相当違います。
とはいえ、同族的ならヤマダ電機にはまだ存在。マダ電機は一時違う人が社長になっていたものの、今でも創業者の山田昇さんが現役ですし、甥や長男もいます。そういう問題じゃないでしょう。ただ、この後の話は私が書いたのと同じ出店戦略の話になっていました。
当初は「街のカメラ屋さん」だった。他の大手家電量販店とは異なり、業態が大きくなってもいたずらに多店舗展開に走らず、大都市の駅近立地にこだわり、店舗数は今でも21にとどまっている。(中略)ヤマダが店舗数1000を超え、縮小に動き始めたのと対照的だ。
●結局、なぜヨドバシカメラの経常利益率は高いのか?
記事の上記以降の話は前回の
ショールーミング推奨アプリでヨドバシ.comが攻勢、アマゾンを追撃と同じネット通販の話。今回の記事では特に新しい話はないので省略します。また、なぜか全然経常利益率の高さに絡んだ話はありませんでした。仕方ないので、以降、私が適当に想像で理由を書きます。
とりあえず、薄利になる多店舗展開をせず、高収益の店舗だけやっているというのは、当然経常利益率の高さに繋がるでしょう。また、ヨドバシカメラの記事で必ず触れられるネット通販が強い…ということも、収益が高くなりやすい強みに繋がっていると考えられます。
ネット専業店舗のメリットというのは、実店舗がいらないことでしょう。実店舗の場合様々なコストがかかりますが、バーチャル店舗の場合それに比較してコストが少ないです。リアル店舗がネットの販売価格を真似できないというのは、このコストの違いというのもあります。
ヨドバシカメラにとってネット販売を増やすことは、実際の店舗のコスト増や新規出店をせずに売上を伸ばすことに繋がります。ヨドバシカメラだけ売上高に比べて経常利益率の減り方が少なかったというのは、このネット販売の増加が大きかったのかもしれません。
●ヨドバシカメラがアマゾン打倒に立ち上がる 書籍、無料で当日配送
2022/07/18追記:時系列的には逆になりますが、2013年1月に<ヨドバシカメラがアマゾン打倒に立ち上がる 書籍、無料で当日配送>という書いていた投稿を同じヨドバシカメラ関連のこちらにまとめ。アマゾンの利便性が低下する一方、ヨドバシの利便性が上がる…という大きな流れのひとつとなる話でした。
2013/1/3:「ヨドバシカメラがアマゾン打倒」という見出しにしたのですが、これは私が勝手に書いているわけではありません。今回呼んだのは、<書籍、無料で当日配送 ヨドバシがネット通販 アマゾンに対抗>(2012/12/29 2:03 日本経済新聞)という記事。アマゾンへの対抗とはっきり書かれていました。
<家電量販大手のヨドバシカメラは2013年2月、書籍のインターネット通販に本格参入する。家電製品の物流網を活用し、全国の主要都市圏で注文当日の無料配送を実現。大型書店の品ぞろえに匹敵する70万タイトルを扱う。書籍を主力にネット通販最大手となった米アマゾン・ドット・コムに対し、日本での対抗勢力となることを狙う>
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGF2400N_Y2A221C1MM8000/?dg=1 私もどうせなら日本企業に頑張ってほしいと思っているので、あんまり興味湧かない記事だったもののこうして一応投稿で取り上げて、ちょっと宣伝しようと思いました。ネットでは素直に歓迎の声が上がり、アマゾンに代わる企業にというところまで期待されていますけど、どうなんでしょうね?
打倒アマゾンというのは違うのではないのでは?と私が思ったのが、両者のラインナップの違い。そもそもアマゾンは書籍だけじゃなく、幅広い製品を無料配送で買える!というのを、多くの人に刷り込んでしまいました。もっと早い時期だったならともかく、既に勝負あったような感じもします。
(2022/07/18追記:ヨドバシカメラもその後だいぶジャンルを広げてきました。楽天やアマゾンと比べるとまだまだ品揃えは劣りますけどね)
…とは言っても、ヨドバシカメラの今回のサービスはアマゾンと異なっており、独自性は見えました。ヨドバシカメラが売りにしているところは、単なる「無料配送」ではなく「当日無料配送」なんですよね。すべての地域でもないんですけど、多くのところでこの「当日無料配送」を実現します。
<中古を含む約600万タイトルの国内書籍を扱うアマゾンは当日無料配送を
年会費を支払った会員に限定している。>
<当日無料配送は首都圏のほか、札幌、仙台、新潟、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡などの主要都市と周辺で実施。人口の50%超をカバーする。他の地域も受注後2~3日以内に商品を届ける。コミックや雑誌を含む売れ筋の書籍は川崎、神戸両市の自社物流センターに在庫を確保。随時、新刊を品ぞろえに加え、5年後に年間300億円の売り上げを見込む>
"ヨドバシは既存の物流網で対応できる当日無料配送が強みになると判断した"という読みです。これがシェアを大きく動かすほどのインパクトであれば当たりなんですけど、今までのいわゆるプラスアルファ程度だとそこまでは変わらないということになります。
ただ、ヨドバシカメラの場合、魅力を増加させているのは、"書籍も他の商品と同様に販売価格の数%のポイントを顧客に付与"する点です。これは体力も削りますが、アマゾンとの大きな違いとして打ち出すことができるでしょう。アマゾン以上に魅力があるといえる点になります。
また、当日配送は確かアメリカでのアマゾンも強化していたはずで、進化の方向性としては妥当です。アマゾンの牙城を崩せるかどうかは別として、この当日無料配送はますます実在店舗の数少ない優位性を削るものとなりそう。当日無料配送の対象商品が増えていった場合は特に、この影響も大きいかもしれません。
アマゾン打倒じゃなくて、日本国内の「町のお店」打倒になっちゃわないと良いんですけど…。
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