2020/06/14:
●自然・天然物質はむしろ体に悪い?新型コロナウイルスでも詐欺横行
●新型コロナウイルスに効くキナ茶を早く買おう!SNSで宣伝して人気に
●科学的根拠なしの問題以前に、そもそもキナ茶ですらないものを販売!
●天然の植物は管理されておらず、何が入っているか全然わからない
●自然・天然物質はむしろ体に悪い?新型コロナウイルスでも詐欺横行
2020/06/14:サンパウロ州立大学の有機化学者で天然物質や薬用植物の化学を専門とするバンダーラン・ボルザーニさんは、「植物に含まれている物質は私たちのために作られたものではありません」「植物は自分自身を守るために必要な物質だけを作っています。多くの場合、植物が作る物質は人間には有毒です」と言っています。
ただ、これに「それは製薬会社が薬を売るための陰謀だ!」などと反発する人もいるでしょう。日本に限らず世界において、人工的なものは「体に悪い」ものであり、自然のものが「体に良い」ものだという信仰が人気です。ただ、これは特に科学的根拠のあるものではありません。
新型コロナウイルスの場合はそもそも「体に良い」ものばかりであるはずの自然から発生したものなのですが、後述するように、自然な植物が新型コロナウイルス対策に効果があるという嘘の宣伝で売られるということが起きました。このように、むしろ「自然は良いものだ」と主張する人の方が「金儲けする気満々」ってことが多いですね。
●新型コロナウイルスに効くキナ茶を早く買おう!SNSで宣伝して人気に
このような自然崇拝を利用したお金儲けの話があったのは、
「コロナに効くお茶」が危険な理由、専門家が警鐘 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト(2020.06.09)という記事。問題になったという、3月30日に投稿されたFacebookの動画の内容は以下のように欲望がミエミエなのですけど、これに殺到した人もいたそうです。
<1人の男性が「キナ茶」と書いてある小さなビニール袋を手に持っていて、それをひっくり返してみせる。出てきたのはキナと呼ばれる木の樹皮を削った破片だ。彼はフォロワーに樹皮を使ったお茶の作り方を教え、キナ茶は「体の免疫力を高め、新型コロナウイルスと戦えるようにしてくれる」と説明する。
男性は、キナ茶はこれから大人気になるので、動画を見た人はすぐに購入するといいと呼びかける>
キナの樹皮には、ヒドロキシクロロキンを合成するヒントになったキニーネという成分が含まれているといいます。副作用のあるヒドロキシクロロキンは、ブラジルのボルソナロ大統領とアメリカのトランプ大統領が、まだしっかりとした科学的証拠がないどころか否定的な見解が多いにもかかわらず、新型コロナウイルス感染症の治療薬だと喧伝している薬でもあります。
●科学的根拠なしの問題以前に、そもそもキナ茶ですらないものを販売!
この話がさらにひどいのは、そもそもこのキナの樹皮には、キニーネが含まれていない可能性が濃厚だということです。一部のキナの樹皮にキニーネが含まれているのは事実。ただ、種類によって違っており、ブラジルのキナから見つかった例はまだないんだそうです。また、後述するように、そもそもキナ茶ですらないものを偽って売っているケースもあるみたいですね。
ということで、この話、後述の指摘を含めて考えると、かなりすごいんですよ。まず、ヒドロキシクロロキンにまだ根拠なし。ヒドロキシクロロキンとは異なるキニーネにも根拠なしで、キニーネを含んでいるというキナ茶にも当然根拠なし。ところが、そもそもそのキナ茶にはキニーネが含まれていない、さらにはキナ茶ですらない…ということになっています。わけがわかりません。
<科学者たちはキナノキ属のアカキナノキという木に「キニーネ」という物質が含まれていることを発見した。アルカロイドと呼ばれる苦味のある有機化合物の1種で、これをヒントにして合成されたのがクロロキンやヒドロキシクロロキンなどの合成医薬品である。
ヨーロッパ人たちはマラリアに効く物質を求めてキナノキを切り出し続け、ペルーのキナノキを絶滅寸前のところまで追い込むと、今度はブラジルのアマゾンで代わりの樹皮を探しはじめた。いくつかの植物が発見され、やはり同じキナという名前が付けられた。
しかしこれらの植物からキニーネが抽出されることはなかった。
薬用植物を専門とする薬学者で有機化学者であるブラジル、ミナス・ジェライス連邦大学自然史博物館・植物園のマリア・ダス・グラサス・リンズ・ブランダン氏によると、ブラジルにはキニーネを作るキナノキ属の植物は自生していないという>
●天然の植物は管理されておらず、何が入っているか全然わからない
ブランダンさんの研究チームは、ブラジルの植物のデータベースを作成し、青空市場でキナとして売られている樹皮のDNAを調べています。これまでに調べた36のサンプルのうち、4つが「偽キナ」とも呼ばれるブラジルのキナで、残りの32のサンプルはキナノキ属の植物ですらなく、その薬効は不明だったそうです。キナ茶ですらありませんでした。
このキナ茶ですらないものは、キナ茶の信奉者も論外だろうと思われますが、「偽キナ」と呼ばれるブラジルのキナの多くも十分に研究されていないもの。ブランダンさんは、「まだ何もわかっていない化学物質がたくさん含まれているのです」「その多くが有毒で、摂取してはいけないものです」 と指摘していました。
また、もし仮にブラジルのキナノキにキニーネが含まれていて、それを抽出できたとしても、ヒドロキシクロロキンと同じものは得らません。キニーネが天然の物質であるのに対し、ヒドロキシクロロキンの有効成分は合成された物質であり、化学構造が全く違っているためです。
さらに、同じ種類の木であっても、生えている場所によって、含まれる化学成分が違っている可能性もあるということで、かなり不確かなもの。まあ、それが「天然」ってものですからね。結局のところ、皆さんが嫌う人工物の方がはるかに安全なのかもしれません。
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